世界の動き 2024年9月23日 月曜日

今日の言葉
「異常事態に備える」
 能登半島の豪雨で死者が発生している。1月1日の震災からやっと立ち直ってきたかと言う時期に、大きな自然災害で、同情を禁じ得ない。普通の生活の貴重さがよくわかる。
 「災害に備えろ」と言うのは簡単だ。どうすれば良いのだろうか。企業レベルで何らかの危機に備える際に役に立つ(かもしれない)のは、複数の非常事態を想定し準備しておくことだ。
 震災、風水害、サプライチェーンの分断といった大きな事象から、火災、洪水、工場での事故、労働争議等のより頻度の高い身近な事象まで、いろいろなリスクを考えて、そのいくつかが同時に発生する事態を想定してみることだ。
 そんなことが起これば会社は終わりだ、とか、起きるはずがない、と言って否定せずに、頭の体操として複数の事象を想定する柔軟さが必要だ。
 米国の大企業では、災害事象をルーレット状にした「災害ルーレット」を作り、ルーレットを二回まわして、複数事象への準備をしている企業も多くある。

ニューヨークタイムス電子版よりTop3記事
1.イスラエルとヒズボラ、攻撃と脅迫を繰り返す
【記事要旨】
 ベンヤミン・ネタニヤフ首相は昨日、イスラエルはヒズボラの脅威を軽減するために「必要なあらゆる行動」を取ると述べ、ヒズボラ副指導者は紛争が「新たな段階」に入っていると警告した。
 イスラエルとヒズボラの応酬が激化することでこの地域がさらに大きな惨事の瀬戸際に立たされているという懸念をさらに高めた。週末、イスラエル軍はベイルートで空爆を実施し、最高司令官を含むヒズボラの幹部数名を殺害した。レバノン当局は、この空爆で女性や子供を含む少なくとも45人が死亡したと述べた。
 その後、ヒズボラは報復として、イスラエルの奥深くにロケット弾、ミサイル、ドローン100発以上を発射したが、国の中心部は避けた。
 爆発と葬儀で特徴づけられた1週間が過ぎ、ベイルートのヒズボラ支配地域に住む住民は、イスラエルとの全面戦争の可能性を含め、次に何が起こるのかという不確実性と格闘している。中には、立ち去るべきかどうか議論している者もいた。
ヨルダン川西岸ではイスラエル軍はアルジャジーラの事務所を45日間閉鎖した。
【コメント】
 毎日殺戮が続いている。耐えられない事態だ。
 イスラエル、ヒズボラのリーダー達は共に、自分たちの主義主張を繰り返し、末端で苦しむ民衆のことは視野になさそうだ。

2.共和党内で混乱と論争が急増
【記事要旨】
 ドナルド・トランプ氏の過去2週間の選挙運動は波乱に満ちている。
 この時期は、トランプ氏がオハイオ州の移民が家庭のペットを盗んで食べているという根拠のない主張を主張したことから始まった。そして、ポルノサイトの掲示板で自らを「黒人ナチ」と呼んだノースカロライナ州知事選共和党候補への支持をめぐってトランプ氏が攻撃にさらされることになった。そしてその間、トランプ氏は政府閉鎖を主張し、9月11日の陰謀論者を高く評価し、ライバル候補を支持したテイラー・スウィフトに対して「テイラー・スウィフトが嫌い!」というSNSを立ち上げ、もし選挙に負けたら「ユダヤ人」のせいだと警告した。
 これまでであれば、選挙運動の最後の数週間にこのような論争が巻き起こったことで有権者は躊躇し、選挙戦に変化が生じた可能性があった。しかし今年は、国民は混乱の衝撃にほとんど肩をすくめるだけで対応し、選挙運動を無視すると見る戦略家もいる。
 その他の大統領選関連記事
 ハリス氏の検察官としての12年間を詳しく調べると、暴力犯罪者を取り締まる一方で、軽犯罪者には投獄以外の選択肢を模索してきた一貫した記録が明らかになる。
 トランプ氏は、米国人の課税方法を根本的に変えるようなアイデアを提唱している。その中には、連邦歳入を増やす方法として、所得税を弱体化させながら関税を拡大する案も含まれている。
 トランプ氏は昨日公開されたインタビューで、今年負けたとしても2028年の大統領選に出馬することは考えていないと述べた。
【コメント】
 最後に文章の英文は、Trump said in an interview published yesterday that he did not envision himself running for president in 2028 if he loses this year.
となっている。今回はすんなり負けを認めるのだろうか。

3.スリランカで新大統領が選出
【記事要旨】
 マルクス主義者の候補者、アヌラ・クマラ・ディサナヤケ氏が昨日、スリランカ大統領に選出された。同氏の勝利は、国家経済危機と多くのスリランカ国民の圧倒的な苦難を招いた指導部に対する怒りの波の中で起こった。
 スリランカの政治情勢は2年前、広範囲にわたる抗議活動によって崩壊し、首都コロンボから逃亡した強権的なゴタバヤ・ラジャパクサ大統領の辞任に至った。近年、ディサナヤケ氏は左派政党ジャナタ・ヴィムクティ・ペラムナのブランド再構築を主導し、同党の過激な立場を軟化させ、既存の政治秩序に代わる政党として売り込んだ。
 ディサナヤケ氏の当面の課題は、内閣の編成である。スリランカの制度では、閣僚は議会から選出されなければならないが、同党は議会でわずか3議席しか持っていない。
【コメント】
 大統領制と議員内閣性を併用しているようだ。閣僚は議席が無ければいけないという条件だと、大統領が自分を支持する内閣を組成するのはとても大変だ。物事が国民の期待通りに進まず、新たな政変につながりかねない。

その他の記事
日本:
 地震からまだ復興中の能登半島で記録的な降雨が続き、洪水や土砂崩れによる死者も出た。
ドイツ:
 極右と極左の両方が州選挙で大幅な躍進を遂げると見込まれており、国の安定性に影響する可能性がある。
米国:
 ベネズエラの刑務所から生まれた恐れられる犯罪組織「トレン・デ・アラグア」がニューヨークで出現した。

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