July 4th に考える

アメリカの建国記念日に民主主義を再考してみたい。

米国の建国の父たちのビジョンが精神的な支柱として、現在の米国をもたらした。大西洋岸の密集した14の小さな植民地は、わずか 1 世紀余りで世界の巨人へと成長した。米国での機会と自由を求めて何百万人もの人々を世界中から惹きつけ、彼らの才​​能を利用して、人類史上例を見ない繁栄を生み出した。アメリカの輝かしい歴史であり、誇りだ。

米国精神の中心にある「自由」とは混沌としていて、素晴らしく、革新的だ。その革新は、指示し指示されるのではなく、誰もが他の人々の問題を解決することで得られるより良い未来を想像できるようにするシステムによって生み出され、上からの強制ではなく市場を通じて機能している。これは挑戦者である中国の国家独占資本主義とは大きな違いだ。

米国が存在する以前の数千年の間、エリートが愚民を導くというやり方は、1800 年になっても人類の大多数を貧困に留め、発展の無い世界を生み出していた。米国のもたらした自由は平均寿命を 2 倍にし、何十億もの人々に富ませ、専制政治を打破した。第二次世界大戦に勝利し、冷戦にも米国は勝利した。

ところが、自由と民主主義を取り巻く環境は大きく揺らいでいる。建国の父たちが米国にもたらした秩序に、多くの米国民が疑問を抱き、民主党と共和党、更に無党派層に国論は分裂している。米国大統領選挙ではトランプのような独裁を標榜している候補が勝利する恐れすらある異常な状況だ。

世界的には多くの権威主義国が、自由と民主主義を受け入れず、政府主導の政治経済体制でアメリカのやり方に対抗し、中国は、米国に拮抗してきているように見える。G7の世界経済に占める地位は低下しており、いわゆるGlobal Southは、自分たちを助けてくれる国々が正義で、自由や民主主義を押し付けられるのは御免だというスタンスだ。

日本では、長らく続いた自民党政権下、変化を嫌うぬるま湯的な意識が国民に蔓延しているように見える。アジアを代表する成熟した民主主義国として、中露に対抗してゆく術を考えて、行動しなければならないのに、そんな気概も能力もなさそうだ。

「一燈照遇、万燈照国」伝教大師の言葉だ。
自分が自分の限られた分野で灯をともして片隅を照らす。万人がそうすれば国が照らされることになる。 国を何とかするには、自分の置かれた場所でなんとか頑張るしかない。というありきたりな結論に落ち着く。

2024年7月6日 土曜日