よくある不正事案 (備忘録的メモ)

Googleアラートで「金融庁」をフォローするといろいろな事案が上がってくる。最近の事案で最も大きいのが三菱UFGによる顧客情報の共有事件だ。

6月7日の Business Journal に詳しいフォロー記事が掲載されていた。示唆に富む記事なので引用したい。

『三菱UFJ銀行が顧客企業の事業統合などに関する非公開の情報を、同じグループ傘下の三菱UFJモルガン・スタンレー証券とモルガン・スタンレーMUFG証券に流していたとして、証券取引等監視委員会が3社を行政処分するよう金融庁に勧告する検討に入ったという。
7日付け日本経済新聞記事などが伝えている。三菱UFJ銀行が顧客企業に対し、証券2社との取引を条件に貸出金利を優遇することなども提案していたという。

三菱東京フィナンシャル・グループとUFJホールディングスが合併して2005年に発足したのが三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)。商業銀行、信託銀行、証券会社、カード会社、消費者金融会社、資産運用会社などを傘下に持つ総合金融グループだ。

連結総資産は約404兆円(2024年3月末時点)を誇る国内1位の金融グループ。24年3月期の純利益は過去最高の1兆4907億円で国内金融グループ1位であり、同期決算の純利益ベースでは1位のトヨタ自動車に次いで国内2位。中核の三菱UFJ銀行の預金残高は国内トップの約200兆円と名実ともに国内トップバンクの座にある。

MUFJの行動の何が問題か? 「銀行は融資などで顧客企業の生存を左右する力を持つ優先的地位にあり、その地位を利用してグループの証券会社を利用するよう圧力をかけていたことになり、『ウチの証券会社を使ってくれないなら、貴社は損することになりますよ』と脅しているようなもの。法的問題以前に銀行のモラルとしてアウトで、極めて悪質だ。また、銀行は一定の条件を満たせば証券の仲介はできるが、勧誘行為は認められておらず、貸出金利優遇をダシにグループの証券会社の利用を迫るというのは、まさに勧誘行為に該当する」(証券会社社員)

なぜMUFGは不正に走ったのか? 「旧三菱UFJ証券とモルガン・スタンレーの提携がスタートして10年以上たつが、純利益ベースでは野村ホールディングス、みずほ証券、大和証券に遠くおよばない状況が続いている。背後からは2年前の相場操縦事件の傷が癒えて業績が伸びているSMBC日興証券が迫ってきており、数年以内に抜かれる恐れもある。そうしたなかで、なんとか証券部門の業績を底上げしなければならないという強いプレッシャーが、グループ内で生じていたのではないか」(別の証券会社社員)』

海外ではこの手の事件は自分の報酬・ボーナスを大きくするのが主なインセンティブだ。日本では、ボーナスで巨額な違いが出るのはまれであり、優秀な成績を基に出世するのがインセンティブになっているのだろうと思われる。

いずれにしても、優越的地位を利用して顧客にいうことを聞かせるのは昔も今も変わらない金融機関の体質だ。画期的な商品の提供で顧客に納得してもらい儲けるのが商売の王道だ。

2024年6月9日 日曜日