世界の動き 2024年12月2日 月曜日

今日の一言
「100%関税」Bloomberg記事より
 『トランプ次期米大統領は主要新興国で構成される「BRICS」諸国に対し、貿易などで米ドルの代わりに使用する新たな通貨を創設しないという確約を求めた。「新たなBRICS通貨を創設せず、強大な米ドルに取って代わる他の通貨を支持することもしないと約束するようこれらの国々に求める。さもなければ100%の関税に直面し、素晴らしい米国経済への売り込みに別れを告げることになると覚悟すべきだ」とトゥルース・ソーシャルに投稿した。』
 これは無理な要求だ。強要すれば人民元の国際化に拍車をかけるだけだと見る。

ニューヨークタイムス電子版よりTop3記事
1.反政府勢力が進撃し、シリアで戦闘が激化
【記事要旨】
 反政府勢力は激しい戦闘の中シリアで進撃し、アレッポの空港と陸軍士官学校を占領し、西部都市ハマの郊外を攻撃した。アサド大統領に忠誠を誓う政府軍は援軍を急行させたとシリア人権監視団は述べた。
 反政府勢力は前日アレッポの大部分を占領し、現在、シリア西部と北西部のハマ、イドリブ、アレッポの各県にまたがる広い地域を支配している。
 監視団によると、政府軍はハマと近隣の都市の周囲を防衛するために援軍送り、政府軍戦闘機が反政府勢力が支配する地域を爆撃し、数十人の民間人が犠牲になったと監視団は述べた。
 反政府勢力同盟は、かつてはアルカイダと関係があったが、現在は関係を絶ったグループが率いており、トルコが支援する反政府グループも参加している。

中東の動き:
・イスラエルの元国防相が、イスラエルがガザで戦争犯罪と民族浄化を犯したと非難した。
・イスラエル軍は土曜日、レバノンのヒズボラ拠点数か所を攻撃したと発表し停戦は不安定だ。
・トランプ次期大統領は、娘ティファニーの義父でレバノン系アメリカ人実業家であるマサド・ボウロス氏をアラブ・中東問題担当上級顧問に任命すると発表した。
・イスラエルは、昨年10月7日の攻撃に関与したとされる援助団体「ワールド・セントラル・キッチン」の職員を殺害したと発表した。イスラエルによる同団体の職員殺害は2度目となる。
【コメント】
 今度はシリアで戦火が上がった。しっかり鎮火しなので、風が吹けばすぐ火が燃え盛る。

2.共和党はトランプ氏のFBI長官指名を支持
【記事要旨】
 トランプ氏がFBI長官にカシュ・パテル氏を指名したと発表後、共和党議員数名が同氏を称賛した。同氏はその地位を利用してトランプ氏の敵対者に復讐すると宣言している。
 トランプ氏が土曜日、10年の任期のうちまだ3年残っている現FBI長官クリストファー・レイ氏を交代させる意向を発表したことは、多くを驚かせた。パテル氏はFBI捜査官、ジャーナリスト、その他に対する徹底的な報復キャンペーンを開始すると述べている。
 テキサス州共和党のテッド・クルーズ上院議員は、パテル氏を、FBI内部の党派主義と自分や他のトランプ氏の同盟者が主張する問題に対処できる人物と評した。パテル氏は承認公聴会で、FBIが政治的干渉を受けないままでいられるかどうかについて厳しい質問を受ける可能性が高い。
【コメント】
 レイ氏はトランプが任命した人物だが、自分の思い通りにならないとみてパテルに切り替えるのだ。米国のTVを見ると、FBIと地方警察の捜査力に大きな差があるようだが、犯罪捜査は今後どうするのだろうか。

3.虐殺から80年、セネガルはフランスに事実の解明を求める
【記事要旨】
 1944年、フランス植民地軍は第二次世界大戦で戦った後にフランスから帰還した西アフリカの兵士を虐殺したが、それは秘密に包まれたままである。
 虐殺から80年を迎え、セネガル政府はフランスに対し、このティアエロ虐殺事件について完全に説明するよう求めた。これは、アフリカの政府から、旧植民地との関係を再考すべきだという最新のシグナルである。
【コメント】
 ティアロエ虐殺(ティアロエぎゃくさつ、英語:Thiaroye massacre、フランス語: Massacre de Thiaroye)は第二次世界大戦中の1944年12月1日にフランス軍によって行われた西アフリカのセネガル兵に対する虐殺である。セネガル兵達はフランス解放のために戦ったにも関わらず35人から300人以上が殺害された。

その他の記事
気候:
 韓国の釜山で開かれた国連会議に出席した外交官らは、プラスチック汚染に取り組む世界初の条約で合意に至らなかった。
台湾:
 頼清徳総統は、縮小しつつある島嶼国の同盟国との関係を強化するため、マーシャル諸島、ツバル、パラオの歴訪を開始した。
中国:
 米国の動物園はパンダの飼育権を得るために数千万ドルを集め、中国に送金した。資金の多くは、約束された環境保護活動には使われていない。

2024年12月2日 月曜日

Thanksgiving holidays

 米国では収穫祭の祝日で今年もあと1か月。今年を振りかえり来年に思いを致す時期だ。

 WSJのコラムではAndy KesslerはThe Market’s Mixed Signals:Stocks are winning the cage match, but bonds may have the last laugh. と言う記事を書いている。

 何がMixed Signalsかと言えば以下だ。
 ・株価は上昇しており、経済ブームの兆候を示している。
 ・石油は、景気後退に向かっているかのように下落している。
 ・住宅価格は、金利引き下げが続くかのように上昇している。
 ・金は上昇しており、インフレが戻ってきたことを示唆している。
 ・ドルは、ヨーロッパ、カナダ、中国が苦しんでいるかのように強い。
 ・コアインフレは上昇しており、2021年4月以来3%を超えている。
 ・長期債は、FRBが金利引き下げを停止する必要があることを示している。
 ・パランティアの株価は、人工知能の誇大宣伝により、今年250%以上上昇し、現在約1450億ドルの価値がある。素晴らしい会社だが、先走りすぎている。株価は、税引き後営業利益の483倍、売上高の55倍だ。

 彼の株式市場に対する見方は以下だ。
 「なぜこんなことが起こるのか?市場の配管が壊れているのではないかと心配している。かつては取引所に人間のトレーダーがいた。現在、取引は不透明な高頻度取引組織とクオンツファンドによって支配されている。機関投資家は個人取引に後れを取り、誇大宣伝家が株に息を吹きかけると、株価は上がりる。健全ではない。」

 彼の株式市場の見方は尤もだ。株式市場は本来の、企業による資金調達と投資家の資金提供の場から、投機的なマネーゲームの場に変容したのだ。このような株式市場から距離を置こうとするのはウォーレンバフェットが債券投資にシフトしているという動きと重なる。

 さて、どうするか。
 トランプ相場にのって、楽団が演奏している間(しばらくは続きそうだ)はダンスに興じるタイタニックの乗客のようにするか、それとも守勢のポジションを取るのか。考え所だ。

2024年12月1日 日曜日