世界の動き 2024年12月11日 水曜日

今日の一言
「超富裕層in ニセコ」
昨夜のBSTBS「報道1930」は見ごたえがあった。
ニセコの超高級Villaは一泊425万円、一週間がミニマムのステイでその費用は約3000万円だ。往復7000万円ほどかかるチャーター機で来る客が相手なので、宿泊代は高くない。3月末まで予約でいっぱいだと中国人のオーナーがインタビューに応えていた。
地中海のニースやモナコ、スイスのサンモリッツと言った富裕層の集まるリゾートが日本にも出現しているのを実感した。
我が身と比べると、自分より100倍豊かな人たちにとっては一泊4.25万円、航空運賃が往復70万円になるので、そういうレベルの金持ちがいるのかと思う。
1980年代後半に金融機関でバンコクに勤務していたころ、頭取が来るとオリエンタルホテルの1泊100万円のオリエンタルスイートに泊まっていたことを思い出した。いまそんな贅沢をする金融機関は見当たらないだろう。
我が国の豊かさは企業どまりで個人に及ぶことが無かった。超富裕層・富裕層が国内で育たなかったことが、ニセコや白馬が海外資本の草刈り場になっている原因だ。

ニューヨークタイムズTop3記事
1.シリアはアサド政権崩壊後の一連の攻撃に見舞われた
【記事要旨】
イスラエルはシリア暫定政府への移行を危うくする恐れがあるとの警告にもかかわらず、シリア国内の標的への攻撃を続け、夜間の空爆でシリア海軍を壊滅させたと発表した。
イスラエル軍当局は、化学兵器の備蓄が過激派の手に渡る」のを防ぐための防衛的な攻撃だったと述べた。
日曜のアサド大統領の失脚以来、イスラエルの軍用機はシリアで数百回の攻撃を実施しており、イスラエル地上部隊は50年以上ぶりにシリア領土に公然と侵入した。国連シリア特使はイスラエルに対し、軍事作戦の停止を求めた。これらはこの地域で影響力を競い合っている勢力である。
反政府勢力がダマスカスを占領し政府を樹立しようとしている一方で、シリア北部では昨日、トルコの支援を受けた反政府勢力と米国の支援を受けたクルド人勢力との間で激しい戦闘が起きた。
その他の情報:
シリア暫定政府: 暫定政府を形成する反政府勢力連合は、モハメド・アル・バシルを首相に任命した。
シリアのボランティア救助団体は、ダマスカス郊外の「セドナヤ刑務所」の被収容者の捜索を終えたが、数千人が依然として行方不明となっている。
【コメント】
イスラエルの行動は本当に抜け目がない。彼らの行動は安定をもたらすのか破壊をもたらすのか不明だ。トランプ新政権は次々に難題を抱えることになる。

2.ニューヨークで最高経営責任者(CEO)殺害で男が起訴される
【記事要旨】
ルイジ・マンジョーネは月曜日、ユナイテッドヘルスケアの最高経営責任者ブライアン・トンプソンの暗殺で殺人罪で起訴された。彼はペンシルバニア州のマクドナルドで逮捕された。
逮捕時に彼の所持品から見つかった声明文を詳述した警察の内部報告書によると、26歳のマンジョーネは殺害を「象徴的な打撃」と見なしていた。「率直に言って、これらの寄生虫は当然の報いを受けた」と声明文には記されていた。
容疑者はアイビーリーグの技術科卒業生で、ここ数ヶ月、身体的および精神的苦痛に苦しんでいた。
【コメント】
社長を殺害するほどの激しい憎悪を持つことが理解できない。映画のJokerの主人公のようだ。

3.ネタニヤフ首相が汚職裁判で証言
【記事要旨】
警察が捜査を開始してから8年、裁判開始から4年を経て、イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相が昨日初めて証言台に立った。彼は賄賂、詐欺、背信行為の容疑で告発されているが、彼はそのすべてを否定している。「この不条理の大きさに衝撃を受けている」とネタニヤフ首相は語った。
裁判は今後何年も続くと予想されており、ネタニヤフ首相はおそらく数か月間、週に数回証言台に立つことになるだろう。
【コメント】
トランプ大統領のように逃げ切れるのだろうか。首相でいる間は不逮捕と言った特権は無いようだ。

その他の記事
米国:
ピート・ヘグセス氏の国防長官就任への道がさらに容易になった。反対派の上院議員は、彼の邪魔はしないと述べ、トランプ支持者から圧力をかけられていることを示唆した。
気候:
山火事と永久凍土の融解により、北極圏では数千年ぶりに大気中に二酸化炭素が放出されている。
南シナ海:
台湾は、数十年ぶりに中国が海軍と沿岸警備隊の艦艇を最大規模で展開したとされる事態に警戒を強めている。

2024年12月11日 水曜日

世界の動き 2024年12月10日 火曜日

今日の一言
「最後の努力」
 日本製鉄はUSスチール買収に向けた最後の努力を続けている。以下Bloombergの記事より。
 『日本製鉄は米鉄鋼大手USスチール従業員に宛てた書簡を公表し、買収の一環として全米鉄鋼労働組合(USW)に提案している14億ドル(約2100億円)の設備投資計画に関して詳細を約束をしたと説明した。
 買収に反対するUSW幹部が考えを変えるかは不明だが、対米外国投資委員会(CFIUS)の審査が終了する前にUSWの支持を確保しようと、日鉄はあらゆる手段を講じている。』
 トランプは反対しているが、市は日鉄の買収を歓迎している。労組が反対を続ければUSスチールに将来は無いと思うのだが。

ニューヨークタイムズ電子版よりTop3記事
1.シリア反政府勢力が実権を握ったるが、計画はまだ不明
【記事要旨】
 ダマスカスを制圧した反政府勢力は昨日、新政府が直ちに活動を開始すると発表した。シリア国民数百万人と世界は、アサド一族による数十年にわたる統治の衝撃的な終焉を受け止めるのに苦労している。反政府勢力の戦闘員は公共の建物の外に陣取り、交通整理を行い、権力を誇示した。
 昨日、シリアのタイムズ紙記者は、放棄されたシリア軍の戦車、無人の検問所、バッシャール・アル・アサド大統領の引き裂かれたポスターが地面に散乱しているのを目にした。車や店の割れた窓ガラスという無法状態の初期兆候は多くの人を恐れさせているが、残忍な指導者の追放に対する高揚感もあった。
 反政府勢力は今、民族、宗派、宗教の深い分裂を抱える国に対する支配を拡大するという複雑な課題に直面している。
 以下、Timesの特派員とのQ&A。
Q: アサド政権の崩壊に寄与した地域的要因について説明して欲しい?
A: アサド政権を支援していたヒズボラをイスラエルが弱体化させたことが大きな要因だ。シリアでヒズボラと協力してきたイランにとって、シリアでの活動はより困難になった。ロシアも他の場所で忙しかった。だから、こうした国際的な要因がこの状況を生んだ。これらの勢力に加えトルコも、今後に係ってくるだろう。
Q: 今度に向けての最大の課題は何か?
A: 軍事および安全保障面で膨大な変化があり、人々が安全な自分たちの国にできるかどうかという疑問が数多く生じる。
 国を統治または統制する計画はまだない。かなり西にあるダマスカスで起きていることは、アレッポで起きていることとはあまり関係がなく、イラク国境やヨルダン付近の南部で起きていることとはまったく関係がない。これらすべての地域で紛争があり、イスラム国を含むさまざまな主体が関与している。イスラム国はここ数年で復活を遂げている。
 イランは実際に、シリア人全員が参加する、このすべてを解決する一種の全国会議の開催を提案している。誰かが来てそれを組織してくれることを願っているのだが、現時点では気が遠くなるような話だ。
【コメント】
 独裁者が強権で押さえつける以外に過去50年間この国は統治できなかったのだ。確かに先行きは気の遠くなるような話だ。

2.ハイチの首都で大虐殺
【記事要旨】
 国連人権高等弁務官は昨日、ポルトープランスで週末に起きた大虐殺で約200人が殺害されたと述べた。
 ハイチの有力人権団体は、この殺害は、息子の致命的な病気は魔術によるものだと聞かされたギャング団長の個人的な復讐だと説明した。ブードゥー教を信仰する高齢者が標的にされたようだ。国連によると、殺害された人のうち約130人は60歳以上で、ギャング団員が遺体を焼いて海に投げ込んだと付け加えた。
 大量強制送還:ドミニカ共和国に逃げた絶望的なハイチ人は、現在檻に入れられて送還されている。ドミニカ当局は、毎週1万人の強制送還を目標にしていると述べている。
【コメント】
 ドミニカとハイチの比較。以下AIの回答。
 ドミニカ共和国とハイチは、カリブ海に浮かぶイスパニョーラ島に位置する国々で、歴史や文化、宗主国などが異なる2か国です。
 ドミニカ共和国は、ハイチから逃れてきた人々を強制送還していると報じられています。国連は強制送還をやめるよう呼びかけていますが、ドミニカ共和国側は「安全保障政策の一環」としています。
 ドミニカ共和国は、ハイチの人々の労働力なしには成り立たない経済状況ですが、その労働力としてのハイチの人々もまた様々な課題に直面しています。
 ハイチは、西半球の最貧国に位置づけられ、長年にわたる政情不安や、頻発する自然災害の影響を受け、基礎的な社会基盤が整備されていません。
 ハイチでは、2021年7月の大統領暗殺事件以降、政情不安が続いています。また、同年8月のハイチ南西部大地震やハリケーンなどの自然災害の発生等により、社会的混乱が続いています。

3.フランス初の大規模な#MeToo訴訟が裁判へ
【記事要旨】
 5年前、フランスの女優アデル・エネルは、彼女が12歳、彼が36歳のときに監督クリストフ・ルッジャが彼女を誘惑し、性的暴行を加えたと告発し、同国の映画界に衝撃を与えた。
 昨日、この訴訟は法廷に持ち込まれ、フランスで裁判に進んだ初の大規模な#MeToo訴訟となった。59歳のルッジャは未成年者に対する加重性的暴行の罪で起訴されている。ルッジャは繰り返し容疑を否定している。証言の中で、彼はエネルに性的接触をしたという告発を「完全な嘘」と形容した。
【コメント】
 もう23年前の多分物証に欠ける事件について、裁判はどのように進むのだろうか。

その他の記事
韓国:
 尹錫悦大統領は出国を禁じられ、当局は戒厳令の布告が内乱に当たるかどうか調査中。
インド:
 トランプ・オーガニゼーションは、ステータスに飢えた住宅購入者が有名な米国ブランドを熱望するインドで温かい歓迎を受けている。
ウクライナ:
 テレグラムの人気はロシアとの戦争中に急上昇し、キエフ当局はメッセージングアプリの利点とセキュリティリスクをますます比較検討するようになっている。

中国
貿易:
 北京の鉱物輸出禁止は予想以上に深刻。また、世界中の企業に対し、中国で採掘された重要な鉱物が米国に流入しないように命じている。
自動車:
 中国の自動車メーカーは、今のところ米国を除いた世界展開の一環として、メキシコで工場用地を探している。
テクノロジー:
 中国の独占禁止規制当局は、人工知能システムを動かすチップのほとんどを製造している米国企業、エヌビディアを調査していると発表した。

 中国東部でインフルエンサーを目指していたリンエルさんは、トランスジェンダーであることをカミングアウトした後、両親に性自認を変えるために病院に送られた。
 リンエルさんは3か月間、自分の意志に反してそこに閉じ込められ、電気ショック療法を受けさせられた。医師はリンエルさんに髪を短く切り、男性の服を着るよう勧めた。
 リンエルさんはその後病院を訴え、和解金を受け取った。これは、トランスジェンダーの人が関与するいわゆる転向療法をめぐる中国初の訴訟である。

2024年12月10日 火曜日

世界の動き 2024年12月9日 月曜日

今日の一言
「見せ球」
 野村証券の証券用語集の説明を引用する。
 『「見せ玉」とは、約定させる意思のない注文を大量、あるいは頻繁に発注、取消、訂正を行い、他の投資家に取引の状況を誤認させ、取引を誘引しようとする取引のことを指します。
【具体例】
 寄付(後場寄)前に大量の指値、または成行注文を発注し、寄付(後場寄)直前に取消をする取引。
売り(買い)指値注文を約定させようとして、買い(売り)注文を発注し、もとの指値注文が約定した場合に反対側の指値を取り消すか、劣後する価格に指値訂正を行う取引。など』
 この不正取引を行っていたのが野村証券だと言うのが驚きだ。Bloombergが野村のベテラン債券ディーラーが解雇されたと12月6日に報道したので調べたら、すでに金融庁が10月末に2176万円の課徴金納付命令を出していた。
 この事件は知らなかったが、証券業務の従事者にとってはイロハのイに学ぶやってはいけない不正行為だ。野村の教育はどうなっているのだろか。また、ディーラーの発注をレビューするミドルオフィスは機能していなかったのだろうか。
 社員による富裕顧客殺害未遂事件もあり、顧客からの信頼を利用し利益を図る犯罪は厳しく糾弾されるべきだ。酷いな、野村證券!

ニューヨークタイムス電子版よりTop3記事
(今日のTimesからの配信は6:45でした。遅いぞTimes)
1.反政府勢力がダマスカスを占領、アサド大統領がシリアから逃亡
【記事要旨】
 ロシア国営メディアによると、アサド大統領は辞任し、ロシアに逃亡した。長年にわたりモスクワとテヘランの支援を受けて反政府勢力を抑え込んできた独裁者の驚くべき失脚だ。
 日曜早朝、反政府連合の主要グループであるハヤト・タハリール・アル・シャムは、同組織の戦闘員が首都ダマスカスを占領したと発表した。「ダマスカス市は解放され、暴君バッシャール・アサドは打倒された」と反政府勢力の1人が読み上げ、「すべての宗派のシリア人のために自由で独立したシリア万歳」と付け加えた。ダマスカス周辺では祝賀の銃声が鳴り響いた。囚人たちは悪名高い刑務所から解放された。
  しかし、現状は依然として不確実性に満ちている。モハメド・ガジ・アル・ジャラリ首相は、シリア国民が誰をリーダーに選んでも協力する用意があると述べ、ハヤト・タハリール・アル・シャムも彼と協力すると述べた。
 「この結果、非常に多くの異なる展開が予想され、その全てがどうなるかを考えることさえ困難だ。しかし、アサドからひどく迫害された人々にとって、これは信じられないほどの喜びと安堵の瞬間であり、また、失われたものすべてに対する感覚でもある。アサドからトルコに逃れた人々は故郷に戻り、シリアでシリア人としての生活を始める可能性がある。アサド政権に近い人々にとって、彼らの安全について大きな不確実性がある」とTimesの中東担当は述べる。
 地域大国イランの「抵抗の枢軸」は、息を呑むほど短い期間でほぼ崩壊した。
 次は何か?アレッポでの状況がどのように展開したかは、今後何が起こるかを示唆するかもしれない。
【コメント】
 政府軍は全く抵抗しなかったようであっという間にダマスカスが陥落した。
 わかるのは混乱の極みがシリアを覆っているということだ。暴君が倒れた後の混乱と民衆の疲弊はフセイン後のイラクを見れば明らかだ。シリアはどうなるのだろうか。

2.尹大統領、弾劾投票を乗り切る
【記事要旨】
 尹錫悦大統領を弾劾しようとする韓国議員の試みは土曜の夜、失敗に終わり、今週の短期間の戒厳令発令以来、国を覆っている不確実性が長引いた。
 野党による尹大統領の弾劾の動きは、保守派の国民の力党によって阻止された。弾劾動議が投票にかけられる前に、党員1人を除く全員が退席し、弾劾の試みは無意味となった。
 土曜の早い時間に、尹大統領は国民の前に頭を下げ、短いテレビ演説で謝罪した。戒厳令発令を試みてから初めて公の場に姿を現した。尹大統領の党のハン・ドンフン議長は、政府の意思決定者を自称し、韓国憲法では大統領が辞任するか弾劾されない限り、誰も大統領の代わりを務めることはできないとされているにもかかわらず、大統領はもはや国を運営していないと述べた。
【コメント】
 いずれにしても尹大統領は辞任を余儀なくされ、左翼政権が早晩成立するだろう。

3.トランプ氏、長時間のインタビューで政策を説明
【記事要旨】
 大統領選に勝利して以来初の放送インタビューで、ドナルド・トランプ次期大統領は、移民を取り締まり、暴力的な支持者の一部を赦免するという、2期目の積極的な計画を概説した。
 NBCの「ミート・ザ・プレス」でクリステン・ウェルカーと対談したトランプ氏は、移民の両親のもとで米国で生まれた子どもの自動的な市民権付与を廃止し、国内に不法滞在するすべての人を「強制送還しなければならない」とも語った。
【コメント】
 米国で生まれた子供は米国籍だったが、それを覆すことになれば影響が大きい。選挙中にそこまで詳しく表明していれば多くの支持が失われたと思われる。

その他の記事
ウクライナ:
 ウォロディミル・ゼレンスキー大統領は、ロシアの侵攻でウクライナ軍兵士4万3000人が死亡したと述べた。
カナダ:
 地球温暖化で北極圏へのアクセスが容易になったことで中国とロシアの関心が高まっていることを理由に、オタワ政府は同地域での支配権を主張するため、より強力な同盟関係の構築に注力すると述べた。
ギリシャ:
 ハドリアヌスの水道橋は何世紀にもわたってアテネに水を供給してきた。地球温暖化による水不足を緩和するため、水道橋が復活している。

ノートルダム寺院復活
 壊滅的な火災から 5 年以上経ったパリのノートルダム大聖堂が昨日、一般公開された。ヨーロッパの文化と信仰の何世紀にもわたる礎石であるこの建物は、内部の石灰岩の壁がまばゆいばかりに明るく清潔になり、新しい尖塔には修復に携わった人々の名前が刻まれた巻物が飾られ、生まれ変わった。

2024年12月9日 月曜日

折り込み広告考

 今でも紙の日経新聞を取っている。今では紙の新聞を読んでいるのは少数派のようだ。日経もWEBで読めるが、記事の重要さを自分でぱっと判断するには紙が最適だ。

 紙の新聞の付加価値に折り込み広告(チラシ)がある。チラシを眺めるのは筆者の楽しみだが、最近は業種がかなり固定している。

 今朝(2024年12月8日)の新聞では、スーパーが3種、買取店が3種、高級老人ホームが3種、そして日経自身の富裕層向け小冊子1種だった。スーパーは近隣の店舗が競って週に何回も特売のチラシを入れている。特筆すべきは買取店広告の急増(TVのCMも多い)と高級老人ホームのチラシの増加だ。

 多くの高齢者が自宅を引き払い自宅より狭い老人ホームの移るとすれば、処分しないといけない金品もでるので、買取需要も急増すると考えれば、これら2業種のチラシの増加は整合性がある。現状利幅の大きい商売なので、コストのかかるチラシ広告を打つ余裕があるという見方も出来るだろう。

 老人ホームは一時金数千万円で月の費用が30万円弱、というレベル感の広告が多い。これより安いレベルのホームはチラシにコストは掛けられまい。これより高い高級ホームはDMにお金をかけているようだ。TVのワイドショーでは「年金だけでは食べられない」という市民を取り上げるケースが多いが、リッチな老人も多いようだ。失われた30年とアベノミクスを経て、日本の格差は確実に大幅に拡大したようだ。

 買取業者はチラシだけでなく、実店舗も急増している。私の住む街では、持ち帰りすし店、不動産屋、花屋が閉店した後に買取店が出店し、駅の近所だけで4軒合している。いくら二束三文で買い取るにしても、業界全体が生き残ってゆけるのか心配になる状況だ。

2024年12月8日 日曜日

振り子に揺られ(米国政治の考察)

 米国政治の現状を米国人の友人(民主党支持者)が送ってきたので紹介したい。

・・・・・引用・・・・・

【左右に揺れる社会と政治の振り子】
 新政権が 1 月 20 日にホワイトハウスに入る準備を進めていますが、これは、去って行くバイデン政権とは大きく異なる見解を持つ政権です。しかし、米国史を通じて、時々の民の声とそれを反映する政治は、一直線、一方向に動いてきたわけではありません。振り子のように、社会も多数派の政治も右に振れ、左に振れ、中位へ戻り、また左に振れるのです。

 ジョージ・ワシントンとその盟友たちは、フランスなどで見られていたような、政治派閥間の激しい対立を避けるため、政党のない政府、即ち一国一党の政府を樹立しようとしました。ところが、10 年しか経たぬうちに必然的に 2 大政党が対極する形で形成されました。

 下記、当時の状況を描写したタイム誌のエッセイを引用します。
 『(政治の)振り子は限界に達し、重力が働き、或る日突然、世界のあり方について相反するビジョンを持つ人々(政治家)の手に国の支配が切り替わって委ねられた。このような急変(振り子の揺れ)は政治体制に組み込まれている。
 第三代大統領トーマス・ジェファーソンを支援した要人達は、王制、つまり遺伝という直系で定義される政治形態の下で暮らしていたことを覚えていたはずである。彼らが築き上げようとした新しい民主主義国家は、これとは異なり、王制には戻らないように、考えつく限りの防御を備えたものであった。
 それ以降の数百年にわたり、いろいろな政党が力を伸ばし、滅び、また互いに主導権を譲り合うというプロセスがなんとか続いてきた。振り子とはそういうものだ。たとえ振りが良い方向に向いていたとしても、いつか反対の力に引っ張られかねないエネルギーが高まっていく。』

 この国の政治の流れを見れば、振り子は保守的なイデオロギーとリベラルなイデオロギーの間を、また、金権的な利害関係者が望むものと庶民が望むものの間を、行ったり来たりするもので、どちらかの方向に振れすぎると、引き戻す引力が働く訳です。

 アメリカの政治は本質的に対立関係にあり、最近、対立はますます顕著です。11 月に当選した反動的で右寄りの政党は、富裕層の献金者がビジネス環境の改善(より低い課税率及びより少ない規制)を求める一方で、広範なトランプ支持者が生活費の低減と移民政策の強化を求めたもので、この社会と政治の振り子の揺れを反映しています。無論、トランプが課すと公言している関税引上げは、実行されることによって、特定の国内産業を活性化させる可能性があるものの、経済学者の多くは、彼の支持基盤、特に労働者階級の消費者を傷つけるだろうと考えています。同様に、何百万人もの低賃金移民労働者を追放してしまえば、多くの企業の人件費を直接引き上げることになると想定されます。発言力の強い農業関係者は既にトランプに対し彼らを移民法施行から除外するよう求めています。
近日中に、サービス産業の大手も新政権に圧力をかけるでしょう。

【社会の 「引力 」は、今のところは右へ】
 著名な社会学者、フランシス・フクヤマ氏(米人)は『フィナンシャル・タイムズ』紙に寄稿しした論文に、今社会がリベラルと保守の間でシフトしていることを 「大局的 」に分析しています。以下に抜粋します。
 『古典的自由主義は、個人の権利を保護する法の支配と、国家がそれらの権利に干渉する能力に対する憲法上のチェックを通じて、個人の平等な尊厳を尊重することを中心に構築された原理である。しかし、過去半世紀の間に、この基本的な理想は 2 つの大きな歪みを生じた。
 ひとつは「新自由主義」の台頭で、市場を神聖化し、経済変動によって傷つく人々を保護する政府の能力を低下させる経済教義である。(それで)世界は全体としては豊かになったが、労働者階級は(安定度のある)仕事と(経済的)機会を失った。経済力は産業革命を起こした地域(欧米)から、アジアやその他の発展途上国に移った。
 第二の歪みとは、所謂アイデンティティ政治、或い
「覚醒したリベラリズム」とでも呼ぶべきものの台頭である。そこでは、労働者階級に対する進歩的な配慮が、人種的マイノリティ、移民、性的マイノリティなど、周縁化された狭い集団に対して的を絞った保護に取って代わられた。要するに、国家権力は、公平な正義のためではなく、むしろこれらの集団の特定の社会的成果を促進するためにますます利用されるようになった。』

【締めくくり】
 振り子が揺れ動くように、競合する勢力間の完全で長続きする均衡はそう簡単に達成できるものではないかもしれず、ぐらつくことはありますが、システムとしては機能してきていると思います。実際、「2 つの主流政党がほぼ同等に強いことには利点がある。」という 2 世紀も前からある考え方は、この振り子効果を可能にするためです。
 私の推測では、アメリカの有権者がより極端な MAGA 政策が及ぼす芳しくない効果に反応するにつれて、振り子は数年以内に戻り始めると思います。やはり民意という重力が最終的に勝つのです。親愛なる日本の読者の皆さん、今の政治的な揺れを過度に心配することはないとも思います。

・・・・・引用終わり・・・・・

2年後の下院の選挙で民主党がどれだけ挽回できるかが2大政党制が有効に機能するカギになると思われる。

2024年12月7日 土曜日