折り込み広告考

 今でも紙の日経新聞を取っている。今では紙の新聞を読んでいるのは少数派のようだ。日経もWEBで読めるが、記事の重要さを自分でぱっと判断するには紙が最適だ。

 紙の新聞の付加価値に折り込み広告(チラシ)がある。チラシを眺めるのは筆者の楽しみだが、最近は業種がかなり固定している。

 今朝(2024年12月8日)の新聞では、スーパーが3種、買取店が3種、高級老人ホームが3種、そして日経自身の富裕層向け小冊子1種だった。スーパーは近隣の店舗が競って週に何回も特売のチラシを入れている。特筆すべきは買取店広告の急増(TVのCMも多い)と高級老人ホームのチラシの増加だ。

 多くの高齢者が自宅を引き払い自宅より狭い老人ホームの移るとすれば、処分しないといけない金品もでるので、買取需要も急増すると考えれば、これら2業種のチラシの増加は整合性がある。現状利幅の大きい商売なので、コストのかかるチラシ広告を打つ余裕があるという見方も出来るだろう。

 老人ホームは一時金数千万円で月の費用が30万円弱、というレベル感の広告が多い。これより安いレベルのホームはチラシにコストは掛けられまい。これより高い高級ホームはDMにお金をかけているようだ。TVのワイドショーでは「年金だけでは食べられない」という市民を取り上げるケースが多いが、リッチな老人も多いようだ。失われた30年とアベノミクスを経て、日本の格差は確実に大幅に拡大したようだ。

 買取業者はチラシだけでなく、実店舗も急増している。私の住む街では、持ち帰りすし店、不動産屋、花屋が閉店した後に買取店が出店し、駅の近所だけで4軒合している。いくら二束三文で買い取るにしても、業界全体が生き残ってゆけるのか心配になる状況だ。

2024年12月8日 日曜日