世界の動き 2023年9月25日 月曜日

今日の言葉:
「秋来たる」
 随分朝は涼しくなってきた。今朝は当地では11度。広葉樹の落葉も始まった。
 秋を代表する名句をいくつか。
 「秋深き 隣は何を する人ぞ」 松尾芭蕉
 「この道や 行く人無しに 秋の暮れ」 松尾芭蕉
 「月天心 貧しき街を 通りけり」 与謝蕪村
 「名月を 取ってくれろと 泣く子かな」 小林一茶
 「柿食えば 鐘が鳴るなり 法隆寺」 正岡子規
 名句ばかりですね。

ニューヨークタイムズ電子版記事より
1.中国船はどのように海を囲っているのか
【記事要旨】
 これは、フィリピン船籍の漁船に乗船していた記者が直接体験した、中国海軍艦艇が迫ってきたときの様子だ。中国政府が南シナ海にどのように領土的野心を押し付けているかについての報道だ。
 中国本土から 900 マイル以上離れたフィリピンのパラワン島近くで、中国人民解放軍(PLA)は前線作戦基地を強化した。 国際的な法的根拠がないにもかかわらず、中国政府はこれらの海域を中国のものだと決めつけている。
 私たちの記者と船の乗組員はラジオを通じて、彼らが中国の領海に侵入したと知らされました。PLAのタグボートは繰り返しクラクションを鳴らしたので、体でそれを感じることができた。 タグボートは目がくらみそうになる投光器で照射する中、はるかに小型の船から20メートル以内に接近したが、海事専門家らはこれを国際規約の明らかな違反と呼んだ。
 これらの行動は攻撃的ではあったものの、より過激な行動を起こす前に阻止された。これまでに、中国沿岸警備隊と民兵の船舶が体当たりし、放水を浴びせ、民間ボートを沈没させた。
 米艦隊が長らく支配してきた海域で中国の軍事的プレゼンスが増大しており、超大国間の関係が大幅に悪化している現在、超大国間の対決の可能性が高まっている。 そして、中国政府が80年近く続いた西側主導の安全保障秩序に異議を唱える中、地域諸国は太平洋に対する米国の関与の強さにますます疑問を抱いている。
【コメント】
 南シナ海の中国の要塞化を防げなかったのはオバマ政権の不作為の結果だ。岩礁を埋め立てる前に警告し停止させるべきだったのにそれをしなかった。事態がこうなった現在、中国を止める手段は限られる。
 国際司法裁判所の決定すら中国は無視しているので国連は無力だ。米国はたまに「航行の自由作戦」で艦艇を恐る恐る走らせるぐらいしか出来ない。

2.米国、シーク教指導者殺害事件の捜査でカナダを支援
【記事要旨】
 6月にシーク教分離主義者の指導者ハーディープ・シン・ニジャール氏が殺害された事件を受けて、米国の諜報機関はカナダの諜報機関に対し、インドが関与したとカナダが結論付けるのに役立つ情報を提供した。
 しかし、西側同盟関係者らは、「決定的な証拠」とみられるもの、つまり陰謀への関与を示すカナダ駐在のインド外交官の通信をカナダ当局が収集したと述べた。
 カナダでのビジネスチャンスを探ることを望んでいたインドの農家は、不確実性が「私たちを殺している」と語った。 インド国外で最大のシーク教徒人口を抱えるカナダとの外交戦争について、多くのパンジャブ人も同様の不満を表明している。 インド政府がカナダ国民へのビザ発給を保留したため、彼らの夢は行き場がなくなった。
【コメント】
 決定的証拠は通信の傍受で収集されたものなのか。わからないのは、カナダのシーク教徒は過半がインドからの分離独立主義者なのだろうか。またインド内のシーク教徒の多くも分離独立主義者なのだろうか。

3.ウクライナ、黒海輸送を強化
【記事要旨】
 ウクライナは、ロシアによる事実上の黒海の港封鎖を回避するため、新たな航路の利用を増やし、穀物輸出の復活を始めている。
 当局者らによると、先週は2隻の船がこの新しい航路を問題なく利用し、ここ数日でさらに3隻の貨物船がウクライナ海域に入ったという。
 ウクライナ戦争により、ロシア語圏のモルドバ地域ガガウジアで長年にわたる摩擦が激化した。 モルドバの中央銀行から10億ドル近くを略奪したとして有罪判決を受けた逃亡者イラン・ショールが、どういうわけかこの地域全体の支配権を掌握した。
【コメント】
 黒海のルートをウクライナが確保できそうなのは良いニュース。
 後段のガガウジアについてはWikipedia等で調べたが、簡単にまとめられないほど複雑です。

その他:
米中の競争関係
 The Biden administration issued final rules to prevent chip makers from using new U.S. subsidies to benefit China, while the two countries agreed to regular economic talks.
アルメニア系住民が難民
 More than 1,000 refugees crossed into Armenia from Nagorno-Karabakh yesterday, days after a military offensive returned the breakaway republic to Azerbaijan’s control.
韓国の高齢者
 Subway fare is free for South Koreans older than 65, and some retired people spend their days riding the rails.

2023年9月25日 月曜日

生成AI:どのように儲けるか・どのように使いこなすか

生成AIラットフォームの目まぐるしい発展は、ここ 1 年の大きなビジネスの話題だった。すでに生成AIを使うか使わないかではなく、使うのが必然の生成AIから、どのようにして利益を上げ、企業がそれらをどのように賢く利用できるかが喫緊の課題になっている。

大手テクノロジープロバイダーの動きを見て興味深いのは、どの会社も実際のモデル自体を販売するビジネスを行っていない。 Amazon は主に、他社が作成したオープンソース モデルをクラウド顧客に提供している。 Meta はそのモデルの大部分を (制限はありますが) 無料で配布しており、Microsoft はコア テクノロジの多くを OpenAI に委託している。 いずれも、様々な手法で、コア テクノロジーである AI モデル自体を収益化しようとしている。

AI の開発に関して、私たちが現在直面している課題は、テクノロジー自体の実際の発明が、人々に利益をもたらすものではない可能性が非常に高い。 それは世界を変革するが、その変革を可能にしたものにお金が生まれるわけではないことだ。

AI の導入を検討している企業はどうすればよいのか。さまざまなレベルの高度化を考慮する必要がある。
・他の企業がアプリケーションを開発するのを待つことも、
・API を購入して独自のアプリケーションを構築することも、
・独自のモデルを実際にトレーニングして独自のアプリケーションを構築することもできる。
企業は今、どのレベルの洗練度を求めているかを特定するプロセスを開始する必要がある。

たとえば、このプロセスの初期のリーダーの 1 つが Bloomberg で、同社はすでに金融タスク向けに調整された大規模言語モデルである BloombergGPT の構築を進めている。彼らは独自の独自データを使用して、オープンソース モデルを微調整した。

Bloombergのような企業にとって、財務に関する洞察を提供することはミッションクリティカルであるため、他の誰かがその AI モデルとアプリケーションを開発するのを待っているわけにはいかない。

2023年9月24日 日曜日

円の購買力低下

 円の総合的な実力を示す「実質実効為替レート」が1970年以来、53年ぶりの低水準となった。円が1ドル=360円の固定相場制だった時代と同水準で、日本の対外的な購買力の低下が鮮明になっている。

 以下Bloombergの記事を見てみよう。
 『国際決済銀行(BIS)が発表した8月の円の実質実効為替レートは73.19(2020年=100)で、さかのぼれる1970年以来の最低の水準となった。同レートはドルやユーロなどさまざまな外国通貨と比べた円の実力を示し、内外の物価格差を考慮した対外的な購買力を表す。

  実質実効為替レートの低下は本来、日本企業の輸出競争力の向上を意味するが、海外への生産移転が進み、その効果は薄れている。一方、円の購買力低下は海外からのモノやサービスの購入コスト増を意味する。輸入企業にとって収益悪化要因となり、商品への価格転嫁が進めば物価上昇による実質賃金の低下を通じて家計を圧迫する要因となる。

  21日の円の対ドル相場は1ドル=148円台。2011年10月に75円30銭台の史上最高値を付けた後、安倍晋三元首相の経済対策「アベノミクス」と日本銀行の黒田東彦前総裁の異次元緩和の下で円安が進み、その流れは今も止まっていない。名目ベースの円安に加え、物価や賃金が諸外国に比べ低い伸びを続けてきたことが実質実効為替レート低迷の背景にある。

  名目ベースの円安進行の理由として、インフレによる物価高を受けて金融を引き締める米欧と、2%物価目標が未達として超金融緩和を続ける日銀との違いを指摘する声は強い。

  もっとも、日本の金融政策については正常化に向けた動きも意識され始めている。日銀は7月、イールドカーブコントロール(長短金利操作)の上限を事実上0.5%から1%に引き上げた。市場は来年1-3月のマイナス金利政策解除を織り込みつつある。

  一方、日本の賃金の伸びは成長率や生産性の低さを背景に米欧を大きく下回る。8月の米民間部門の平均時給は前年同月比4.3%増。日本は春闘で約30年ぶりの大幅賃上げが実現したとはいえ、一般労働者の所定内給与(7月の毎月勤労統計)は1.9%増にとどまる。

  みずほ銀行のエコノミストは、内外価格差の拡大には名目ベースの円安だけではなく、賃金格差とそれに伴う価格設定行動の差が大きく影響しているとみる。その上で、円安が続く背景には金融政策の違いだけでなく、貿易収支の赤字拡大、円買い圧力に直結しない第1次所得収支の黒字、デジタルなどを中心としたサービス収支赤字など「明らかに構造的な要素」があると指摘している。』

 同様の記事は日経新聞にも、たびたび現れる。8月30日には以下の記事が現れている。

 『円相場は対ドルで8月29日に一時1ドル=147円台と9カ月半ぶりの円安・ドル高水準をつけました。この147円台とは「名目為替レート」といい、異なる2国間の通貨の交換比率を表します。通貨の実力を知るには、さまざまな国の通貨の価値を貿易量や物価状況も加えて算出した「実質実効為替レート」をみる必要があります。

実質実効為替レートは通貨の総合的な購買力を示す指標です。日銀によると最新の7月のレートは74.31と1ドル=360円の固定相場制だった時代と同水準で、53年ぶりの低水準です。物価が伸び悩んでいるのに加え、日銀の金融緩和による円安の進行が影響しています。円の実質実効レートが最も高かったのは1995年4月で、当時と比べると円の購買力は6割下がりました。

円の購買力が低下すると海外からモノを輸入する際のコスト増を招き、輸入価格が上昇します。足元ではガソリン高などのエネルギー価格に加えて、食品や飲料価格の上昇が目立っています。円相場がこの先1ドル=145円前後で推移した場合、1世帯あたりの負担増は2年間で計18.8万円となる試算もあり、物価・賃金上昇の好循環を軌道に乗せて円の実力を取り戻す必要があります。』

 さてさて、円の実質実効為替レートが1970年代のそれ(70台前半)に近づくと言うのは、私の大学生時代の円の強さになったということだ。私が大学に入ったのが1971年4月。その年の8月がニクソンショックで、円は1ドル360円の固定制から変動制に変わり、基本的には、日本の国力の増進に連れて、円はドルに対して強くなってゆく時代になった。

 第一次オイルショックを経て実質実効為替レートは140ほどに上昇した。私自身はこのころ米国のビジネススクールに入学し、日本経済の力強さや日本的経営のブームにより恩恵を受けた。

 米国経済の不振をドル安により、日本とドイツが助けようというプラザ合意が1986年で、このころ円の実質実効為替レートは160台に上昇した。日本企業の多くが円高を凌ぐために海外に、特にタイに、生産拠点を移した時代だった。私は、タイの現地法人でタイ人の部下が300人を率いて、融資と証券業務をやっていた。我が人生で一番部下が多い時代だった。

 バブルの崩壊で円は若干軟化したが、95年には190にまで上昇し市場最高値を付けた。日本の景気は回復しないのになぜ有事の円と言われ、円が強くなるのかよくわからない時代だった。当時はニューヨークに赴任しており、トヨタのワンボックスカーを買おうとしたら、BMWの300番台の車より高かった。

 その後は日本の国力を低下を反映し円安へ。特に第二次安倍内閣のアベノミックスにより、円安政策が協力に推進された。

 インバウンド客をTVで見ていたら、タイやフィリピンからの来訪者が日本はなんでも安いと大喜びしている。30年前は我々が世界は何でも安いと不動産や土産物を買いまくっていたのだ。ニューヨークの大型ビルの多くを日本の不動産会社と生命保険会社が所有していた。

 時代は変わるものだ。現在のインバウンド様様の風潮を見ると、日本は30年前のタイかフィリピンか、南欧の国かと思う。世界に誇れる製品の無い国は、外国からの観光客に頼らなければ国が立ち行かない。北海道や白馬の土地が外資に買われており、地元はそれを大歓迎しているようだ。

 日本はまだそこまで落ちぶれていないと信じたい。

2023年9月23日 土曜日

世界の動き 2023年9月22日 金曜日

今日の言葉:
「トレードダウン」
 行きつけのお店の格下げや、行きつけのお店で買う商品の格下げを指す言葉だ。
 例えば、いままで高級レストランにいていた人がファミレスに変えるとか、レストランで飲むワインを安いものにするといった動きをさす。
最も典型的なのは、今までナショナルブランドの商品をスーパーで買っていた人がプライベートブランドに変える動きだ。
 進むインフレに対抗する消費者の動きで、特に米国では一般化しているようだ。

ニューヨークタイムズ電子版記事より
1.ゼレンスキー氏はワシントンでロビー活動
【記事要旨】
 バイデン大統領がウクライナへのさらなる支援に反対する議会の一部の共和党議員からの反発に直面している中、昨日ゼレンスキー大統領がホワイトハウスで歓迎された。
 ロシアの侵攻後2度目のワシントン訪問となったゼレンスキー氏は議員らとも会談し、米国が軍事援助と財政援助を打ち切れば、祖国はロシアの手に落ちるだろうと警告した。
 共和党院内総務のチャック・シューマー氏が詳述したように、ゼレンスキー氏は少なくとも50人の上院議員との会合で「援助が得られなければ戦争に負ける」と語った。
 ゼレンスキー氏はバイデン氏の議会への240億ドルの軍事・人道資金提供要請をフォローアップするためにワシントンを訪れた。ウクライナは冬が始まり戦闘が停滞する前に反撃でロシアの前線を突破しようと奮闘している。
 国家安全保障担当補佐官ジェイク・サリバン氏は、バイデン氏が「重要な防空能力」を含むウクライナへの新たな支援策を発表するだろうと述べた。
 12月に初めてワシントンを訪問した際、ゼレンスキー氏は英雄的な歓迎を受けた。 今回、ゼレンスキー氏は非公開の会合で議員らと話した。 共和党議員らはゼレンスキー氏に懸念に対処し、勝利に向けた計画のビジョンを示すよう求めた。
【コメント】
 米国共和党はクールにウクライナの戦争を見ているということだろう。米国の直接の戦争参加には議会の承認が必要だが、台湾有事の際はどうなるのだろうか。

2.ルパート・マードックが引退
【記事要旨】
 フォックス・ニュースとニュース・コーポレーションは昨日、ルパート・マードック氏が取締役から退任すると発表した。 彼の息子ラクランは、70年前に父親がオーストラリアの小さな地元新聞社から築き上げた世界メディア帝国の責任者となる。
 この発表は、現在92歳のマードック氏が地球上で最も影響力のあるメディア帝国を築き上げたキャリアに正式に終止符を打つこととなった。 右翼ポピュリズムのブランドを掲げた同氏の企業は、時には大統領や首相を成敗する力を蓄えてきた。 彼は 3 大陸にまたがる帝国を築き、英語圏全体のジャーナリズム、政治、大衆文化における規範や嗜好の変化に貢献した。
 マードック氏は両社の名誉会長となり、引き続き顧問を務めると息子が声明で述べた。
 今のところ、ラクラン・マードック氏(52歳)がFOXニュース全体の流れを変える兆候はない。 政界とメディアの世界は、父親の引退が状況を変えるかどうかを注視するだろう。
【コメント】
 大実業家にして右翼ポピュリストのインフルエンサーだった。CNNはリベラルが、FOXは保守層が見るメディアとして定着した。

3.カナダのシーク教徒
【記事要旨】
 ブリティッシュ コロンビア州サリーにあるグル ナナク シーク教グルドワラ寺院は、カナダの大規模なシーク教コミュニティの主要な文化的および政治的中心地です。
 2019年にカナダ人のシーク教徒分離主義者ハーディープ・シン・ニジャル氏が寺院の指導者に就任すると、インド国家に対する批判は大きな問題に変わった。 インド国外最大のカナダにおけるシーク教徒コミュニティの進化だ。
 ジャスティン・トルドー首相がインドが自国のニジャールを殺害したと非難して以来、カナダとインドの間の緊張が高まっている。 インド外務省は昨日、カナダ国民によるビザ申請を一時停止したと発表した。
【コメント】
 国外の反政府勢力を暴力で弾圧するのは、ロシアや中国と変わらない動きだ。インドを民主主義国と見做すのは躊躇する。

その他:
香港のイメージ回復
 Hong Kong’s finance chief is making a big push for investors, and is traveling to Europe and the U.S. to counter the view that the once-vibrant city has become more like the rest of China.
インドは女性議員を3分の1以上に
 Indian lawmakers passed a bill to reserve one-third of all seats for women in the lower house of Parliament and in state legislatures, but it may be years before it takes effect.
シリア大統領の訪中
 President Bashar al-Assad of Syria arrived in China, seeking to improve his international standing and find financial support to rebuild his country.

2023年9月22日 金曜日

世界の動き 2023年9月21日 木曜日

今日の言葉:
「利上げと中小企業経営」
 米国での利上げの中手企業への影響はどうか? Bloombergの記事を紹介したい。
『米国の中小企業経営者の半数は、過去18カ月の金利上昇により利益率が低下し、収益が減少、成長が損なわれたと指摘したことが、中小企業向けにオンライン紹介ネットワークを運営するアライナブルの調査で明らかになった。全体の3分の2余りが、事業活動の持ち直しを想定するには、少なくとも3ポイントの金利低下が必要になると回答。こうした痛手は深刻化しつつあるとも経営者らは指摘した。』
 なるほど利上げは中小企業には痛手だ。現在FRBの政策金利は5.25-5.50%だから、2.25-2.5%程度まで金利が下がらなければ苦しいということだ。
 日銀は、「景気回復」のために大規模な緩和を継続すると述べ、政府は「国民生活を支持する」ために20兆円規模の補正予算を要求するとの報道がある。我が国の潜在成長率の低さは金融をジャブジャブにして補助金をバラまいても高まらない。
 日本の国力強化には、円高に耐える産業育成と、今後世界で戦って行ける産業を選択的に育成することが大事だと思うが、政府と日銀は従来のスタンスを全く変えないようだ。日本はこのままずるずると後退するのが不可避に見える。

ニューヨークタイムズ電子版記事より
1.気候とウクライナが国連の中心議題に
【記事要旨】
 国連のグテーレス事務総長は昨日、気候政策に関して最も野心的な世界のリーダーにスポットライトを当てることを目的とした特別サミットをニューヨークで招集した。 世界最大の汚染国である米国と中国の指導者は発言しなかった。
 世界4大排出国のうち、EUだけが サミットで語った。 しかし、サミットでは気候変動対策に関する新たな発表はほとんどなかった。英国では、スナック首相がガソリン車とディーゼル車の販売禁止の延期を発表し、英国の気候変動目標を弱体化させた。
 また国連では、ウクライナのゼレンスキー大統領が安全保障理事会でロシアとの戦争を終わらせるための10項目の計画を提示し、ロシアの拒否権剥奪を求めた。
 「侵略者はあらゆる行動に拒否権を発動しているため、戦争を止めることは不可能だ」と彼は語った。
 ロシアのラブロフ外相はゼレンスキー大統領の演説に出席しなかった。 その後ラブロフ外相が演説した際には、西側諸国が親西側大統領を設置するためにウクライナで「クーデター」を起こしたとの主張を繰り返し、自国の侵略を正当化した。
 ゼレンスキー氏はその時までに議場を離れており、ラブロフ氏の発言には出席していなかった。
 ゼレンスキー氏は今日ワシントンに向かう。 同氏の訪問は、ウクライナ戦争への追加軍事・人道支援としてバイデン大統領が240億ドルを要求したことに数十人の共和党議員が反対している中で行われる。
【コメント】
 米中はCO2排出にそれほど熱心ではなく、EUや英国もややトーンダウンしている。日本も背に腹は代えられず液化ガスを大量に輸入している。サミットを開催すれば問題が解決するほど世界の実情は単純でない。

2.ウクライナの反撃で成果
【記事要旨】
 秋が近づき、悪天候も相まって、ウクライナ軍が夏の間に奪還したロボティーン村周辺でのウクライナの獲得が、南方作戦の次の動きを左右する可能性がある。
 最初の大きな戦略目標であるトクマクの鉄道と交通の中心地は、さらに25マイル離れたところにある。 トクマクから30マイル南にメリトポリの沿岸都市があり、南部の戦いでロシアの重要な戦利品となっている。
【コメント】
 ロシアの一次防衛線の多くをウクライナ軍は突破したようだが、主要戦略目標に到達するにはまだまだ多くの兵士の血を流さなければならないようだ。

3.アゼルバイジャンがナゴルノ・カラバフを奪還
【記事要旨】
 アゼルバイジャンは昨日、2日間の戦闘の後、ナゴルノ・カラバフの完全な支配を回復したと発表した。 この飛び地はアゼルバイジャンの一部として国際的に認められているが、30年以上にわたりアルメニア分離主義者の支配下にある。
 この動きは新たな難民の波を引き起こす可能性がある。 ナゴルノ・カラバフに今も住む数万人のアルメニア人の運命は、痛ましい問題として浮上する可能性が高い。
 分離主義者の降伏はまた、モスクワがアルメニアとアゼルバイジャンの間の調停者としての役割を果たしてきたコーカサスにおけるロシアの影響力の低下を早める可能性がある。
【コメント】
<ナゴルノカラバフとは>
 係争地ナゴルノカラバフは、アゼルバイジャン国内の山岳地帯で、国際的にはアゼルバイジャンだがアルメニア人は同地域を「アルツァフ」と呼んでおり、およそ12万人の住民の多くはアルメニア系だ。アルメニアに近い独自政府が存在するが、アルメニアも含めいずれの国からも独立承認されていない。
 キリスト教徒であるアルメニア系住民は、この地域に数世紀前から暮らしていたと主張している。住民の多くがトルコ系イスラム教徒であるアゼルバイジャンもまた、歴史的に深いつながりがあると主張している。2つの民族による血なまぐさい争いは、1世紀以上前にさかのぼる。
<歴史的経緯>
ソ連崩壊後、この地では2度の戦争が起きた。1度目は1988年から94年にかけて、2度目は2020年に発生し、44日間続いた。
 過去2度の戦争で、何万人もの人々が命を落とした。
 最初の戦争では、100万人以上が家を失った。そのほとんどはアゼルバイジャン人で、アルメニア側がナゴルノカラバフを支配することになり、故郷を追われた。
 2回目の戦争でアゼルバイジャンがナゴルノカラバフの3分の1を奪還した。
 ロシアが両者の停戦を仲介し、ナゴルノカラバフとアルメニアを接続する「ラチン回廊」と呼ばれる道の警備に当たるため平和維持軍を派遣した。
 そして今回の戦闘でアゼルバイジャンが全域を奪還したということだ。ロシアの影響力が薄れ、国境紛争が起きやすくなっている状況だ。

その他:
英国でもBLMの動き
 A police officer in Britain has been charged with murder in the fatal shooting of a Black man in south London last year, a rare move in a case that drew outrage.
ナタニエフは米との関係改善をアピール
 President Biden met with Benjamin Netanyahu in New York and hinted that the Israeli leader might be invited to the White House within months — a major boost for the prime minister.
米国でのUAWのストの行方
 The union representing U.S. autoworkers threatened to expand its strike to more plants if its contract talks with three automakers failed to make progress.

2023年9月21日 木曜日