世界の動き 2023年9月21日 木曜日

今日の言葉:
「利上げと中小企業経営」
 米国での利上げの中手企業への影響はどうか? Bloombergの記事を紹介したい。
『米国の中小企業経営者の半数は、過去18カ月の金利上昇により利益率が低下し、収益が減少、成長が損なわれたと指摘したことが、中小企業向けにオンライン紹介ネットワークを運営するアライナブルの調査で明らかになった。全体の3分の2余りが、事業活動の持ち直しを想定するには、少なくとも3ポイントの金利低下が必要になると回答。こうした痛手は深刻化しつつあるとも経営者らは指摘した。』
 なるほど利上げは中小企業には痛手だ。現在FRBの政策金利は5.25-5.50%だから、2.25-2.5%程度まで金利が下がらなければ苦しいということだ。
 日銀は、「景気回復」のために大規模な緩和を継続すると述べ、政府は「国民生活を支持する」ために20兆円規模の補正予算を要求するとの報道がある。我が国の潜在成長率の低さは金融をジャブジャブにして補助金をバラまいても高まらない。
 日本の国力強化には、円高に耐える産業育成と、今後世界で戦って行ける産業を選択的に育成することが大事だと思うが、政府と日銀は従来のスタンスを全く変えないようだ。日本はこのままずるずると後退するのが不可避に見える。

ニューヨークタイムズ電子版記事より
1.気候とウクライナが国連の中心議題に
【記事要旨】
 国連のグテーレス事務総長は昨日、気候政策に関して最も野心的な世界のリーダーにスポットライトを当てることを目的とした特別サミットをニューヨークで招集した。 世界最大の汚染国である米国と中国の指導者は発言しなかった。
 世界4大排出国のうち、EUだけが サミットで語った。 しかし、サミットでは気候変動対策に関する新たな発表はほとんどなかった。英国では、スナック首相がガソリン車とディーゼル車の販売禁止の延期を発表し、英国の気候変動目標を弱体化させた。
 また国連では、ウクライナのゼレンスキー大統領が安全保障理事会でロシアとの戦争を終わらせるための10項目の計画を提示し、ロシアの拒否権剥奪を求めた。
 「侵略者はあらゆる行動に拒否権を発動しているため、戦争を止めることは不可能だ」と彼は語った。
 ロシアのラブロフ外相はゼレンスキー大統領の演説に出席しなかった。 その後ラブロフ外相が演説した際には、西側諸国が親西側大統領を設置するためにウクライナで「クーデター」を起こしたとの主張を繰り返し、自国の侵略を正当化した。
 ゼレンスキー氏はその時までに議場を離れており、ラブロフ氏の発言には出席していなかった。
 ゼレンスキー氏は今日ワシントンに向かう。 同氏の訪問は、ウクライナ戦争への追加軍事・人道支援としてバイデン大統領が240億ドルを要求したことに数十人の共和党議員が反対している中で行われる。
【コメント】
 米中はCO2排出にそれほど熱心ではなく、EUや英国もややトーンダウンしている。日本も背に腹は代えられず液化ガスを大量に輸入している。サミットを開催すれば問題が解決するほど世界の実情は単純でない。

2.ウクライナの反撃で成果
【記事要旨】
 秋が近づき、悪天候も相まって、ウクライナ軍が夏の間に奪還したロボティーン村周辺でのウクライナの獲得が、南方作戦の次の動きを左右する可能性がある。
 最初の大きな戦略目標であるトクマクの鉄道と交通の中心地は、さらに25マイル離れたところにある。 トクマクから30マイル南にメリトポリの沿岸都市があり、南部の戦いでロシアの重要な戦利品となっている。
【コメント】
 ロシアの一次防衛線の多くをウクライナ軍は突破したようだが、主要戦略目標に到達するにはまだまだ多くの兵士の血を流さなければならないようだ。

3.アゼルバイジャンがナゴルノ・カラバフを奪還
【記事要旨】
 アゼルバイジャンは昨日、2日間の戦闘の後、ナゴルノ・カラバフの完全な支配を回復したと発表した。 この飛び地はアゼルバイジャンの一部として国際的に認められているが、30年以上にわたりアルメニア分離主義者の支配下にある。
 この動きは新たな難民の波を引き起こす可能性がある。 ナゴルノ・カラバフに今も住む数万人のアルメニア人の運命は、痛ましい問題として浮上する可能性が高い。
 分離主義者の降伏はまた、モスクワがアルメニアとアゼルバイジャンの間の調停者としての役割を果たしてきたコーカサスにおけるロシアの影響力の低下を早める可能性がある。
【コメント】
<ナゴルノカラバフとは>
 係争地ナゴルノカラバフは、アゼルバイジャン国内の山岳地帯で、国際的にはアゼルバイジャンだがアルメニア人は同地域を「アルツァフ」と呼んでおり、およそ12万人の住民の多くはアルメニア系だ。アルメニアに近い独自政府が存在するが、アルメニアも含めいずれの国からも独立承認されていない。
 キリスト教徒であるアルメニア系住民は、この地域に数世紀前から暮らしていたと主張している。住民の多くがトルコ系イスラム教徒であるアゼルバイジャンもまた、歴史的に深いつながりがあると主張している。2つの民族による血なまぐさい争いは、1世紀以上前にさかのぼる。
<歴史的経緯>
ソ連崩壊後、この地では2度の戦争が起きた。1度目は1988年から94年にかけて、2度目は2020年に発生し、44日間続いた。
 過去2度の戦争で、何万人もの人々が命を落とした。
 最初の戦争では、100万人以上が家を失った。そのほとんどはアゼルバイジャン人で、アルメニア側がナゴルノカラバフを支配することになり、故郷を追われた。
 2回目の戦争でアゼルバイジャンがナゴルノカラバフの3分の1を奪還した。
 ロシアが両者の停戦を仲介し、ナゴルノカラバフとアルメニアを接続する「ラチン回廊」と呼ばれる道の警備に当たるため平和維持軍を派遣した。
 そして今回の戦闘でアゼルバイジャンが全域を奪還したということだ。ロシアの影響力が薄れ、国境紛争が起きやすくなっている状況だ。

その他:
英国でもBLMの動き
 A police officer in Britain has been charged with murder in the fatal shooting of a Black man in south London last year, a rare move in a case that drew outrage.
ナタニエフは米との関係改善をアピール
 President Biden met with Benjamin Netanyahu in New York and hinted that the Israeli leader might be invited to the White House within months — a major boost for the prime minister.
米国でのUAWのストの行方
 The union representing U.S. autoworkers threatened to expand its strike to more plants if its contract talks with three automakers failed to make progress.

2023年9月21日 木曜日