世界の動き 2023年1月2日 月曜日

今日の言葉:
「駅伝」
 1日は、「ニューイヤー駅伝」。
 今日2日と明日は「箱根駅伝」が長時間TVで中継される。正月の人気イベントだ。
 駅伝は日本でだけ人気のあるガラパゴス型の競技だ。どう改善すべきかはすでに述べたので別の観点でのコメントをしたい。

 私は、それぞれの駅伝でどこが強いかに興味がある。
 「ニューイヤー駅伝」では最近は自動車企業が上位に名を連ねる。昔上位だった、旭化成や富士通は沈滞。IT企業がその穴を埋めて上昇してきた。
 「箱根駅伝」では近時はMARCHレベルの大学が強い。日東駒専は、駒大以外はやや落ち目。出場10名とサブの選手を含め20名以上の高速ランナーを集めるには、資金力と、大学の魅力が必要だ。スポーツだけが有名と言う大学は苦しくなると思う。

ニューヨークタイムズ記事
1.米国の巨額投資はチップ業界の万能薬ではないかもしれない
【記事要旨】
 バイデン政権は、過去 18 か月にわたって米国の半導体製造への取り組みを大幅に拡大し、その規模は、冷戦時代の宇宙競争への投資に例えられている。
 米国は、スマートフォンからスマート ミサイルに至る電子機器に不可欠なシリコンのスライスであるチップで、中国が先進国になるのを阻止しようとしている。
 すべてのチップの約 22% と、最先端のチップの 90% 以上が、中国が領土権を主張している台湾で製造されているため、紛争が発生した場合に半導体のサプライチェーンが混乱し、米国が技術的に不利な立場に置かれるのではないかという懸念が生じている。
 米国での新たな生産努力は、ある調査によると、500 億ドルの投資により、2030 年までに世界の生産に占める米国のシェアは 14% に達することが示唆されている。
 バイデン政権は、国内のチップ生産を促進するために、少なくとも 760 億ドルの補助金を用意しており、2020 年春以降、35 社以上の企業がチップ関連の製造プロジェクトに 2,000 億ドル近くの投資を約束している。
 新しい工場の建設には何年もかかり、最も複雑なチップをすぐには製造できない可能性がある。企業は、十分な補助金を受け取れない場合、プロジェクトを延期またはキャンセルする可能性がある。また、エンジニアや技術者の深刻な不足は、ブームを弱める恐れがある。
 ウォルマートのようなアメリカ企業は、グローバルサプライチェーンのリスクを軽減するために、ビジネスを中国からメキシコに移している。
【コメント】
 日本の半導体生産は落ちぶれている。政府の支援策も明確ではない。どういうチップでどういうポジションを世界的に取るのかグランドデザインが必要だ。

2.北朝鮮は核のエスカレーションを脅かしている
【記事要旨】
 金正恩は、自国の核兵器を「指数関数的に」拡大することを誓った、と北朝鮮の公式の朝鮮中央通信は日曜日に言った。
 韓国の新保守党大統領であるユン・ソクヨル氏による北朝鮮に対する強硬策への対応としてエスカレーション指示し、敵の無謀な行動と無謀な動きに対処するために「核には核、全面対決には全面対決で対応する」と述べた。
 北朝鮮は、2022 年に これまでで最大の90 発以上のICBMを含むミサイルを発射した。元旦にも別のミサイルをテストした。
 北朝鮮の経済はパンデミックと制裁によって荒廃して、洪水による食糧不足が警告され、通貨価値はドルに対して急落している。正恩氏は核兵器を、国民の間で指導力を高めるための最も効果的な手段と見なしているようだ。
【コメント】
 困った事態だ。日本の軍備拡大論者への最大の援軍だ。

3.ゼレンスキーは2022年を「私たちの年」と呼ぶ
【記事要旨】
 ロシアはキエフやその他のウクライナの都市にミサイルと爆発する無人偵察機を雨のように降らせ、致命的な大晦日攻撃を行った。ゼレンスキー大統領が待望のウクライナへの演説を行う数時間前だった。
 爆発はゼレンスキーを止められなかった。 彼は演説で、ロシアの侵略以来、国内外の聴衆に提示してきたウクライナの回復力を強調した。
 占領していた領土の多くを失い、ウクライナのはるかに小規模な軍隊に対して軍事的敗北を喫したロシアでは、プーチン大統領は新年の挨拶で戦争を「私たちの先祖と子孫に対する神聖な義務」と呼んだ。
 ゼレンスキーは「今年は 2 月 24 日に始まった。ロシアがウクライナに侵攻した日だ。私たちにとって、まだ暗く、うるさく、複雑なものになる可能性があるが、私たちは二度と恐れることはない。」と述べた。
 プーチン大統領は金曜日、中国の最高指導者である習近平氏とビデオ通話で会談した。 2022 年の最初の 9 か月で、中国はロシアの総輸入量の 4 分の 1 以上を占めた。
【コメント】
 困難な年を自分たちの年と呼ぶとは胆力の有るリーダーだと改めて思う。この戦争に落としどころは見つからず数年は続くと覚悟しよう。

その他:
インドの地位上昇
 The upheaval caused by Russia’s war in Ukraine has fueled India’s global ascent.
中国旅行者の入国制限
 Canada and Australia have joined a growing list of countries that have begun imposing Covid-testing requirements on travelers from China, The Associated Press writes.
人種差別的?
 A restoration that darkened the face of a bronze statue of Victor Hugo near his birthplace in Besançon, France, has spurred a racist backlash.

2023年1月2日 月曜日

「決心」考

 「去年今年 貫く棒の 如きもの」(高浜虚子)
 大晦日から新年になったと思ったら、あっという間に新年の初日が終わろうとしている。

 年の初めに人は今年こそはと決意し予定を立てたがる。
 世界の名作中、人間の決意を最も見事に描いているのは「偉大なるギャツビー」であり、ギャツビーの葬式に来た父親がギャツビーの少年時代のノートを主人公に示すくだりだ。以下に引用する。Heはギャツビーの父親だ。

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He opened it at the back cover and turned it around for me to see. On the last fly-leaf was printed the word SCHEDULE, and the date September 12, 1906. And underneath:

 Rise from bed 6.00 A.M.
 Dumbbell exercise and wall-scaling 6:15-6:30 “
 Study electricity, etc 7:15-8:15 “
 Work 8:30-4:30 P.M.
 Basaball and sports 4-30-5:00 “
 Practise elocution, poise, how to attain it 5:00-6:00 “
 Study needed inventions 7:00-9:00

 GENERAL RESOLVES
 Not wasting time at Shfters or [a name, indecipable]
 No more smoking or chewing
 Bath every other day
 Read one improving book or magazine per week
 Be better to parents

 彼は裏表紙を開き、それを僕が読めるように逆さに向けて差し出した。最後の見かえしの 紙に、きちんとした字で「スケジュール」と書いてあった。そして千九百六年九月十二日という 日付。その下にはこう記されていた。

 起床 午前六時
 ダンベル体操と壁のぼり 午前六時十五分―六時三十分
 電気などの勉強 午前七時十五分―八時十五分
 仕事 午前八時三十分―午後四時三十分
 野球などのスポーツ 午後四時三十分―五時
 演説の練習、風格を身につける 午後五時―六時
 有用な発明について勉強する 午後七時―九時

 その他の決意
 「シャフターズ」や「・・」(名前は判読できない)で時間を無駄にしないこと。
 巻き煙草、噛み煙草はもうやめる。
 一日おきに風呂に入る。
 有益な本か雑誌を週一冊は読む。
 週に三ドル(五ドルとあったのが消されている)貯金する。
 両親にもっとよくする。
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 私は最初にこの部分をロバート・レッドフォード主演の映画で見たときは胸が詰まった。小説を読んだのはそのあとだったが、同様な印象を受けた。

 ギャツビーは、こんな片田舎で一生を終わりたくない。 将来のために自分を鍛えるスケジュールをたて、実行していたのだろう。彼の成功への夢とデイジーへの想いの成就はすぐ手に届くところまで来たが、手のひらから零れて行った。

 ギャツビーの決意に比べると、自分の決意などは何とあやふやなものなのだろうか。

 ただこうも考える。
 自分はこれまで何度も失敗してきた。だからまた今年も立ち上がる必要がある。失敗するに違いなくても歩を進めるのが(残念ながら)人生そのものであり、その過程で一隅を照らすことが出来れば、それが、人生の意味なのだろうと。

2023年1月1日 日曜日