世界の動き 2022年9月15日 木曜日

ニューヨークタイムズ電子版より

今日の一言:
「安い日本」
 TVで訪日観光客のインタビューを見て驚いた。「日本はものが安くて良いね。買い物が安く済んでサイコー。」というコメントが聞かれる。言っているのが、フィリピンやタイからの観光客だ。円安とデフレがいかに日本の国力を引き下げて来たかがよくわかる。

ニューヨークタイムズ記事
1.記録的なパキスタンの洪水
【記事要旨】
 南部Sindh州では300を超える集落が完全に水没し他の集落は島のようになっている。パキスタン政府は洪水が引くには3-6カ月かかると予想し。住民に避難を呼びかけるが、家畜や貴重品があり、ボートの費用が払えず、避難できない住民が多数いる。マラリア、デング熱、その他の病気が蔓延し、漏電を防ぐため政府は電力供給を停止する地区があり、住民は孤立無援だ。
【コメント】
 バングラデシュは洪水で有名だったがパキスタン洪水の影に隠れている。どうなっているのだろか。

2.回復した領土をゼレンスキーが訪問
【記事要旨】
 Izium市を電撃訪問し「回復した国土に我らの国旗が翻る」「すべてのウクライナの都市が同様になる」と強調、150000人がロシアの占領から解放されたと語る。プーチンの政策への批判が出ており、ロシア政府は兵士総動員策を拒否している。ロシアはサウジとの関係強化を図り、EU首脳はウクライナ支援の継続を表明する。
【コメント】
 戦争は続くよ、いつまでも。

3.マレーシア元首相の失脚
【記事要旨】
 40年にわたり政界で要職を占め国父のイメージがあるNajib Razak元首相は無敵と思われていた。政府系ファンドをめぐる汚職で、元首相は12年、マクベス夫人に擬される同夫人は10年の懲役判決が出ている。現首相を始め親ナジブ勢力は強く、ナジブは恩赦を嘆願している。
【コメント】
 大変な身分・階級社会であるマレーシアでは、恩赦による減刑や、公職維持が認められる可能性が高いと見る。

その他:
強制労働による製品は輸入禁止
Europe is planning to ban goods made with forced labor, a proposal widely seen as aimed at China, where Uyghurs are believed to be pressed to work in camps.
米国はアフガン中銀の資金を解放
The U.S. put $3.5 billion that it had frozen and seized from the Afghan central bank into a trust meant to help stabilize the economy without helping the Taliban.
スウェーンは右に急旋回
In a dramatic shift, a right-wing coalition took power in Sweden. Magdalena Andersson, the prime minister, will resign today.

(2022年9月15日 木曜日)

世界の動き 2022年9月14日 水曜日

ニューヨークタイムズ電子版より

今日の一言:
「自殺幇助」
 スイスでは一定の条件下で自殺幇助が合法化されている。国外在住者の自殺幇助を受け入れる団体もあり、外国人の「自殺ツーリズム」につながっているそうだ。フランス映画のヌーベルバーグ巨匠ジャン=リュック・ゴダールがこの方法で92歳で亡くなった。超高齢化社会では検討されるべき選択肢だろう。

ニューヨークタイムズ記事
1.プーチンと習が会談
【記事要旨】
 今週後半ウズベキスタンで会談が予定される。会談でプーチンは習にロシアの生命線となる支援を要請する見込みだが、ロシアは急速に占領地域を失ってきている。中国は支援するか距離をとるか慎重に考慮中だ。中国の台湾政策の支援をロシアは約している。習はパンデミックのロックダウン政策による経済の低下と失業増加に悩み、西欧からの制裁を警戒する。中露の接近は米中間の緊張を高める。アルメニアとアゼルバイジャンでは2020年の戦争以来最大規模の戦闘が勃発した。
【コメント】
 面談でどういう合意がなされるかが見ものだが、中国は曖昧政策を続ける以外にないと見る。表立っての強力なロシア支援はせず、燃料の購入や必需品の輸出で支援を続けるだろう。

2.豪州でカンガルーが人を殺す
【記事要旨】
 77歳の男性が過去86年で初めてカンガルーに殺された。ペットに飼っていたカンガルーが反抗したと思われる。カンガルーは警官に撃たれ重体。
【コメント】
臆病な動物で普通は人が近づくと逃げるらしい。何が起こったのだろうか。

3.スリランカが危機下で勝利
【記事要旨】
 男子クリケットチームがアジア大会で優勝した。反政府運動でコロンボの大通りをデモしていた人々は昨日は歓喜の示威行動を行っていた。決勝戦は騒乱のスリランカを避けUAEで行われ、スリランカがパキスタンを下し8年ぶりのアジア王者になった。スリランカは今月初めIMFからの30億ドルの支援の基本合意に至った。混乱で国から逃げたGotabaya Rajapaksaが帰国し、同氏一族の政治影響力は継続しそうだ。
【コメント】
 悪いニュースの中でうっぷんを晴らせるアジア大会勝利。国民の喜びがわかる。今後の政治がどうなっていくのか注視したい。

その他:
韓国ではもらい子事件?
Nearly 300 South Korean adoptees are calling for the government to investigate their adoptions, which they believe were based on falsified documents, The Associated Press reports.
米国株は今年最大の大幅下落
Stocks plummeted yesterday after fresh data showed the persistence of inflation — and how much the Federal Reserve will need to raise interest rates to combat it.
米の期待にメキシコは簡単には応えない
U.S. officials are looking to Mexico as a strategic partner to create a regional manufacturing hub that can rival China. But Mexico may not want to cater to foreign businesses.

(2022年9月14日 水曜日)

世界の動き 2022年9月13日 火曜日

ニューヨークタイムズ電子版より

今日の一言:
「ベビーパウダー」

 ベビーパウダーは安全な商品の代名詞だと私は思っていた。
 ジョンソン&ジョンソンが大きな訴訟リスクを抱えているという記事がNew
Yorkerに載っていた。J&Jの主力商品の一つであるベビーパウダーが以前タルク(滑石)を主要原料として使っていたが、タルクに発ガン性があるのだ。特に女性がデリケートな部分に使用すると卵巣がんの発生可能性が高まるので、巨大な集団訴訟が起きている。
 J&Jはこのリスクを回避するために破産という法的手段を取るかもしれないというのがNew Yorkerの記事だ。
 内服薬でなくてもこのようなリスクがあるとは、製薬会社は巨大な製品リスクを抱えていると理解を新たにした次第だ。

ニューヨークタイムズ記事
1.ウクライナの反攻は進む
【記事要旨】
 ウクライナは東部カリキウ州の殆どを奪還し南部のロシア軍に投降を呼びかけた。ロシアはカリキウから部隊の戦略的再編を発表した。ロシアは撤退時に発電所を破壊。ロシア国内では、モスクワとセントピーターズバーグの18の地方区でプーチンの辞任を求める申請が出されたとの報道がある。ウクライナの反攻の成功は西側支援国を力づけ、ウクライナは更なる武器支援を要請している。
【コメント】
 太平洋戦争時、大本営が「撤退」と言わず「転進」と表現していたのと同じだ。強大なロシア陸軍は、西側の最新兵器の前には脆い印象だ。あせるプーチンは核兵器使用の誘惑に駆られているいるだろう。危険だ。

2.英連邦諸国は将来に口をつぐむ
【記事要旨】
 エリザベス女王が亡くなり旧英国領だった国々では自国の将来を検討している。現在14か国が元首にエリザベス女王を戴いている。ニュージーランドのアーダーン首相は「自分が生きている間に共和国にあるかもしれないがすぐにと言うことではない」と語る。オーストラリアはアイルランドからの移民が多く、共和国化にはより積極的で、政治的な混乱を招く恐れもある。オーストラリアでは服喪のため2週間の国会休会が決定されたが、改革が停滞するとの批判が出ている。カリブ海諸国やスコットランドでは共和国化の動きが強まる恐れ。イングランドでも反王政派は葬儀後に活動を強める見込み。
【コメント】
 「チャールズ3世を元首にいただくのはどうもね」と思う国も多いのでしょうね。

3.レバノンでは電力危機
【記事要旨】
 国営電力会社の電力供給は一日数時間になり、供給の時間も不確定。世界銀行は住民への打撃と言う観点からは、1800年代以降で最悪の経済危機の一つと表現。7月末で前年比物価上昇率は168%であり経済格差が拡大。一握りの富裕層がディーゼル発電設備を持ち、生活を維持している。

その他:
コロナ制限の緩和
New Zealand has removed most of its Covid restrictions, The Guardian reports.
Japan may remove some pandemic border controls, the BBC reports.
タイでの不敬罪 Suchidaさんは現国王の第4夫人
In Thailand, a 25-year-old activist who was said to have dressed up as Queen Suthida was sentenced to two years in prison for insulting the monarchy, Reuters reports.
米国では子供の貧困は改善
A new analysis showed that child poverty in the U.S. fell by 59 percent from 1993 to 2019, highlighting the role of increased government aid.

(2022年9月13日 火曜日)

世界の動き 2022年9月12日 月曜日

ニューヨークタイムズ電子版より

今日の一言
「イギリスポンド」
 金曜日の為替相場は1ポンド165.37円だ。私が子供のころは固定相場制で1ポンドは1200円だった。1972年に変動相場制に移行したが、その後の50年間で、価値が7分の1に減少したわけだ。その主たる理由は、英国の調整インフレ政策にあった。第二次大戦後の債務に悩む英国政府はインフレをコントロールすることにより債務の返済が滞らない政策を取ったのだ。成長が阻害され英国経済は長期停滞し、国力は失われた。
 我が国が英国の轍を踏まないことを心から祈っている。

ニューヨークタイムズ記事
1.ウクライナの反攻
【記事要旨】
 ウクライナ軍は北東部ハリキウ州で反攻し州の殆どを奪還している。春に長期戦で占領された交通の要衝イジウム市を奪還したとウクライナが発表。ロシアではプーチンを批判する声も上がり、ウクライナはより多くの武器を西側諸国に求めている。ザポリージャ原発は安全のために停止した。中国はロシアを最大限に支援するとロシアは発表。
【コメント】
 反転攻勢と言うと聞こえが良いが、血みどろの戦いがウクライナでは続いているのだ。嗚呼。

2.中国の新疆でのロックダウン
【記事要旨】
 新疆のYining市の60万人市民は、食料、医薬品、生理用品の欠乏に苦しむ。政府は週に5日食料を配給しているが即席物ばかりで栄養面は考慮されていない。上海は注目されているが新疆の苦境はイスラム系住民が多いこともあり報じられない。国連が先月末に新疆での人権侵害の可能性を報告書にまとめたばかりだ。
【コメント】
 ロックダウンは新疆にも広がっていたのか。1か月もロックダウンが続く生活は想像が出来ない。

3.洪水がパキスタンの収穫を脅かす
【記事要旨】
 パキスタンで1300人以上の死者を出した洪水は、収穫に大打撃を与えている。パキスタンは米と綿花の世界最大の輸出国の一つだが大きな打撃を受けており、大雨は更に数週間見込まれている。経済危機の同国はカーン前首相の失脚以来政治の混乱が続いている。33百万人が避難民化しており、衛生状態の悪化で死者が増加することが懸念される。
【コメント】
 南アジアの主要国の動きは日本では報道されないが、大変な水害になっていたのだ。

その他:
香港での中国の影響
Five speech therapists in Hong Kong who were charged with publishing “seditious” children’s books were sentenced to 19 months in prison.
エリザベス女王の逝去に関して
Queen Elizabeth II’s funeral will be on Sept. 19. Her coffin will be taken to Buckingham Palace tomorrow.
Britain faces overlapping domestic crises and anxiety over its place in the world. But despite internal divides, people mourned together.
9-11がまた巡ってきた
The U.S. remembered the Sept. 11 attacks yesterday. President Biden promised to never forget “the precious lives stolen from us.”

(2022年9月12日 月曜日)

Mr. Yen

Mr. Yenは言わずとしれた元財務官の榊原英資氏だ。私は若いころ国際金融情報センターという組織で榊原さんの薫陶を受けた。氏は、センターのあと財務省に戻り、その後、財務官まで上り詰めた。

 最近YouTube で榊原さんが英語でインタビューされているのを見た。相変わらず説得力のある話し方だ。是非見てください。
 https://www.youtube.com/watch?v=c4-7dHUc6Z0

 榊原さんが財務官の当時、米国ではラリー・サマーズがカウンターパートだったが、TVで中継される議論ではいつも榊原さんが勝っていた印象を受けた。

 乱世に力を発揮する稀有な人だ。彼に比べると、鈴木蔵相や黒田総裁は「平時の人」に見えてしまう。榊原さん、力を貸してください!

(2022年9月11日 日曜日)