世界の動き 2022年7月26日 火曜日

ニューヨークタイムズ電子版
(昨日は結局配信ありませんでしたが、今朝は無事配信されました)

今日の一言:
「サル痘」厚生労働省の説明
 「ヒトからヒトへの感染はまれではあるが、飛沫による感染、あるいは体液、患者の体液や飛沫で汚染された衣類・寝具などとの接触による感染がありうる。 潜伏期間は7~21日(大部分は10~14日)である。 発熱、不快感、頭痛、背部痛、発疹など、痘そうとよく似た症状がみられるが、局所リンパ節の腫脹がある。」
 現状、エイズが感染したようなルートでの感染が多いらしい。

1.ローマ法王、カナダで過去を詫びる
【記事要旨】
 カナダでカトリック教会が運営する寄宿学校で先住民の子供たちが虐待され多くが死亡したことを、アルバータ州にあった学校の跡地を訪れフランシス法王が深く詫びた。生存者の中には法王の謝罪を受け入れ問題解決と考える人も、更なる行動が必要だと考える人もいる。1880年代から1990年代までカナダ政府は先住民族の子供を少なくとも15万人寄宿学校に移住させた。130ほどあった学校の60-70%を政府のためにカトリック教会が運営し数千人の子供が死亡した。米国も千住民の子供についての同様の問題を抱えている。
【コメント】
 宗教が政治権力をまとって弱い先住民を痛めつける構図。南米ではスペインがカトリック教会を使って南米の殆どを文化的に押さえスペイン語化とカトリック化を実行した。カナダやアメリカでも教化活動が行われていたのだ。知らなかった。

2.ミャンマーは4人の民主活動家を処刑
【記事要旨】
 非公開法廷での裁判に西側諸国が批判していたが、処刑が実施された。人権活動家と国連は強く非難。処刑された人には、1988年以来の民主活動のリーダーやHipHop歌手から5年間の投獄をへて政界入りした人などがいる。
【コメント】
 このような民主勢力の逮捕処刑は東南アジアで数十年来無かったことだ。日本のミャンマーへの制裁はどうなっているのだろうか。

3.中国はアフリカへ触手を伸ばす
【記事要旨】
 欧米に対抗し、中国は金融支援と強権支配モデルの提供でアフリカ諸国へ食指。ジブチでは初の海軍基地を建設し、政治的混乱や飢饉に乗じて影響力を強める。タンザニアでは一党独裁型の政治を教える学校を建設。2021年に中国とアフリカ間の貿易高は2500億ドル。一方、米国とアフリカ間の貿易高は643億ドル。
【コメント】
 中国の攻勢は凄い。日本もアフリカ諸国の首脳を招いて会議をしていたが今はどうなっているのだろうか。予算の話でも生活防衛の話が多く、国際的な視点からの議論は殆どない。

その他:
ウクライナでの物価上昇
Prices in Ukraine have jumped more than 21 percent from a year ago as Russian attacks on critical infrastructure and occupation of major industrial and agricultural regions sow chaos.
チュニジアでの強権支配
Tunisians voted Monday in a referendum on a new constitution that would greatly expand the powers of their president and dilute those of Parliament and the judiciary.
コロナが変えた人生
Tunisians voted Monday in a referendum on a new constitution that would greatly expand the powers of their president and dilute those of Parliament and the judiciary.

(2022年7月26日 火曜日)

世界の動き 2022年7月25日 月曜日

ニューヨークタイムズ電子版より

今日の一言:
「実開催」
 今日と明日、金融財政事情研究会(キンザイ)の「金融内部監査人養成講座」で講師を務める。年に三回開催で、今回は58回目になる。セミナーは一週間続くが、毎回トップバッターとして「内部監査の基礎と内部統制の考え方」について話をする。  前回はコロナ下で開催が見送られたが今回は実開催になった。全国から35人の参加者がある。顔を見て行う講義は貴重な機会だ。頑張って講師を務めたい。

さて、
朝6:36ですがまだニューヨークタイムズ電子版の配信がありません(通常は6時に配信されます)ので、今晩8時頃配信します。遅延をお詫びします。

(2022年7月25日 月曜日)

『Talent/Strategy/Risk 長期的価値創造を担う取締役会の仕事』を読んで

日経新聞の土曜日の書評で取り上げられていたので購入。私は現在3社の社外監査役をしているが、社外取締役の機能について深く考えさせられる本だ。

 取締役会が果たすべき機能は何か。それは長期的な企業価値の向上だ。インデックスファンドの隆盛(例えば、ヴァンガード、ブラックロック、ステートストリートのような)で長期的な企業価値の向上を期待する恒久的な投資家が現われた。短期に値上がり益(あるいは空売り益)を狙う投資家とは一線を画してる。

 彼らが指標とするのはTSR(Total Shareholder Return)。
 TSR とは、日本語で「株主総利回り」と呼ばれ、ある一定期間における「株主にとっての投資収益性」を示す株価指標。株式投資により一定期間に得られた「キャピタルゲインと配当(利益)」を「株価(投資額)」で割った比率となっている。(一定期間は、1年・3年・5年など)

 TSRを高くする、すなわち企業の長期的な価値を創造するにはどうすればよいか。
 本書の著者(機関投資家、企業経営のアドバイザー、人材マネジメントの専門家の3名)は取締役会の役割を再定義し、長期的な企業価値のためにリーダーシップを発揮するものへと再構築する方法を提示する。

 彼らが用いる価値向上のレバーは、Talent/Strategy/Risk の新しいTSRだ。取締役会には以下を果たすことを求めている。
・正しい経営チームを築きインセンティブを与える
・経営陣が長期的な視野を持つのを助け投資家にそれを伝える
・新しい挑戦に応えられるように取締役会を再構成し多様性を高める
・サイバー攻撃リスクやセクハラ訴訟といった主要リスクを正面に置く
・アクティビスト株主の視線で事業を分析する
・株主の現状に対応し取締役会は長期に指導する

 本書は、こうした点について具体的な指針を与えてくれる。

 ESGやSDGs、さらにはTCFD、サスティナビリティと各種の屋上屋を重ねるような指標が唱えられており、多くの取締役は(経営者も)まごついている。企業価値を高めるというのは企業にとって達成しないといけない絶対的な命題だ。経営陣と取締役会にとって、Talent, Strategy, Risk(新TSR)という指標はシンプルでわかりやすく、使いやすい。

 他のいろいろな指標に目移りする前に、新TSRを着実に実行しよう。是非一読をお勧めしたい良書だ。

(2022年7月24日 日曜日)

「メタバース」に思う

NHKBSで、BS1スペシャル「メタバースがやってきた〜仮想世界の光と影」を7月20日に途中から見た。最近見たTV番組では最も刺激的だった。

 そもそもメタバースとは何か?
 メタバースとは、一言でいうと「仮想空間」のことで、ネット上に構成される3次元の世界で、自分の分身であるアバターを介し世界に入る。
 ポイントは、現実世界と同じ時間が流れている世界で、私たちはアバターを動かして、集まってミーティングをしたり遊んだりできる。Web上の空間で社会生活を送れるわけだ。

 NHKの番組では不登校児が活き活きと参画できる高校の話が出てきた。授業のみならず生徒間のコミュニケーションがメタバースでなされる。それぞれの生徒がアバターを使うことで対人コミュニケーションに難のある生徒でも自分の持ち味を活かして参加することが可能になるのだ。

 現実空間で生きるのが難しい人も仮想空間では生きて行ける。現在は、現実空間で生活の糧を得ることなしには生存することが難しいが、メタバースの規模が拡大しビジネスも成立して行けば、仮想空間で生活の糧を得て実生活を営むことが可能になるのだろう。メタバースの拡大により空間の制約が超越できるということだ。 

 空間を越えた交流は良いことだけではない。番組ではまたバース内で性的暴行を受けそうになった女性の経験談が取り上げられていた。現実世界では婦女暴行になりそうな行為がメタバース内では野放しにされていると女性は言う。結局女性はスイッチを切ることで難を免れたが、同じメタバースを訪問すれば同様の目にあう可能性がある。

 超越出来るのは空間だけではない。番組ではかわいい娘を無くした韓国人の母親が娘の情報を詰め込んだ娘に生き写しのアバターを作ってもらい亡くなった娘に再開するという話があった。涙の再開を果たした後、娘は白いハトになって消えてゆくお話だったと思う。もし母親が娘を活かし続けたければそれも可能だろう。時を経て成長する娘の姿を両親は永遠に見ることも可能になる。浅田次郎の名作「鉄道員(ポッポや)」は幼くして娘を亡くした父親に、亡くなった娘がだんだん成長する姿を父親に見せに来るというファンタジーだ。このように、亡くなった人間との時間を超えた交流をメタバースが可能にする。

 時間を越えられるのは他者との関係だけではない。自分についてAIで何もかも記憶させ、不死の自分をアバターで作ることは可能だ。AIで記憶させるのは自分にとって都合の良い情報だけではない。私のAmazonでの購買履歴や、Web検索の履歴から、自分の病歴等の秘密情報も盛り込まれた自分自身の判断では思いもよらない自分のアバターが既存の情報から形成されることも可能だ。他人にはうかがい知れない自分の性癖が、このアバターでは露見するのだ。

 ここまで来ると、アバターが空間と時間の制約を乗り越えて活動できるメタバースは理想郷でもなさそうだと思い至る。現在5兆円の市場規模が倍々のペースで増えると予想されているが、事故や犯罪を防ぐ法整備が欠かせない。今後の進展を注視したい。

(2022年7月23日 土曜日)

世界の動き 2022年7月22日 金曜日

ニューヨークタイムズ電子版より

今日の一言:
「標準偏差」
 人々の考えにはばらつきがある。政治については右から左。所得については高から低。その差は大きい。バラツキを集約するとベル型の標準偏差グラフが出来る。真ん中辺が一番人が多い。政治では最大の支持率を集めるためにその辺を満足させる政党の支持率が高まる。
 企業であれば、帰属する人々の考え方や所得の相違は少ない。それだけコントロールはしやすい。政治は企業経営に比べればずっと難しいが、簡単に言えば標準偏差のベルカーブの形の違いによるものだ。

1.ウクライナは南部で反攻開始
【記事要旨】
 西側から供給された長距離火器を使い200以上のロシア拠点を砲撃。ロシアの供給に重要な橋破壊した成功例あり、ウクライナは反攻に自信を示すが、西側は楽観視せず戦闘の長期化を懸念。英情報筋は軍部不足で露の攻勢はここ数週間は下火になる予想。
【コメント】
 もう5か月。ウクライナもロシアもこぶしのおろし所が無い。

2.バイデン大統領がコロナ陽性
【記事要旨】
 79歳の大統領の健康への懸念高まる。症状は軽くPaxlovidを服用しホワイトハウスで執務を継続。BA5の脅威を米国で再確認。欧州、豪州、日本で陽性者が急増。
【コメント】
 日本の政治家は良く守られている印象だ。

3.欧州は政策金利を引き上げ
【記事要旨】
 8年振りの0.5%の引き上げでマイナス金利から0%へ。欧州中銀のインフレへの姿勢を投資家は評価している。欧州のインフレ率は燃料と食料の価格上昇により、6月に8.6%を記録。19か国の異なる経済状況を抱える中銀の政策は困難に。
【コメント】
 コストプッシュインフレへの金利引き上げでの対抗策は上手く行くのか見守りたい。日銀は頑なに金融緩和を維持。口先だけでもこれ以上の円安には対抗策を考えるとか言えばよいのにと思うが。

その他:
巨額の罰金
China fined the ride-hailing giant Didi $1.2 billion for data security violations, Beijing’s latest regulatory move against a once-rising sector.
最高齢のパンダ死す
An An, the world’s oldest giant male panda in captivity, died in Hong Kong at 35.
トルコとイラクの紛争
Turkish warplanes struck a vacation resort in northern Iraq on Wednesday, killing at least eight people and injuring more than 23.

(2022年7月22日 金曜日)
Wild cheetahs will return to India for the first time in 70 years, The Guardian reports.