何のために働くのか

丹羽宇一郎という経営者を尊敬している。

伊藤忠商事を倒産の危機から救い、会長職をあっさり退き、乞われて中国大使を引き受け、弱腰だなんだとのそしりを物ともせず信念を貫いた経営者だ。

伊藤忠の社長時代は朝の通勤に電車を使い、自家用車はカローラ、服装にも金をかけず、贅沢はせず、余ったお金は読書に費やしたという。

著書がたくさんあるが、「汗出せ、知恵出せ、もっと働け」という講演録はとても刺激的だ。
・資源の無い日本にあるのは人的資源だけだ。それが働かなくなっては国の繁栄はあり得ない。
・経営は、清く正しく美しく、あるべし。
・年収800万円をすぎると報酬増が幸せをもたらさない。だから金の亡者になってはいけない。
・同じ井戸の水を飲み続けるのでは進歩がない。海外へ出たり井戸を変えるべきだ。
という主張が繰りかえし述べられている。

当方、読書に金と時間の糸目はつけないが、それ以外は丹羽さんの足元にも及ばない。

企業経営の課題として以下が挙げられるだろう。
・企業の生産性を上げるにはどうすれば良いか。
・従業員が働くインセンティブは、報酬か、やりがいか、人間関係か。
・上司が部下を育てるにはどうすれば良いか。
・働く環境をどう変化させるか。
・清く、正しく、美しい企業を造るガバナンスはどうあるべきか。

丹羽さん流に考えるといろいろとヒントが湧いてくる(かもしれない)。

(2020.8.4)

コロナ後の世界での働き方

個人的には、夜遅くまで起きていることが少なくなり
朝6時には起きて散歩を始めるようになった。
朝布団でぐずぐずしていたとしても7時には起床している。
驚くべき「早寝早起き」の生活だ。

朝起きがけに散歩しているのが健康に良いかどうかあやふやだ。朝食後に散歩するほうが良いという人が多いが、起きがけに散歩するのが日課だ。

顧問先への用で外出しようとするとチェックが多く入る。
電車や地下鉄に乗って都心へ出るのは狂気の沙汰だと非難されるが、
実際の面談のほうが能率が良いのであれば。実開催にするのが当然だ。

殆どの企業がコロナ対策を十分にしており、コロナに怯えて必要な外出も抑制するのはどうかしている。

日本電産の永守社長によればテレワークは能率が3割下がるそうであり、限界も把握して実証する必要がある。

コロナ後の世界、働き方はどう変わるのであろうか。
夜のノミュニケーションは当分下火だろう。
早朝勤務(在宅で有れ実勤務で有れ)には
午後の遅い時間の使い方が役にたつだろう。

社員の生産性が最大化する働き方はどうなるのであろうか?他社のありかたに流されず、自社にあった働き方の改革が企業生き残りの必要条件であろう。

(2020.7.28)

Cash is king!

創業間もない企業の資金繰りはいつもひやひやだ。

・アイデアを商品化するのには資金が必要だ。
・商品を売って現金を回収するのには時間がかかり資金が必要だ。
・開発のための人材、販売のための人材、内部管理の人材、最低限必要な人員を雇い給料を払うためには資金が必要だ。

コロナ禍の影響で予定どおりに事業が進まない。そんな時はどうすれば良いか。

増資や借り入れで資金調達できた場合は、慎重に使いたい。
投資家や金融機関への適時適切な事業説明を決しておろそかにしてはならない。
人件費、物件費の冗費は切り詰め、必要最小限の経費で回すべきだ。
経営者の公私混同は倒産の前兆だ。

Cash is king. この言葉は、現金の重要性を述べているだけでなく、フリーキャッシュフローがプラスでなければ、企業に価値はないことを教えてくれる。
ベンチャー起業家が心しておきたい至言だ。

(2020.7.27)

巨大な米国IT企業

GAFAに代表される米国のIT企業を見るとその巨大さに驚く。

企業名    時価総額(兆円:1$=100Yen換算)
Amazon         150
Alphabet(GoogleのHD)     51
Facebook           55
Apple          161
Microsoft                         153
合計            570兆円

5社の合計は2019年の我が国GDPの554兆円を上回る。

これらの企業が今や世界のビジネスのインフラを提供していることに異存はないが、それでも時価総額は巨大すぎる。

myINDEXによると、2020年6月の米国市場のPERは20.3倍。先進国市場平均の17.8倍、日本の17.2倍を上回る。

現在の世界の株高は従来の金融緩和に加え、コロナウィルスによる景気落ち込みへ対策として増発した通貨の行き先が実体経済に向かわず株式市場に向かったために現出している。特に米国では歴史的なPERは15倍程度といわれており、それに比べて大幅に割高になっている。

従来、株式の投資家は(個人投資家のみならずプロの機関投資家も)GAFA+Microsoftを買っておけば良好な投資リターンが得られた。

現在も余剰マネーが最初に向かうのはこれらのIT企業であるため、しばらくは上値を追う展開になるだろう。

それでは、何がこれらの企業の株価調整をもたらすか。

筆者は以下のように考える。
・市場でだぶついているマネーが自体経済に使われるようになること。
・トランプの再選がならずFRBが金融政策の転換を図ること。
・多くの投資家が冷静になってこの水準はおかしいと認識すること。
常識的なコメントで面白くなくてすいません。

(2020.7.25)

ガマの油売り

日本語の「ガマの油売り」に相当する英語は”Snake-oil Salesman”であろう。

The Free Dictionaryによれば、その意味は、
Someone who sells, promotes, or is a general proponent of some valueless or fraudulent cure, remedy, or solution. (Can also be formed as “saleswoman” or “salesperson.”)

例文として、
I find it hard to believe anyone would fall for those snake oil salesmen on TV selling holistic medicines and therapies.
A lot of people have been swayed by the presidential candidate’s plan for economic growth, but if you ask me, she sounds like a snake oil saleswoman.
が挙がっている。

意図的に詐欺を働こうとしている人間は見分けやすい。
困るのは、自分が開発した商品や技術の万能性を信じ込んでいる人である。そうした人が説得力のある話し方を出来る人だと真贋を見極めるのは難しい。

Steve JobsもElon Muskも最初はSnake-oil Salesmanと見做されていた時期があった。投資家としてはビジネスの成否をどのように見極めたらよいか、悩ましい。

目利きが出来るはずのベンチャーキャピタルの経験則は「千三つ」とか「打率一割」ということで、見極めるのをあきらめ確率に依存している。これはちょっと情けない。

(2020.7.23)