世界の動き 2023年8月10日 木曜日

今日の言葉:
「ストの効果」
 ガス価格40%急騰(Bloomberg記事より)
 『欧州の天然ガス先物価格が一時40%高と、2022年3月以来の大幅上昇を記録。今年6月以降で初めて1メガワット時当たり40ユーロを上回った。オーストラリアの一部施設で労働者がストライキを起こす可能性があり、液化天然ガス(LNG)の供給リスクが強まった。シェブロンおよびウッドサイド・エナジー・グループの豪州施設で働く労働者がスト実施を決定。同国からのLNG輸出に影響が及び、LNG市場の需給が世界的に引き締まる恐れが出てきた。ストが決行される場合の時期は今のところ明らかではない。』
 日本の労働者がデフレの30年で忘れていたストの効果がわかる記事だ。インフレの高進や実質所得の低下に対して、野党も労働組合もおとなしいのは国民生活全体にとって良いことか悪いことか。

ニューヨークタイムズ記事より
1.米国、中国へのテクノロジー投資を制限
【記事要旨】
 バイデン大統領は本日、中国の軍事・監視能力を強化する可能性のある中国の主要テクノロジー産業への米国の投資を禁止することで、中国との対立を激化させた。
 提案された規則は、量子コンピューティング、人工知能、先端半導体に投資する米国のプライベートエクイティおよびベンチャーキャピタル企業に適用される。 より広範囲の中国産業に投資する米国企業も、その活動の報告が義務付けられることになる。
 ホワイトハウスは最近、中国との関係の沈静化を目指しているが、 同時に、中国国外のサプライヤーを開拓することで重要なサプライチェーンの「リスク回避」を推し進め、先端コンピューティング用半導体などの技術の中国への販売制限を強化した。
 ここ数年、米国と中国間の投資は急激に減少しているが、ベンチャーキャピタルやプライベートエクイティ会社は、中国の活気に満ちたテクノロジー産業へのアクセスを得る手段として、提携の有利な機会を模索し続けている。
【コメント】
 最重要分野は、量子コンピューティング、人工知能、先端半導体だ。日本はどの分野でも出遅れている。

2.モスクワへのドローン攻撃が増加
【記事要旨】
 ロシアは昨日、モスクワ近郊を飛行していた無人機2機を撃墜したと発表したが、これは同国の首都にほぼ毎日戦争をもたらしている一連の攻撃の最新のものである。 当局者らは、過去3週間にモスクワを狙った少なくとも12機の無人機を迎撃したと述べた。
 ウクライナ当局は一部がキエフによって画策されたことを認めた。 すべてのドローンが撃墜されたわけではないようで、先週、モスクワ中心部にある政府省庁が入居する建物が、48時間以内に2度ドローンによって攻撃された。
 地元当局者によると、強力な爆発があり、ロシア軍向けの光学機器を製造しているモスクワ郊外の工場の倉庫が破壊された。
【コメント】
 さすがにウクライナ戦争の報道には食傷気味だ。西側からの武器提供が遅れゼレンスキー大統領が苛立っているという報道もある。和平への努力を期待したいところだ。

3.カーン氏が実刑判決を控訴
【記事要旨】
 パキスタン元首相イムラン・カーンの弁護団は、懲役3年の実刑を不服として控訴している。 同氏の支持者らは、国庫贈与品を違法に販売した後、資産を隠したとして同氏に有罪判決を下した今回の判決は、同氏を脇に追いやるための政治的動機によるものだった、と主張している。
 この控訴は、パキスタンが今年後半に総選挙を控えている中、カーン氏の将来を決定する一か八かの白熱した法廷闘争の始まりとなる。 パキスタンの法律では、有罪判決を受けた者は有罪判決日から最長5年間、公職に立候補することが禁止されている。
【コメント】
 トランプだといい加減にしろと思うが、カーンの場合は頑張れと思う。誠実さの違いだろうか。

その他:
台風6号
 Typhoon Khanun, a tropical cyclone that killed at least two people in Japan, is heading toward South Korea.
ハリウッドのスト、一部軟化
 The striking actors’ union in Hollywood is granting waivers allowing some projects to continue, raising questions about who qualifies and why.
1月6日の証拠
 The Jan. 6 indictment revealed an internal campaign memo that prosecutors are portraying as a crucial link in how the Trump team’s efforts evolved into a criminal conspiracy.

2023年8月10日 木曜日

世界の動き 2023年8月9日 水曜日

今日の言葉:
「非公式の通信手段はダメ」
 証券会社にとって録音可能な環境で顧客と会話するのが鉄則だ。記録の残らない通信手段は禁止される。これを破るとどんなことになるか。
 Bloombergの興味深い記事だ。
『計11社に制裁金
米証券取引委員会(SEC)が大手金融機関に対する記録管理の監督を強化する中、ウェルズ・ファーゴやBNPパリバなど複数の金融機関は、従業員が業務上でチャットアプリ「ワッツアップ」など非公式の通信手段を利用していたことを認め、多額の制裁金の支払いで合意した。SECによれば、ウェルズの複数部門はこの問題決着に合計1億2500万ドル(約180億円)を支払う。BNPパリバは3500万ドルの制裁金の支払いに合意した。このほかみずほセキュリティーズUSAが2500万ドル、SMBC日興セキュリティーズ・アメリカが900万ドルなど、計11社が総額2億8900万ドルをSECに支払う。』

ニューヨークタイムズ記事より
1.中国の卒業生の見通しは暗い
【記事要旨】
 今年の卒業生数は推定1,160万人で、史上最大規模になると予想される。 しかし、若者の失業率は過去4年間で2倍になり、「ゼロコロナ」政策による不安定さで企業は採用に慎重になっている。
 6月の都市部の16~24歳の失業率は21.3%と過去最高を記録した。 次の卒業生の波に伴い、7 月の数字はさらに高くなることが予想される。 ある大学の学長は学生たちに、「目標を高くしすぎたり、仕事にこだわりすぎたりしないように」と言った。
 経済は不安定だ。中国の7月の貿易額は減少し、政府の取り締まりと監督の強化により、オンライン教育、テクノロジー、不動産など、若者が職を求めて集まっていたかつては活気に満ちていた業界も低迷している。
 1992年に大学に入学した学生はわずか75万4,000人だった。より多くの若者が高等教育を受けようとするにつれて、多くの大卒者が求めている高賃金のホワイトカラーの仕事を十分に創出していない。
 若者の失業問題は10年は解決しないかもしれないと中国のシンクタンクは推定した。 「適切に対処されなければ、経済以外の社会問題を引き起こし、政治問題の導火線に火をつけることさえあり得る」と報告書で述べた。
【コメント】
 実際の失業率は46%という推計もある。社会不安の起きるレベルだ。外務省やミサイル軍で高官の罷免が続いており、上は共産党指導部から下は若者に至るまで中国社会の動揺が続いているようだ。

2.阻止されたアフガニスタンでの反乱
【記事要旨】
 2021年にタリバンが政権を握った後、米国の支援を受けた政府とともに戦ってきた多くのアフガニスタン人が他国に逃亡した。 彼らは、新しい独裁政府の下で国が変化するのを遠くから見ていた。
 パキスタンとアフガニスタンの支局長であるクリスティーナ・ゴールドバウムは、アフガニスタンで活動するレジスタンスグループと連携した二人の特殊部隊を追った。彼らは祖国に戻り、安全な家に隠れ、反政府勢力間の調整のための本部の設置に努めた。
 しかし数週間以内に、タリバンの兵士たちが彼らの隠れ家に発砲し、二人とも死亡した。 クリスティーナによると、人々は支持を求めてソーシャルメディアに投稿し始めたという。
 「彼らは、米国の支援を受けた政府の下で定められたこの国のビジョンを信じ、そのために戦う意欲を持った若い世代を代表するようになった。 人々が今の武力抵抗がいかに不可能であるかを認識した瞬間に、彼らのビジョンに対する集団的な追悼の声が上がっている」とタイムズ紙のポッドキャスト「ザ・ヘッドラインズ」で彼女は語った。
【コメント】
 親米の青年戦士の死を無駄にしないということだろう。この地域の安定に日本が出来ることも多いと思うが、殆ど報道はない。中村哲氏の貢献や2019年の非業の死も風化している。

3.ニジェールで薄れる対話への期待
【記事要旨】
 ニジェールの新軍指導者らは、最近のクーデターによって生じた危機を解決しようとする米国、国連、地域団体による外交努力を拒否した。
 現在、民政回復への期待は薄れつつある。 そして、民主的に選出された大統領は、まだ正式に辞任していないが、電気も水道もない公邸に閉じ込められている。
 次はどうなるか: 西アフリカ諸国経済共同体ECOWAS は軍事行動をちらつかせ、ニジェールとの金融取引を凍結した。 明日は臨時首脳会議を開く予定だ。
【コメント】
 ニジェールについてタイムズは連日記事にしているが日本では報道はほぼ皆無だ。西アフリカの最貧国での混乱に過ぎないという事か。

その他:
サウジでの和平会議後日談
 Beijing’s foreign minister spoke by phone with his Russian counterpart after China attended peace talks in Saudi Arabia over the weekend.
TSMCはドイツに工場
 Taiwan Semiconductor Manufacturing Company plans to invest $3.8 billion to build a facility in Germany, part of an effort to further diversify production locations.
肥満治療薬が心筋梗塞に効果
 The obesity drug Wegovy cut the risk of serious heart problems by 20 percent in a large trial, the drug’s maker said.

2023年8月9日 水曜日

世界の動き 2023年8月8日 火曜日

今日の言葉:
「立秋」
 「秋来ぬと目にはさやかに見えねども風の音にぞ驚かれぬる」
  秋立つ日に詠める 藤原敏行 

ニューヨークタイムズ記事より
1.中国軍部の動乱
【記事要旨】
 中国の指導者、習近平氏は10年前腐敗した軍部の一掃に着手した。 しかし今、彼の至宝である人民解放軍ロケット軍は影がかかっている。
 習氏は先週、軍のトップ将軍を突然交代させた。 李玉超将軍は、昨年、習氏によって軍の最高司令官に任命されたばかりだった。 副官である劉光斌大将と軍の政治委員である徐仲波大将も公の場から姿を消した。 この動きは、秦剛外相を解任した数日後に行われた。
 ほとんどの専門家は、李氏と他の上級将校が急速に拡大する部隊への巨額支出の一部を吸い上げた疑いで告発される可能性があると考えている。 スキャンダルは、監視と圧力によってのみ当局者の迷走を防ぐことができるという習氏の信念を強める可能性がある。
  習氏は2015年にこの部門を創設したが、中国の軍エリート全員が習氏の台頭のおかげで出世し、習氏は権力をしっかりと掌握している。
 フィリピン沿岸警備隊は、中国沿岸警備隊の船舶が南シナ海で自国の船舶の1隻に放水銃を発射する様子を映したビデオを公開した。 2016年、国際法廷は係争海域に対するフィリピンの領有権主張を支持した。 中国はこの判決には従わないと表明した。
【コメント】
 外相に続き軍でも不可解な動きがあるようだ。習主席の権力掌握が一層進むのか、揺らぎの始まりなのか、今後何が起きてくるか注目したい。
 中国の若者の失業率は46%という論文があり(現在は検閲で削除)、経済の低迷も進んでいるようだ。共産党指導部には経済に強い人がいないのも懸念される。

2.混迷する韓国のジャンボリー
【記事要旨】
 4年ごとに世界中からスカウトが集まる世界スカウトジャンボリーにとって、苦難は続いている。 昨日、韓国は台風カヌンが接近しているため、参加者全員が早めにキャンプ場を離れると発表した。
 すでにこのイベントに参加していた少なくとも138人が熱中症で入院している。 国内スカウト3団体が早めにキャンプ場を離れた。 また、韓国の派遣団は、主催者がキャンプ場での性的犯罪の申し立てを不適切に処理したと主張して撤退した。
 世界スカウト運動機構の事務局長は「非常に不幸な出来事として歴史に残るだろう」と語った。
 158 か国から 43,000 人以上の青少年がジャンボリーに参加するために韓国に集まった。 台風は木曜日に上陸する見込みだ。
【コメント】
 熱中症で多くの参加者が倒れたことは聞いていたが、悲惨な状態になっているようだ。台風が心配だが、いつまでの予定なのだろうか。

3.反転攻勢の内部を見る
【記事要旨】
 ウクライナの緩慢な反撃を理解するために、タイムズ紙はNATOによって訓練され、補給を受けているウクライナ海兵隊と2週間を過ごした。 軍隊は、今後の長くて骨の折れる戦いに備えていると述べた。 ある指揮官は「これは短距離走ではない」と語った。 「マラソンだよ。」
  経験豊富な指揮官が訓練不足の新兵を指揮しており死傷者は多い。 また、一部の旅団は、中東の砂漠で暴徒と戦うのに適した車両で戦おうとしている。
 ウクライナは、ロシア権力への賛辞を排除する継続的な取り組みの一環として、キエフにそびえ立つ巨大な祖国記念碑のソ連の紋章を取り替えた。ゼレンスキー大統領の対ロシア動向に関する情報収集を試みていたウクライナ人女性を拘束したと発表した。
【コメント】
 この記事から得られる情報は少ない。軍隊の練度が低いこと。装備の一部が対露戦向きでないこと。ということか。急な戦況の好転・進展は困難だとすれば、今こそ和平への道が模索されるべきだ。

その他:
英国の移民対応
 Britain moved a group of migrants to a barge. The government hopes it will save money, but critics see it as part of a hardening of migration policy.
イスラエルとシリアの紛争
 An Israeli strike near Damascus killed four soldiers, Syrian state media said.
Zoomでも出社要請
 Even Zoom is making many of its employees return to the office.

2023年8月8日 火曜日

世界の動き 2023年8月7日 月曜日

今日の言葉:
「インターネット規制」
 中国の話だ。中国のインターネット規制当局は、若者がスマートフォンに費やす時間を減らすことを目的とした規制を提案したそうだ。
 日本の話だ。いま電車に乗るとほとんどの人がスマホとにらめっこしている。ホームでもスマホを見て歩いている人がいる。多くはゲームをしていたり漫画を読んでいる。まさにスマホ中毒と言える状況がある。
 中国の動きは、若者に使用を少なくする呼びかけと考えれば正しいものだ。ただ、SNSを通じた政府批判の情報拡散を押さえたいという意図も見えるところが恐ろしい。

ニューヨークタイムズ記事より
1.イムラン・カーンに懲役刑が言い渡される
【記事要旨】
 パキスタン元首相イムラン・カーン氏は土曜日、裁判所から国庫贈与の不法販売と資産隠蔽の罪で懲役3年の判決を受けた。同氏は今秋に予定されている総選挙への出馬の可能性がなくなる可能性が高い。
 この判決は、2022年4月にカーン氏が不信任投票で失脚して以来、エスカレートしてきた全国的な政治騒動の頂点に達した。 これは、カーン氏の政党を空洞化させ、彼の復帰を阻止することを目的としたな軍による数カ月にわたる脅迫作戦の直後に行われた。
 カーンの判決後に大規模な抗議活動は起こらなかったことは脅迫作戦の有効さを示している。
 パキスタンでは昨日列車が脱線し、少なくとも30人が死亡したと当局が発表した。
【コメント】
 日本では全く報道されないが、インドに対抗する地域大国の動向は注意が必要だ。専制政権が親中に舵をきると東アジアの不安定さが増す。

2.北京を救うために村が浸水
【記事要旨】
 中国当局は、先週の記録的な大洪水による最悪の事態から首都を守るため、意図的に洪水を北京周辺の村に迂回させた。 北京と接する河北省とその周辺で100万人近くが避難を強いられたことを受け、住民は激怒した。
 河北省の指導者は、「断固として首都に『堀』を建設しようとした」と述べたが、この表現を、人々は北京の国家指導者を宥めるための努力とみなし非難した。このコメントは検閲される前に6,000万回以上の閲覧を集めるハッシュタグとなった。
 同省指導者の決断により涿州市は深さ23フィート(約7メートル)もの水に浸かった。 「誰も私たちに洪水放流について知らせてくれなかったし、避難の準備をするように言ってくれた人もいませんでした」と村民はタイムズ紙に語った。
【コメント】
 なるほど。省政府は住民のためにあるのではなく共産党指導者のためにあるということか。明治政府の初期の政府から任命された県令のようなものと知れる。

3.ロシアはプーチンの戦争を支持するだろうか?
【記事要旨】
 私の同僚のロジャー・コーエンはロシアで1か月を過ごし、この国のナショナリストがいわれなき戦争に突入していることと、侵攻17か月後の雰囲気を説明できる手がかりを探していた。
 「国の方向性や意味が不確かであることがわかりました」とロジャーは書いている。双方で約10万人の命を奪っていると考えられる今も続く戦闘について、プーチン大統領の輝かしい神話と、特にロシアの最貧地域での日々の闘いとの間で、考えが引き裂かれている。
 その他のウクライナのニュース:
 ウクライナは金曜日と土曜日にロシアの船舶を攻撃し、黒海やそれを超えた地域での暴力の脅威を増大させた。
 アレクセイ・ナワリヌイ氏は「過激主義」容疑で新たに懲役19年の判決を受けた。
【コメント】
 調査報道だが結論が書かれていない。結局ロシア国民は支持するのかしないのか不明だ。

その他:
インド裁判所は野党指導者を保護
 India’s Supreme Court cleared the way for Rahul Gandhi, the top opposition leader, to return to Parliament and run in next spring’s national elections.
TSMCは台湾にとどまり優位を維持する
 The head of Taiwan Semiconductor Manufacturing Company, which makes the world’s most advanced microchips, said the company’s top talent would stay in Taiwan despite growing threats from China.
 The founder of TSMC told The Times that he did not give China much of a chance for semiconductor supremacy.
女子サッカーワールドカップ
 The U.S. is out of the World Cup. It lost to Sweden on penalty kicks.
Japan eliminated Norway, and will face Sweden next.

2023年8月7日 月曜日

日本の末路

「末路」とはGoo辞書によれば
 1 道の終わり。
 2 一生の最後。晩年。ばつろ。「人生の―」
 3 盛りを過ぎて衰え果てた状態。なれのはて。ばつろ。「英雄が哀れな―をたどる」
 となっている。

 野口悠紀雄さんの「「生成系AI」でも世界から遅れている日本の末路」という東洋経済OnLineの記事のタイトルを見て、発展後退国たる我が国のまさに末路ともいうべき状況を改めて認識させられた。

 同氏の議論の要旨は以下だ。
 アメリカにおいては、ビジネスにおける大規模言語モデルの利用は、すでに現実になっており、サービス提供者側の動きも活発になっている。
 ・米データブリックスがモザイクMLというスタートアップ企業を約13億ドル(約1860億円)で買収する。モザイクMLは比較的小さな企業が利用できる大規模 言語モデルの開発を行っている。
 ・メタ(Facebookを運営)はオープンソース大規模言語モデル「Llama 2」の提供を開始し、研究と商用向けに無償で提供する。開発者は独自の生成系AIをMicrosoft AzureやWindows上で開発し、アプリケーションに組み込めるようになる。
 これに対して、日本企業の関心のなさが憂慮される。大規模言語モデルの開発面において日本が後れを取っていることは仕方がないが、それをさまざまな実務に活用することは十分に可能なはずだ。それにもかかわらず、関心もないし 利用への体制作りも進んでいない。
 デジタル化の遅れが日本経済停滞の原因であると、しばしば指摘される。いま、大規模言語モデルの活用において遅れを取れば、日本の後れは決定的なものになってしまうだろう。

 新聞報道ではNECや日立が生成AIの開発を独自に進めているようだが先進の米国企業に対抗可能なレベルなのだろうか。半導体での経験では、大企業に一部門での取り組みは上手く行かない。上手く行かなかったところへ経済産業省が出てきて、部門を切り出して生き残りを図るが、これも失敗の連続だった。
 AIのスタートアップ企業を調べると、小粒だが10社程度が我が国の株式市場で挙がってくる。彼らの力量はどのくらいなのだろうか。

 若い人たちの起業家精神に期待したい。このままでは日本の「末路」は確実だ。

2023年8月6日 日曜日