逆イールドの何が問題か?

逆イールドとは何か?野村証券の用語辞典から引用すると「短期金利が長期金利を上回り、イールドカーブ(利回り曲線)が右下がりの曲線となっている状態のこと。 市場関係者が将来的に金利が下がるとみている場合に起こる現象で、一般的に景気後退の兆候として捉えられる。」ということだ。
米国ではこの逆イールドが3月31日と4月1日に発生したが、この状況をどのように捉えるべきなのだろうか。常識的には野村証券の用語説明にあるとおり、「景気後退のサイン」とみる見方が多い。
インフレ圧力の強い短期金利は上昇しても、将来的な景気後退を見越して長期金利は上昇せず、逆イールドが発生するという考えだ。
私の見方は少し異なる。「景気が悪いので長期金利は上がらない。インフレ懸念で短期金利が高くなる。それで逆イールドになる。」こうした状況で一番困るのは米国の銀行だ。米銀の多くが短期調達、長期運用により利ザヤを確保している経営だ。高度なALM手法を謳っていても、こうした経営は逆イールドに非常に弱い。経済の再生・成長の核となる銀行の収益体質が揺らぐと、景気後退になりやすい。
逆イールドは「景気後退の兆候」というよりも、「景気後退の引き金」とみるべきであり、イールドカーブの正常化が政策として採用されるべきだ。

(2022.4.2 Saturday)