「老人と海」再読

NHKオンディマンドで「100分de名著」という番組をよく見る。
名著を毎回25分の4回、すなわち100分でする解題する番組だ。司会の伊集院光の的確な感想と質問で、名著への理解が深まる。最近見た回で取り上げられたのはヘミングウェイの「老人と海」だ。

「老人と海」は大学生の時分に読んだ記憶がある。正直、モノローグの続く面白くない小説だという印象だった。スペンサー・トレーシー主演の映画も見た記憶がある。退屈な映画でしたね。20数年前には、次男のニューヨークの中学の宿題で英文でも読んだ。あまり印象に残らない読後感だった。

さて、今、再読すると、年齢を重ねたせいか、老いと孤独。人間の営為と自然、というような概念が短い文章で上手に表現されているのがわかるようになった。アメリカ人の友人は、日本のわびさびにもつながると言ってきた。
Hemingway championed a new style of prose: very terse. In this case, the tale is an allegory on how we live life. We create objectives that we believe will offer meaning in life, bring us fulfillment, but naturally ofttimes like the old man’s loss of the marlin to sharks in spite of his futile efforts, those dreams are shattered just as they seem to come true. Nonetheless, the old man has something to show for his effort, and he is able to accept what he has. Wabi-sabi.

文中いくつか気に入った表現があるが、不屈の精神を表す文章は心に沁みた。
But man is not made for defeat, he said. A man can be destroyed but not defeated.
鼻提灯を出して惰眠をむさぼっていてはいけないのだ。心せねば。。

(2022.1.23 Sunday)