コミュニケーションの類型を学んだのはいつだっただろうか?
車輪型(ハブ&スポーク型)、鎖型、星型の三つに分けるのが一般的だ。
例えば6人のチームでのコミュニケーションを考えてみよう。
車輪型ではリーダーのAさん中心にして、BCDEFは自転車のタイヤの位置に置かれる。Aさんは誰とでもコミュニケーションが容易だが、BCDEFの間では意思疎通は希薄になる。
鎖型ではAさんからBCDEFと鎖のようにつながる。横の人としかコミュニケート出来ないからとても非効率なコミュニケーションの状況だ。
星型は、ABCDEFでダビデの星のような形状を作る。誰もがメンバー全員とコミュニケートできる状況だ。
こんな「組織論101」を思い出したのには理由がある。
9月末に家を新築した。地震に強いので定評のあるH社の家だ。10月末に引っ越して住み始めた。二日前に門扉の電子キーを覆うパッド部分が閉まらなくなった。門扉は家のインテリアやエクステリアで有名なL社のものだ。門扉についている電子キーは大手電機P社のものだ。
不具合に気付いたのでH社の外構の担当者(Yさん)に連絡したら、すでに引き渡し後2か月以上経っているのでH社のサービスセンターに連絡して欲しいとのことだった。YさんにL社のカスタマーセンターの番号も教えてもらった。
まずH社のカスタマーセンターに電話すると、「門扉の施工業者(H社の外構担当子会社HE社)経由、資材納入業者を経由してL社に打診して、解決策を検討する」ので時間を頂きたいということだった。こちらは急いでいるので今日中に何らかの返答が欲しいとお願いした。
一方、Yさんに聞いたL社のカスタマーセンターに電話した。驚いたのは、L社では施工業者経由の問い合わせで無いと対応できない、という回答を貰ったことだ。
つまり、私にとってはコミュニケーション先はH社しかなく、その先に、H社の施工業者(HE社)、外構資材納入業査(L社)、外構部品供給会社(P社)という情報伝達のチェーンが長くのびていることがわかった。
結局は、当日の午後、HE社の担当者が状況を見に来てくれたのだが、電子キーの壊れた部品を変えることは難しそうで門扉全体を交換することになると思う、先方からの確答は1月20日過ぎになる。という悠長なものだった。
私の説明は簡略化されているが、HE社の下請け業者、L社の下請け業者、P社の下請け業者が重層的に関与してくることが容易に想像がつく。
日本の住宅の建設コストは米国の住宅に比べ2倍ほどする印象だ。DIYも盛んな米国ではなるべく中間マージンを省いた価格設定にするのに対し、日本の大手ハウスメーカーは中間マージンのてんこ盛りだということが、このコミュニケーションネットワークを見れば明白だ。それぞれの企業が利ザヤを乗せて次の企業に物を流しているのだ。
日本の大企業のコミュニケーションの魯鈍さには今更ながら驚く。これでは何事にもハングリーな中韓の企業に負けるのは目に見えていると思うが、これだけ精緻にできたシステムを壊すのも容易でない。
2024年12月29日 日曜日