国際化して勝つということ

グローバル経済が進展した新自由主義の時代には、国際化は善と単純に信じられてきた。

我が国企業の場合、国内市場がそこそこ大きいので、日本市場に軸足を置いた国際化であった。国内市場が小さい韓国や台湾企業の国際化とは大きく異なる。日本企業に体力があった時代は、国内市場を軸にして、それに塩コショウで味付けして海外市場に対応してきた。こうしたおっとり刀ではもう勝てないのは明らかになった。

とはいっても、市場への取り組み方はマーケティング問題であり、解決は比較的容易だ。
困難なのは人材・経営陣の国際化だ。

売上の過半を海外で稼ぐ企業でも、役員の人員構成の多様化は進まず、外国人を取締役に迎える企業はとても少ない。
外国人が取締役に多い(多かった)のは、カルロス・ゴーンがCEOをしていた時の日産とか、海外の大型買収を行った武田や日本板硝子等、指折り数えるほどであろう。
我が国の商社や金融機関は経営陣が国際化していない典型だ。

筆者が金融機関に居たときは、売り上げや収益のたらずまいは、国際部門や市場部門で(根拠もなく)数字をかさ上げしていた。こんなことは日本人が経営陣を固めている企業でこそできる数字合わせの悪しき実例だ。

これから海外展開を本当に考える企業は、経営能力があり、数か国語が操れ、ITにも精通した経営層(できれば日本人から始める)を揃えなければ話にならない。そして、その人たちが企業理念を熱く説き、賛同する優秀な外国人マネージャーが集まり、わいわいがやがや議論して、新しい戦略がふつふつと湧いてくる会社。そうならないと海外のトップ企業に対抗して勝ち抜いて行けない。

(2020.8.11)