コロナ禍から脱する見込みもないが、一段落した後はどのような状況になっているのか年末ぐらいまでを見通してみたい。
まず、雇用は大きな調整が起きる。失業者が増大しつつあり今後も増大するだろう。
米国のように失業保険2000万人という極端な話にはなっていないが、日本は、何事も「ハンドルの遊びが多い」社会システムで、調整が表面化するとその影響は大きく長く続くのが経験則だ。
非熟練若年層労働力の受け皿になっていた、飲食、コンビニ、配送といった職種が厳しい状況にある。
次に、金融が心配だ。
コロナ禍への対応策として、無担保無保証の長期融資を金融機関が積極的に取り組んでいるが不良債権化するのは間違いない。
日本の金融機関は国際的には強固な財務基盤を有しているが、政策的に不良資産の積み上げを強いられ、一方、成長に向けた資金需要ニーズは非常に弱い。
このような状況では金融機関の経営が立ち行かなくなる恐れが大だ。
最後に、経済全体だ。
2020年4-6月期のGDPの公表はまだだが、米国並みの前年比-30%はありうるだろう。民間調査機関の推定では日本の2020年のGDP予測は前年比-5.2%だ。
GDPの公式 GDP=消費+投資+政府支出+(輸出-輸入)でどこがどう変化するのか?
投資は、企業の先行き慎重姿勢を考えれば良くて前年比0%。輸出・輸入も国際貿易の先行き不透明で0%。
政府支出は、第一次補正予算で25兆円、第二次で33兆円。真水部分は合計88兆円ある。88/554=+15.9%
そうすると、全体で-5.2%を前提とすると、消費の落ち込みは-21.1%まではカバーできる。
この辺は読者の皆さんに考えていただきたい。コロナ禍で消費はどうなっていますか?
外食は非常に減ったし、衣服や嗜好品の消費も減っている。筆者の実感では20-30%は支出が減っているが。。GDPの減少は民間調査機関の-5,2%で済むのだろうか。10%は落ち込みそうだ。
GDPが10%落ち込むということは、全国民一人当たりの所得が10%
落ち込むのと同意なので、笑い事ではない状況になる。近い未来に。
この間、政府の財政支出と日銀の買い支えで株式市場は好調で、株式運用をしている富裕層は潤っている。公務員や大企業従業員といった雇用と賃金が守られている層と、給与が下がり解雇に怯える層の、二層化が一層あらわになると思われる。
社会の不安定化も大いに心配だ。
(2020.8.10)