TBSテレビが令和臨調の提言を以下のように報じている。
・・・・・・・・・・
「政党のガバナンスはまるでなってない」。有識者が政治資金改革で緊急提言です。「令和臨調」運営幹事 新浪剛史氏(経済同友会代表幹事)
「一体どの程度お金がかかってるのか。入りと出を含めた政治とカネの全体像を国民に対して明らかにすべきだ」
経済人や学者らが参加する「令和臨調」が政治資金改革の緊急提言を行いました。
この中で、今の国会で合意すべき事項として▼パーティー券の購入者の公開基準を5万円にすること、▼政治資金収支報告書に虚偽記載があった場合、政治家本人も責任を負う「連座制」の導入などを求めました。
座長として会見した経済同友会の新浪代表幹事は“政治改革は昭和・平成で積み残されてきた”と指摘し、「国民の政治不信を払拭するような改革をぜひとも成し遂げていただきたい」と注文を付けました。
・・・・・・・・・・
実際の提言ははるかに複雑なものだがTBSの報道はガバナンスの欠如に偏重している。
確かに、民間企業に比べて政党は適切なガバナンスを欠いているという批判がある。 この認識にはいくつかの要因があるだろう。
透明性の欠如: 政党は民間企業と同じレベルの透明性を持って運営されていない可能性がある。 意思決定プロセス、金融取引、政党の運営は、企業部門ほど公開されていない。
党内力学: 政党は、多様なメンバーとイデオロギーを持つ複雑な組織だ。内部の権力闘争や派閥主義は、効果的な統治を妨げる可能性があるが活力源でもある。 民間企業が持つ権限系統の明確な階層的な構造とは大いに異なる。
限定的な説明責任: 政党は、民間企業と同じレベルの説明責任を負わない。 日本もそうだが多くの民主主義国では同様だ。有権者が選挙と選挙の間で政党に責任を問う手段は限られており、企業のリーダーが株主に対して行うほど、政党のリーダーは有権者に対して直接責任を負わない。
イデオロギーの役割: 政党は効率的な統治よりもイデオロギーの目標や政策上の立場を優先する。 価値観や原則に重点を置くと、ガバナンスへの配慮が薄れる。
短期的な視点: 政党にとって、主な目標は次の選挙で勝利することだ。これは、長期的なガバナンスを考慮するよりも当面の政治的利益を優先する意思決定につながる。
国民の認識と信頼: 政党は時々懐疑的な目で見られ、その統治能力に対する国民の信頼は低い場合があるが、我が国に限らず多くの国に見られる。 この信頼の欠如により、効果的なガバナンス構造を確立および維持する取り組みがさらに損なわれる。
政党と民間企業のガバナンスを比較するのはリンゴとみかんを比較するのに似ている。比較には限界があることに留意することが重要だ。大原則は、政党は選挙を通じて国民に対して説明責任を負うが、民間企業は主に株主に対して説明責任を負う。業績の悪い企業経営者は更迭される可能性が高いが、投票率の低い選挙では支持率が25%もあれば政権を維持できる。
選挙によって「禊が済んだ」などと政治家に言わせないことが望まれるが、投票に行かない有権者と「現状維持バイアスの高い」有権者が豊富なこの国では、政治にガバナンスを求めることは、無いものねだりと思わざるを得ない。
2024年2月4日 日曜日
この記事を読んでいかがでしたか?