世界の動き 2023年10月6日 金曜日

今日の言葉:
「逆イールドカーブ」
 米国債のイールドカーブはここ1年3カ月にわたり逆転している。つまり、10年物米国債の利回りが2年物の利回りを下回っている「逆イールド」の状態だ。  これは広く知られているように、強力な景気後退指標の一つだ。逆イールドが長期化するということは、深刻な問題が進行中であることを意味する。しかし、ここ数週間の長期債利回り上昇で、逆イールドは急速に縮小しており解消される可能性もあるかもしれない。
  逆イールドが解消されるのはリセッション(景気後退)が始まる直前という経験則がある。明らかに景気後退が迫っている時は、中央銀行が利下げを開始し短期債利回りを低下させるからだと考えられる。今の状況は恐ろしいことのように聞こえる。
  しかし、ここでもう一つの要素を加える必要がある。前述の通り、カーブの逆転解消は短期債の利回り低下によって起こることが多い。専門用語では「ブルスティープニング」と呼ばれる。今回は違う。長期債の価格下落(利回り上昇)による「ベアスティープニング」が原因だ。さらに、逆イールドの状態から始まる特殊なベアスティープニングだ。
 つまり、指標の見方次第で、リセッション入りかどうか判断がわかれる。Time will tell!

 

ニューヨークタイムズ電子版より
1.ロシアの空爆でウクライナの村で51人死亡
【記事要旨】
 ウクライナ北東部のフローザ村で昨日、通夜に集まっていた人々にロケット弾が直撃し、少なくとも51人が死亡したとウクライナ当局が発表した。
 商店を襲ったこの空爆は、ロシアによる本格的な侵攻が19カ月以上前に始まって以来、民間人に対する戦時中の最悪の攻撃の一つとなった。
 ここには、近くに明らかな軍事目標や産業目標はないが、一撃で村のほぼ半数が死亡した。
 ゼレンスキー大統領は今回の空爆を「明らかに残忍なロシアの犯罪」として非難した。
 クレムリンからは攻撃についてコメントはなかった。 ロシア政府はこれまで、民間標的を意図的に攻撃したことを否定してきた。
 共和党が政府機関を閉鎖寸前まで追い込み、その後自らの議長を解任するという先週の下院でのドラマも、共和党支持率の急激な低下を浮き彫りにした。
 民主主義を守る軍備を長年推進してきた共和党はバイデン大統領が要請した数十億ドルの援助を停止し、ウクライナ軍を長期的に支援するという政権の約束に異議を唱える可能性がある。
【コメント】
 ウクライナ・ロシア共に自国が優勢だとアピールしているが、戦争の行方はどうなっているのだろうか。確実なのは前線で若者の血が流されていることだ。

2.イラン人、少女の昏睡容疑で警察を疑う
【記事要旨】
 イラン国営テレビで放送された防犯カメラの映像には、日曜、テヘランの地下鉄車内に短い黒髪を露出した16歳のアルミタ・ゲラヴァンドさんが映っていた。 数分後、彼女は無意識の状態で引きずり出された。
  それ以来、アルミタは昏睡状態にあり、軍病院で警備員に守られている。 彼女に何が起こったのかは正確には明らかになっておらず、政府は彼女が倒れた理由を明らかにする可能性のある列車内の映像を公開していない。 しかし、この状況は怒りを増幅させ、イランの服装規定を強制する職員が彼女に危害を加えたに違いないという非難を引き起こした。
 女性に髪を隠すことを義務付けるイランのヒジャブ規則に違反した疑いで昨年、道徳警察の拘留中に22歳で死亡したマフサ・アミニさんとの比較がなされている。 彼女の死は全国的な抗議活動を引き起こした。
【コメント】
 ヒジャブ規則は西欧では理解できないが、ドグマで大衆を押さえようとするイスラム原理主義にとっては国の存続に係る問題だ。

3.TikTok、インドネシアでのショップ機能を終了
【記事要旨】
 インドネシアは先週、ソーシャルメディアプラットフォームでの電子商取引を禁止し、国内のTikTokショップは閉鎖を余儀なくされた。 これは、約3億2,500万人のユーザーを擁し、そのうち1億2,500万人がインドネシアのTikTokの東南アジアにおける野望にとって挫折となった。
 インドネシア貿易省によると、この措置は地元の商店を保護し、アルゴリズムによる市場の支配を防ぎ、ビジネス目的での個人データの使用を阻止することを目的としているという。 あるコンサルティング会社によると、同国の急速に成長する電子商取引市場の昨年の価値は約520億ドルで、そのうち約25億ドルがTikTokであったという。
【コメント】
 この規制は上手く行くのだろうか。規制をかいくぐる手法がすぐに現れると予想する。便利なサービスは規制では押さえられず拡大するものだ。

その他:
・ノーベル文学賞
 The Nobel Prize in Literature was awarded to the Norwegian novelist and playwright Jon Fosse. Here’s where to start with his work.
(全く知らない作家でした。以下「日々の栞」より引用。
『ヨン・フォッセ (Jon Fosse)はノルウェーを代表する現代劇作家だ。ヨン・フォッセは小説「赤、黒」で作家デビューし、その後小説だけでなく戯曲も手掛けている。
 ヨン・フォッセの戯曲は40以上の言語に翻訳されており、グローバルに大きな関心を集めている。ヨン・フォッセは、イプセンに続き最も頻繁に上演されるノルウェー人劇作家である。ミニマリズムを特徴とし、「間」をうまく使った戯曲は特徴的で世界中で評価されている。また、場面や台詞を繰り返すなど表現に面白さがある。
 前衛的な作風が特徴で、「イプセンの再来」や「21世紀のベケット」とも呼ばれる。
 戯曲の代表作としては、「だれか、来る」などがある。日本でも作品は上演されており、「だれか、来る」、「死のヴァリエーション」、「スザンナ」といった戯曲が上演されている。』
 日本語訳された小説・戯曲作品は無いようだ。村上春樹は残念でした。
・フォアグラを守る
 To protect its flocks and its foie gras from the ravages of bird flu, France has begun a mass vaccination of 64 million ducks.
(ワクチンを打てばよいのだろうか。日本の鶏はワクチンを打っていても処分されているが)
・バイデン、国境の壁再開
 In a significant reversal, President Biden’s administration waived regulations to expedite the construction of a border wall in southern Texas, where millions of migrants have reached U.S. soil.
(バイデンのこの動きはトランプに嘲られている。移民に優しい民主党ではなかったのか。)

2023年10月6日 金曜日