ポリティカル・コレクトネスについて

 ポリティカル・コレクトネスとは何か。Wikipediaでは以下のように説明されている。

 「ポリティカル・コレクトネス(英: political correctness、略称:PC、ポリコレ)とは、社会の特定のグループのメンバーに不快感や不利益を与えないように意図された政策または対策などを表す言葉の総称であり、人種、信条、性別などの違いによる偏見や差別を含まない中立的な表現や用語を用いることを指す。政治的妥当性とも言われる。
 具体例としては、例えば、看護婦・看護士に代わって性別を問わない「看護師」に統合したことや、母子健康手帳に代わって父親の育児参加を踏まえて親子手帳に変更したことなどが挙げられる。」

 政治家は発言に際しては特にPCへの配慮が必要で、森元首相東京五輪組織委員会会長が、JOCの臨時評議員会で『女性がたくさん入っている理事会は時間がかかる』と発言し、“女性蔑視だ”と批判を浴び、会長を辞任する事態になったことは記憶に新しい。

 今回の葉梨康弘法相の辞任劇も同様だ。都内の会合で「法相は朝、死刑のはんこを押す。昼のニュースのトップになるのはそういうときだけという地味な役職なんです」と述べた。その後、発言の説明、撤回、法相の辞任へと進んだ流れは皆さんご承知のとおりだ。死刑を軽んじ、法相の地位を軽んじた発言として糾弾された。本人は軽いジョークで言っただけなのに。

 葉梨法相には、実は期待していた。森友問題でのするどい質問ぶりが目に焼き付いていたからだ。

 葉梨氏のHPhttps://www.hanashiyasuhiro.com/5398から以下、引用する。
 「平成29年3月23日、予算委員会では17年ぶりとなる証人喚問が、衆参両院において行われ、私は、衆議院予算委員会で、自由民主党を代表し、籠池氏に対する尋問(証人喚問における質問は、正式には「尋問」と言います。)を行いました。」

 自民党代表として出てきた葉梨氏のねちねち尋問に、籠池氏が激高した場面があったと記憶する。さすがに元警察官僚という印象を受けた。

 今回法務大臣として入閣したのを知り、適材適所の印象を受けていた。更に、大きな問題になっている旧統一教会問題の解決のために法務大臣には活躍が期待され、葉梨氏はまさに適任の人と見えたので大いに期待していたのだ。

 それが何と言うことか、自民党内での会合で笑いを取るための自虐的なギャグが原因で辞任されたのは本当に残念だ。

 政治家としてポリティカル・コレクトネスに配慮が無かったのが命取りになったのだが、これほどまで正義を振りかざして追及するマスコミの在り方にはやや疑問を感じざるを得ない。葉梨氏を擁護する意見が自民党内や岸田派内から出て来なかったのは同氏の法務大臣としての能力の評価がそれほど高くもなく、人徳も無かったということであろうか。

2022年11月13日 日曜日