週間市場動向 2026年3月16日~20日 備忘録

【米国株式市場】
 この一週間の米国株式市場は、中東情勢と原油価格、そしてFOMCの政策判断に振り回される一週間だった。週初は反発したが、その後は原油高とインフレ再燃懸念で売りが優勢になり、週末にかけて主要指数は再び弱含んだ。

週初の反発
 3月16日(月)は、原油価格の落ち着きや供給不安の後退を受けて株高で始まった。ダウは一時400ポイント超上昇し、S&P 500とナスダックも上昇して、リスク回避の流れがいったん緩んだ。同日、S&P 500が0.25%、ナスダックが0.47%、ダウが0.1%上昇して引けて、エネルギー価格の一服が相場を支えた 。

火曜は堅調、でも警戒継続
 3月17日(火)は、指数は続伸したものの、S&P 500は0.3%、ナスダックは約0.5%、ダウは46.85ポイント高と限定的な上昇だった。投資家は翌日のFOMCを前に様子見姿勢も強めた 。市場では、イランをめぐる地政学リスクと原油価格の上振れが、引き続き最大の不安材料だった。

FOMCと急落
 3月18日(水)は、FOMCが政策金利を据え置き、しかもFRBがインフレ見通しを引き上げたことで、株式市場は急速に悪化した 。パウエル議長が原油高のインフレ影響に警戒感を示したことで、利下げ期待が後退し、ダウは769ポイント安、S&P 500も大きく下落した 。この日の市場は、「景気減速」と「インフレ再燃」が同時に意識される、いわゆるスタグフレーション懸念が重しになった。

木曜は戻し切れず
 3月19日(木)は、前日の急落後にやや落ち着きを取り戻す場面もあったが、相場の地合いは依然として弱いままだった。市場では、原油の上昇が続けば企業利益と消費の両方に悪影響が出るとの見方が強く、S&P 500は200日移動平均線を下回ったままで、テクニカル面でも慎重な見方が広がった 。

金曜の引け
 3月20日(金)時点では、S&P 500は週間で4週連続安に向かい、ダウとナスダックも弱含んだ 。S&P 500は3月20日に1.16%下落し、6530ポイントとなった。週末にかけても、原油高と中東情勢への警戒が解けず、投資家は「金利よりもエネルギー価格が市場を動かす」構図を意識し続けた 。

今週のシナリオ
 短期のベースケースは、荒い値動きのレンジ相場だ。強気に転じるには、原油の明確な反落と、FRBが年内利下げを維持するという安心感の回復が必要である。逆に、原油上昇とインフレ懸念が続くなら、3月20日までの弱さがそのまま4月初旬まで延長される可能性がある 。

【日本の株式市場】
 先週の日本株は、16日と17日は底堅かったものの、18日夜の米FOMCと原油高を受けて19日に急落した、という流れだった 。
​ 日別の動き
3月16日(月)は、日経平均が53,751.15円で0.13%安、TOPIXは3,610.73で0.50%安 。
3月17日(火)は、日経平均が53,700.39円でほぼ横ばい 。
​3月18日(水)は、日経平均が55,239.40円まで大きく上昇し、前日比では2.73%高 。
​3月19日(木)は反動安が強く、日経平均は53,372.53円、前日比3.38%安、TOPIXは3,609で2.91%安 。
 19日の急落は、原油が再び100ドル台に乗せたことでインフレ懸念が再燃したことが主因だった。加えて、FOMCが政策金利を据え置き、パウエル議長が地政学リスクの影響に慎重な姿勢を示したことで、米利下げ期待が後退した 。その結果、東証プライムの約9割が値下がりし、半導体株など成長株にも売りが波及した 。

【金融・為替市場】
 この期間は、米金利は高止まり、日本の金利は上昇基調、円ドルは円安方向という組み合わせで、株式市場には逆風だった。

米国金利
 米国では10年国債利回りが高い水準で推移し、3月中旬時点でも4%台前半にあった。3月18日のFOMCは政策金利を据え置いたが、FRBはインフレ見通しを引き上げ、利下げ期待をやや後退させた 。
 そのため、米金利は「下がって株を支える」というより、高止まりで株式の重しになる局面だった。

日本金利
 日本の10年国債利回りは3月19日に2.27%まで上昇し、前日比で0.05ポイント上がった。背景には、日銀が政策金利を据え置く一方で、将来の追加利上げ観測が残っていたことがある。日本の金利はゼロ金利近辺からは完全に離れ、じわじわ上昇する局面にある。​

円ドル相場
 円はこの期間、対ドルで弱含み。現在、ドル円は159.16円近辺で推移している。これは、米金利が相対的に高く、日本の金利上昇だけでは円を十分支えきれなかったことを示している。加えて、原油高や地政学リスクで「円高になりやすい安全資産需要」よりも、金利差を意識した円売りが勝ちやすい地合いだ。

【PE市場、PC市場の動向】
 直近のPE市場とPC(プライベートクレジット)市場は、まだ拡大局面を保ちながらも、明確に警戒モードが強まっている。
 特にPCでは、デフォルト増加、償還圧力、透明性への懸念が重なり、足元では「成長市場」から「健全性点検の市場」へ視線が移っている。

プライベートクレジット
 3月上旬にFitchは、米国のプライベートクレジット借り手の2025年デフォルト率が9.2%と過去最高になったと報じた 。
​ Reutersも、投資家の不安が広がり、BlackRockの関連ファンドが償還制限をかけたことや、他の大手でも資金流出・引き出し制限が目立つと伝えている。
 一方で、Deutsche BankのCEOは、懸念は続くがシステミックリスクとまでは見ていないと述べており、市場全体の崩壊というよりは個別案件・商品設計への疑義が先行している。

PE市場
 PE市場は、引き続きM&A回復期待の受け皿ではあるが、2026年入り後は資金調達と退出の両面で難度が上がっている。プライベート市場全体の文脈では、金利低下期待でスポンサーには追い風がある一方、ディールの選別は厳しくなっており、「案件はあるが、価格とレバレッジの折り合いがつきにくい」状態 。
 そのため、PEのテーマは成長投資そのものより、再編・セカンダリー・アセットクラスの組み替えに寄ってきている 。

市場の変化
 以前は、PCは銀行融資の代替として順調に拡大していたが、足元では「高い利回りの裏にある信用コスト」が強く意識されている。
 特に、PIK、CLO、半流動型ファンドの償還対応など、流動性が薄い商品設計の弱点が市場の焦点になっている。
 PE側でも、投資家はリターンだけでなく、退出可能性と資金拘束期間をより厳しく見始めている。

実務的な見方
 現時点では、プライベートクレジットは「崩壊」ではなく、価格再評価とガバナンス強化の局面である。
 PEも同様に、レバレッジを前提にした古い前提が通りにくくなり、スポンサー主導の成長よりも、資本効率とキャッシュ創出力が重視されやすくなっている。
 したがって、直近の実務上は、案件の魅力を見るだけでなく、償還条項、評価方法、貸出先セクター、そして出口戦略まで含めて点検する必要がある。

2026年3月21日 土曜日 晴れ
PM3:00 15℃ 今日は衣替えを少ししました。