12月16日から24日まで8泊9日のニュージーランド(NZ)ツアーに参加した。オーストラリアは何度か行ったことがあったがNZは初めてだった。旅の雑感を記してみたい。
【NZという国】
外務省の基礎データによると、国土は日本の4分の3。人口が530万人。首都はウェリントン、最大都市はオークランドで人口180万人。民族は欧州系68%、マオリ系18%、その他。公用語は、英語、マオリ語、手話(2006年から)
空港や公的施設では人口比以上にマオリ系の人を見かけた。
標記は英語に加えマオリ語でもされている。マオリ人はもともと文字を持たず、英国人と接触により、民俗語をローマ字表記するようになったそうだ。
【NZの自然】
NZは「世界の箱庭」と言われるようだが、確かに、南島の自然は変化に富んでいた。クライストチャーチからマウントクックへ3時間ほどバスで移動したが、その間に、オーストラリアの草原、英国の湖水地方の丘陵(行ったことはないが)、ノルウェーの氷河地形に酷似していた。
マウントクックでのトレッキング、ミルフォード・サウンドの船での一泊では、カナディアン・ロッキーとノルウェーフィヨルドを経験することができた。
ミルフォード・サウンドで晴れた夜、船上から南十字星を捜したが、どれがそうか結局よくわからなかった。南十字星のある南方の夜空は、はっきり見えなかったが、船を取り巻く漆黒の山際には天の川の一部がはっきり見えた。
南島でも北島でも、羊、牛をたくさん見た。馬や鹿も食用に育てているのを見た。人口密度の低い自然は、牧畜業、羊毛業の隆盛を支える自然でもある。
動物は、日本のように夜牧舎に帰らないで、自然の中で過ごすそうだ。乳牛は搾乳時間になると牧舎に帰ってくるそうだ。
【NZの産業】
第1次産品が主要産業であり、乳製品、肉類、木材・木製品、果実類、水産品、ワイン、羊毛類で輸出の7割程度を占めている。最近では、水素を含む再生可能エネルギー事業、宇宙航空産業等の新たな産業も見られる。
農林水産業分野はGDPの6.0%に過ぎないが、全物品輸出額の約7割が農林水産品。このため、ニュージーランド経済は、農林水産物の需要や価格を左右する世界の経済動向や為替相場に大きな影響を受ける。物品貿易相手国をみると、中国向けが25%(2013年以降豪州を抜き最大の貿易相手国)、豪州向けが13%、米国向けが12%と、上位3か国で過半を占める。日本は輸出先第4位(5.4%)。現在の3党連立政権は、今後10年間での輸出額倍増を掲げ、新たなFTAの締結や貿易使節団の派遣を通じた輸出増加・輸出先の多様化を推進している。(外務省資料より)
【お土産】
日本への土産物は、マヌカハニー、缶詰のバター、メリノウールの衣類が人気が高い。ツアーの同行者で手荷物に持ったお土産用の缶入りバターやマヌカハニーを出国時の荷物検査で取り上げられた人たちがいた。空港検査はとても厳しい。
入国検査はもっとうるさい。入国にビザは不要だが、電子申請が必要で注意しないといけない。税務申告も電子申請で、飛行機搭乗の24時間以内に申請する必要があり、面倒だ。
【ツアー】
18人に添乗員1人の団体だった。80以上の人が3人。私と同年齢(74歳)が4人。60台が11人という構成だ。
どこに行っても中国人の団体の多さに圧倒された。マウントクックでは台湾人のグループが多かったが、大陸の方々に比べ静かで丁寧で、好感を持った。
インド人も増えている。小さい子を連れた夫婦が多い印象だ。とても会話の音量が大きい。大陸(中国、インド、米国)の人たちは大声で自己主張し、島国の人(日本、英国、台湾、シンガポール)は小さい声でも意思の疎通ができるのだろうか。
【NZ株】
日本とは好対照の国であり、NZ株は日本株に対して自然にヘッジ効果を持つという印象を持った。
米国上場のNZ株対象のETFがある。iShares MSCI New Zealand ETF(ティッカー:ENZL, 上場市場:NYSE Arca)だ。
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MSCI New Zealand IMI 25/50 などニュージーランド株式で構成される指数に連動するETFだ。
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米ドル建てでニュージーランド株に分散投資でき、日本からも多くの証券会社経由でアクセス可能だ。
- 構成銘柄は以下だ。
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Fisher & Paykel Healthcare(医療機器・ヘルスケア関連)
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Auckland International Airport(空港運営)
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Infratil(インフラ・投資会社)
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EBOS Group(医薬品・ヘルスケア卸)
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Spark New Zealand(通信)
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Contact Energy, Mercury NZ, Meridian Energy(電力・エネルギー)
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Fletcher Building(建設・建材)
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不動産系リート・不動産会社(Goodman Property、Precinct Properties など)
これら上位10銘柄でポートフォリオの7割前後を占める構成になっており、ETFでの集中運用はとても珍しく、好感が持てる(それだけ市場規模が小さいということなのだが)。畜産業や乳加工業の銘柄が入っていないのは残念だが。
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【結論】
昔、大宅映子さんがNZを褒めていた。ゴルフ天国で、物価は安く、治安は良いということだった。物価は日本を追い越したが、のんびり老年を過ごすには良い国かもしれない。中国との間にはオーストラリアがあり、中国の圧力に直接対峙するリスクも少ないだろう(近接するクック諸島に中国が安全保障で接近しているらしいが) 。 英語が通じるのも良い。
NZに好印象を抱いた旅であった。
2025年12月28日 日曜日