週間株式市場動向 2025年12月22日から26日 備忘録

【株式市場の動き】
米国・日本ともに、19日終値→26日終値ベースでは「年末の薄商いの中で揃って上昇」、特に日本株の上昇率がやや大きい週でした。

米国株式市場の動き(19日→26日)
ダウ平均 19日:48,134.89 → 26日:48,710.97で約+1.2%上昇。
​12月最終週はクリスマス休場を挟む薄商いの中、AI・テック関連を中心とした年末ラリー基調を維持しつつ、26日は利益確定で小幅安と報じられています。

S&P500 19日:6,834.50 → 26日:6,929.94で約+1.4%上昇。
​期間中にS&P500は再び過去最高値を更新し、「ホリデー短縮週だが、年末ラリーが続いた」との評価で、年全体としても堅調なリターンをほぼ確定させる動きでした。

ナスダック総合 19日:23,307.62 → 26日:23,593.10で約+1.2%上昇。
​半導体やAI関連を中心にテック株が買われ、ナスダックは前週からの上昇基調を継続、ただし26日は出来高低迷とともに一服感も指摘されています。

日本株式市場の動き(19日→26日)
日経平均株価 19日:49,507.21 → 26日:おおよそ50,7百円台で約+2.4%上昇。
​週前半は方向感に乏しい展開でしたが、年末・配当権利取りの買いと、米株高・アジア株高を背景に週末にかけて上昇し、薄商いながら年初来高値圏に接近したと報じられています。

​TOPIX 19日:3,383.66 → 26日:3,423.06で約+1.2%上昇。
​銀行・自動車・インフラなどバリュー・大型株を含む広範な銘柄に買いが入り、TOPIXは史上高値圏を更新または接近し、アジア市場の年末ラリーの一角を形成しました。

全体評価(米国 vs 日本)
騰落率 米国主要3指数:+1.2〜+1.4%程度の上昇で概ね「落ち着いた年末ラリー」。
​日本(日経平均・TOPIX):それぞれ約+2.4%、約+1.2%で、特に日経平均の上昇率が米国指数を上回る形でした。

相場環境の共通点と違い
共通点:クリスマス休暇に伴う薄商い、年末ラリー(Santa Claus rally)期待の中でのリスクオン継続。
​相違点:米国はAI投資への評価や来年以降のFRB利下げペースへの思惑を織り込みつつ「高値圏維持・慎重な上昇」。
​日本は配当・優待権利取りの需給要因と、年初来の日本株人気継続が重なり、指数ベースでやや力強い上昇となりました。

【金利と為替の動き】
19日→26日の1週間では、米金利は小幅上昇、日本金利は高止まり圏で横ばい〜やや低下、ドル円は円安水準にとどまりつつ大きな方向感は出ていません。

米国の金利動向
米10年国債利回り
19日:おおよそ4.13〜4.16%前後(FRB統計・民間チャートはいずれも4.1%台半ばの水準を示唆)。
26日:4.14%(US 10Y利回り)。
1週間を通じると「4.1%台前半での小幅上昇〜横ばい」で、追加利下げ期待と年末の需給(債券売り・買い)のバランスが取れた形です。

米2年国債利回り
26日:3.49%で、前営業日比では0.03ポイント低下とされています。
直近1か月ではほぼ3.5%近辺で横ばいであり、「短期ゾーンはすでに複数回の利下げをかなり織り込んだ水準」と評されています。
​→ 全体として、長期金利は4%台前半にじり高、短期は3.5%近辺で横ばいと、「利下げサイクル入り後の落ち着いた金利環境」というトーンです。

日本の金利動向
日本10年国債利回り(JGB 10年)
26日:2.04%と報じられ、前営業日から0.01ポイント低下。
​過去1か月で約0.24ポイント上昇、前年比では約+0.94ポイントとされており、歴史的には依然として「極めて低いが、日銀マイナス金利解除後としては高めのレンジ」にあります。

日本20年国債利回り
26日:2.96%で、こちらも前営業日比0.01ポイント低下。
1年で約+1.07ポイント上昇とされ、超長期ゾーンでの金利上昇(イールドカーブのスティープ化)が続いてきたことがうかがえます。
​→ 1週間単位では10年・20年とも小幅に低下しており、「株高・円安の中でも日本金利は高止まり圏で小動き」という構図です。

為替(ドル円)の動き
ドル円レート(USD/JPY)
ヒストリカルデータでは、12月下旬のドル円はおおよそ1ドル=155〜157円台で推移しており、19日から26日にかけては「高値圏の円安レンジ内での小動き」にとどまっています。
​ 日銀のマイナス金利解除後も、日米長期金利差が依然として大きいため、構造的な円売り圧力が残っていることが背景とされています。
​  今週については、米10年金利が4.1%台前半へ小幅上昇、日本10年は2.0%前後で高止まりという構図の中で、ドル円は高水準の円安レンジ(おおよそ155円台近辺)を維持したと整理できます。

【為替介入のうわさ】
現状の水準(ドル円155円前後の高値圏)では「介入リスクは明確に意識されているが、直ちに実弾介入が入る確度は中程度」という評価が妥当です。

当局のスタンスと発言
財務省・政府
財務相・為替担当者は「一方的で急激な動き」や「投機的な動き」に対しては、適切な対応をとる(=介入も辞さない)と繰り返し警告しています。
​直近も「 フリーハンドを持っている」「過度な変動には大胆な行動を取る」といった表現が使われており、口先介入のトーンはかなり強い状態です。

口先介入の効果
12月下旬、ドル円が157円近辺まで上昇する局面で、当局の「介入示唆」発言後に155円台まで円高方向に戻すなど、言葉による牽制が一定の効果を持っていると報じられています。

介入が現実味を増す条件
レベル(水準)
市場参加者の多くは、157〜160円帯を「危険水域」、160円超〜162円前後を「実弾介入の可能性がかなり高まるゾーン」と見ているとの分析があります。
​ 過去の介入水準(150円台〜160円近辺)や、政府・日銀の警戒コメントが強まるタイミングとも整合的です。

【PE市場とプライベートクレジット市場の動向】
PE(プライベート・エクイティ)市場
ファンドレイズ
2025年のPEファンドレイズは、前年から減速が続き、2025年1〜9月で前年比▲20%前後の減少との推計が多く、「4年連続のスローダウン」とされています。
​特に5bnドル超のメガファンドが苦戦する一方、500mnドル未満の小型ファンドは前年比+10〜20%程度の増加とされ、LP資金はより小型・専門特化型に流れています。
​ディール・エグジット
高金利とレバレッジローン市場の制約から、バイアウトやレバレッジドM&Aの件数・規模はピーク時を大きく下回る水準にとどまっています。
IPO市場の回復は限定的で、セカンダリーやGP主導型取引、コンティニュエーションファンドなど「流動性確保のためのストラクチャー」が増加しているのが特徴です。

LP側の動き
ディストリビューション低迷(分配金の鈍化)と「デナミネーター効果」の残滓から、年金・保険など伝統的LPは新規コミットを絞り気味で、コミットは既存関係GP中心に集中する傾向です。
​ その一方で、個人富裕層やリテール経由の資金は着実に増えており、エバーグリーン型やオープンエンド型ビークルへの関心が高まっています。

プライベートクレジット(プライベートデット)市場
AUMと成長
プライベートクレジットAUMは、2025年時点で概ね2〜3兆ドル規模に達し、2030年に向けて倍増ペース(4〜5兆ドル)との予測が複数レポートから示されています。
​ プレキン等の推計でも、2025年のプライベートクレジットAUMは約2.3兆ドルから2030年に4.5兆ドルへ拡大との見込みが示されており、大手PEハウスでもクレジット部門AUMが年率十数%で伸長しています。

収益性と条件の変化
2025年は依然として「ミドルシニア・ダイレクトレンディング」で魅力的なスプレッド・総リターンが維持された一方、ディール競争の激化によりマージン(スプレッド)は5%未満まで低下、6%超スプレッドはレアになったとのデータがあります。
​ レバレッジ倍率は4倍超が約半数、5倍以上のディールも急増しており、PIK条項や緩和されたコベナンツの採用も増加、ストラクチャー面では「ややリスク選好が戻った」局面とされています。

ディールフローとプロダクトの広がり
銀行規制・バランスシート制約の影響で、LBOだけでなく、アセットベース・リアルエステート・インフラ・レシーバブルファイナンスなど、多様なクレジット商品に民間資本が入り込んでいます。
​ 私募クレジットCLO、コンティニュエーション・ビークル、ハイブリッドキャピタル(メッザニン、PREF、NAVファイナンスなど)といった高度なストラクチャーの組成が増加し、市場の「証券化・二次流動化」が進行中です。

PEとプライベートクレジットの関係性
相対的な資金シフト
一部の大手オルタナ運用会社では、総AUMに占めるプライベートクレジット比率が上昇し、逆にPE比率がやや低下する動きが確認されています。
​ LPにとっては、PEのエグジット停滞でキャッシュが戻らない一方、プライベートクレジットはクーポン収入と比較的短期のリサイクルが見込めるため、「キャッシュフロー重視の配分変更」が起きているとの指摘があります。

マクロ環境とのリンク
金利低下局面入りとはいえ、名目金利はまだ高水準で、フローティングレート主体のプライベートクレジットは利回り面で依然魅力的です。
​ 一方で、景気減速やレバレッジ拡大に伴う信用リスク蓄積も意識されており、「貸し手にとっては良い時期だが、セレクションとストラクチャー管理が決定的に重要」というのが直近のコンセンサスに近いです。

2025年12月27日 土曜日