今日の一言
「SP500は一服 金利上昇が心配」
S&P500は、先週末の6日にかけて6000ポイント台を回復した。米中協議の進展に対する期待が拡がったことが大きい。
一応6000台を回復したことで、市場には一服感が広がり、目先はボックス圏での相場の動きが見込まれる。四月のトランプショックの下げの時期に米国株を増やした投資家は30%以上の利益を上げており、利益の確定売りも出てくるだろう。
懸念材料は、トランプの減税案が成立した際の政府のデフォルトで、長期金利は上昇している。
日銀の国債購入減少政策の見込みで日本の長期金利も大幅に上昇しており「市場では40年物国債利回りが3.675%まで上昇(価格は下落)し、昨年末からの上げは1%を超えた。30年物も3.185%になり、ともに過去最高を更新した。」(10日日経新聞)米国より、自国の状況を心配すべき状況だ。
ニューヨークタイムズ電子版よりTop3記事
1.なぜ米軍がロサンゼルスに駐留しているのか?
【記事要旨】
米国において、国内での軍事力行使は稀で、通常は極めて深刻な状況に限って行われる。トランプ大統領は、ロサンゼルスでの移民強制捜査に対する抗議活動に対応するため、4,000人の州兵と700人の海兵隊を派遣することで、自らの権限を極限まで押し広げている。
カリフォルニア州当局は昨日、ロサンゼルスにおける海兵隊と州兵の派遣を連邦政府所有地の保護に限定する緊急命令を裁判所に申し立てた。「トランプ大統領は米軍をアメリカ国民に敵対させようとしている」と、カリフォルニア州知事のニューサム氏はソーシャルメディアに投稿した。「裁判所はこれらの違法行為を直ちに阻止しなければならない」
トランプ大統領は自身の対応を擁護し、「もし我々が介入しなければ、今頃ロサンゼルスは燃えているだろう」と述べた。
私は、ペンタゴンを担当するタイムズの同僚は、 「州兵は山火事、国家災害、さらには抗議活動への対応において地方自治体を支援するためにしばしば派遣されるが、通常は州知事と連携して行われる。この政権の他の多くの事柄と同様に、トランプ大統領は法の限界を押し広げている。」と述べる。
現役軍人は、大統領が反乱法を発動しない限り、国内法の執行に携わることが禁じられている。この反乱法は、連邦軍の米国領土内での運用を認めるものだ。。「ロサンゼルスの抗議活動は散発的で、都市生活に広範囲に影響を与えていないため、反乱と見なすのは難しい」と同僚は述べた。
ロサンゼルスの現地で取材している同僚は、抗議活動は広範囲に及んでいないと述べた。「ロサンゼルス全域で起きているわけではなく、ダウンタウン全体で起きているわけでもない「ダウンタウンの一部、主に連邦政府ビル周辺で起きている。」と述べた。
同僚の一人は、警官が発砲した群衆制圧用の弾丸に当たり、かなり激しい、瞬間的な痛みを感じたという。
【コメント】
軍のガバナンスについては米国でもしっかり確立していないように見える。トランプのような大統領の下ではいつでも自在に軍を動員して政府への抗議運動を弾圧できることになる。
2.オーストリアの学校での銃乱射事件は欧州最悪の事件の一つ
【記事要旨】
オーストリアの高校で昨日、元生徒が校内で銃を乱射し、少なくとも10人を殺害した後、自殺したとみられる。オーストリア第2の都市グラーツで発生したこの事件は、近年の欧州における学校銃乱射事件の中でも最悪の事件の一つとなった。
州警察によると、銃撃犯は21歳で、合法的に購入した拳銃と長銃を所持していた。女性7人と男性3人を殺害し、学校のトイレで遺体で発見された。
この事件はオーストリアに衝撃を与えた。シュトッカー首相は3日間の服喪を宣言した。
フランスでは、中学校で荷物検査中に教務助手が数回刺されて死亡した。警察は14歳の生徒を逮捕した。
【コメント】
学校での銃乱射と言えば米国の専売特許だったが、欧州にも広がって来た印象だ。向学心や明日への希望が顕著に下がっている日本への影響が懸念される状況だ。
3.アッバス議長、ハマスはガザから撤退すべきだと主張
【記事要旨】
パレスチナ自治政府のアッバス議長は、フランス大統領府宛ての書簡で、ハマスに対し「武器を引き渡し」、全ての人質を解放し、ガザ支配を停止するよう求めた。
この書簡は、来週ニューヨークで開催されるパレスチナ国家樹立を巡る国連会議に先立ち提出された。フランスのマクロン大統領は、フランスがパレスチナ国家を承認するための条件として、ハマスの武装解除を含むいくつかの条件を提示している。
その他の中東関連ニュース:
・5カ国が、ガザからのパレスチナ人追放を求めたイスラエルの極右閣僚2人に制裁を発動した。
・トランプ大統領は、イランの核開発計画をめぐる交渉において、イランが米国の提案の主要部分を拒否したようだと述べた。
・イスラエルは、ガザ行きの援助船内で拘束されていたグレタ・トゥーンベリ氏ともう1人の活動家について、国外追放したと発表した。
【コメント】
アッバス議長の発言は当然だ。以前自治政府が支配していたガザで人心が離反したところをハマスが浸透し実質的に支配するようになったからだ。
マクロン大統領はG7で初めてパレスチナ自治政府を国家として認めるようだが、ハマスが排除されても「自治」を取り戻すのは容易ではない。産業が無く、廃墟のみ残るガザを誰がどうすれば治めて行けるのだろうか。
その他の記事
貿易:米国と中国は、相互に課している制限を緩和する合意に達するため、ロンドンで2日目の協議を行った。
経済:世界銀行の報告書によると、トランプ大統領の貿易政策により、世界経済は今年、急激に減速すると予測されている。
中国:日本の防衛大臣は、中国海軍が演習を行うため、初めて太平洋に空母2隻を派遣したと述べた。
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テクノロジー:メタ社は、「スーパーインテリジェンス」を追求する新たなAI研究施設の発表準備を進めている。
英国:政府は、新たな原子力発電所の建設に約190億ドルを費やすと発表した。
ロシアとウクライナ
EU:欧州委員会は、ロシア産天然ガスをヨーロッパに供給するノルドストリーム・パイプラインとの取引禁止を含む、ロシアに対する新たな制裁を提案した。
ウクライナ:ロシアによるウクライナの都市への夜間攻撃は恐ろしいもので、多くの都市で安眠が不可能になっている。
ロシア:2022年のロシア侵攻後にウクライナ東部から連行されたアメリカ人教師が、数ヶ月連絡が取れなくなっていたが、ロシアの刑務所で発見された。
2025年6月11日 水曜日