良薬は口に苦し

英語では、Good medicine tastes bitter. という日本語そっくりの表現がある。中国では「良藥苦於口」と言う言葉が論語にある。日本語のことわざはこれが語源なのかもしれない。

血糖値の薬を長いこと服用しているがここしばらくHbA1cが漸増傾向だ。医者の勧めで薬の一つを変えることにした。

リベルサスという薬で、効能書きによれば、「この薬は、経口GLP-1受容体作動薬と呼ばれる薬で、1日1回の使用で効果が持続するように製剤的な工夫をした薬です。この薬は、主に膵臓(すいぞう)にはたらきかけ、血糖値が高くなると、インスリンの分泌を促して血糖値を下げます。」という効果があるようだ。従来は注射でしか手に入れられなかった薬が、経口で使用できるようになったということで、期待が膨らむのだ。

普通の薬と違い胃で吸収するので(普通の薬は腸で吸収)飲み方が特殊だ。起床時にごく少量の水で服用し、その後30分は飲食が禁じられている。

この薬はとても苦い味がする。少量の水しか飲めないので余計に苦みを強く感じる。まさに「良薬口に苦し」といってよいだろう。

政府は先日5つの経済対策を打ち出したが、その実行手段は15兆円に及ぶと言われる補正余談だ。秋には解散総選挙もうわさされるなか、有権者に実感できる「甘味料」の大盤振る舞いになりそうだ。

いつから我々は、滅亡前の古代ローマのように「パンとサーカス」にしか関心を持たない国民になってしまったのだろうか。昨日のTVの報道番組ではほとんどが、ジャニーズ問題かウクライナ情勢を取り上げていた。辺野古の埋め立て問題、同司法判断、水俣病の判決、統一教会の自民党への関与、労働組合のあり方等、国内政治問題が沢山あると思うが、一向に取り上げられない。

今週はノーベル賞ウィークだが、今年も日本人受賞者は出てこないようだ。先端科学技術分野やGAFAに代表されるITビジネス分野で日本の後退は明らかだが有効な対策は打ち出されていないように思われる。

資金も人材も限られている中で、国民に甘味料をバラまくのは止めて、口に苦くても良薬を処方する政治が求められていると思う。それを受け入れる国民が存在するのが前提だが。

2023年10月7日 土曜日