世界の動き 2025年2月10日 月曜日

今日の一言
「概ね良好」
 日米首脳会談は大きな波乱がなく終了し、メディアの扱いも概ね良好だった。以下Bloombergの記事より。
 『予想以上の成果
 石破茂首相はトランプ米大統領との初会談で、良好な関係を築き、緊密な同盟の確認と経済関係の深化に向けたロードマップ(工程表)の合意を取り付けたようだ。 日鉄については「USスチールを所有するのでなく、同社に大規模な投資を行うことで合意した」とトランプ大統領は述べた。
 コンサルティング会社アジア・グループのワシントン在勤VPユカ・ハヤシ氏は石破氏のアプローチについて、交渉を通じ取引(ディール)をまとめるトランプ氏のやり方へのひな型を提供するものだと指摘。予想を上回る成果を上げたと評価した。』
 その後の報道では、石破首相は日鉄の投資の具体的なやり方をトランプ大統領に提示したそうだ。買収でなく投資と位置付ける方法は不明だが、優先株でも使うのだろうか。
 日本国内では、日経新聞の「金メッキの時代の始まり」という辛口のコメントもあるが、昨夜の日本テレビは石破首相をなま出演させ、思い切り持ち上げていた。
 「概ね良好」な結果で、首相の支持率が上向くと思われる。

ニューヨークタイムズ電子版よりTop3記事
1.連邦裁判所はトランプ大統領に対する最後の防壁になるかもしれない
【記事要旨】
 最近数日間で、州司法長官、労働組合、非営利団体がトランプ大統領の大統領令の電撃攻撃に歯止めをかけようと40件以上の訴訟を起こした。JD・ヴァンス副大統領は昨日、大統領の命令を阻止する可能性のある裁判官は違法行為をしていると非難した。
 従順な議会と、街頭や共和政党内での大きな抵抗がほとんどないことを考えると、政府の司法部門が大統領の権力に対する唯一の抑制手段かもしれない。しかし、行政府には迅速かつ断固たる行動能力が委ねられているのに対し、司法部門は遅いが、9件の連邦裁判所の訴訟における司法命令は、しばらくの間、政権の手を部分的に縛ることになるだろう。
 対外援助:金曜日、USAIDの職員が有給で停職処分を受けるか解雇される数時間前に、裁判所は限定的で一時的な措置を阻止する命令を出した。何千人もの職員が宙ぶらりんの状態に置かれ、機関に頼る世界中の何百万人もの人々は信じられない思いで見守った。
 移民:トランプ政権による合法・違法を問わず移民の取り締まりは、少なくとも10件の訴訟を招いた。

トランプについてさらに詳しく:
・トランプ大統領は、ジョー・バイデン前大統領の下で勤務した現職の法執行官と元国家安全保障当局者のセキュリティクリアランスを剥奪するとホワイトハウス当局者が述べた。
・金融監視機関である消費者金融保護局Consumer Financial Protection Bureauの職員は、業務を停止するよう指示された。
・トランプ氏とその息子たちが発表した新しい仮想通貨で、数人の初期のトレーダーが数千万ドルを儲けた。しかし、はるかに多くの投資家は損失を被った。
・トランプ氏は、南アフリカの白人が「不当な人種差別の被害者」であると主張し、難民として米国に移住することを許可する大統領令を出した。
・大手テクノロジー企業のほとんどは、新政権への求愛に熱心だ。エヌビディアとマイクロソフトは注目を避けている。
【コメント】
 司法の独立がトランプに対する最後の砦のようだ。

2.イスラエル軍、ガザを二分する重要地帯から撤退
【記事要旨】
 イスラエル軍は昨日、ネツァリム回廊から撤退し、ガザ北部のほぼ全域を手放した。この動きは、長期停戦に向けた協議を前に、ハマスとの不安定な停戦によって必要だった。
 現在、イスラエル軍の駐留はエジプト国境近くのガザ南部のごく一部と、イスラエル国境沿いの緩衝地帯にほぼ限定されている。
 帰国:ハマスは土曜日、イスラエルに投獄されているパレスチナ人183人と引き換えに、イスラエル人人質3人を解放した。2023年10月7日に誘拐されたタイ人5人も帰国した。
 解放された人質たちは今や自宅に戻り、自分たちが耐えてきた苦痛の様子が少しずつ明らかになり、ソーシャルメディア上で安堵と喜びを表現している。
【コメント】
 イスラエル軍の行動は、トランプ発言と呼応したもののようにも見える。

3.インドで数十人のマオイスト反乱分子が殺害されたと当局が発表
【記事要旨】
 インド中部のチャッティースガル州で昨日行われた政府軍の作戦で、マオイストのゲリラ31人と警察隊員2人が死亡したと警察当局が発表した。
 背景:ナクサライトの反乱は1960年代にインド東部で始まり、暴力は2010年にピークに達し、数百人の民間人と治安部隊員が殺害された。
 政治:ナレンドラ・モディ首相率いる与党は、ニューデリーで行われた重要な地方選挙で圧勝した。
【コメント】
 「ナクサライト」とは,貧農や下位カーストの権利保護や土地改革を標ぼうし,地主や警察当局を攻撃する極左過激組織及び毛沢東主義極左過激組織(マオイスト)の総称である。名前の由来は,1967年3月にベンガル北部ナクサルバリ地区で武装蜂起した農民集団が地主の土地や国有地を占拠し,「解放区」と称してゲリラ活動の拠点にしようとしたことにある。
 ベンガル地方での武装活動は1970年代初めに当局の取締りによって終息したが,後にインド各地に広まった同様の武装活動を継続させた集団は,総称して「ナクサライト」と呼ばれるようになった。代表的組織は「インド共産党毛沢東主義派」(CPI-M)である。
(内閣情報局のHPより)

その他の記事
イタリア:
 欧州人権裁判所は、有毒廃棄物の不法投棄や焼却が長い間がんと関連づけられてきた地域で、イタリアが市民を保護していなかったと認定した。
スペイン:
 マドリードに集まったヨーロッパの極右指導者たちは、トランプの脅しに対する不安を脇に置き、共通の敵であるEUに焦点を当てた。
セルビア:
 全国で数カ月に及ぶ抗議活動の後、同国の大統領は、10年以上の政権下で最大の政治危機を乗り切るのに苦戦している。

2025年2月10日 月曜日

多子家庭の大学学費無償化について

 昨日の日経新聞で知って驚いた。制度の概要は以下だ。
 『2025年度(令和7年度)から、多子世帯の大学等の授業料等が、所得制限なく国が定める一定額まで無償化されます。これは、文部科学省による高等教育の修学支援新制度の拡充策です。
【対象となる世帯】
扶養する子どもが3人以上いる世帯
2025年4月に入学する学生、または2025年4月時点で前年度から在学中の学生
【支援内容】
大学等の授業料・入学金が国が定める一定額まで無償化(減額)
現金支給ではなく、各学校の授業料等が減額される
【支援の要件】
扶養の基準には年齢の制限はありません
扶養されている子どものうち1人が卒業や就職などで扶養から外れると、残る兄弟も支援対象外となる可能性があります』

 随分気前の良い制度だ。日本の初任給は高卒と大卒で開きがあるので、Fランクの大学でも大学を出ておいた方が賃金上は優位だ。この制度が適用されると、大学全入時代の今日ではどんな大学でも良いので大学にとりあえず入れておこうということになるだろう。勉学にいそしむ気が無くても、無償なら行っておこうと思う若者も多いだろう。

 私が大学に入ったときは(1971年)国立大学の授業料は年間12000円だった。県立高校の授業料(年間36000円)より安くて、驚いた記憶がある。当時、早稲田や慶応の授業料が年間80000円だったと記憶する。大学に子供を送ろうと考える親は、生活費を切り詰めても学費は工面するのが普通で、国の支援を期待することは無かった。

 無理に補助金を与えてどんな大学でも良いから全入を図る(これを家庭の所得による学歴格差をなくす手段だと野党が主張し、与党も同調している)よりも、国公立大学の授業料は低く抑え、一定の学力のある者にメリットがある制度の方がずっとまともだと思う。

 特に優秀なITエンジニアが不足している現状を打破するには理系の国公立大学を国が支援し、優秀な学生が集まる制度が必要だ。欧米ではSTEM(science, technology, engineering, mathmatics)の卒業生の数を競争しているが日本はその競争に後れを取っている。

 これだけ生成AIやAIエージェントが発達してくると現在の多くのホワイトカラーの労働はAIに代替されてしまうだろう。人間に残された仕事は、エッセンシャルワーカーの仕事が中心になる日がすぐそこまで来ているようだ。

 高校の無償化、給食費の無償化、大学の無償化と、政府支出の大盤振る舞いだ。お金をもらって嫌な人は少ないから選挙対策のバラマキと言う面が強いだろう。

 AIの発達で過剰になる大卒労働者を生み出すよりも、近未来の社会の動きを見通したもう少し賢明な政府資金の使い方に知恵を絞るべき時だ。

2025年2月9日 日曜日

AIエージェントのガバナンス・内部監査 備忘録的メモ

 2025年はAIエージェント元年になりそうだ。
 AIエージェントの実際の働きぶりについてはYouTubeでいくつも映像がアップロードされているので「AIエージェント Operator」とか入力して、見て欲しい。凄い機能だ。

 2023年に登場し、一瞬で世界中に広がった生成AIとAIエージェントは何が違うか? 以下が主要な違いだ。
・行動の仕方:AIエージェントは自律型で、自ら考えて適切な判断を下し、与えられた目標に対して必要なタスクを実行する。一方、生成AIは受動型で、人間の指示に基づいて行動し、指示に対する回答を出力する。
・主な機能:AIエージェントは複合的なタスクの効率化に適しており、環境とのインタラクションや状況判断に優れている。生成AIはクリエイティブな業務や新しい情報・アイデアの生成に特化している。
・学習プロセス:AIエージェントは利用者のフィードバックや最新の情報を絶えず学習する。生成AIは事前にセットされたデータ以外の学習は行わない。

 AIエージェントの主要なリスクは以下の3つ。
1.自律性:
 エージェントが勝手に判断し実行までしてしまう。購買や在庫管理をAIエージェントがする場合、何かの不具合で誤った大量発注や不良在庫が発生するリスクがある。
(便利さが怖さに直結する)
2.傾向のバイアス:
 商談や人事にをAIエージェントに任すと、エージェントの基準が組織に蔓延することになり、人事や商談の進め化方で、長年の内にバイアスが蓄積される。
(これは人間がやっていても同じだが)
3.複数のエージェントの介在:
 エージェントの導入が進むとエージェント同士の交渉や、エージェントが自分のサブエージェントを作って業務を推進すると言った、人間のコントロールが効かない事態が生ずる恐れがある。
 (こうした状況はすぐ身近に来ている)

 AIエージェントを内部監査する際に注意すべきポイントは以下:
・データガバナンス:AI導入の計画段階から内部監査が関与し、データ品質や利用方針に潜む問題点を早期に洗い出すことが重要である。データの標準化や品質管理を確認し、意思決定の精度を落とすリスクを防ぐ必要がある。
・倫理リスクの把握:AIが生み出す可能性のあるバイアスや不当な差別に注意を払う必要がある。システム監査やデータ解析の知識だけでなく、法的・社会的なリスクを視野に入れたモニタリングが不可欠だ。
・セキュリティリスク:AIエージェントが扱う機密情報や個人データの保護に注意を払う必要がある。
・内部不正の防止策として、AIの利用範囲や用途を明確にしたポリシーの策定、厳格な承認フローの設定、監査システムの導入などが重要。
・専門知識の習得:内部監査人はAIに関連する規制、AI監査のフレームワークやガイダンス、テクノロジーに関する専門知識やスキルを習得する必要がある。
・組織間連携:人権問題やコンプライアンスの観点も含めて、他部門との連携を密に行うことが重要である。

 AIエージェントのガバナンスで注意すべき点は以下。
・エージェントの行動の見える化:どのエージェントがいつ、何をして、どんな結果を得ているか情報を記録し、必要に応じて、参照したり監査したりできるようにしておくこと。
・エージェントの行動の制約:エージェントが勝手にやって良いこと、人間の承認が必要なことを峻別しておくこと。
・大量のエージェントが相互作用しあう状況を想定し管理体制を敷くこと:どのエージェントが(つまりはそれを使用した人間が)問題を起こしたか、認定できるようにしておくことが重要になる。

 AIエージェント導入の初期段階ではIT部門が担当していればよいかもしれないが、全社的にエージェントの導入が進むと、人事、法務、営業といったユーザー部門とも連携し、「AIエージェント管理委員会」のような部門横断的な組織が必要になる。

2025年2月8日 土曜日

世界の動き 2025年2月7日 金曜日

今日の言葉
「初動の大切さ」
 埼玉県八潮市の道路陥没は発生から11日が経過した。現場に流入する水量を減らすために周辺の住民に水の仕様の大幅な制限が呼びかけられ、バイパス水路の建設が進められているという。
 こんなに大事になるとは最初は思わなかった。穴に落ちたトラックがはっきりと見え、運転手と会話ができたからだ。この事故には、八潮市の消防署が最初に対応しその後埼玉県も出てきて、現在は自衛隊の支援も検討しているようだ。
 当初から自衛隊に依頼し特殊部隊に救出を頼んでいれば救出の可能は高かったと素人は思うのだ。自衛隊のヘリコプターは小型戦車の運搬能力があり、災害救助の経験も豊富だ。事故発生後すぐに救出を要請すれば違った展開になっていたのではないかと悔やまれる。
 未だに「救出」という言葉を使っているが、発生後11日経過した現在、どこかで「遅れた初動」を打ち切って、現地の修理復旧に軸足を置いた「復旧段階」へ転換すべき時期が来ている。

ニューヨークタイムズ電子版よりTop3記事
1.トランプ大統領、ガザ占領計画に固執
【記事要旨】
 トランプ大統領は昨日、戦後のガザを掌握しパレスチナ人を移住させるという自身の提案を擁護し、地球上で「最も偉大で最も壮大な開発」の一つをガザに築くと約束した。
 イスラエル国防相がガザの人々が自発的に立ち去ることを許可する計画を軍に作成するよう命じたと発言したことを受け、トランプ大統領は米軍をガザに派遣しないと強調した。
 トランプ大統領の発言は、ガザの人々がどこに行くのか、誰が飛び地を統治し、安全にするのかなど、計画に関する最大の疑問のいくつかに答えを出さなかった。彼の空想的アイデアはまた、最初の6週間のフェーズが3月上旬に終了するイスラエルとハマスの停戦協定から目をそらした。
 トランプ大統領の側近は水曜日に大統領の発言を和らげようとしていた。しかし翌朝、トランプ氏はさらに強硬姿勢を強めた。「戦闘が終結すれば、イスラエルはガザ地区を米国に引き渡すだろう」とトランプ氏は昨日、トゥルース・ソーシャルに書いた。

トランプ氏についてさらに詳しく
・米国領土内で不法移民に出生による市民権を廃止しようとするトランプ氏の取り組みを阻止するため、裁判官が差し止め命令を出した。
・米国が資金提供している世界各地の研究の凍結により、何千人もの人々が実験段階の薬物や装置を体内に残されたままになっている。
・裁判官は、連邦政府職員に辞職期限を課すことを政府に一時的に禁じた。ホワイトハウスによると、4万人以上の職員がこの申し出を受け入れた。
・日本の首相は今日、貿易と安全保障に関する保証を期待してトランプ氏と初会談する予定。
・インド議会は、米国から強制送還される移民が虐待を受けたとの報道をめぐり大騒ぎとなった。
・欧州右派にとって、予測不可能なトランプは味方であると同時に敵でもあるかもしれない。
・米国全土で数千人がトランプに抗議したが、これは全国的な運動を開始するための草の根運動の一環である。
・トランプは、トランスジェンダーの女性が女子スポーツに参加することを禁止する大統領令に署名した。
【コメント】
 トランプ発言への対応を日本の予算委員会で岩谷外相が追及されたが、具体的な回答は無かった。
 石破首相がトランプ氏に会談で何を言われるかは全く予測不能だ。

2.スウェーデンの学校銃撃事件の経緯
【記事要旨】
 当局は、スウェーデン中部の静かな大学都市オレブロにある成人教育センターでの攻撃について詳細を発表し始めた。
 警察は昨日、少なくとも11人が死亡した銃撃事件の容疑者を特定し、DNA鑑定を待っていると発表した。動機の詳細については明らかにしなかった。
 火曜日のキャンパスの混乱した状況については説明した。現場に到着した警官は、花火の煙と銃弾の雨に遭遇した。銃撃は激しかったため、何人の銃撃犯がいたかはわからなかった。
 警察の対応:オレブロの警察署長によると、混乱とパニックの中、130人の警官は誰も銃撃に応じなかった。約1時間後、警官は死者の中に銃撃犯を発見した。近くには3つの武器と少なくとも10個の空弾倉があった。
【コメント】
 一人の犯人がそれほどの弾幕を作れるものか、130人もの警官がどう対応したのか、発表では理解できない点が多い。

3.1月は記録上最も暑い1月
【記事要旨】
 科学者らは昨日、世界各地で人々が寒さで震え上がる中、地球は記録上最も暖かい1月を迎えたと発表した。この暖かさは、太平洋のラニーニャ現象中に起きたため、気象研究者らにとっては驚きだった。ラニーニャ現象は、一時的に平均気温を下げる傾向がある。
 地球は過去2年間、大半の期間非常に暖かく、科学者らは炭素排出量を超えて、地球の化学反応の何か他のものが変化して気温上昇の原因になっているかどうかを調べ始めている。
【コメント】
 筆者の立場は、Co2濃度と地球温暖化は「因果関係」ではなく「相関関係」だと言うものだ。地球の気候は多くの要因で形成されてるものだと思うので、この記事にあるような動きは歓迎だ。

その他の記事
テスラ:
 同社の取締役会は、工場の1つで人種差別があったという苦情に対処するため、さらなる努力をすると約束した。
気候:
 デンマークのオーステッドとノルウェーのエクイノールは、どちらも挫折と市場の変化を受けて、グリーンエネルギーへの野望にブレーキをかけた。
カナダ:
 フェンタニルはカナダにとって大きな公衆衛生上の脅威。日によっては、オピオイドの過剰摂取で死亡するカナダ人の数がアメリカ人よりも多い。

2025年2月7日 金曜日

世界の動き 2025年2月6日 木曜日

今日の一言
「USAID」
 USAID米国国際開発局は、アメリカ政府の機関として世界各地で人道支援事業を展開するため、1961年にケネディ大統領によって設立された。職員約1万人を雇い、その3分の2は国外で働いている。60カ国以上に拠点を持ち、それ以外の数十カ国でも活動している。しかし、現地での作業の大部分は、USAIDが契約し資金提供している他の組織が請け負っている。政府データによると、アメリカは2023年に680億ドル(約10兆円)を国際援助に使った。
 USAIDの活動範囲は広範だ。例えば、飢餓に苦しむ国々に食料を提供するだけでなく、食料が不足しそうな場所をデータ解析で予測しようとするUSAIDの飢饉検出システムは、世界標準として広く活用されている。
 USAIDの予算の多くは、ポリオ予防接種のほか、パンデミックにつながり得るウイルスの拡散を防ぐための健康事業に使われている。
 ケネディ大統領によってつくられ、米国の世界への善意を具現化する機関だったが、トランプ社長の儲からないという判断で行方は暗澹たるものだ。

ニューヨークタイムズ電子版よりTop3記事
1.トランプ大統領の側近らはガザ占領計画を撤回しようとした
【記事要旨】
 中東の指導者や世界中の主要な米国パートナーは、パレスチナ人をガザから追い出し占領するというトランプ大統領の提案に即座に反対した。世界が警戒する中、政権高官らは昨日、トランプ大統領の計画の要素を和らげようとした。
 マルコ・ルビオ国務長官は、トランプ大統領はガザを一掃して再建することだけを提案しており、占領するつもりはないと示唆した。上院議員によると、中東担当のスティーブ・ウィトコフ特使は非公開の会議で共和党上院議員らに、トランプ大統領は「地上に米軍を派遣したくないし、ガザに一切米ドルを費やしたくない」と語った。
 ガザ占領提案は数十年にわたる国際外交を覆し、中東で反発を招いた。サウジアラビアは「明確な拒否」を表明し、エジプト外務省は「パレスチナ人が立ち去ることなく」ガザへの支援を開始しなければならないと述べ、ヨルダン国王はいかなる移住の試みも警告した。ガザのパレスチナ人は非難と困惑の入り混じった感情を表明した。
 国連報道官は「人々の強制的な移住は民族浄化に等しい」と述べた。専門家は、米国によるガザの占領は国際法違反となるだろうと述べた。
 障害:ガザを「中東のリビエラ」にするというトランプ氏の考えは時間がかかり、莫大な費用がかかる。
 分析:トランプ氏の計画は実行不可能に見えたため、一部の専門家はそれを交渉戦術とみなした。

トランプ氏についてさらに詳しく
・ある判事が、米国内で不法移民や一時移民の子女に米国市民権を自動的に付与する権利を廃止しようとするトランプ氏の試みを阻止した。
・クレムリンは、ウクライナ戦争を終わらせるための和平交渉の可能性についてトランプ政権と協議中であると述べた。
・トランプ氏は2期目の就任から数週間、法の支配をほとんど尊重していない。
・トランプ氏の対外援助凍結により、世界中で何百万人もの人々がHIV治療を受けられなくなっている。
・CIAは、連邦職員の削減命令に従うため過去2年間に同機関が雇用した全職員のリストをホワイトハウスに送った。
・イーロン・マスク氏はなぜ、ほとんどのアメリカ人が聞いたこともない政府機関にこだわっているのか?
・司法省高官は、1月6日の暴動の犯人を捜査した捜査官の身元を明らかにすることを拒否したFBI長官代行と最高補佐官を「不服従」と非難した。
・アメリカ最大の労働組合連合は、マスク氏の連邦職員粛清に反対するキャンペーンを開始している。
・大統領の義理の娘(トランプの次男エリック・トランプの妻)であるララ・トランプ氏は、フォックス・ニュースで自身の番組を司会する。
【コメント】
 ガザをアメリカの物に! 米国不動産株式会社社長であるトランプ氏の面目躍如だ。

2.反政府勢力がゴマを占領し、数千人が死亡
【記事要旨】
 コンゴ民主共和国のゴマ市では反政府勢力とコンゴ軍の戦闘で、先週、約3,000人が死亡した。
 「この数字はおそらく増えるだろう」と、国連平和維持軍の副司令官は語った。
 今週中、家族や人道支援活動家らは、200万人の人口を抱えるゴマ市内のあふれかえる遺体安置所に安置された死体を埋葬するために奔走した。機械式掘削機は、埋葬のために長い溝を掘るのに何日も費やした。
 背景:国連がルワンダから資金援助を受けているとしている反政府勢力M23は、1月26日にゴマへの進撃を開始し、4日間で同市を完全に制圧した。戦闘の大半は停止しているが、同市の制圧により、コンゴ、ルワンダ、およびそれぞれの同盟国の間でより大規模な戦争が起こるのではないかという懸念が高まっている。
【コメント】
 この辺のニュースは日本のメディアには全く出てこない。フジテレビのニュース馬鹿りだ。

3.日産とホンダの合併交渉が行き詰まる
【記事要旨】
 日産自動車とホンダの合併交渉は、世界最大級の自動車グループが誕生するはずだった合併契約の発表から2か月も経たないうちに行き詰まった。交渉に詳しい人物によると、日産はホンダの計画を拒否した。ホンダは、会社の最終的な組織についてホンダに発言権を与え、日産を子会社化するというものだった。
 背景:ホンダの幹部は、日産の財政状態が悪化していることを懸念して交渉に臨んだ。しかし、両自動車メーカーは電気自動車やソフトウェア搭載車への移行に苦戦している。
【コメント】
 この時点での交渉の破談は日産にとって存亡の危機だ。日産株は空売りのターゲットにされるだろう。ルノーは持分をどうするのだろうか。鴻海に売れば、鴻海の子会社化の話が再び出てくる。

その他の記事
フランス:
 政府は議会での不信任決議を乗り切り、2025年度予算の最終承認への道が開かれた。
アルゼンチン:
 ハビエル・ミレイ大統領は、自国が世界保健機関から脱退する計画を発表した。
貿易:
 米国の物品貿易赤字は昨年、過去最高の1兆2000億ドルに達した。

2025年2月6日 木曜日