世界の動き 2024年6月25日 火曜日

今日の言葉
「夏は来ぬ」
 「卯の花の匂う垣根にホトトギス早も来鳴きて」というのは名曲の出だしだ。
 卯の花はウツギの花だそうで、咲くのは5月ごろ。ホトトギスの鳴き声が聞かれるのも5月だ。俳句では4月から6月が夏だから、ピッタリの季語だ。
 実際の気候はどうか。ここ数日酷暑が続く。5月から10月まで夏日がある。
 一年の内半年が夏になっている。
 『さわやかな 初夏をとばして 夏来る』

ニューヨークタイムズ電子版よりTop3記事
1.ダゲスタン攻撃でロシアでテロへの恐怖が再燃
【記事要旨】
 ロシア南部のダゲスタン地方で日曜日、組織的な攻撃と思われる事件が発生し、少なくとも20人が死亡した。同地域で過去14年間で最悪の死者を出した攻撃となった。
 ロシア当局はこの攻撃をテロ行為と認定したが、誰が犯人かはすぐには明らかにならなかった。銃撃犯は警察署のほか、シナゴーグや正教会を標的にした。犠牲者のうち15人は警察官だった。1人は正教会の司祭で、教会で殺害された。襲撃犯が特に警察官を狙っていたかどうかは不明だ。
 当局によると、最終的に5人の襲撃犯が治安部隊に射殺された。
 この攻撃は、イスラム教徒が多数を占める北コーカサス地方を1990年代後半から2000年代初頭にかけて襲った激しい暴力を彷彿とさせる。当時の流血事件はイスラム原理主義と組織犯罪の組み合わせによって引き起こされた。 1999年に権力を握ったロシアのウラジミール・プーチン大統領にとって、この抑圧は自慢の種の一つとなった。
 その遺産は今、暴力の再燃によって脅かされている。3月には、モスクワ近郊のコンサートホールで4人の銃撃者が145人を殺害した。イスラム国がこの襲撃の犯行声明を出した。
 分析:日曜日の襲撃は、ウクライナ戦争がロシアの経済と治安機関に負担をかける中、ロシアが直面している課題の増大に光を当てた。
【コメント】
 ウクライナとの戦争で人員を割かれ治安の維持が手薄になっているとの見方がロシア国内でも広がっているようだ。プーチン批判の萌芽を期待したい。

2.イスラエルは、ガザでの戦争はまもなく新たな段階に入ると述べた
【記事要旨】
 イスラエルのネタニヤフ首相とギャラント国防相の最近の発言は、同国がまもなくガザでの作戦を減らし、レバノンのヒズボラに焦点を移す可能性があることを示唆している。
 ネタニヤフ首相は日曜日、「ハマスとの戦争の激しい段階はもうすぐ終わります」と述べたが、これは戦争が終わることを意味するものではないと付け加え、停戦が近いという考えを否定した。
 ギャラント氏は昨日ワシントンを訪れ、CIA長官や他の米国当局者とガザとヒズボラについて協議した。米国はレバノンでのイスラエル軍の新たな攻撃を阻止しようとしている。
 ガザ市:ガザの救急車移動の調整を担当していた高官がイスラエルの攻撃で死亡したと、ガザ地区の保健省が昨日発表した。
 裁判所:ニューヨークで提起された訴訟では、パレスチナ人のための国連援助機関の高官らが、ハマスが10億ドルの援助金を横領したことを知っていたと非難されている。この訴訟には高い法的ハードルがある。
【コメント】
 ネタニヤフがハマスの根絶への確信を高めたのと、ヒズボラとの二面作戦の遂行の困難さが、首相とイスラエル軍の発言の理由だ。
 ガザの戦闘が停止することは無く、住民の人的被害は続くと見る。

3.暑さによる死者数でハッジ業界の闇が露呈
【記事要旨】
 今月、サウジアラビアの聖地メッカへのイスラム教巡礼中に、猛暑で1,300人以上が死亡した。
 今年の死者数が前年より多いかどうかは不明だ。サウジアラビアはこうした統計を定期的に公表していない。当局によると、死者のほとんどはハッジに登録されていなかった。許可証を持つ巡礼者はエアコン付きのバスで移動し、エアコン付きのテントで休むが、許可証を持たない巡礼者は暑さからほとんど身を守ることができない。
 犠牲者数によって、旅を必死に望んでいるイスラム教徒から利益を得ている詐欺ツアーオペレーターや密輸業者の闇が露呈した。
【コメント】
 ハッジにはサウジ政府が発行する許可証が無ければ参加できないはずだ。許可証の無い闇ハッジがお目こぼしになっていたとすると、ツアーオペレータだけでなく政府の担当者を巻き込んだスキャンダルになりそうだ。

その他のニュース
中国:
 広東省で洪水と土砂崩れが発生し、少なくとも47人が死亡した。
韓国:
 ソウル近郊のリチウム電池工場で火災が発生し、少なくとも22人が死亡したと当局が発表。そのほとんどは中国からの移民労働者だった。
フィリピン:
 ロドリゴ・ドゥテルテ前大統領の麻薬撲滅戦争を批判して拘束されていた元上院議員のレイラ・デ・リマ氏は、すべての容疑を晴らした。
英国:
 来週の選挙を前に保守党への支持が急落している。
アフリカ:
 多くの国が旧宗主国フランスを嫌っている。しかし、ルワンダはフランスの文化と投資を受け入れている。
英王室:
 アン王女は、原因不明の事故で脳震盪と軽傷を負い、入院した。
気候:
 新たな研究によると、世界中で過去20年間に大規模な山火事の頻度と激しさが2倍以上に増加している。
貿易:
 世界的な輸送費が高騰しており、商品の不足や遅延の懸念が高まっている。

テクノロジー
Apple:
 同社は、App Store 向けアプリケーションの開発者に不当な制限を課したとして、EU の新法に基づき告発された。
東アジア:
 人気のメッセージング アプリ Line の運営会社を所有する韓国と日本の合弁企業内の緊張により、両国間の温暖化関係が冷え込む可能性がある。

2024年6月25日 火曜日

世界の動き 2024年6月24日 月曜日

今日の言葉
「日本株ブーム失速」
 『今年に入ってからの日本株の記録的な騰勢は、すでに遠い記憶になりつつある。外国人投資家は6月14日まで、4週連続で売り越した。コーポレートガバナンス改革や日本銀行の金融政策見通しが依然不透明であることを理由に、シティグループやアバディーンなどは日本株に対して悲観的な見方を強めている。』(Bloomberg記事より)
 完全に上値が重い展開だが、日本だけが特に具合が悪いわけでは無い。NYCではNVIDIAの一本足打法が続いてきたが、これ以上高値が続くか誰もがおっかなびっくりだ。ウクライナ、ガザ、米国・欧州の選挙の行方と、リスクオフの要因は幾らでもある。

ニューヨークタイムズ電子版よりTop3記事
1.イスラエル市民のハマスへの非難とガザの人々への同情の少なさ
【記事要旨】
 イスラル南部の右派やリベラルの拠点で行われたインタビューや、国中の住民へのインタビューによると、一部のイスラエル人はガザで苦しんでいる人々への配慮を示すのに苦労している。
 イスラエル人はガザの惨状を知っているが、10月7日にパレスチナ人が同情を示さなかったと言えばなぜ同情を示す必要があるのか​​と国内の多くの人々が疑問を抱いている。
 彼らは、戦争を開始し、ガザの住宅地に潜伏し、民間人を危険にさらしているのはハマスだと非難している。そして、ホロコースト以来ユダヤ人にとって最も死者を​​出した10月7日の攻撃の痛みは、いまだに生々しく、ますます怒りに覆われている。
 イスラエルの主流メディアもガザの民間人の苦しみに焦点を当てることはめったになく、戦闘で亡くなった兵士の葬儀やプロフィールを放送の冒頭で取り上げるのが常だ。
 外交:イスラエルのヨアブ・ギャラント国防相は昨日、米国高官との会談のためワシントンを訪問した。イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相は、バイデン政権によるガザ戦争への軍需品の配布について新たな不満を表明した。
 ヨルダン川西岸:イスラエルの有力当局者は、私的なイベントの録音されたスピーチの中で、政府は占領地の支配を固めるために秘密裏に活動していると述べた。また、土曜日にはイスラエル軍が負傷したパレスチナ人を軍用車両に縛り付けたが、その様子がビデオに撮られてすぐに拡散し、怒りを招き、イスラエル軍による調査が約束された。
【コメント】
 イスラエル市民の感情を報道する記事だ。見出しの「ハマスへの非難とガザの人々への同情の少なさ」が市民の見方の総括だ。

2.ロシアの共和国で武装集団が少なくとも6人を殺害
【記事要旨】ダゲスタン共和国
 地元当局によると、ロシア南部のダゲスタン共和国の2つの都市で武装集団が少なくとも6人の警察官と1人の司祭を殺害した。国営通信社は、10人以上の警察官が負傷したと報じた。当局によると、シナゴーグ、少なくとも2つの教会、警察署への攻撃は、計画的に行われたようだ。
 ロシアの国営通信社は、地元の法執行当局者の話として、10人以上の警察官が負傷したと報じた。銃撃は首都マハチカラとアゼルバイジャンとの国境にある都市デルベントで発生した。ロシアのFBIに相当するロシア捜査委員会は、テロ捜査を開始したと発表した。
 地域:ダゲスタンはイスラム教徒が大多数を占める共和国だが、ユダヤ人の人口も多く、少なくとも30年間暴力が激化している。イスラエルとハマスの戦争が勃発して以来、同地域での民族的、宗教的緊張は悪化している。
【コメント】
 ダゲスタン共和国はカスピ海に面したロシアの共和国の一つ。
 国名はトルコ語で山を意味する”dağ”にペルシャ語の地名の接尾辞である”-stān”(スターン)が付いて「山が多い場所」を意味する。山岳地帯が人々の自由な行き来を妨げたため、非常に多様な民族が混在し今でも部族的な生活を送っている。(Wikipedia)

3.EUと中国、貿易戦争回避の試行に合意
【記事要旨】
 中国とEUは、関税案をめぐる激化する紛争の解決に向け協議すると発表した。数十億ドルの貿易が危機に瀕している。
 EUが中国からの電気自動車に最大38%の関税を課すことを提案し、中国が欧州からの豚肉輸入に関税を課すと脅したことを受けて、この明らかな緊張緩和が起きた。
【コメント】
 欧州も対中政策で一枚岩ではないからこれからいろいろな協議が行われることだろう。

熱波
ハッジ:
 毎年恒例のメッカ巡礼で数百人の巡礼者が亡くなった後、エジプトは医療などのサービスを提供していないとして16の旅行会社の免許を停止したと発表した。
米国:
 過去7日間、国土の大半を襲った早い熱波は終わりが見えてきたが、まずは焼けつくような暑さが数日続くと予想される。

その他のニュース
HIV:
 アフリカで行われた大規模な臨床試験の結果、新しい抗ウイルス薬を年に2回注射すると、若い女性がウイルスから完全に保護されることがわかった。
ウクライナ:
 ロシア軍機が投下した爆弾により、今週末、ハリコフで少なくとも4人が死亡した。ウクライナは同盟国に対し、ロシア空軍基地に使用できるよう、西側諸国の兵器に対する制限をさらに緩和するよう求めた。
貿易:
 バイデン政権は、中国の軍事力強化に利用できる可能性がある重要な中国のハイテク産業への米国の新たな投資を抑制する計画を概説した。
フランス:
 極右勢力が台頭する中、一部の有権者は国が厳重に封鎖できる国境を持つことを望んでいる。エマニュエル・マクロン大統領はこれを注視している。
ドイツ:
 ドイツのための選択肢党のビョルン・ヘッケ党首は、着実に国内の主流派を極右に傾け、過激主義の土壌を育てている。
中国:
 ジェットスキーで中国から逃亡した反体制活動家クォン・ピョン氏は、中国、そして韓国から脱出する助けとなった一連の賭けについて初めて語った。

2024年6月24日 月曜日

沖縄慰霊の日

今日は沖縄慰霊の日だ。那覇市のHPには以下の説明がある。

 『慰霊(いれい)の日は、1945(昭和20)年6月23日に日本軍の組織的戦闘が終結した節目として琉球政府や沖縄県が定めた記念日。日付は6月23日で、沖縄県の自治体が定めた記念日のため、県庁や各市町村役場、公立の小・中学校、高校などは「公休日」になる。毎年、慰霊の日には糸満市摩文仁の平和祈念公園にて沖縄全戦没者慰霊祭が行なわれ、平和の礎へたくさんの遺族が訪れ礼拝している。』

 Wikipediaによると、両軍の人的被害は以下だ。
 『日本側の死者・行方不明者は188,136人で、沖縄県外出身の正規兵が65,908人、沖縄出身者が122,228人、そのうち94,000人が民間人である。日本側の負傷者数は不明。戦前の沖縄県の人口は約49万人であり、実に沖縄県民の約4人に1人が亡くなったことになる。
 アメリカ軍側は死者・行方不明者20,195人となったが、これは1944年12月に戦われた、西部戦線最大の激戦の1つであるバルジの戦いの戦死者最大約19,000人を上回るものであり、戦傷者は最大で55,162人、戦闘外傷病者26,211人を加えた人的損失は実に投入兵力の39%という高水準に達したため、ハリー・S・トルーマン大統領らアメリカの戦争指導者たちは大きな衝撃を受けて、のちの日本本土侵攻作戦「ダウンフォール作戦」の方針決定に大きな影響を及ぼした。』

 県民の4人に一人が、しかも終戦からわずか半年前から2か月前の間に亡くなったということは驚くべき事実だ。

 沖縄戦の記録を読むと日本軍は「沖縄の長期維持で本土決戦までの時間を稼ぐ」ことを目的としており、沖縄県民や若者(女子のひめゆり部隊の悲劇が良く知られる)は捨て駒として扱われている。県民を守るという姿勢は軍司令部には少しもみられない。

 かかる大きな犠牲を払いながら、沖縄には在日米軍基地の7割以上が現在も存在し、騒音や軍用機の墜落の危機や米兵による乱暴狼藉が続いている。

 「少なくとも県外」と言った首相がいたが、日本全体で米軍基地の在り方を考えるべきだ。その前提として日本の国防の全体像の再検討が必要だ。

2024年6月23日 日曜日

都知事選のポスター

 自宅近辺を散歩するだけでも4つのポスター掲示場がある。これらを見ての雑感だ。(以下敬称略)

 小池、蓮舫、石丸という有力三候補はすべての掲示板にポスターが貼られている。もう一人の有力候補と言われる田母神は半分に貼られているが、組織力・資金力の弱さが否めないという印象だ。

 今ニュースになっている同じポスター(猫とか犬の写真もあるそうだ)が多数張られる光景は無い。

 諸派候補で、4か所全部にポスターが貼られているのは、東京都の補選で選挙妨害で逮捕者が出たつばさの党の候補と、在日の特権を糾弾する団体のヘッドの候補者だ。これらのグループは、資金力や組織動員力はかなりありそうだ。

 他の諸派の候補は、数か所にポスターを掲示してる。タレントの清水国明は我が家の近くの一か所。どの辺にポスターを貼れば効果的か分析しているのだろうか。

 そうそう、ドクター中松を忘れていた。彼のポスターは4か所すべてに掲示されている。実際の年齢は96歳だが、ポスターの写真は70歳代だと思われる。「積分すれば知識と経験で他の候補を圧倒的に凌駕する」とポスターに書いてあった。それはそうかもしれないが、任期満了時は100歳だ。米国民がバイデンに投票するよりも私にはハードルが高いと思った。

2024年6月22日 土曜日

世界の動き 2024年6月21日 金曜日

今日の言葉
「都知事選挙」(以下サンケイ新聞の記事より)
 『都の人口1400万人はベルギーより多く、年間予算16・5兆円はスウェーデンと遜色がない。国内総生産(GDP)の都内分である都内総生産約113兆円はオランダ並み。欧州諸国1国分の規模を誇る東京は地盤沈下の危機にある。今月発表された都の合計特殊出生率は初めて1を割り込み、「0・99ショック」に見舞われた。
 生まれる子供が減る一方、一極集中が進む。都外からの流入が人口増を支え、国全体の活力を奪いながら、東京は急激に老化している。
 東京の麻痺(まひ)は国家の危機に直結する。都の課題は、国にとっても重要な論点であり、今回の都知事選を好機として、大きな議論につなげることが重要となる。
 過去には、首都のトップが国を動かした。都知事時代の石原慎太郎氏は「玄関が狭くて客が来なければ、この国はますます衰弱する」と訴え、「羽田空港再国際化」の道筋を付けた。
 羽田の強化は、現在も東京の国際競争力を支える。首都のリーダーには今、国を動かす政策と行動力が求められている。』

 東京は衰退しているか?不動産の状況や企業業績を見ればまだ活況とも思える。東京の問題は突き詰めれば日本の問題だから、狭い東京都の枠内で考えるのではなく、日本の課題解決のブースターとしての役割がますます求められる。

ニューヨークタイムズ電子版よりTop3記事
1.プーチン大統領、北朝鮮訪問後にベトナムを訪問
【記事要旨】
 ロシアのプーチン大統領は昨日、平壌で北朝鮮の金正恩委員長と会談した翌日にベトナムを訪問した。
 大きな進展はなかったが、ウクライナ侵攻で孤立を深めるロシアにとって、今回の訪問はロシアに国際的な正当性の見せかけを与えた。
 プーチン大統領とベトナムの指導者たちは慎重な態度を貫いた。両国は共産主義の歴史を共有しており、モスクワは長い間ベトナムの主な武器供給元だった。しかしハノイは最近、米国との距離を縮めている。訪問前、米国当局はベトナムを非難し、「いかなる国もプーチン大統領に侵略戦争を推進する場を与えたり、残虐行為を正常化させたりするべきではない」と述べた。
 北朝鮮訪問の影響:ロシアが今週北朝鮮と署名した防衛協定は、北朝鮮からの安全保障上の課題が増大すると予想していた韓国と日本の当局者を動揺させた。これは北京にとっても頭痛の種だ。この条約は地域における対立のリスクを高め、米国とその同盟国が中国周辺での軍事的プレゼンスを強化するきっかけになる可能性がある。
【コメント】
 プーチン大統領は人道に関する罪で国際指名手配を受けているので動ける国が限られる。狭い範囲で動きを速めている印象だ。
 ベトナムは日本や米国との関係をつよめており、北朝鮮のような孤立国とは状況が違う。俺たちはもともとすごく仲が良かったよね、というノスタルジックな訪問だ。

2.イスラエル軍とネタニヤフ首相の対立
【記事要旨】
 何カ月もの間、ガザでの戦争の方向性をめぐってイスラエル軍とネタニヤフ首相の間に亀裂が生じているとの報道が飛び交っていた。今週、その亀裂が公になった。
 最も鋭く、公然とした亀裂は、軍の首席報道官であるダニエル・ハガリ少将の異例の率直な発言によってもたらされた。水曜日にイスラエルのテレビで放映されたインタビューで、ハガリ少将はネタニヤフ首相のハマスに対する「絶対的な勝利」の約束に反論したようだ。「ハマスを破壊し、消滅させることが可能であるという考えは、国民の目を曇らせるものだ」と彼は語った。
 ネタニヤフ首相の事務所は、軍と政府がともに「ハマスの軍事力と統治能力の破壊」に取り組んでいるとの声明をすぐに発表した。
 分析:ハガリ氏の発言は、イスラエル軍指導者の間で、ガザの管理責任を任されるかもしれないという懸念が高まっていることを反映していると、イスラエルの退役将軍は述べた。
 米国:ネタニヤフ首相が火曜日、米国が一部の重火器を差し控えていると非難した後、ホワイトハウスの報道官は昨日、同首相の発言を「非常に残念」と評したが、イスラエルの戦争遂行方法について意見が分かれている同盟国からのコメントだ。
 ガザ:ガザのほぼすべての人々がイスラエルとハマスとの戦争の恐怖から逃れる唯一の方法は、隣国エジプトを経由して脱出することだ。しかし、それは仲介人やエジプトの会社に何千ドルも支払う複雑で費用のかかる試練だ。
【コメント】
 ハマスは組織ではなく思想だという見解だ。殲滅したと思っても適切に管理されなければ再びガザで頭をもたげてくるというのがハガリ氏の考えだ。ネタニヤフ首相は戦いはハマスの「殲滅まで」と言うが、ハガリ氏は、どこまで進めば和平のポイントになると考えているのだろか。

3.オランダ首相がNATOを率いる準備が整う
【記事要旨】
 オランダの退任首相マーク・ルッテ氏は、ルーマニア大統領が立候補を取り下げたことを受け、次期NATO事務総長に選出される見通しだ。
 57歳のルッテ氏は、2022年以降、ウクライナに対するオランダの軍事支援を30億ドル以上に上回る額にまで引き上げてきた。同氏は、NATO全体の民主主義と国家主権を守るためには、ロシアとの戦争でウクライナを支援することが不可欠だというNATOの主要メッセージをますます強調している。
【コメント】
 NATOの事務総長は歴代欧州の有力政治家が務めてきた。NATO軍司令官は歴代米国から指名されている。
 ルッテ首相とは(NHKの報道より)
 オランダのルッテ首相はハーグ出身の57歳。2010年から首相を務め、ヨーロッパではもっとも在任期間が長い首相の1人です。
 ルッテ首相のもと、オランダはウクライナへの支援を積極的に行ってきました。ドイツの研究機関「キール世界経済研究所」によりますと、ことし4月末の時点で、オランダによる軍事支援はアメリカ、ドイツなどに次いで5番目に多い金額で、ウクライナに対するF16戦闘機の供与もいち早く表明しました。
 その背景のひとつにあるのが、10年前にウクライナ上空で旅客機が撃墜された事件です。旅客機はオランダ発で、オランダはもっとも多くの犠牲者を出しました。
 ルッテ首相は去年9月に国連総会で行った演説で、旅客機はロシアに撃墜されたという見方を示した上で、「この日、オランダの国民と世界中の人たちは、平和や自由、正義は与えられるものではなく、絶え間ない努力を必要とするものだということを思い知らされた」などと述べました。
 そのうえで、ロシアによるウクライナ侵攻を改めて強く非難し、ウクライナへの支援を国連加盟国に訴えるなど、ルッテ首相はウクライナを支持する姿勢を強く示してきました。

その他の主要記事
米国:
 北東部と中西部南部を襲った熱波は4日目に突入。米国人の約1億人が猛暑注意報の対象となっている。
フランス:
 12歳のユダヤ人少女の強姦疑惑で国内の緊張が高まり、反ユダヤ主義が今後の選挙の主要課題となった。
トランプ:
 ドナルド・トランプに対する機密文書事件の判事は、同僚らの2023年に辞任するという提案を却下した。同判事はトランプによって任命された。
テロ:
 米軍陪審は元アルカイダ司令官に戦争犯罪で30年の懲役刑を命じた。司法取引により、彼の刑期は2032年に終了する。
抗議:
 2人の環境活動家がストーンヘンジの一枚岩にオレンジ色の粉を撒いたとしてイングランドで逮捕された。

経済
英国:
 イングランド銀行は、インフレ率が5月に2%に減速したにもかかわらず、金利を据え置いた。
EU:
 EUは、EU加盟国への液化天然ガスの販売によるロシアの利益を対象とする制裁を含む新たな制裁に合意した。
フランス:
 EUは、総選挙まで2週間を切った時点で、債務を抑制しなければ罰金を科せられると警告した。

2024年6月21日 金曜日