世界の動き 2024年12月18日 水曜日

今日の一言
「貸金庫」
借りたことはないが、担当したことはある。副カギは顧客の割印をもらって保管しているので、銀行の人間が勝手に開封できないようになっていた。検査部の臨店が年に一度あり厳しいチェックを受けていた。三菱UFJ銀行の管理とチェックは、余りにずさんなので驚く。
顧客からの開設依頼に対しては随分慎重に対応していた。一見のお客さんからの開設依頼を受け付けようとして処理していたら、渉外担当の課長から「こんな背景の客がピストルでも預けたら危ないから止めておけ」と言われ、貸金庫担当の課長がその顧客にお断りに伺っていたのを思い出す。

ニューヨークタイムズ電子版よりTop3記事
1.ウクライナはモスクワでロシア将軍を殺害したと発表
【記事要旨】
ロシア軍の核兵器および化学兵器防衛部隊の指揮を執る将軍が昨日モスクワの路上で爆弾により殺害された。ウクライナが殺害したと主張している。
イゴール・キリロフ将軍と補佐官は住宅ビルの近くで爆​​発物が爆発し死亡した。将軍は「禁止されている化学兵器の大量使用」と言う犯罪の責任者であるとウクライナは述べた。
米国の高官は、ロシアのプーチン大統領の厳しい反応を招けば逆効果になる可能性があると警告した。
ウクライナは先月、クリミアで起きた自動車爆弾テロでロシアの上司令官を殺害したと主張している。
米国は、ロシアに派遣された北朝鮮軍が初めて死傷者を出したという「兆候」を確認している。
【コメント】
犯罪者には死を、ということだろうが、こういう戦争の仕方はこれまでなかった。

2.ガザでの戦闘停止への楽観論が高まる
【記事要旨】
ハマスは、ガザでの戦争を終結し、残りの人質を解放するために「真剣かつ前向きな協議」が行われていると発表した。
レバノンとシリアでの戦争での弱体化や、ドナルド・トランプの選挙勝利などに後押しされて、協議が動いている。
詳細:調停者らは戦闘停止について協議しており、60日間の戦闘停止から始まり、ガザでまだ捕らえられている約100人の人質が、イスラエルで投獄されているパレスチナ人と引き換えに解放する。 協議を仲介してきたカタールとエジプトは、当初の戦闘停止が続くことを期待している。
【コメント】
何度もこういう状態までは来たが、今回こそまとまるかと期待させる内容だ。数日で結果はわかるだろう。

3.シリアの反政府勢力指導者、すべての武装集団を解散すると誓う
【記事要旨】
シリアで1週間前に政権を握った反政府連合の指導者は、国内のすべての武装集団を解散させると述べた。指導者のアハメド・アル・シャラAhmed al-Shara氏は、すべての反政府勢力戦闘員を国防省の管轄下に置くと述べたが、どのように、いつ達成されるかは明らかではない。
アサド大統領の失脚後、ダマスカスの新政権は、ほぼ14年間続いた内戦の後の安定を演出しようと努めている。
ダマスカスを占領する前、反政府勢力は何年もイドリブ市を支配していたが、住民によると、反政府勢力は厳しい法律を施行したが、公共サービスも改善したという。
イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相は昨日、シリアのイスラエル支配地域を訪れ、軍将校らと会談した。
【コメント】
国内を安定させようとすると周辺各国や米国、ロシアの思惑が絡んでくる。国家再建は一筋縄では行かないだろうと同情する。

その他の記事
ベトナム:
中国に関税を課すというトランプ氏の決定により、同国北部は恩恵を受けた。トランプ氏の再任でその成長は加速するだろうか?
デンマーク:
日本で訴追されている反捕鯨活動家のポール・ワトソン氏は、グリーンランドで拘束されてから5カ月後に釈放された。
宇宙:
米国の政府機関は、イーロン・マスク氏とスペースXが国家機密を保護するためのプロトコルを遵守していたかどうかについて、少なくとも3件の調査を開始した。

2024年12月18日 水曜日

世界の動き 2024年12月17日 火曜日

今日の一言
「USスチールの買収」
昨年末、日本製鉄が一株55ドルで買収を発表する直前、USスチールの株価は39.28ドルだった。買収価格は4割のプレミアムが乗っており総額約2兆円の買収計画だった。買収発表後株価は50ドル近くまで上昇した。
現在の株価は32.74ドル。市場は買収の可能性は全く消滅したと見ていることがわかる。
一方、こんなニュースも出てきた。
ソフトバンクグループが今後4年間で米国に1000億ドル(約15兆4000億円)を投資する計画だと、トランプ次期米大統領が発表した。同社の孫正義会長兼社長と並んで開いたイベントでトランプ氏は、「孫氏は選挙後の米国に大きな楽観を感じているからこそ、この投資を行う」と発言。関係者によると、ソフトバンクGの計画にはAIと関連インフラを中心に10万人の雇用創出を約束することも含まれる。
ソフトバンクの素早い動きと、新旧ビジネスの金額の桁の違いにも驚かされる。

ニューヨークタイムズ電子版よりTop3記事
1.シリア反政府勢力指導者、制裁解除を要求
【記事要旨】
シリアで政権を握った反政府連合の指導者アハメド・アルシャラ氏は、昨日の記者とのインタビューで、緊急の優先事項は、米国と他の国々にシリアに対する制裁を解除するよう促した。彼の過激派グループであるハヤト・タハリール・アル・シャムに対するテロ指定を解除し、アサド政権に課せられた制裁を停止するよう求めた。
同日、ロシアへの逃亡の決断について、アル・アサド大統領は、反政府勢力がダマスカスに進軍したためロシア軍に避難させられたとSNSで述べた。
米国は昨日、シリア中部でISを標的とした空爆を実施し、12人を殺害したと発表した。イスラエルもシリア沿岸地域に大規模な空爆を実施した。
ロシア:ウラジミール・プーチン大統領は、彼の親密な同盟国であるアサド政権の崩壊についてまだ公にコメントしていない。この沈黙は、シリアにおけるロシアの軍事基地の将来をめぐる不確実性を浮き彫りにしている。
【コメント】
ロシアの空軍と海軍の基地は中近東で死活的に重要な拠点だ。ロシアは反政府勢力と交渉して基地の権益は必ず確保するだろう。米国イスラエルとの勢力争いが起き、シリアは代理戦争の場になる運命を免れそうにない。

2.ドイツ政府が崩壊
【記事要旨】
ドイツ議会は昨日、オラフ・ショルツ首相の政権を解散する決議をし、フランスの政権崩壊に続き、欧州のリーダーシップ危機が深刻化している。
ショルツ首相は、11月に3党連立政権が分裂した後の不信任投票に敗れ、法案や予算を可決するための議会過半数を失った。欧州最大の経済を担うドイツは、現在、暫定政権の手に委ねられており、2月に総選挙が行われる見込みだ。
7つの政党の中では保守派のキリスト教民主党が最も勝利する見込みが高いが、世論調査によると、政治的に極右の政党、特に右派の政党が好成績を収めると見込まれている。ショルツ首相は首相の職を失う予想だ。
【コメント】
「ドイツのための選択肢」AfDが躍進する可能性が高そうだ。フランスとドイツで右傾化が進む。両国の右派は疎遠だから欧州の求心力がとても弱まると見る。

3.トランプ氏、選挙後初の記者会見
【記事要旨】
トランプ次期大統領は昨日、選挙後初の記者会見をマール・ア・ラゴで行い、国境警備、ドローンの目撃情報、ウクライナ戦争など、さまざまな話題について約1時間にわたり幅広い発言を行った。また、日本のテクノロジー企業ソフトバンクが米国のプロジェクトに1000億ドルを投資することも発表した。
トランプ氏は2期目に入るにつれて共和党への彼の支配力が強まり、一部の大企業のCEO達がトランプ氏を口説こうと躍起になっていることからを示唆した。
米国政治についてさらに詳しく:
・トランプ氏が国防総省のトップに指名したピート・ヘグゼス氏は、性的暴行でトランプ氏を告発した女性を、金銭和解の秘密保持条項から外すと述べた。
・トランプ大統領が保健長官に指名したロバート・F・ケネディ・ジュニア氏は、連邦議会で共和党議員らと会談し、長年にわたるワクチン反対の立場について質問される可能性が高い。
【コメント】
孫さんはトランプ氏にとって力強い支援を与えたことになる。

その他の記事
米国:
ウィスコンシン州マディソンのキリスト教学校で少年が銃を乱射し、少なくとも2人が死亡、その後、校内で遺体で発見されたと警察が発表した。
カナダ:
クリスティア・フリーランド副首相は、ジャスティン・トルドー首相を痛烈に非難し、突然辞任した。
健康:
脳損傷の症状緩和を求めて、一部の退役軍人が米国では違法の幻覚剤を求めて海外へ渡っている。

2024年12月17日 火曜日

世界の動き 2024年12月16日 月曜日

今日の一言
「小倉南区」
 マクドナルドでの中学生死傷事件には驚いた。事件現場となった小倉南区には最近まで月に一度訪問していた。地場のうどん屋さんのチェーンの本社での役員会に出席していたのだ。
 広い道路と道路沿いの大型飲食店が印象的なエリアだ。福岡がインバウンドも含め大いに活況を呈しているのに対し、北九州はいまいちだが、伸びしろは大きいかと思う。
 2大百万都市(福岡は160万人、北九州は91万人)を抱える福岡県の最低賃金は今年10月の改訂で992円で、東京都の1163円とは随分差がある。犯人はマクドナルドも自由に買えないレベルの生活に恨みを蓄積させて犯行に及んだのだろうか。
 闇バイトの強盗の頻発に加え、日本も随分危険な国になってきたものだ。自分で注意することはもちろんだが、社会全体でのセーフティネットの拡充も犯罪の抑制には有効だと思う。

ニューヨークタイムズ電子版よりTop3記事
1.弾劾後、韓国は選挙で選ばれた指導者不在に
【記事要旨】
 土曜日、韓国国会が尹錫悦大統領の弾劾を可決した後、トップの不在が何カ月も続く可能性のある政治的空白が残った。
 韓悳洙Han Duck-soo首相が暫定指導者に就任した。憲法裁判所が尹大統領の復職か解任かを決定するまで新政権は樹立できない。憲法裁判所では、判事9議席のうち3議席が空席となっているので、国会は3人の判事を指名し、韓首相に正式に任命するよう求める予定だ。
 裁判所の審議には最大6カ月かかり、大統領が正式に解任されれば、新大統領を選出にさらに2カ月かかる。
 ​​尹大統領は、「決してあきらめない」と述べていたが、暴動などの容疑で逮捕される可能性もある。検察は、昨日尹氏に尋問のため出頭するよう求めたが、同氏は現れなかった。
【コメント】
 指導者が退場し政治的な空白が半年も続く。米日韓と言う対中国対抗軸は、大きく揺らぎそうだ。

2.反政府勢力はシリアをどう統治するのか?
【記事要旨】
 2017年以来、反政府勢力「タハリール・アル・シャム」は、シリア北部のイドリブ県で実利主義的な統治を行ってきたが、強力な治安部隊も維持しており、権威主義的とみなされる手法や厳しい刑務所環境を継続してきた。
 イドリブは比較的人口の少ない貧しい農業地帯で、反政府勢力は現在、国家政府を樹立しようとしている。Timesの特派員は、地元住民、専門家、人道団体の代表者らに話を聞いて、反政府勢力の姿と、迫りくる統治から何を期待できるかを探った。
【コメント】
 反政府勢力が一本化できるのか、勢力争いで内乱が起きないか、外国勢力の介入はどうなるか、不安要因は沢山ある。

3.ABC、トランプ氏の名誉毀損訴訟和解のため1500万ドルを支払う
【記事要旨】
 ABCニュースは、次期大統領ドナルド・トランプ氏が起こした名誉毀損訴訟和解のため1500万ドルを支払うことに同意し、その金をトランプ氏の次期大統領財団と博物館に寄付する。
 同ネットワークとスターキャスターのジョージ・ステファノプロス氏も、3月のインタビューでトランプ氏について行った発言を「後悔している」とする声明を発表した。
 キャスターは、2023年の民事訴訟でトランプ氏が「強姦の責任」があるとされた後もトランプ氏を支持し続けた理由を女性下院議員に尋ねたが、陪審員はトランプ氏を強姦ではなく性的虐待の責任があるとしていた。
 米国政治について:
・シリコンバレーのリーダーの一部がトランプ氏と親交を深め、最も影響力のある企業の一部は就任式に7桁の小切手を約束した。
・トランプ氏は、元国家情報長官代理のリチャード・グレネル氏を「特別任務特使」に任命した。
・ハイメ・カチュアの友人や家族は大量国外追放を支持する投票を行った。現在、彼は国に留まるために奮闘している。
【コメント】
 rape強姦とsexual abuse性的虐待という言葉の違いが指摘され、トランプ側が勝った。
 最後のJaime Cachuaの記事は意味がわかりませんでした。

その他の記事
ジョージア:
 議員らは元サッカー選手で極右政治家に転身した人物に大統領職を譲り、現職大統領との対立が始まった。
インタビュー:
 駐日米国大使ラーム・エマニュエル氏が任期を終えようとしている。彼は、自分の焦りが国を重要な防衛問題で前進させるのに役立ったと語った。
ビジネス:
 日産からフォルクスワーゲンまで、世界中の自動車メーカーは、業界が電気自動車に移行し、中国企業が拡大する中で苦戦している。

2024年12月16日 月曜日

Play Back (備忘的メモ)

 週末にPlay Back を再読した。村上春樹の新訳だ。

 フィリップ・マーロウが主人公の探偵小説だ。あらすじがつかみにくいのは他のレイモンド・チャンドラーの著作と同様だ。

 最後にマーロウが黒幕に対し彼の推理を語り、黒幕が全くそのとおりと言うので、そうなのかなと思うのだが、釈然としない物語だ。
 ストーリーに彩を添える弁護士の美人秘書やホテルの警備係が登場するが、いなくても物語に支障はないように思える。

 ストーリー展開や本の題名についてCopilotと議論をして随分教えられた。ChatGPTと違い、Copilotは向こうから質問をしてくるので自分の理解も深まる効用があることを発見した。

 有名な決まり文句。
 If I wasn’t hard, I wouldn’t be alive. If I couldn’t ever be gentle, I wouldn’t deserve to be alive.
村上春樹訳 「厳しい心を持たずに生きのびてはいけない。
優しくなれないようなら、生きるに値しない」
 やはり「タフでなければ生きていけない。優しくなければ生きている資格がない」生島治郎訳 がしっくりくる。

2024年12月15日 日曜日

McKinsey Quarterly の今年最も読まれた記事

 そろそろ年の瀬で、今年を総括する時期が来た。TIMEの Man of the Yearにはトランプ氏が選ばれた。ビジネスをリードするMcKinseyの四半期報の記事で最も読まれたTop10を見るのも、今年の振り返りとして有益かもしれない。
 ”The year’s most popular articles from the McKinsey Quarterly” によると、Top10は以下だ。

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1. 生成 AI のリセット:
 2024 年に潜在能力を価値に変えるための再構築
  生成 AI の成果は、企業がビジネスに対してより深い組織的手術を行った場合にのみ得られる可能性がある。

2. 迅速かつ安全に生成 AI を実装する:
 ジェネレーティブ AI に伴うリスクと機会
  ここでは、リスクを軽減しながら、初日から機会を活かすためのロードマップを示す。

3. エージェントが生成 AI の次のフロンティアである理由:
 情報から行動に移行すること
  複雑なワークフローを完了できる仮想同僚を想像して欲しい。このテクノロジーは生産性とイノベーションの新たな波を約束する。

4. 生成AI の人間的側面:
 生産性への道を切り開く
  生成AI を使用する従業員の数は急増すると予想され、多くの従業員が高度な認知作業に集中できるようになる。組織はこの機会を利用して、仕事をより人間中心にすることができるか?

5. 健全な組織は勝ち続けるが、ルールは急速に変化:
 組織の健全性とパフォーマンスを向上させる
  従業員に意思決定の権限を与え、テクノロジーを使用して価値を生み出し、リーダーシップのスタイルを更新するなど、新しい慣行に焦点を当てる必要がある。

6. CEO への道:
 あらゆる段階で成功を収める
  切望される CEO の役割は、上級管理職にとって頂点だ。特定の属性を開発することで、そこに到達し、レガシーを残すことができる。

7. 生成AI スキル革命:
 人材戦略を再考する
  必要なソフトウェア人材を開発するには、人材をめぐる不確実な時期を乗り切るため、役割ではなくスキルの観点から考える必要がある。

8. 2030 年のデータと AI 主導の企業への道筋を描く:
  生成AI によりデータへの注目が高まり、企業は真にデータに基づく組織を構築するために実質的な変化を起こすようプレッシャーを受けている。

9. マイケル デル氏から直接学ぶ:
 リーダーシップの教訓と AI の未来
  デル テクノロジーズの CEO が、AI の今後、絶え間ない混乱に直面しても企業が成功裏に変革する方法、そして 40 年間で自身のリーダーシップ スタイルがどのように変化してきたかについて語る。

10. 技術責任者の新たな夜明け:
   企業が AI、生成 AI、その他の急速に進化する技術から価値を生み出そうと努める中、企業の技術責任者は業務運営方法を根本的に変えることになる。
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 Top10の殆どが生成AIがらみであるのは驚きではない。ChatGPTが一般に公開されたのが2022年12月。人口に膾炙してきたのが2023年後半。従ってMcKinseyQuarterlyで本格的に取り上げられたのは2024年からだ。

 シンギュラリティを迎えるほどに発達した生成AIをどのように使いこなすのか、リスクをどのように管理するのかは人類にとって重大な課題だ。

 技術責任者にとっては自身の課題だ。CEOにとっては生成Aiを実装した優秀な集団を率い他社を圧倒する成果を上げるのがミッションになる。人知の遭遇したことのない大きなミッションだが、上手く解決できるCEOはどの程度いるのだろうか。

2024年12月14日 土曜日