世界の動き 2025年9月17日 水曜日

今日の言葉
「米国のAI株はバブルか」
2023年以降、生成AIブームでNASDAQや日本の半導体関連が急騰してきた。そして、に一部銘柄(NVIDIA、TSMC、Armなど)のPERは歴史的な高水準になってきている。
「これはバブルか、それとも新しい成長産業の正当な評価か?」というジレンマを我々は抱えている。
【現状分析】
状況を分析すると、以下が言えそうだ。
・過剰流動性と投資先の不足
世界的に金余りが続いており、リスク資産へのシフトが進んでいる。出遅れた日本の不動産価格の高騰もこの流れの一環だ。
一時流行したESGや中国株のリスク回避で、「AI・半導体」が数少ないテーマ株として突出している状況だ。
・AI株の割高感の実態
NVIDIAのPERは70倍超、マイクロソフトやGoogleもAI投資拡大で利益率が一時的に低下したので、その反面PERは高い。ただ、2000年のITバブルと比較すればPERの過熱感は。ずっと薄まる。
・バブルではなく「集中投資現象」
実際にAI関連の需要(データセンター投資、クラウドAIサービス、半導体供給不足)は伸びている。つまり、「実需」が一定程度伴っている点はバブルとは違うとも言えそうだ。
【リスクファクター】
とはいっても、以下の明白なリスクがある。
各社が実施する巨額な投資回収が遅れる可能性(クラウドAIの収益化はまだ途上)がある。
金利が再び上昇すれば、高PER銘柄が一気に売られる脆弱性がある。FRBの政策金利の引き下げに大合唱がされる所以だ。
規制(AI規制法案、輸出管理)によるブレーキリスクがあり、中国のAI企業が台頭してくるリスクも大きい。

流れに乗った投資は、ひとたび方向が変われば、相場の急落が避けられない。
【小括】
• 現状は「AI株=バブル」というより、「余剰マネーの逃げ場がAI株に集中している局面」と言えそうだ。
• 長期投資では、AI関連でも「本当に利益を出せる企業」と「テーマに便乗した企業」を見分けることがとても重要だ。Buy the best, ignore the rest.
とは言っても、先行きは不安だ。投資家が一斉に持ち株を整理し、相場に大きな調整が起きる可能性は否定できない。もしポートフォリオで利益が上がっていれば、半分は利食い、半分は更なる上昇に備えホールドするのが良いと思う。今から新規にこの種の株に投資を始める時期ではないとは言えそうだ。

ニューヨークタイムズ電子版より
イスラエルのガザ市侵攻を理解する
【記事要旨】
イスラエル軍はガザ市への大規模侵攻を開始し、国際社会や同盟国の警告を無視して数十万人のパレスチナ人を危険にさらしている。ネタニヤフ首相はハマス壊滅を目的とする作戦だと説明するが、自国軍の参謀総長は停戦による人質解放を優先すべきだと反対していた。
人道支援団体は、すでに飢餓や爆撃に苦しむガザ市の市民に壊滅的な影響を及ぼすと警告。避難を試みる人もいるが、多くは逃げ場がない。国際的にはイスラエルの孤立が深まり、国連調査委員会は「パレスチナ人へのジェノサイド」と認定、人権団体からも戦争犯罪の非難が強まっている。
一方で、ガザ市民の多くは既に何度も避難を余儀なくされており、「避難すれば二度と戻れない」との声も多い。9月初めの避難命令で約35万人が市を離れたが、安全な場所はほとんどない。
イスラエル軍の攻撃で数万人が死亡したとされる中でも、ハマスは降伏や人質解放を拒否。長期的に持ちこたえればイスラエルと有利な合意に至れると考えている。
イスラエル国内でもネタニヤフ政権への不満は強く、約3分の2の国民は人質解放と戦争終結のための交渉を支持。批判派は、ネタニヤフが極右勢力の支持を維持するために戦争を長引かせていると非難している。人質の命を危ぶむ声も多い。
【コメント】
今「夜と霧」を読んでいる。アウシュビッツを生き延びたユダヤ人医師の収容所の生活を克明に記した本だ。立場が変われば、被害者は強力な加害者になりうるのはいつの世でも変わらないものなのだろうか。

トランプの二度目の英国公式訪問
【記事要旨】
トランプ大統領とその妻メラニア夫人は、本日、チャールズ国王とカミラ王妃の主催で英国への国賓訪問を開始する。トランプ氏は、盟友チャーリー・カークの死で揺れる政治的に分断された国を後にし、きらびやかな儀礼と華やかさに満ちた一時の幻想の世界に足を踏み入れる。
トランプ氏は、英国で2度目の国賓訪問を認められた唯一の選挙で選ばれた指導者である。これは、英国が彼との関係を良好に保つためにどれほど努力しているかを示している。英国は見返りに何を期待しているのだろうか。
【コメント】
同じ同盟国でも英国は別格だ。お財布としか見られていない極東の同盟国は新政権ではもっと毅然とした態度で米国に臨んでほしい。

その他の記事
米国:右翼活動家チャーリー・カーク氏殺害の容疑で起訴された22歳のタイラー・ロビンソン氏は、加重殺人罪で起訴された。死刑判決を受ける可能性がある。
ロシア:イェール大学の戦争犯罪捜査官によると、ウクライナの子どもたちに対する秘密の再教育と軍事・警察訓練プログラムは、これまで考えられていたよりもはるかに大規模である。
ウクライナ:ロシアの無人機がポーランドとルーマニア上空に侵入したことを受け、ポーランドはウクライナ上空の飛行禁止空域の設定を提案した。

トランプ氏:大統領は、2024年の大統領選挙を前に名誉を傷つけられたとして、ニューヨーク・タイムズ紙とその記者4人を提訴した。

2025年9月17日 水曜日

世界の動き 2025年9月16日 火曜日

今日の一言
「秋来る」
 お彼岸が近づき、やっと秋らしくなってきた。さすがに今後は猛暑日は来そうもない。(名古屋は今日は37度とか言われているが)
 「蝉もコオロギも さすがに告げる 秋来る」
 いつの間にか蝉の鳴き声は全く聞かれなくなり、鈴虫やコオロギの鳴き声が、かまびすしい。
 今週はFOMCがあり、17日には政策金利の引き下げが公表されることになるだろう。0.25%の引き下げで株式市場には若干のプラス程度と予想。相場次第での利食いのタイミングを計る心静かでない秋になる。

ニューヨークタイムズ電子版より
UAEとトランプ一族の怪しい取引
【記事要旨】
 ニューヨーク・タイムズ紙の調査によると、トランプ大統領の中東特使ウィトコフ氏と、UAEの王族タヌーン氏がビジネス提携し、トランプ陣営に巨額の利益をもたらしている。
 UAEは米国製の先端AIチップを数十万個入手する許可を得た。
 同時期にタヌーン氏の投資会社は、トランプ一族とウィトコフ家の仮想通貨企業「ワールド・リバティ・ファイナンシャル」に20億ドルを投資している。
 明確な交換条件の証拠はないが、連続した取引は倫理規定の限界を突くものと見られている。
 交渉にはトランプ陣営のAI・暗号資産担当デビッド・サックス氏も関与した。
 さらに、この取引はトランプ一家と仮想通貨大手バイナンスとの金融的つながりも生み、同社創業者ジャオ氏はマネーロンダリング違反で有罪後に恩赦を申請している。
 UAEのAIチップ入手と、トランプ陣営の仮想通貨ビジネスへの巨額投資が並行して進み、政治・倫理上の疑念を呼んでいる。
【コメント】
 今日本で広く流布されているコーポレート・ガバナンスの概念は米国で発達したものが大半だ。企業のガバナンスはさておき、政府のガバナンスはいったいどうなっているのだろうか。トランプ氏とその一族は、大統領の地位を利用してやりたい放題だ。

米中、TikTok買収で合意に近づく
【記事要旨】
 米中両国はTikTokの中国による所有権を巡る懸念解消に向け、米国側が管理する形での所有権移行に関する合意案の概要に達した。
 トランプ大統領と習近平主席が最終調整を行い、近く合意が成立する見通し。
 TikTokは中国のバイトダンスが売却しなければ米国で禁止される期限を目前にしている。背景には、TikTokが米国の安全保障を脅かすとの懸念がある。
 一方、中国当局は米半導体大手NVIDIAの独占禁止法違反を発表した。
【コメント】
 民間企業による合意ということだが、どういう内容になるのだろうか。最終的な合意にはトランプを引っ張り出すあたり、ベッセント氏はトランプの扱い方を心得ている。

その他の記事
米国:捜査官は、ユタ州で起きたチャーリー・カーク氏射殺事件で、容疑者と銃撃犯を結びつけるDNA鑑定結果とメモを発見したと発表した。トランプ政権当局はカーク氏の死を、根拠のない「国内テロ」の主張でリベラル派団体を脅迫するために利用した。
中東:アラブ諸国とイスラム教指導者たちは、先週カタールでハマス関係者を狙ったイスラエルの空爆に対し、怒りを露わにしたが、制裁には至らなかった。
イスラエル:ルビオ国務長官は、ネタニヤフ首相との会談後、ガザ紛争終結に向けた合意は不可能かもしれないと述べた。

イーロン・マスク:テスラの最高経営責任者(CEO)は、同社取締役会が特定の目標を達成した場合に約1兆ドルの報酬を支払うと提案したことを受け、テスラ株を約10億ドル分購入した。

2025年9月16日 火曜日

世界の動き 2025年9月15日 月曜日

今日の一言
「PCが壊れた顛末」
金曜にChatGPTを使って作業中に、彼(彼女?)に向かって難しい質問をして、彼がしばらく考えてから答え書き出そうとしたときに突然電源が落ち、まったくPCの電源が入らなくなりました。うんともすんとも言いません。
PCに詳しい友人に相談して、とりあえずこのPC(NECのLAVie)を購入したBicカメラに修理に持ち込んだところ、係の人が電源を入れたところ、何と!、入りました。自然放電してスイッチが入るようになったようです。
土曜にまた、AI(今度はPerplexity)を使って作業しようとして、複雑な質問に彼が答えようとした瞬間に、また電源が落ちました。また自然放電後、日曜には電源が入るようになりました。
生成AIが動くには巨大な電力が必要だと言われますが、自分のPCがこんな影響を受けるとは思いもよりませんでした。PCのメモリーが激しく動き、電源に影響するのかも知れないと、素人仮説を立てています。
このPCはすでに修理対象期間を3年過ぎているとBicカメラの修理の人に言われたので、明日買い替えるつもりです。初期設定やメールの設定、データの移行とかうまくできるわかりませんが、このあたりに詳しい友人のありがたさがわかる事件でもありました。

ニューヨークタイムズ電子版より
飢餓が子供に与える影響
【記事要旨】
医療従事者は小児の栄養失調を巻尺で上腕周囲長を測ることで簡易的に判断する。5歳以下で11.4cm未満は重度の栄養失調を示し、筋肉や骨を分解して生き延びている状態を意味する。
現在、イスラエルの封鎖で援助物資が不足しているガザ地区では深刻な飢餓が発生し、子どもの約16%が栄養失調に陥っていると国連が報告した。しかしイスラエル当局は飢餓危機を否定している。
栄養失調の子どもは発育不全、臓器障害、認知機能低下、将来的な生活習慣病リスクなど生涯にわたる後遺症を抱える可能性がある。重症例では免疫不全で軽い感染でも命に関わる。治療には特別な高エネルギー治療食を慎重に与える必要があり、単なる食事では回復できない。
夏以降、物資の流入は部分的に再開されたが不足は続き、イスラエル軍の攻勢が控える中、子どもの治療体制は極めて困難な状況にある。
【コメント】
毎日、「今日のトップニュースは何か」と予想する。こんなニュースだと気が滅入る。日本政府はどんな人道支援を行っているのだろか。ガザの危機には、政府は口も金も出していないように見えるが、どうなのだろうか。

その他のニュース
ユタ州:州知事は、チャーリー・カーク氏殺害の容疑で起訴された22歳の男が「左翼思想」を持ち、男性から女性へ性転換中のパートナーと恋愛関係にあったと述べた。
【容疑者は左翼か右翼か激しい議論があったが、結局、トランプの言うように極左と結論付けられた模様だ】
欧州:ルーマニアは、ロシアの無人機が自国の領空に侵入したと発表した。NATO加盟国へのこのような侵入は1週間足らずで2度目となる。クレムリンは無人機の製造、技術、戦術を最優先に考えており、ウクライナを制圧するために無人機の大群を送り込んでいる。
【NATOの反応を探るロシアの動きだと見て間違いないだろう。危険な動きだ】
ネパール:激しい抗議活動の後、最近就任宣誓したスシラ・カルキ首相は、半年後に再選挙が実施されれば権力を放棄すると約束した。
外交:米国と中国の当局者は、関税とTikTokに関する4回目の協議のため、マドリードで会合を開いた。
【中国はまだがっぷり相撲を続けている。偉いな】

2025年9月15日 月曜日
敬老の日 Respect for the Aged Dayと英語で言うそうです。

世界の動き 2025年9月11日 木曜日

今日の一言
「TACOの後は?」
 TACO (Trump Always Chickens Out トランプはいつも腰砕けになる)という言葉は、株式市場で始まり米国全体で広く使われるようになった。米国に流行語大賞があれば、間違いなく選ばれる。
 最近米国株式市場で流行っている言葉をいくつか取り上げたい。
 GPU Trade:AI・半導体関連銘柄の急騰を指す
   Example: “Another GPU trade—$AMD popping off the $NVDA news.”
 Ghost Candle:一瞬ブレイクアウトした後すぐ反転する動き
   Example: “I chased that ghost candle and got wrecked.”
 Mooning/To the Moon:急上昇する相場
   Example: “$UBER is mooning off that PT upgrade.”
 Bagholder:高値掴みして損失を抱える人
   Example: “I bought $BB at the top… now I’m just a bagholder.”
 BTFD:“Buy the F***ing Dip”株価の急落は買い時
    Example: “$NVDA down 5%? Time to BTFD.”
 さて、これらの流行り言葉のいくつが全国区の流行語になるだろうか。

ニューヨークタイムズ電子版より
極右対策に失敗したマクロン大統領
【記事要旨】
 エマニュエル・マクロン大統領は、極右勢力の台頭を抑えるために「経済成長が最大の防壁」としてビジネスフレンドリーな政策を推進してきた。法人税や給与税の削減、富裕税廃止などを行ったが、債務は膨張し、格差拡大への不満が高まった。
 今年導入が議論された「超富裕層への2%課税」は国民に支持されたが、マクロンは反対し、上院でも阻止された。これは財政赤字解消には不十分だが、社会的公正を示す象徴的措置になり得たと専門家は指摘している。
 結果として、マクロンの路線は「エリートだけが得をしている」との認識を強め、極右の国民連合に追い風を与えた。議会は混乱し、政府は財政再建策を可決できず崩壊。新首相も体制維持型で変革は期待薄とみられる。
 要するに、マクロンの経済重視戦略は極右抑制に失敗し、むしろ不公平感を強めて彼らを勢いづけた。富裕層課税が解決策となる保証はないが、同じ政策を続ければ同じ失敗が繰り返される可能性が高い。
【コメント】
 長文の記事だが、マクロン大統領が何をしてきたかがよくわかる。日本は国運の岐路に立っているが、何をすればよいのだろうか。ビジネスにはフレンドリーに、所得税は再分配機能を高める政策が、成長と財政赤字縮減を達成するか細い道のように見えるが。

トランプ大統領の側近がユタ州で射殺される
【記事要旨】
 トランプ大統領の側近であり、アメリカを代表する右翼青年組織の創設者であるチャーリー・カーク氏が、ソルトレイクシティ郊外の大学キャンパスで講演中に射殺されました。31歳でした。
 大学側は当初、銃撃犯は拘束されたと発表していましたが、当局は拘束された人物が銃撃犯ではないと判断しました。
【コメント】
 チャーリー・カークとは?
 何百万人ものフォロワーを持つ保守派のコメンテーターでありポッドキャストの司会者。
 彼は、アメリカの大学の学生に保守的な考えを広めることを目指す非営利団体「ターニングポイントUSA」の創設者として最もよく知られている。
 彼はXで5.2万人のフォロワーを持ち、TikTokでは7.3万人のフォロワーがいる。
 参政党の総会に9月7日に参加して神谷代表と会談予定だったのだがどうなったのだろうか。

その他の記事
欧州:NATOの戦闘機がポーランドに侵入したロシアの無人機12機以上を撃墜した。NATO加盟国の戦闘機がNATO領空で敵の標的と交戦したのは初めてで、西側諸国はこれをウクライナ戦争の危険なエスカレーションと表現した。
ネパール:首相の退陣を迫った若者による抗議運動の指導者たちは軍当局者と会談し、元最高裁判所長官を暫定政権の指導者に任命することを提案した。
韓国:米国がジョージアで逮捕された韓国人労働者数百人の送還を遅らせたことで、国民の怒りが高まった。

カタール:イスラエルによるドーハへの大胆な攻撃を受け、湾岸諸国は米国の自国防衛へのコミットメントを懸念した。

2025年9月11日 木曜日