世界の動き 2023年7月26日 水曜日

今日の言葉:
「ガバナンス」
昨日までのキンザイでのセミナーで金融機関の内部監査部門の方々とお話しした。主な関心はガバナンスに関してだった。
金融機関を例にとれば千葉銀行がリスク性の高い商品を系列証券会社を使って顧客の属性を配慮しない販売を推進し金融庁から業務改善命令を受けたばかりだ。BIGMOTORの経営陣による独裁経営にはコーポレートガバナンスのかけらもない。
Bloombergは「今年の株主総会では、日本を代表する著名企業の経営トップの取締役選任を巡って賛成率が急落するケースが相次いだ。企業統治(コーポレートガバナンス)への意識の高まりから投資会社や議決権行使助言会社が基準を設けたことで判断が厳格化していることが背景にある。会社側が提出した議案が大きな反対もなく議決される「シャンシャン総会」は過去のものとなり、経営者は取締役の構成から資本効率の改善まで、さまざまな点において株主の声に配慮する必要に迫られている。」という記事を今朝報道した。
ガバナンスの重要さは個々の企業だけにとどまる問題ではない。
安定して成熟した資本主義国として強権中国に対峙する我が国には、清廉潔白な社風を根付かせる、しっかりしたガバナンスの定着が不可欠だ。

ニューヨークタイムズ記事より
今朝はニューヨークタイムズの配信が遅れていますので、今日の分は明日まとめて報告します。タイムズの記者も夏バテかもしれません。

2023年7月26日 水曜日

人間国宝

 今朝の日経新聞に「人間国宝新たに12人」と言う記事がある。これまで人間国宝について考えたことが無かったので、考えてみた。
 まず、人間国宝とは何か。Wikipediaによれば、「人間国宝は、日本の文化財保護法第71条第2項に基づき同国の文部科学大臣が指定した重要無形文化財の保持者として各個認定された人物を指す通称である。文化財保護法には「人間国宝」という文言はないが、重要無形文化財の各個認定の保持者を指して人間国宝と呼ぶ通称が広く用いられている。」とある。
 学研の子供用辞書では「人間国宝:重要無形文化財として指定された,無形の「わざ」を最高度に体得している人のこと。重要無形文化財保持者の通称。おもに雅楽・能楽・文楽・歌舞伎などの芸能関係者と,織物・染色・陶芸・蒔絵・金工などの工芸技術関係者にあたえられる。」とあり、わかりやすい。

 新たに選ばれた12人の分野は、以下のとおりだ。
 ・能ワキ方
 ・宮薗節三味線●
 ・古典落語〇
 ・首里の織物●
 ・長坂中形●
 ・能シテ方
 ・狂言
 ・人形浄瑠璃文楽人形
 ・歌舞伎脇役〇
 ・琉球古典音楽●
 ・木工芸〇
 ・竹工芸〇

 自分がいままでに見たことがあるものに〇をつけた。名前を聞いてもわからないものは●だ。その他は、聞いた事はあるが見たことは無く、おぼろにしか理解していないものだ。

 これまで、経済だ、運用だという世界で生きてきて、我が国の重要文化財について何一つ知らないのを恥じる次第だ。それと共に、このような文化・伝統を誰が引きついでゆくのか、日本の現状はとても心もとない。人間国宝には国から年間200万円の補助が出るそうだが、とても経済的には割の合わない仕事ではないか。

 技術と言う観点では、大田区の町工場のヘラ絞りの技術が先端ロケットに使われているという報道があった。このような高度な技術を持つ人たちも中小企業で経済的には大企業の労働者に比べて恵まれないようだ。

 技術が正当に評価され、それが経済的にも報われる国家の在り方が問われている。金融で言えば、クラウドファンディングなどをもう少し工夫して出来ないかと考える。

2023年7月22日 土曜日

世界の動き 2023年7月21日 金曜日

今日の言葉:
「テスラ]
 電気自動車(EV)メーカーのテスラの株価が大幅安。終値で9.7%安となった。イーロン・マスク最高経営責任者(CEO)は、金利が上昇し続ければ、テスラはEVの値下げを続けざるを得なくなると発言。収益性が一段と悪化するリスクが嫌気された。バークレイズのアナリスト、ダン・レビー氏は、テスラは販売台数を増やすため値引きに依存しているとし、粗利益率の回復は「予想より遅くなる可能性がある」と指摘した。(Bloomberg)
 テスラはEVを売るというよりも、製造技術(トヨタが導入する)や充電方法(米国のGMとFORDが採用。昨日はNISSANが採用表明)を提供して安定的な収益をあげる体制を整えている。今回の株価調整は一時的で、中長期的には更なる株価上昇を予想する。

ニューヨークタイムズ記事より
1.オーストラリアとニュージーランドがワールドカップ初戦で勝利
【記事要旨】
 女子ワールドカップの最初の試合は、女子サッカーの成長と将来性を示した。
 共開催国はそれぞれ1-0の勝利でトーナメントをスタートした。 国内女子サッカーの試合史上最大の観衆の前でニュージーランドがノルウェーを破った。 ニュージーランドチームのキャプテン、アリ・ライリーは「試合に勝つことだけが目的ではなく、国全体を鼓舞することが目的だったので、自分たちに大きなプレッシャーをかけた」と語った。
 その後、オーストラリアは、試合前夜に負傷した最大のスター、サム・カーの欠場にもかかわらず、アイルランドを破った。 彼女は少なくとも2試合を欠場するとチームが発表した。 この大会は12人近くのトップ選手が負傷により欠場している。
 ワールドカップ開幕の数時間前、オークランドのスタジアムから約3マイル離れた建設現場で銃撃犯が2人を殺害した。犯人も死亡した。
 ディフェンディング チャンピオンである米国は、初の女子ワールドカップに出場するベトナムと対戦する。
【コメント】
 2011年のWCapでなでしこジャパンが優勝した時は燃えた。澤選手のゴールの画面は鮮明に覚えている。夢よもう一度だ。

2.イラクの抗議参加者がスウェーデン大使館に放火
【記事要旨】
 昨日朝、数百人の抗議活動参加者がバグダッドのスウェーデン大使館を襲撃し、一部に放火した。この暴動は、先月ストックホルムで起きた抗議活動から波及した最新のもので、イスラム教徒の祝日イード・アル・アドハーの初日に一人のイラク難民が中央モスクの外でコーランを引き裂き、燃やした。
 スウェーデンは大使館職員に被害はなかったと発表した。 その日遅く、ストックホルムのイラク大使館前でデモ参加者2人がコーランのコピーを蹴り飛ばし、イラク国旗のレプリカを踏みつけた。 これに対し、イラクは国交を断絶した。
 昨日の抗議活動は、スウェーデンはイスラム教に対して「敵対的」であるとする聖職者ムクタダ・アル・サドル師の勧めで行われた。
 スウェーデンはコーランの焼却を伴う抗議活動を容認するかどうかで悩んでおり、同国がNATO加盟を目指している間に外交上の緊張が高まっている。
【コメント】
 宗教はドグマだが、イスラム教はドグマ性が極めて強い。西側の自由と民主主義と異なるイスラム世界への対応は難しく注意が必要だ。

3.インドの民族紛争を浮き彫りにする暴行ビデオ
【記事要旨】
 水曜日、インドで暴力的な動画が拡散し、北東部マニプール州での血なまぐさい民族衝突に改めて注目が集まった。同州では政府の給付金の利用をめぐって2つのコミュニティが事実上戦争状態にある。
 ビデオでは、2人の女性が暴徒に暴行を受け、裸で街を歩かされた。 この衝撃的な性的暴行の情報が広まるまでに2か月以上かかった。その理由の一部は、この地域のインターネットが遮断されていたことだった。インドでは情報の流れを制限するためにいろいろな戦術が一般的になっていた。
 この暴行は国に衝撃を与え、緊張をさらに煽り、130人以上が死亡、3万5,000人以上が避難しているこの紛争に新たな注目が集まった。 また、モディ首相が「恥ずべき事件」と初めて公の場でコメントした。
 警察の告訴状によると、暴徒は女性1人をレイプし、彼女を守ろうとした弟を殺害した。 暴徒の多くはマニプール州で僅差の多数派のメイテイ人で、犠牲者はクキス人だった。
【コメント】
メイテイ人はヒンズー教で、クキス人はキリスト教のようだ。インドでは多数派のヒンズー教徒の暴力が顕著になっている。

その他:
ロシアの穀物攻撃
 Russia attacked the port cities of Odesa and Mykolaiv as it takes apparent aim at Ukraine’s grain exporting infrastructure. Wheat prices have risen to 13 percent since Monday.
ドイツでもシエスタ
 Germany, which once sneered at the practice of midday naps to beat the heat, is reconsidering the siesta.
習主席キッシンジャー氏と会談
 In Beijing, Xi Jinping, China’s leader, personally welcomed Henry Kissinger, calling the former U.S. secretary of state an “old friend.”

2023年7月21日 金曜日

世界の動き 2023年7月20日 木曜日

今日の言葉
「PEファンドの成功者」
筆者も身を置いたプレインべート・エクイティ(PE、未公開株)業界で金字塔が打ち立てられそうだ。
米投資会社ブラックストーンが運用資産1兆ドル(約140兆円)を突破する見込みだ。PEファンド業界では未踏の領域だ。アナリストによると、同社が四半期決算を発表する20日にその到達の可否が明らかになる見通しだ。1985年に創業した当時の資産規模はわずか40万ドルで、近年最も劇的な成長を遂げた企業の一つだろう。
PEファンドは日本では伸び悩んでいるが米国では高成長が続いている。米国の資本市場のダイナミズムを支える大きな柱だ。

ニューヨークタイムズ記事より
1.中国、気候変動対策の迅速化を求めるケリー氏の呼びかけを拒否
【記事要旨】
中国指導者らは、北京での3日間の会談中に、より積極的な気候変動対策に取り組むよう説得しようとしたケリー米国気候大使の試みを拒否した。会談は新たな合意なく終了し、中国の習近平国家主席は演説で、中国は独自のペースと独自の方法で二酸化炭素汚染を段階的に廃止すると主張した。
習氏はケリー氏訪問中の中国当局者らへの演説で、中国は2030年までに二酸化炭素排出量のピークに達するという自国の表明目標に引き続き「揺るぎなく」取り組んでいると述べた。 しかし、「この目標に到達するための道筋と手段、そしてテンポと激しさは、私たち自身で決定されるべきであり、決して他人の影響下に置かれるべきではない」と彼は付け加えた。
ケリー氏は訪問中、世界最大の汚染国である両国はもっと積極的に取り組む必要があると主張した。 中国と米国の一部を熱波が襲っているのは、両国が行動を起こさなければさらに悪いことが起こる兆候だと警告した。
ヘンリー・キッシンジャー元国務長官(100)は北京を訪問し、中国のトップ外交官および先月米国国防長官との会談の招待を拒否した中国の国防大臣と面談した。
中国は今週末から輸入石炭への関税を一時停止するが、この決定はロシアに利益をもたらす可能性が高い。
【コメント】
中国はとにかく他国の主導や働きかけに呼応するのが大嫌いだという事がよくわかる。他国の影響に右顧左眄する某国とは大違いだ。

2.ロシア「ウクライナ行きの船舶は敵対的とみなされる」と警告
【記事要旨】
緊張が大幅に高まり、ウクライナの穀物輸出能力に打撃が及ぶ中、ロシア軍は黒海を航行してウクライナの港に向かうあらゆる船舶を軍事貨物の潜在的な運送業者とみなすだろうとロシア政府は述べた。
この宣言は、ロシア政府が商船を合法的な軍事目標とみなすことを示唆しているように見え、これによりほぼ確実に商船の阻止が実現されるだろう。 今週初め、ロシア政府は国連仲介によるウクライナ船舶による穀物の輸出を許可する協定から離脱した。
食料価格:世界の小麦価格の指標は、このニュースを受けて最大9%急騰し、戦争勃発以来最大の上昇率となった。
過去2夜にわたり、ロシアのミサイルと無人機が黒海の港湾都市オデサの標的を砲撃しており、ウクライナはこれは穀物ターミナルや食糧輸送に必要なその他のインフラへの攻撃であると主張した。
プーチン大統領は先月プリゴジンの反乱が失敗に終わった際に、傭兵集団創設者のエフゲニー・プリゴジンと「取引を結んだ」と英国MI6は述べた。
【コメント】
なるほどこれが海上封鎖か、という事例だ。クリミア半島の軍事上の重要性がよくわかる。

3.タイがピタをブロック
【記事要旨】
昨日、憲法裁判所が進歩派政治家ピタ・リムジャルーンラット氏を議会から停職処分にし、同氏が首相選の再投票に立候補する機会を与えなかったことを受けて、バンコクで抗議活動が勃発した。
ピタ氏の政党「前進」は、5月の総選挙で全政党の中で最多となる151議席を獲得した際、タイの軍事と王政に対抗する野心的な政策を提案していた。 しかし、軍部が支配する上院は首相候補者に対して事実上の拒否権を持っており、タイの支配層はしばしば民主化プロセスに反発している。
あるピタ支持者は「心の中ではこうなることは分かっていたので、ショックではなかった」と語った。 「しかし、私はまだ失望しており、それを受け入れることができません。」
「前進」と連立を組む野党であるタイ貢献党は、新政府を樹立し、独自の首相候補を指名しようとしている。 政治経験がほとんどない不動産王スレッタ・タビシン氏が最も有力な選択肢だ。
スレッタ氏が首相になれば、デモは散発的かつ控えめなものになる可能性がある。 しかし、タイ貢献党との連合が阻止されれば、不安は持続し、激化する可能性がある。
【コメント】
さてどうなるか、しばらく混乱が続きそうだ。暑いタイで暑い政治の季節だ。うらやましい。

その他:
スタンフォード大学の学長が辞任
Marc Tessier-Lavigne, the president of Stanford University, said he would resign after an independent review found significant flaws in studies he supervised.
タタが英国でバッテリー工場を建設
Tata, the India-based conglomerate that owns Jaguar Land Rover, said it would build a $5.2 billion battery plant in western England.
ゴールドマン・サックスは不振
Goldman Sachs reported quarterly profits that fell short of tamped-down expectations.
(以下、Bloombergの記事より。
『ゴールドマン・サックスの4-6月期は前年同期比で58%の減益。収益性の重要な指標である自己資本利益率は4%に落ち込み、大手米銀の中で最悪となった。株式トレーディングは数少ない明るいスポットとなり、収入は30億ドル(約4200億円)と予想の24億7000万ドルを上回り、主要ライバルも上回った。資産運用・ウェルスマネジメント事業の収入は4%減の30億5000万ドル。アナリストは35億ドルを見込んでいた。』

2023年7月20日 木曜日