世界の動き 2022年7月11日 月曜日

ニューヨークタイムズ電子版より

今日の一言:
 「勝者の責任」
 これからの3年間国政選挙はない。圧勝した「強力で安定した政権」に日本の抜本的な改革を期待したい。

1.スリランカの大統領が辞任
【記事要旨】
 Gotabaya Rajapaksa大統領は自宅がデモ隊に乱入され占拠された後辞任に合意したとの報道。Ranil Wickremesinghe首相は自宅が放火された後辞任を表明。食料、医薬品、燃料ほかの必需品が絶対的に不足している状況がどのように解決されるか不明。
【コメント】
 破綻した国家がどのように再生してゆくのか見守りたい。

2.安倍氏の与党が超安定多数を獲得
【記事要旨】
 安倍前首相が殺害された2日後の選挙で自民党と与党は2/3以上の超安定多数を獲得した。この結果は安倍氏が長年求めていた平和憲法の改正を可能にする。2020年の辞任後も安倍が政治力を維持してきた証明。日本ではインフレの高進、円レートの低下、ウクライナ戦争での燃料の高騰、コロナ感染の拡大等の難問山積であり、従来は国民に人気のなかった憲法改正ができるかはまだ道は遠い。
【コメント】
 タイムズは改憲賛成の維新の会と国民民主党は与党と見做しているようだ。参院選の投票率は52%だそうで、政治への関心を高め投票率を上げる工夫が必要だろう。

3.ロシアはドネツクを砲撃
【記事要旨】
 ルハンスク州制圧後、ドネツク州の5都市を砲撃。ロシアはカルキウへに攻勢を強め占領地では民政を開始し新しい国旗を掲げる。カルキウ地域の30%がロシアに支配されている。

【コメント】

 第二次大戦の独ソ戦の様相を呈してきた。嗚呼。

その他:
G20会合での米中
At a meeting in Indonesia, Secretary of State Antony Blinken, the top U.S. diplomat, pressed Wang Yi, China’s foreign minister, to further isolate Russia. Wang responded sharply, noting a “growing ‘China phobia’” in the U.S.
アジアの洪水
Flash floods in Kashmir killed at least 16 people during a Hindu pilgrimage, Reuters reports.
Intense flooding also killed dozens of people in Pakistan and Afghanistan, Reuters reports.
Twitterの行方はどうなる
Elon Musk filed to back out of his deal to buy Twitter on Friday. Now, the issue is moving to the courts.

(2022年7月11日 月曜日)

BOJO must go!で思い出したHOJO

 イギリスの政局のニュースでBOJOという言葉がよく見られるが、これは辞任を表明したBoris Johnsonの略称だ。

 BOJOで思い出すのはHOJOという米国でよく使われる言葉だ。日本人でHOJOと聞けば鎌倉時代の執権であった北条氏か、鴨長明の方丈記を思い出すことだろう。

 米国でHOJOと言えば、第一に思い出すのはHoward Johnson’sというレストランチェーンとホテルチェーンだ。ホテルチェーンは私がアメリカに滞在していたころは全米展開しあちこちにHOJOを見つけることができた。レストランチェーンも全米展開しており元気があった。

 久しぶりにHOJOをwikipediaで調べて驚いたのだが、ホテルチェーンはWyndham Hotel and Resortsの傘下に収まっている。レストランチェーンは最近では不振を極め2022年3月にLake George(ニューヨーク州の避暑地でよく遊びに行ったものだ。懐かしい)にある最後の店を閉めた。

 それ以外にHOJOで思い出すのは、Metsの主力選手だったHoward Johnsonだ。90年代初め私がニューヨークにいたころは彼の全盛期で30-30(30本塁打30盗塁)を達成した数少ない選手の一人だ。彼が登場するとスタンドがHOJO HOJOという掛け声に包まれたのを思い出す。

 彼のその後を調べると1995年に35歳で引退している。彼のような一流選手でも引退後はルーキーリーグからA、AAへとコーチの経験を積み、メッツの1塁コーチになったのは2007年だ。その後はメジャーのコーチとしては安定せずマイナーリーグを経て2020年からはメキシコリーグで打撃コーチを務めている。野球の殿堂には2001年に候補になったが一票も得られなかった。

 日本のように有名だった選手はコーチのポジションが得られるわけではなく、実績を挙げなければコーチとして生きていくのは大変そうだ。

 私がニューヨークにいた1991-1998年からはほぼ4半世紀が経っている。当時輝いていたHOJOのその後を調べると、米国の変化の激しさと競争の厳しさを改めて感じるのだ。

(2022年7月10日 日曜日)

安倍首相の殉難

安倍首相が暴徒の銃弾を受け亡くなられた。ご冥福をお祈りしたい。

 昨日はこの事件で日本中のマスコミが持ちきりだったが、日本のみならず海外でもそうだった。米ニューヨークタイムズの電子版では、(時間は日本時間)
 12:23 Shinzo Abe, Japan’s former prime minister, collapsed after a gunshot was heard as he delivered a speech, the country’s public broadcaster said.
 15:13 Shinzo Abe, Japan’s former leader, is in critical condition after being shot, Prime Minister Fumio Kishida said.
18:18 Shinzo Abe, Japan’s longest-serving prime minister, was assassinated during a public speech. He was 67. A suspect was arrested.
このように、刻々と元首相の様態を伝えた。

 世界の要人の多くが安倍氏に弔意を示し、半旗を掲げて弔意を表す国々もあった。日本の首相として史上最長の在任期間をつとめ、海外でも名前と顔を覚えてもらった首相は最近では安倍氏ぐらいだ。

 こうした功績の影で、もりかけ桜、集団的自衛権を認める憲法解釈、野放図な財政運営と回復不能な異次元の金融緩和、非正規労働者の著増、実質給料の伸び悩み、といった安倍氏の負の遺産は覆い隠されることになるのだろう。

 安倍氏の殉難は参院選には大いなる追い風になり、改憲勢力が衆参両院で2/3を超え、憲法改正への道が正面から開かれることになる。

 原敬、犬養毅、浜口雄幸等に並び悲劇の宰相として安倍氏は後世に名を残すことになるのだろう。

 日本の終わりの始まりを作った首相として安倍氏がその名を残すことが無いようにするには、我々は何をなすべきなのだろうか。

(2022年7月9日 土曜日)

世界の動き 2022年7月8日 金曜日

ニューヨーク・タイムズ電子版より

今日の一言:
「7月8日は何の日?」
 那覇の日。質屋の日。ナンパの日。だそうでこれは音感で説明が付きますね。外務省が設立された日として外務省記念日でもあるそうです。

1.ジョンソン首相が辞任を発表
【記事要旨】
 保守党内での不支持の広がりと閣僚の反乱に直面し辞任を発表。秋の保守党党大会まで首相を続けたい意向だがそうなるかは不透明。新聞記者出身のジョンソン氏の政権の3年間はEU離脱に向けた高支持に始まり、大衆の意向を素早く取り込み、ルールを無視し倫理観が欠如し、やるかやられるかという政治手法が、最後は党内での大幅不支持になった。後任はハント前外相、スナク前蔵相が取りざたされている。
【コメント】
 特異な政治家だった。ルール無視の姿勢が自分に最後は跳ね返ってきたということだろう。

2.バスケット選手は露で有罪を認める
【記事要旨】
 薬物所持で2月からロシアで拘束されていたブリトニー・グリナ―は有罪を認めた。ハッシシオイルの所持について罪を認めたので1、0年間の禁錮刑を受ける恐れがある。ロシア政府はこの件への関与を否定しているが、米国で拘束されている武器商人ヴィクトール・バウトとの交換を要求しているとされる。
 ロシアのドネツクへの攻勢が拡大。ドンバス地方占領への大攻勢の序曲との見方。ウクライナは黒海のスネーク島を奪還しウクライナ国旗を掲げた。ウクライナ軍の前線で軍歴の有る海外義勇兵が戦闘に参加している。
【コメント】
 グリナー選手をめぐる動きが人質交換になるのか、バイデンの判断しだいだ。

3.北京はワクチン接種を義務化
【記事要旨】
 北京市は公共交通と公共施設を理由する人にはワクチンの接種証明提示を要求。従来の完全封じ込め政策からの転換と見られる。中国では国産ワクチンのみが認められており、ワクチンに不信を持つ高齢者の接種が進んでいない。60歳以上で2回以上のワクチンを接種したのは5月で82%にとどまる。(筆者:十分高いと思われるが)
 BA5は新しい流行の波を米でももたらす恐れがある。
【コメント】
 BA5は随分感染力が強そうだ。日本でも増えているが重症者は少ない。2類か5類かという議論がすっかり聞かれなくなった。このままBA5が流行すれば、保健所中心の対応は政府の言う「目詰まり」が起こるのが確実だ。政府はコロナ対策を「しっかりやっている」という評価を得るために従来の対応を継続するのは考え直すべきだ。

その他:
スリランカは露に支援を求める
With his country in economic crisis, Sri Lanka’s president said that he asked President Vladimir Putin of Russia for help buying fuel, the BBC reported.
ニュージーランドはバイデン政権と距離
With his country in economic crisis, Sri Lanka’s president said that he asked President Vladimir Putin of Russia for help buying fuel, the BBC reported.
TikTokが騒がれているが米国も危ない
Irish regulators threatened to block Facebook and Instagram from moving data about European users to the U.S.

(2022年7月8日 金曜日)

世界の動き 2022年7月7日 木曜日

ニューヨーク・タイムズ電子版より

今日の一言:
「七夕」
 今日は七夕。今年は七夕祭りを復活させている街が多いそうだ。七夕祭りは元々は、織姫と彦星の「天の川の両岸に住む2人は年に一度…7月7日の夜にだけ会うことを許されている」という「七夕伝説」に由来するもので多くの中華圏の国々で祝われている。
 宮沢賢治の「銀河鉄道の夜」は「星まつり」の夜の出来事だ。蒸し暑い日本の夏が賢治にかかると涼しい北欧の話のようになるのが不思議だ。

1.戦争によりウクライナの人口の1/3が移動
【記事要旨】
 女性と子供が中心の5百万人の海外への移動に加え、国内で移住を余儀なくされた600万人がいる。東部から露軍の侵攻初期に逃れた人達は早期に戻れると思い着の身着のままが殆ど。Yandexというロシア版Googleは現在使用を制限され崩壊している。米女性プロバスケプレイヤーであるBrittney Grinerのロシアでの拘置は継続している。
【コメント】
 1/3というのは凄い数だ。破壊された市街の映像を見ると、平和になっても故郷に戻って日常を取り戻すのは容易でない。

2.ジョンソン首相への身内の反乱
【記事要旨】
 閣僚を含む30人以上の政府高官が昨日辞任し首相は窮地に陥る。首相は減税策で挽回を測るが、議員の多くは首相を辞任させる方策を協議している。ジョンソンが辞任した場合は与党の保守党内で新首相に就任することになる新首班を選任する見込み。Chris Pincher氏をめぐる性的スキャンダルが首相の最後に命取りになりそう。
【コメント】
 次から次にスキャンダルが暴露され、第一次安倍政権の末期の様相。対露強硬派のジョンソンが辞任すると米国にも打撃だろう。

3.欧州議会は天然ガスと原発は「グリーン」だと言い始める
【記事要旨】
 世界へ影響を与える決定。「グリーン」認定で天然ガスや原発プロジェクトには銀行融資が付き、補助金が与えられるケースも出てきた。炭素ガスを2030年までに半減させ2050年までにカーボンニュートラルを目指す欧州の努力を台無しにするという見方も。EUは制裁でロシアからの燃料輸入を大きく制限しているが天然ガスでは依然依存度が高い。フランスは発電大手の再国営化によりエネルギーの安定供給を目指す。
【コメント】
 欧州は理念と現実を上手く使い分ける弾力性がある。

その他:
中国での情報漏洩
A hacker is selling a Shanghai police database that could contain information on one billion Chinese citizens for about $200,000, in what may be one of the largest known breaches of Chinese personal data.
米国籍パレスタン人ジャーナリストの死について続報
Palestinians expressed disappointment and anger after the U.S. concluded that a Palestinian American journalist was most likely shot unintentionally by the Israeli military.
南アでの若者を巻き込んだ事故
Hundreds of young people flocked to a small tavern in South Africa for a party at the end of the school term in June. Twenty-one of them, all teenagers, did not survive the night. Survivors recall a mysterious gas and then a crush to escape.

(2022年7月7日 木曜日)