世界の動き 2022年6月15日 水曜日

ニューヨーク・タイムズ電子版より

今日の一言:
 「文通費」
 結局使途の公表義務は課されない。毎月百万円自由に使えるお金を享受しているコンプライアンス意識のない人たちに自分を縛れと言うのは無理だ。国権の最高機関でこうした状況では、日本国家のモラルが崩れ落ちることになる。不正の最大の言い訳は「あの人達だってやっているから」というものだから。

1.セベロドネツクは孤立
【記事要旨】
 ウクライナの支配地域へ通じる最後の橋が破壊され市民が脱出できないセベロドネツクはロシア軍により殲滅される恐れ。東部戦線でのウクライナの状況が不利になるにつれ西側首脳の中にはゼレンスキー大統領の勝利を目指す動きに懸念を示す動きも。これ以上の兵器供給に躊躇する西側の動きにはゼレンスキー側近は「我々に負けることを期待するなら直接言え」と発言。西側首脳は今週ウクライナへの支援策を協議。米は、ウクライナに意思に反する平和を求めない方針。
【コメント】
 解決の目処が立たない戦争がずるずると続き市街戦で兵士たちの命が失われていく愚かな状況だ。プーチンに戦争を止める意思はなさそうなので打つ手は殆ど無いのだが。

2.中国のコロナ感染テスト
【記事要旨】
 ゼロコロナ政策を維持する中国では大規模PCR検査と陰性証明の提示が日常生活になる。労働者は有給勤務時間が削られ、地方政府は検査実施のために生活支援を削り、事業者は生産性の低下を懸念している。上海の2か月に及ぶロックダウンが解除されて2週間で再度数百万人がロックダウンされる事態に不満を示す動きが各地で現われる。政府はPCR検査を8月から有料化する方針。
【コメント】
 まあよくやるなー、というのが正直な感想。政府の統治力と巨大な経済力が為せる業だ。

3.南アフリカは気候変動に直面
【記事要旨】
 パキスタンでは巨大な森林火災が発生。バングラデシュではモンスーン期前に大規模洪水が発生、ネパールでは氷河湖が決壊し村が壊滅する恐れ。インドでは大雨と熱波が穀物の生育に打撃を与えている。
【コメント】
 日本には気候変動の影響はまだ少ないので理解しにくいが、南アジアは大変なことになっているのがわかる。日本でも豪雨と台風が心配だ。

その他:
韓国のトラック運転手ストは終了
South Korean truckers ended their strike after reaching a tentative agreement on minimum wage levels.
インドのクリケットは巨大産業
The broadcasting rights to Indian cricket sold for a record $6.2 billion, fortifying the league’s place as one of the most valuable sports properties.
日本では侮辱罪が成立
After a reality television star died by suicide after experiencing abuse on social media, Japan’s Parliament made “online insults” an offense punishable with prison.

(2022年6月15日 水曜日)

世界の動き 2022年6月14日 火曜日

ニューヨーク・タイムズ電子版より

今日の一言:
 「あじさい」
 漢字では紫陽花。英語ではhydrangea(ハイドランジャ)という発音しにくい言葉。
 いま街を歩くとあちこちに美しい花を咲かせている。大きな花屋に行くと種類の多さに驚く。我が家も那須で何鉢も育てているがなかなかうまく育てられない。年によってよく咲く年と咲かない年が一年ごとに繰りかえし、今年は当たり年のようだ。

1.ロシアの侵攻拡大に欧州は再考
【記事要旨】
 ロシアの東部ウクライナでの侵攻拡大に対し欧州の指導者たちは協調した対抗策を模索。これまで多くの金融・軍事支援をウクライナにしてきたが戦争のこれ以上の長期化はプーチンに核兵器・化学兵器の使用を誘発する恐れがありゼレンスキー大統領に停戦をいつどのように促すか考える欧州指導者も多い。
【コメント】
 戦争の長期化に直面し外交努力が一層求められる局面だ。そもそも武力紛争が起こらないようにする外交手腕が求められるのはいつも変わらない。日本では一足飛びに防衛費の2倍拡大。台湾有事の米軍との共同軍事行動の議論が喧しいが、地道な外交力の涵養が何より大事だろう。

2.トランプは現実から遊離していた
【記事要旨】
 1月6日の暴動に関する下院の公聴会は継続。トランプ陣営内部の人々が、トランプに彼の選挙不正が起きたという考えは誤りだと指摘したが、彼は聞く耳を持たなかったと証言。バー前司法長官は何度もトランプに選挙不正という考えの誤りを説明したが、トランプは幻想をいだき受け入れなかったと証言。
【コメント】
 トランプが「正しい選挙結果を意図的に覆そうとしていた」のか、彼が「偽りだと心底から思っていた選挙結果を覆そうとしていた」のか、では判断が異なるだろう。「ウソつき」か「愚か者」かでは異なる扱いになるということだ。

3.韓国のトラック運転手のスト
【記事要旨】
 運送量の拡大と交通の激化に反対するトラック運転手のストが7日目に突入している。安全と適正な料金の補償を求めている。燃料価格の高騰が生活をひっ迫させていると主張。長期化は韓国の経済への影響も。
【コメント】

 韓国の状況は全く知らなった。
 日本でもアマゾンの荷物を運ぶ個人事業者が適正な運賃と補償を求め組合を結成したという報道があった。いつまでもこのような仕打ちに耐えられないということだろう。

その他:
日本の円安
The Japanese yen is approaching its lowest point in two decades, The Wall Street Journal reported.
世界で株安進行
Global stocks tumbled after U.S. stocks fell into a bear market yesterday, a 20 percent decline from January.
やるな、SpaceX
SpaceX won approval to launch a giant new rocket to orbit, which could eventually travel to Mars.

(2022年6月14日 火曜日)

世界の動き 2022年6月13日 月曜日

ニューヨーク・タイムズ電子版より

今日の一言:
「日常の破壊」
毎日Timesを読む。あまり変わらない記事が記載されている。記事は、コロナであり、ウクライナだ。平穏な日常が記事になることはない。毎日こうしてTimesを読める平穏な日常は、ありがたいということなのだろう。

1.ロシアはセベロドネツク制圧へ
【記事要旨】
ロシア軍はロシア東部でのウクライナ最後の拠点であるセベロドネツクの包囲をほぼ完了した。ウクライナ軍は毎日100人以上の戦死者を出しており、西側諸国に長距離重火器の提供を求めている。ロシアはウクライナ南部での占領地でロシアのパスポートの発行を土曜日に開始。南部ではウクライナ住民のゲリラ行為も目立ってきた。
【コメント】
殆ど報道されないのがウクライナ南東部のロシア語使用住民の意向。ロシアへの編入は受け入れ可能なのか、それともウクライナ人として生きていきたいのか、彼らの真意がわからない。

2.中国は台湾を威嚇
【記事要旨】
中国国防相は台湾の独立の動きにはいかなるコストを払っても阻止する意向であり中国の軍事力を見くびるなと威嚇発言。台湾への軍事進攻の可能性と時期については専門家で見方が分かれる。米国は一つの中国の原則を acknowledge理解しているが endorse 支持しているわけではないという従来の発言を維持。
【コメント】
米国の曖昧政策がいつまで維持できるか疑問。立場を鮮明にしなけれならない時期が近い。

3.インド政府高官の発言にムスリムが抗議
【記事要旨】
モディ首相の報道官がムハンマドと若い夫人との関係をインタビューで発言した内容がムスリムの怒りに火を注ぎ17のイスラム教国がインドを非難。インド国内では抗議運動で若者二人が死亡。
【コメント】
宗教対立を地盤固めにしているモディ首相の手法は今後ますます対立を引き起こすだろう。大規模な内乱にならなければ良いが。

その他:
南米からの移民
A caravan of 6,000 migrants, many from Venezuela, set off toward the U.S. border from southern Mexico, as leaders from across the Americas met to discuss migration and other issues.
上院でも銃規制法案が可決
Senators reached a bipartisan deal on gun safety measures yesterday. The provisions are more modest than Democrats had hoped for, but with commitments from 10 Republicans, the agreement could become law.
面白い統計
Teenagers and adults under 25 make up roughly 43 percent of the U.S. transgender population, a new report estimates.

(2022年6月13日 月曜日)

『峠』を思い出して

「峠 最後のサムライ」という映画が6月17日に公開されると宣伝されている。幕末の越後長岡藩の家老河井継之助を主人公とする司馬遼太郎の小説『峠』が原作だ。

河井について映画の説明を見てみよう。
「越後長岡藩の家老・河井継之助は、江戸をはじめとする諸国への遊学で世界を見据えるグローバルな視野を培い、領民のための斬新な藩政改革を次々と実行していた。
戊辰戦争が起こり、日本が旧幕府軍か明治新政府軍かに二分する中、戦争を回避しようと、近代兵器を備えてスイスのような武装中立を目指した。だが、平和への願いもむなしく、長岡藩もまた戦火に呑み込まれていく―。
世界的視野とリーダーシップで坂本龍馬と並び称され、敵対していた西郷隆盛や勝海舟さえもその死を惜しんだといわれる、知られざる英雄・河井継之助。「最後のサムライ」として正義を貫くその姿は、今に生きる私たちに何を語るのだろうか。」

この小説は随分昔に読んだが、今手元にないので再読できない。記憶をたどると思い出されるのは、武装中立の願いが聞き入れられず、装備と人員に勝る新政府軍を相手に負けるとわかった戦を戦わなければならない継之助の心の動きだ。 「一寸の虫にも五分の魂がある。薩長におもねり、打算に走り、あらそって新時代の側につき、旧恩をわすれ、男子の道をわすれ、言うべきことを言わなかったならば、後世はどうなるのであろう。」という心の叫びだ。

越後長岡には自慢すべき3人の人物がいると母親(長岡出身)から聞かされて育った。幕末の河井継之助、戊辰戦争敗戦後のコメ百俵の小林虎三郎、昭和の山本五十六だ。心ならずも悲劇的な戦いを指揮しなければならなかった点で、継之助と五十六はよく似ている。

さて、なぜ司馬はこの小説の題名を『峠』にしたのだろうか。

峠は和字で日本が発明した文字だ。山を上り下りするから峠だ。新政府側に付くか、幕府側に付くかの運命の分かれ道をあらわしたのだろうか。戦に負けて越後から会津へ向かう峠で落命したことを示しているのであろうか。人生の岐路をいつも選びその選択に悔いはないという思いであろうか。

以前、大銀行の頭取がインタビューで尊敬する人物を聞かれ「河井継之助」を挙げていた。珍しい人を挙げるものだと共感した思い出がある。映画は機会があればぜひ見てみたいものだ。

(2022年6月12日 日曜日)

人財の活かし方

 田中真紀子さんの発言に「身内と、使用人と、敵」という人の区分がある。心を許せるほんの一握りの身内と、自分があごで使いこなす使用人と、それ以外は敵だという分け方だ。
 身内の中に優秀な人材がいればよいが、そうでない場合は、使用人の中から有為の人材を捜さなければならない。しかし、所詮使用人扱いされているので、組織に献身しようというモチベーションは働かない。
 身内が権勢を誇っている間は、使用人も言うことを聞き、敵もなかなか手出しが出来ないだろうが、ひとたび権力の座が揺らぐと、使用人は離反し、敵に簡単に攻め滅ぼされてしまう。そういった組織だ。

 あるベンチャー経営者は、高い山に登るアタックチームを率いる感覚で経営している。少数の経営陣が登攀隊を構成し、社員の殆どは支援隊を構成する構図だ。登攀隊の中では意思の疎通がスムーズだ。目的達成に一糸乱れぬまとまりの良いチームが形成できればとても強力だ。

 問題点を挙げるとすれば3点。
 1.登攀隊と支援隊の意思の疎通に問題が無いか
   登攀の目的、手順、ルート選択が共有されているかを常に登攀隊(特に登攀隊長=CEO)は確かめて行動しなければならない。忘れがちなポイントだ。
 2.登攀隊に対して優秀なシェルパはいるか
   優秀な人材で構成される登攀隊は自分たちの判断に自信があるはずだ。そして、時として過信になる。無くてはならないのが優秀なシェルパの存在だ。多方面の経験豊富な社外取締役がそれにあたる。
   万全と思って建てた計画も上手の手から水が漏れることがある。基本的な見落としを「傍目八目」で指摘されることもある。
 3.登攀隊内の軋みをどう防ぐか
   小さな計画の失敗で登攀隊内にほころびが生じることがある。それまで「同志」だと思っていたのに「同僚」に過ぎなくなるのだ。他社からの引き抜きに応じてチームを離脱する者も出るだろう。このような事態に備え、チームをまとめる機会を持つのが対策1,だれか抜けても困らないように新しい人材を獲得しておくのが対策2だ。

 共に働いて愉快な仲間と仕事を達成した際の充実感は何事にも代えられない。そのためにはトップが常に人材の活かし方に心を砕くことが不可欠だ。

(2022年6月11日 土曜日)