メトロポリタン美術館で観るべきは。

今メトロポリタン美術館展が東京で開催されている。「西洋絵画の500年」という副題がつき、METの珠玉の作品が来ているとのふれこみだ。

 二つ天邪鬼なコメントをしたい。
その1:METのA+の作品がきているとは思えない。せいぜいAではないかな
その2:西洋美術を見たければ、METよりもルーブルやオルセー他、欧州の美術館が優れている。ではMETでみるべきは何か。アメリカ美術だ。

 今日は、その2の論点を膨らまで、METで観るべき珠玉のアメリカ美術作品を3つ紹介したい。英文の題名でgoogleで検索すれば絵が出てくる(はずだ)。

『デラウェア川を渡るワシントン』英: Washington Crossing the Delaware
 この作品は、1851年にドイツ系アメリカ人画家エマヌエル・ロイツェが描いた油彩画である。題材はアメリカ独立戦争中の1776年12月25日にジョージ・ワシントンが大陸軍を率いてデラウェア川を渡り、ニュージャージーのトレントンの戦いでドイツ人傭兵隊の急襲に成功したことを記念した画だ。
 ボートが小さくてとても不安定に見える。ワシントンはボートの中央にすくっと立って、全軍を鼓舞しているように見える力作だ。
 メトロポリタン美術館の永久収蔵品の一つで、米国絵画と米国の歴史をたたえている。一度見たら忘れられない大作だ。

『ポール・リビアの真夜中の騎行』英:The Midnight Ride of Paul Revere
 この空の上から暗い街を描き、その中に馬に乗って走るポール・リビアを収めた絵は、アメリカの画家、グラント・ウッドが1931年に描いたものだ。
アメリカの独立戦争時、ボストンに駐留するイギリス軍によるコンコード侵攻をいち早く独立軍の伝令として駆け抜けるのは、ポール・リビア。1775年4月18日、深夜のことである。
 One if by land, Two if by see. という合言葉や、その夜の出来事を謳ったロングフェローの詩はアメリカ人ならだれでも学校で習って知っている。この絵を観れば自然とアメリカ独立戦争の名場面が目と記憶とでよみがえるのだ。

『ミズーリ川を渡る毛皮商人』英:Fur Traders Descending the Missouri
 1845年にジョージ・カレブ・ビンガム によって描かれた画だ。以下の説明はメトロポリタン美術館のHPによる。
 「動物の生皮を売るため北部の荒野から丸木舟で川を下ってきた年老いたフランス人の毛皮商人と、フラットライフルを手に休息をとる息子(インディアンとヨーロッパ系アメリカ人の混血)が描かれています。奥深い魔法の世界のような霞と静寂が、その光景を包み込んでいます。ビンガムがこの絵を描いた19世紀中頃までには、このような交易手段は長く廃れていましたが、ニューヨークで展示されたこの作品はアメリカ東部の人々の想像力をかき立てました。」
 今でも開拓時代のアメリカを感じさせてくれるロマンティックな作品だ。

是非皆さんもMETに行く機会があればこれらの作品を見てください。

(2022.2.27 Sunday)