民主主義VS権威主義

地球儀を見て考えた。今、一応民主主義が定着しているのは西欧、東アジアからオリジナルASEAN諸国、北米と中南米の一部に過ぎない。
 西欧の東隣のロシア、中東の殆ど(トルコ、サウジという大国を含む)、アフリカの多く、中国、中南米の多くは権威主義国家だ。
 地球儀を青:民主国家、赤:権威主義国家に塗り分ければ過半が赤くなる。我々の常識である民主主義は世界の常識ではない。バイデンが民主主義サミットを開催したのが遠い過去のように思える。

 民主主義は古代ギリシャのアテナイに発生した。民主制、僭主性、独裁制といろいろ試したが、結局は民主制が市民のためには最も望ましいという結論になったといういきさつ。アテナイ(デロス同盟)とスパルタ(ペロポネソス同盟)が戦ったペロポネソス戦争の顛末やその後のアレキサンダー大王の出現と東征は古代史のハイライトの一つであり、民主主義は善という観念を我々に植え付けた。

 今や海千山千の独裁者が率いる権威主義が民主主義に挑戦している。
 ロシアがウクライナ周辺に集めた兵力19万人は日本の陸上自衛隊の全兵力14万人より多い。ロシアに蹂躙されているウクライナには、同盟関係にないNATOも米国も兵力を派遣することは出来ない。民意がそれを許さない。

 民主主義は所詮知性主義を前提にしていたのだ。反知性的な独裁者をどう牽制して行けば良いのか、世界の知性が真剣に考えるべき時だ。
 諺に曰く、The pen is mightier than the sword.

(2022.2.26 Saturday)