世界の動き 2024年8月27日 火曜日

今日の言葉
「原子力発電」
 政府も電力会社も原子力発電所の再稼働を熱心に進めている。原油や天然ガスの輸入によるインフレへの対抗策として有効だと考えられているからだ。短期的にはそうかもしれないが、10年先を見れば、この政策は破綻していると思う。
 なぜか。人材の問題だ。現在日本の大学に原子力工学科は一つもない。私が大学生だったころは花形学科だった。今では学生が集まらないし教えられる教授も枯渇している。
 原子力発電所では初歩的なミスによる事故や火災が頻発している。普通の企業の設備投資では40年と言うのは天文学的に長い時間だから、老朽設備に事故が起きるのは止むを得ない。ところが、電子力発電所では40年経過した発電所をだましだまし再稼働しようとしている。そして、それを支える人材と技術はお寒い限りだ。
 国家全体の事業ポートフォリオとして、原子力からは撤退し再生可能エネルギーに転換すべきだが動きが鈍い。1960年代のエネルギー革命の時代に、日本は石炭から石油へのエネルギー転換を世界に先駆け実施し、その後の高度成長を実現させた。炭鉱の閉山に伴う大きな労働争議を克服して成し遂げた。
 原発の再稼働は電力業界の強い意向とも言われる。電力業界の意向に配慮し、政府は果断な政策を取れないという見方がある。一部業界から政治資金や票に、国の進路を誤らせることがあってはならない。

ニューヨークタイムス電子版よりTop3記事
1.ロシア、ウクライナのエネルギーを標的に全面攻撃
【記事要旨】
 ロシアは昨日、ウクライナの広範囲に200発以上のミサイルとドローンを発射した。この攻撃を30か月に及ぶ戦争における「最大の攻撃の一つ」とゼレンスキー大統領は非難した。
 キエフとウクライナ西部の都市リヴィウの地方当局は、攻撃に関連して停電が発生したと報告した。当局によると、4人が死亡し、30人以上が負傷した。
 「これまでのロシアの攻撃のほとんどと同様に、今回の攻撃も同様に卑劣で、重要な民間インフラを標的にしている」とゼレンスキー大統領はテレグラムの投稿で述べた。
 ウクライナ軍は、3週間前に開始したロシアのクルスク地域での攻勢を引き続き進めようとしている。ウクライナ軍がさらに2つの集落を制圧したと大統領は述べた。
【コメント】
 ロシアの反復攻撃は粘着質が強く執拗だ。原子力発電所への被害が懸念される。核兵器を使わずに核攻撃を実施することが出来るからだ。

2.トランプ氏は討論会から撤退する可能性を示唆
【記事要旨】
 来月予定されている大統領選討論会の司会を務めるABCニュースの司会者と幹部が自分に対して偏見を持っていると日曜に言いトランプ氏は討論会からの撤退を示唆した。
 月曜日、カマラ・ハリス副大統領の陣営は、両候補のマイクが放送中ずっと生放送であることを許可するための合意済みの規則を変更するように働きかけた。「トランプ氏が1人で90分間大統領らしく振る舞えるとは彼の取り巻きが思っていないため、ミュートされたマイクを好んでいると理解している」と広報担当者は述べた。
 トランプ氏の広報担当者は、ハリス陣営が方針転換したのは、これまでの彼女の討論会準備に「明らかに懸念している」ためだと示唆した。トランプ氏はその後、マイクがミュートされているかどうかは自分にとって問題ではないと記者団に語った。
 討論会は9月10日に予定されている。
: 2020年の副大統領候補討論会でハリス氏が際立った瞬間の1つは、マイク・ペンス氏がライブマイクでハリス氏に話しかけ、ハリス氏が「私が話している」という印象的なセリフを言ったときだった。
 両候補とも貧困率を下げた実績を主張できるが、彼らの計画はここ数世代で最も激しい貧困対策の衝突を表している。
 トランプ氏の副大統領候補であるJD・ヴァンス上院議員は、経済学者が記録しているように、関税が米国人のコストを増大させたことを否定した。また、トランプ氏が連邦法による中絶禁止を拒否するだろうと信じていると述べた。
【コメント】
 ハネムーン時期が過ぎ、ハリス旋風が落ち着くのをトランプ陣営は待っている。ハリスは経済金融に強くない印象で、そこをトランプは突こうとしているようだ。

3.パキスタン南西部を揺るがす暴力の波
【記事要旨】
 バルチスタン州全域でのバルチスタン解放軍(B.L.A)による作戦で38名以上が死亡した。同軍は中央政府からの独立を要求してきた数ある軍の1つである。
 襲撃は日曜日に軍の基地を襲撃した爆発から始まり、武装した男たちが少なくとも4つの警察署を襲撃し、警官に銃弾を浴びせた。過激派は橋も破壊し、主要鉄道の通行を妨害した。その後、武装した男たちが高速道路を占拠し、20人近くを射殺したと当局は述べた。
 背景:米軍がアフガニスタンから撤退し、タリバンが権力を握って以来、パキスタン全土でテロが急増している。タリバン主導によるイスラム国(IS)の地域支部に対する取り締まりにより、IS戦闘員がパキスタンに押し寄せているからだ。
【コメント】
 パキスタンは南アジアの大国の一つだ。一時期、イムラン・カーン元首相を巡る政変の記事がタイムズで多かったが、中央政府の状況はどうなっているのだろうか。

その他の記事
ミャンマー:
 中国は今週、ミャンマーとの国境付近で軍事演習を行う。アナリストらは、北京はミャンマーの軍事政権指導者に、同地での反政府勢力との紛争を緩和するようメッセージを送りたいと考えている。
日本:
 中国の偵察機が日本の領空を侵犯した。日本の防衛省は、中国軍による空中侵犯はこれが初めてだと述べた。
気候:
 メタとグーグルは、データセンターの電源を確保するための斬新な解決策、地表のはるか下のクリーンな熱を利用することを検討している。

2024年8月27日 火曜日