数字考 その2 1000羽に一羽

「椋鳥は1000羽に一羽毒がある」

江戸時代の儒学者野中兼山が害虫を駆除する椋鳥を農民が捕食しないようにと語った言葉だと言われる。
100羽に一羽では、椋鳥の毒にあたった事例が無いとおかしいし、10000羽に一羽では恐ろしくなくて農民は椋鳥を捕食し続けるだろう。
1000羽に一羽(つまり0.1%)というのは人を怖がらせるのに絶妙な効果を持つ数字であることがわかる。

厚生労働省の抗体検査の結果、東京都での抗体保持者は0.1%だったそうだ。怖がるには絶妙な数字だろう。
東京ドームに観客が50000人集まると、感染者が50人いることになる。怖いと思うかどうか微妙な数字だ。

東京アラートで言われていた1週間の新規感染者が一日平均20人以下というのは、100000人当たり0.5%と説明されていたが、ドイツの100倍の厳しさとも言われている。

アラートに使うのにどういう数字が妥当性を持つか一概に言えないが、日本の経験則、1000羽に一羽を適用してみよう。

1000万東京都民の0.1%がコロナに罹患しているとして10000人。10000人を365で割ると、一日の新規感染者が30人程度で収まれば許容範囲。
40人を超えると少々注意したほうがよかろう、というのが皮膚感覚がもたらす結論ではないだろうか。

(2020.6.19)