東京と栃木と賃金と

 今那須に来ている。よくDIYのコメリに行く。道具を買ったり、植物を買ったり、作業着も売っていてとても便利な店だ。別荘の壁に窓をつけてもらう難工事をお願いしたり大変お世話になっている。今日行った那須高原店のアルバイト募集を見ると時給882円だ。

 東京の自宅の近所に7-11がありよく利用する。先日行ったらタイ人らしき男性アルバイトの人がいたので「クン ペン コンタイ、チャイマイ(あなたはタイ人でしょう?)」と話しかけたら、「チャイ(そうです)」と嬉しそうに答えてくれた。ここの時給は1150円である。

 バイト代は最低賃金(栃木882円、東京1072円)に応じた設定になっているのだが、どちらの方が暮らしやすいであろうか。アパート暮らしの人なら住居費は明らかに栃木が安い。食料品はほぼ同じだろう思う。交通費は、自動車が不可欠な栃木の方が高いだろう。お金を使う誘惑がないので全体としては栃木の方が生活が楽かなと思う。

 ただ、賃金レベルは絶望的に低いのは確かだ。高い東京では、時給1072円で一日8時間、月25日働くと171,520円になる。12カ月で2,058,240円で、確実にワーキングプア層になる。現在生きてゆくのもやっとだし、結婚、育児といった将来設計はとても不可能だ。

 国際的にみても、いまはアジアの途上国から就労に来てくれる人がいるが、低賃金と円安で、そのうちに日本が見限られる日が来そうだ。日本のこれからの発展に不可欠な高度な能力(例えばソフトウェアエンジニアなどは日本では大卒が少なく、絶望的に不足している)を持った外国の若者を引き付けるには中韓に負けない給料と将来の昇進昇格の展望が無ければならない。

 30年間のデフレで沁みついた貧乏人根性が直らないと、日本の将来は暗いままだ。

(2022年8月20日 土曜日)