【米国株式市場】
2月9日(月)から13日(金)の週、米国株は「重要指標を前に下落トレンドが継続し、CPI発表後も戻りは限定的」という1週間でした。
週間の値動きと騰落率
主要3指数の週間騰落率(2月9日終値→2月13日終値ベース)は、おおむね以下のとおりです。
S&P500: 6,836.17(2/13 終値)週間▲約1.4%
ダウ平均:49,500.93(2/13 終値)週間▲約1.0%
ナスダック総合:22,546.67(2/13 終値)週間▲約2.1%(ハイテク売りが続き、3指数で最も弱い)
週間としては3指数とも陰線で、特にナスダックは5週連続安と報じられています。
日別の流れ
2月9日(月):前週末の大幅高の流れを引き継ぎ、3指数とも続伸。ダウは50,135ドルと過去最高圏で引け、S&P500も史上最高値に近い水準まで上昇、ナスダックも0.9%高と堅調でした。
2月10〜12日:週後半の重要指標(雇用統計・CPI)を控えて警戒感が強まり、特にAI関連など成長株・ハイテク中心に利益確定売りが優勢となり、指数はじりじりと下落しました。
2月13日(金):CPI発表後、インフレ率は「事前予想よりやや弱め」、ガソリンや中古車価格の下落が効いているとの評価で、ダウとS&P500は小幅高、ナスダックはわずかに反落という「まちまち」の引け。週トータルでは3指数ともマイナスで終了しました。
主要イベントと株価の反応
この週は「雇用関連指標+CPI」が相場のテーマで、FOMCメンバー講演も含めて、金融政策見通しが株価を左右しました。
2月11日前後:遅延していた雇用統計(NFP)と失業率が発表され、市場予想と比べて雇用は底堅く、失業率はむしろ低下という内容で、「景気は強く、利下げは急がれない」との見方が強まりました。景気にはプラスですが、利下げ期待の後ずれ懸念から、特に金利に敏感なハイテク株が重しとなり、ナスダック中心に下落基調が強まりました。
2月13日(金)CPI:総合CPIはガソリン・中古車価格の下落などで伸びがやや鈍化し、「最悪シナリオ(インフレ再加速)は回避」と受け止められました。発表直後は金利低下・株高の反応となり、ダウとS&P500は小幅高で引けましたが、インフレはなお目標上であり「早期大幅利下げ」は織り込みづらいとの見方もあり、上値は限定的でした。ハイテクには戻り売りが続き、ナスダックはCPI後も0.2%安と弱含みで、この週の下げ幅は3指数で最大となりました。
セクター・テーマの動き(概観)
上昇寄与:金融・エネルギー・一部景気循環株(雇用や景気指標が底堅いことで恩恵を受ける銘柄)。
下落寄与:AI・半導体を含むハイテク、高バリュエーションの成長株。AI投資過熱感の巻き戻しと、利下げ期待の後ずれ観測が同時に重なった形です。
まとめイメージ
イメージとしては「前週末〜週初にかけて一旦リバウンドしたが、雇用統計とCPIを前後して金利見通しが引き締め方向に再調整され、特にナスダック主導で上昇分を吐き出し、週足では3指数ともマイナス」といった1週間でした。
【日本株市場】(高市トレード)
自民党の歴史的な大勝を受けて、日本株は「高市トレード」が再点火し、株高・円安・金利上昇が同時進行する局面になりました。
「高市トレード」とは何か
内容:日本株の上昇、円安進行、日本国債利回り上昇(=国債価格下落)という組み合わせを指し、高市首相の積極財政・防衛費増・成長投資への期待を織り込むポジションです。
背景:高市首相就任時や今回の衆院選前から、「責任ある積極財政」を掲げたことで、外国人投資家を中心に日本株買い・円売り・JGB売りが積み上がり、このパターンが定着しました。
自民党大勝後の株価の動き
衆院選の結果:2月8日の総選挙で自民党は単独316議席を獲得し、維新との連立と合わせて衆院2/3超の「戦後最大級」の大勝となり、政権基盤が大幅に強化されました。
ニッケイ・TOPIXの反応:選挙翌営業日の月曜、日経平均は一時3,000円超(約5〜6%)上昇し、5万7,000円台を突破して史上最高値を更新、TOPIXも過去最高水準まで上昇しました。
値上がり銘柄の広がり:東証プライムの約8割の銘柄が上昇する「全面高」に近い状態で、選挙前は自民単独過半数程度を織り込んでいたのに対し、「予想を上回る圧勝」がサプライズとして買いを誘発しました。
セクター別の恩恵と物色
恩恵が大きい分野:
防衛関連:防衛費の一段の拡大・装備更新需要への期待。
半導体・AI・デジタル投資:高市政権が重点投資分野として明示しているため、製造装置・半導体材料なども含めた広い半導体関連に資金流入。
インフラ・建設・内需:公共投資拡大や減税検討への期待から、建設、資本財、小売・サービスなど内需系にも買いが波及しました。
出遅れ修正:選挙前にイベント警戒で売られていた一部の金融・不動産も、「長期金利上昇=利ざや拡大」「デフレ脱却期待」を背景に買い直されましたが、国債利回り上昇を嫌気する向きもあり、反応はセクター内でまちまちでした。
金利・為替と「高市トレード」のセット
為替:高市政権誕生以降、円は対ドルで約6%下落し、大勝後も一時1ドル=156円台〜160円近辺まで円安が進行しました。
ただし、金曜には、152円台へ円は上昇。これは円売りポジションの偏り解消と利益確定により円買い戻しが優勢になったことと、日本のインフレや賃金指標が底堅く、「2026年内に複数回利上げもあり得る」との見方が強まり、日銀の追加利上げ期待が上昇していることによる。
債券:10年国債利回りは2.2%台後半まで上昇し、追加国債発行や財政拡張への警戒がじわじわと織り込まれています。
高市トレードの評価と今後の論点
ポジティブ要因:
政治的安定と政策遂行力の強化(下院2/3超)により、設備投資・防衛・成長分野への支出が加速するとの期待。
デフレ脱却路線の定着と、企業収益拡大(円安による外需企業の増益、内需の需要押し上げ)への期待。
リスク要因(高市トレードの「裏面」):
行き過ぎた財政拡張がインフレ・長期金利上昇を招き、株式のバリュエーションを圧迫する懸念。
円安が160円台を超えるような水準まで進行した場合、実質所得低下や輸入インフレを通じて内需にマイナスもあり得るとの指摘。
プロの投資家の間では、「自民党大勝→高市トレード再加速→短期的には日本株に強い追い風だが、中長期はインフレ・金利・財政規律との綱引きになる」という見方が多く、現時点では株式市場が最も素直に好感しているフェーズと整理できます。
【金利・為替市場】
2月9〜13日の局面は、「日米とも長期金利がやや低下するなかで、日米金利差縮小期待とポジション調整を背景に、急激な円安が一服し円高方向に振れた週」と整理できます。
円ドルレートの動き
レベル感
2月上旬のドル円は、おおむね1ドル=156〜157円台からスタートし、高市トレード再加速と米金利の高さを背景に円安方向に振れた後、週半ば以降は155円台前半〜半ばに戻るなど、やや円高方向へ調整しました。
2月9日終値は約156.1円、11〜13日にかけては153〜155円台方向へじりじりと押し戻されており、「円安一方向」から「往って来い」に近い形です。
方向性
1月中旬にかけては159円台まで円安が進んでいたのに対し、1月末〜2月は152〜157円レンジ内での推移となっており、「極端な円安水準からはやや円高方向へ修正」というトレンドです。
日米長期金利の動き
米10年国債利回り
2月9日時点で米10年は4.19%前後で、その後CPIを含む指標発表を通じて4.05%近辺まで低下しました。CPIは「インフレ再加速ではない」と受け止められ、FRBの早期大幅利下げ観測はなお限定的なものの、「これ以上金利が大きく上方向に行くリスク」はいったん後退し、利回りは小幅に低下しました。
日本10年国債利回り
日本の10年JGBは、1月19日に一時2.33%と27年ぶり高水準を付けた後、財政への過度な警戒がやや後退し、2月13日時点では2.21%前後まで低下しました。それでも水準としては歴史的に高く、日銀のマイナス金利解除・利上げ継続期待が残っていることを反映しています。
金利と円相場の関係(今回の局面)
日米金利差の「縮小方向」
米10年は4.1%前後から4.0%前後へ、日本10年は2.2%台後半から2.2%前後へと、双方とも若干低下しましたが、米側の低下幅の方がやや大きく、「長期ゾーンの日米金利差はわずかに縮小」した方向です。このため、金利差拡大に賭けたドル買い・円売りポジションの一部が巻き戻され、円買いが入りやすい地合いになりました。
「高市トレード」のポジション調整
高市トレードとして積み上がっていた円売り・日本株買い・JGB売りのうち、為替と債券については「一気に円安・金利上昇が進みすぎた」との警戒感から、週後半にかけては円買い戻し・JGB買い戻し(利回り低下)の動きが出ました。
介入警戒ゾーンからの反転
ドル円が1月に159円台まで円安が進んだことで、「160円に近づけば当局の口先介入・実弾介入リスクが高まる」という意識が強く、2月に入ると上値が重くなっていました。
そこへ米金利低下・日米金利差縮小の思惑が重なり、「テクニカルな天井感+介入警戒」から円高方向への瞬間的な変化が起きやすい条件が整っていたといえます。
まとめのイメージ
ドル円は1月の極端な円安水準(159円台)から、2月第2週には155円前後まで円高方向に修正。米10年は4.2%→4.0%台前半、日本10年は2.3%→2.2%前後と、双方とも利回り低下だが、相対的には「金利差縮小方向」。その結果、「高市トレードで進みすぎた円安・金利上昇」を一部巻き戻す形で、金曜にかけて円高・金利低下(特に米側)が同時に進んだ、と整理できます。
【PE市場、プライベートクレジット市場の動き】
機関投資家の資金アロケーションの観点から整理したい。機関投資家のフローという観点では、「ヘッジファンドへの新規・追加アロケーションがやや優位、PEはロックアップと分配停滞で重く、プライベートクレジットは高止まりしつつも伸びが鈍化」という絵姿が見えます。
ヘッジファンドへのアロケーション動向
-
2025年はヘッジファンドに約250億ドルの純流入があり、回答したアロケーターの55%がネットで増額。
-
2026年は回答者の64%がさらにネットで増額予定と回答しており、推計240億ドル規模の純流入見込みとされています。
-
FundFireなどの調査では「オルタ全体の比率は大きく変えないが、PEにロックされた資金が多いため、余剰キャッシュはヘッジファンド側に回っている」とのコメントも出ています。
-
背景には、2025年のリスク調整後リターン(キャッシュ+400〜600bp)と、マクロ・イベントドリブン環境でのヘッジファンドの「ボラ・ヘッジ+α」機能への期待があります。
PEとの比較:「配当は細るが、アロケーションは縮まない」
-
マッキンゼーの2026年PEレポートでは、2025年のPEはディストリビューション減少とエグジット停滞で「DPI不足・ロックアップ長期化」が課題とされています。
-
その結果、「新規コミットはトップティア大型ファンドに集中し、中堅以下のファンドレイズは厳しい」という“バリューシフト”が鮮明になっており、LPは規模・実績重視にシフト。
-
ただし、年金・ソブリンなどの戦略アロケーションとしてのPE比率そのものを大きく削っているわけではなく、「新規ドライパウダー抑制+既存コミット消化」で横ばい〜緩やかな増加というスタンスが多いとされています。
-
その間の「流動性確保・ボラ対策」の受け皿として、ヘッジファンドが相対的に選好されている、という整理が多いです。
プライベートクレジットとの比較:高水準キープだが、ヘッジファンドと奪い合い
-
プライベートクレジットは、2025年までにダイレクトレンディング残高1兆ドル超、オルタ内の中核アセットとして「コア・アロケーション化」しています。
-
2026年アウトルックでは、「リファイの波と新規LBO需要が供給を上回る=投資機会は豊富だが、北米コア直貸しはコモディティ化が進み、欧州やニッチ戦略にシフト」というトーン。
-
アロケーション面では、「既に目標比率に近づいている/達している」機関投資家が多く、PE同様に増加ペースは鈍化、ヘッジファンドとの“マージンの奪い合い”の様相を呈しています。
-
一方、ウェルス/リテールチャネルからのフロー(BDCs、インターバルファンド等)は高成長継続とされ、機関マネーというより「個人マネーがプライベートクレジットを支え、機関は相対的にヘッジファンドへ」という構図も指摘されています。
ざっくりした位置づけ
-
ヘッジファンド:
-
資金フローはプラスに転じ、2026年も追加アロケーション意向が優勢。
-
マクロ・マルチストラテジー・L/Sなど、ボラ環境を前提とした戦略に期待が集まる。
-
-
PE:
-
ロックされている既存コミットが重しで、新規の増額余地は限定。
-
ただし長期アロケーションとしての位置づけは不変で、大型・トップティアへの集中が進行。
-
-
プライベートクレジット:
-
既に「持ち高十分」な機関投資家が多く、アロケーションは高水準横ばい。
-
リファイの波とセカンダリー拡大で投資機会は豊富だが、新規資金の伸びはヘッジファンドほど強くない、という評価が多いです。
-
要するに、「オルタ全体の比率は維持しつつ、流動性と機動性を求めて、周辺マージンがややヘッジファンド側にシフトしている」というのが、足元2026年初の一般的な描写と考えてよさそうです。
2026年2月14日 土曜日 晴れ
12:00 Noon 気温13度@大田区 暖かい日です