AIエージェントのガバナンス・内部監査 備忘録的メモ

 2025年はAIエージェント元年になりそうだ。
 AIエージェントの実際の働きぶりについてはYouTubeでいくつも映像がアップロードされているので「AIエージェント Operator」とか入力して、見て欲しい。凄い機能だ。

 2023年に登場し、一瞬で世界中に広がった生成AIとAIエージェントは何が違うか? 以下が主要な違いだ。
・行動の仕方:AIエージェントは自律型で、自ら考えて適切な判断を下し、与えられた目標に対して必要なタスクを実行する。一方、生成AIは受動型で、人間の指示に基づいて行動し、指示に対する回答を出力する。
・主な機能:AIエージェントは複合的なタスクの効率化に適しており、環境とのインタラクションや状況判断に優れている。生成AIはクリエイティブな業務や新しい情報・アイデアの生成に特化している。
・学習プロセス:AIエージェントは利用者のフィードバックや最新の情報を絶えず学習する。生成AIは事前にセットされたデータ以外の学習は行わない。

 AIエージェントの主要なリスクは以下の3つ。
1.自律性:
 エージェントが勝手に判断し実行までしてしまう。購買や在庫管理をAIエージェントがする場合、何かの不具合で誤った大量発注や不良在庫が発生するリスクがある。
(便利さが怖さに直結する)
2.傾向のバイアス:
 商談や人事にをAIエージェントに任すと、エージェントの基準が組織に蔓延することになり、人事や商談の進め化方で、長年の内にバイアスが蓄積される。
(これは人間がやっていても同じだが)
3.複数のエージェントの介在:
 エージェントの導入が進むとエージェント同士の交渉や、エージェントが自分のサブエージェントを作って業務を推進すると言った、人間のコントロールが効かない事態が生ずる恐れがある。
 (こうした状況はすぐ身近に来ている)

 AIエージェントを内部監査する際に注意すべきポイントは以下:
・データガバナンス:AI導入の計画段階から内部監査が関与し、データ品質や利用方針に潜む問題点を早期に洗い出すことが重要である。データの標準化や品質管理を確認し、意思決定の精度を落とすリスクを防ぐ必要がある。
・倫理リスクの把握:AIが生み出す可能性のあるバイアスや不当な差別に注意を払う必要がある。システム監査やデータ解析の知識だけでなく、法的・社会的なリスクを視野に入れたモニタリングが不可欠だ。
・セキュリティリスク:AIエージェントが扱う機密情報や個人データの保護に注意を払う必要がある。
・内部不正の防止策として、AIの利用範囲や用途を明確にしたポリシーの策定、厳格な承認フローの設定、監査システムの導入などが重要。
・専門知識の習得:内部監査人はAIに関連する規制、AI監査のフレームワークやガイダンス、テクノロジーに関する専門知識やスキルを習得する必要がある。
・組織間連携:人権問題やコンプライアンスの観点も含めて、他部門との連携を密に行うことが重要である。

 AIエージェントのガバナンスで注意すべき点は以下。
・エージェントの行動の見える化:どのエージェントがいつ、何をして、どんな結果を得ているか情報を記録し、必要に応じて、参照したり監査したりできるようにしておくこと。
・エージェントの行動の制約:エージェントが勝手にやって良いこと、人間の承認が必要なことを峻別しておくこと。
・大量のエージェントが相互作用しあう状況を想定し管理体制を敷くこと:どのエージェントが(つまりはそれを使用した人間が)問題を起こしたか、認定できるようにしておくことが重要になる。

 AIエージェント導入の初期段階ではIT部門が担当していればよいかもしれないが、全社的にエージェントの導入が進むと、人事、法務、営業といったユーザー部門とも連携し、「AIエージェント管理委員会」のような部門横断的な組織が必要になる。

2025年2月8日 土曜日