ガバナンスが不全だから

 不祥事が発生するたびに企業の言い訳として「ガバナンスが効いていなかった」「ガバナンスが機能していなかった」という言い方がある。フジテレビもご多分に漏れずそういう説明だ。

 これは、試験で落第点を取った生徒が、勉強しなかったので出来なかった、という言い訳にそっくりだ。勉強しないで良い成績を取ろうと言う不埒な考えが問題なのだが、そこには触れないで、勉強できなかったので落第したというトートロジー(tautology)なのだ。

 トートロジーとは同じ言葉を繰り返すことで、何の説明にもなっていない表現や命題で、同語反復や同義語反復とも呼ばれる。「日本は変化しないといけない。だから今こそ日本は変らないといけないと思います」小泉進次郎の有名な話法もトートロジーが多い。

 話をガバナンスに戻すと、そもそもガバナンスの機能を確認すると以下のようになる。
【ガバナンスの機能】
監視と制御
 経営者の行動を監視し、企業の目標に向けた適切な意思決定を促す。取締役会や監査役会がその役割を担う。
リスク管理
 企業が直面する様々なリスク(法的、財務的、運営上のリスクなど)を特定し、それに対する対策を講じる。
透明性の確保
 企業活動や経営に関する情報を適時かつ正確に開示し、ステークホルダーに対する透明性を確保する。
法令遵守
 法令や規制を遵守するための体制を整え、企業倫理を維持する。
利害調整
 株主、従業員、顧客、取引先など、企業のステークホルダーの利益を調整し、バランスを取る。

 「ガバナンスが機能していなかった」という説明ではなく、上記のガバナンスの機能のどこに欠陥があったのかを追求どのように改善を図るかを考え、実行して行かないと問題の解決は出来ない。

2025年1月25日 土曜日