世界の動き 2024年10月22日 火曜日

今日の一言
「民主主義の危機」
 ドイツの話だ。ブランデンブルグ州の議会選挙で、与党の社会民主党SPDが僅差で勝利した。極右政党とされるドイツのための選択肢AfDが第二党になった。
 AfDは既にチューリンゲン州では第一党になった。AfDに政権を取らせないために第二党のキリスト教民主同盟は緑の党や共産党系の政党との連立を模索している。保守派から極左まで連合してAfDに政権を渡さない構えだ。
 極右政党であるAfDの躍進は民主主義の危機かも知れない。しかし、AfDを支持する多数の世論に反し、その他の政党が右から左まで連立するのは、これも民主主義の危機だ。

ニューヨークタイムス電子版よりTop3記事
1.米国大統領選は実質的に同点
【記事要旨】
 11月5日の投票まで2週間となった今、世論調査ではドナルド・トランプ氏とカマラ・ハリス氏が接戦を繰り広げている。
 ペンシルベニア、ミシガン、ネバダ、ウィスコンシン、ノースカロライナの5つの重要な激戦州におけるタイムズの世論調査平均では、ハリス氏とトランプ氏は実質的に同点だ。どちらの候補も1ポイントもリードしておらず、これらの州のいくつかではどちらの候補も0.2パーセントポイント以上リードしていない。
 しかし、選挙は世論調査で決まるのではなく、有権者によって決まる。世論調査平均で0.2ポイントリードしているかリードしていないかは、勝敗を分けるものではない。
 陣営とも、まだ獲得できる数少ない有権者を必死に追い求めている。両陣営とも若年層、黒人、またはラテン系を追求している。ハリス陣営は白人で大学教育を受けた女性にも注目している。
最近の動き
・国内の多くの地域で期日前投票が行われている中、トランプ氏は選挙が不公平になるという証拠は見当たらないと述べたが、それでも疑念を植え付け続けた。
・ハリス氏はトランプ氏に疑念を抱く共和党員にアピールするため、激戦州3州を訪問した。
・ヒンズー教徒の母とキリスト教徒の父を持つハリス氏の経歴は、彼女が率いようとしている多宗教、多元主義、そしてますます世俗化しているアメリカを体現している。
・ジル・スタイン氏に近い人々は、ハリス氏から重要な票をはぎ取るかもしれないとして、彼女に大統領選への出馬をやめるよう懇願しているが、スタインは無視している。
【コメント】
 Jill Steinは米国緑の党の党首で、独立した政治活動家だ。

2.レバノン紛争は「制御不能」と米国当局者が発言
【記事要旨】
 バイデン大統領のレバノン特使は昨日、イスラエルとヒズボラの紛争は「制御不能にエスカレートしている」と述べた。
 ベイルートを訪問したアモス・ホクシュタイン特使 は、イスラエル軍のレバノンからの撤退と両国国境沿いのヒズボラの武装解除を求める国連決議の実施を求めた。
 その後、イスラエル軍はベイルート近郊で新たな一連の空爆を開始した。レバノン保健省によると、政府病院付近での攻撃で少なくとも子供1人を含む4人が死亡、20人以上が負傷した。
中東のその他の動向:
・アントニー・ブリンケン米国務長官は中東への再訪問に出発する予定。
・イスラエル当局は、イランのために情報収集していたイスラエル人7人からなるスパイネットワークを解体したと発表した。
・イスラエルとパレスチナの紛争の二国家解決は依然として米国と西側諸国の目標だが、この地域の多くの人々は、その見通しは遠いと述べている。
【コメント】
 特使のコメントを待つまでもなく、制御不能なのは明らかだ。

3.ロシア、西側諸国を追い越すべく各国をホスト
【記事要旨】
 BRICS(ブラジル、ロシア、インド、中国、南アフリカ)サミットが今日、ロシア南西部の都市カザンで始まる。ウラジミール・プーチン大統領は、この会議で、ロシアが世界的に孤立しているにもかかわらず、依然として重要な経済的同盟国がいることを西側諸国に示すことを期待している。
 何が問題か:ロシアは、西側諸国が支配しない新しい世界秩序を形成するために、各国を連合に引き入れたいと考えている。プーチン大統領がホストを務める一方、中国の最高指導者、習近平が、首脳会議に主導的な立場で出席する。アナリストらは、習近平が近年米国に接近しているインドのナレンドラ・モディ首相とどのように交流するかに注目すると述べている。
【コメント】
 類は友を呼ぶ。Birds of a feather flock together,
 西側の自由民主主義国が世界の基軸ではないことを忘れずに世界情勢に対応する知恵が必要だということだ。

その他の記事
モルドバ:
 国民投票の結果、同国はロシアではなく欧州との緊密な関係に僅差で「賛成」票を投じた。
自然保護:
 世界各国の代表団が、史上最大規模となると見込まれる国連生物多様性会議のためにコロンビアを訪れている。
パキスタン:
 議会は最高裁判所長官の任命手続きの全面見直しを可決したが、批評家らは最高裁の統制を狙った動きだと指摘している。

2024年10月22日 火曜日