内政での不人気を外交で取り返そうとばかり岸田首相はフィリピン、マレーシアを訪問している。マルコス大統領との首脳会談は日本のメディアには大きく取り上げられなかったが、海外では概して好意的に報道されているようだ。ユーラシアグループのGZERO Dailyの記事を紹介したい。
(タイトル)日本は安全保障を強化するために南に目を向ける
日本の岸田文雄首相は、フィリピンのフェルディナンド・マルコス・ジュニア大統領との首脳会談のためマニラを訪れており、日本政府は中国へのリスクを回避するために東南アジアのパートナーとの接近を試みている。
東京はすでにフィリピンと広範な経済・外交関係を持っており、1970年代後半以来、東南アジアでの強力な関係を戦略的に築いてきた。 しかし、岸田首相は今週末のマレーシア訪問と併せて、今回の訪問中に軍事関係を深め、両国への日本の防衛輸出を開放し、相互訓練プログラムを立ち上げることを望んでいる。
軍事的側面の拡大は東京にとって重要な変化である。 第二次世界大戦直後、米国は NATO のような集団安全保障戦略の代わりに、アジアでの「ハブ アンド スポーク」システムを追求してきた。 日本、韓国、フィリピンなどの国々はすべて米国の同盟国だが、米国の影響力を最大限に高めるのみでなく、各国が異なる脅威に直面していたため、互いに同盟関係にあったわけではない。1950 年代にマニラが懸念していたことは、必ずしも東京にとって問題ではなかった。
現在、この地域の誰もが懸念している問題が 1 つある。それは中国軍の脅威だ。日本政府は、中国から身を守るためにはもはや技術的優位性に頼ることができないことを十分に認識しており、米国政府も同様である。 ユーラシア・グループの日本ディレクター、デービッド・ボーリング氏は、日本にできることは、こうした長年の絆を取り戻し、東南アジアのパートナーに後押しを与えることだ、と語る。
防衛協力を強化するための岸田氏のフィリピン訪問は、日本が中国に『あなた方は我々よりも偉大かもしれないが、我々にはあなた方よりも多くの友人がいる』ということを思い知らせる手段である。
(コメント)
東シナ海で中国に融和的な対応に終始している日本はASEAN諸国にとって頼りになるパートナーたる資格に欠けている。
日本の防衛装備はコストが高く国際市場で競争できる代物ではない。韓国が汎用性の高い戦車をNATO諸国に提供しているのとは大違いだ。
国内に米軍基地を50か所も抱え、軍事的には半独立国たる日本は、まず米国との間で是々非々の関係を構築することが他国からの信頼を勝ち取る第一歩だ。
しかる後に、自分の身の丈に合った防衛戦略をよく考えて、外交もそれを基に展開する必要があるだろう。
2023年11月5日 日曜日