【週間市場動向】
米国株式市場と日本株式市場は、11月17日から21日にかけてともに調整局面となりました。以下に主要インデックスの終値と週間騰落率を示します.
米国主要指数の動き
ダウ平均 終値: 45,808.65(11月21日)週間騰落率: 約-1.53%
S&P500 終値: 6,672.41(11月21日) 週間騰落率: 約-1.11%
NASDAQ総合 終値: 22,708.07(11月21日)週間騰落率: 約-2.12%
米国市場は週初から企業決算、FRB議事要旨、政府再開期待などが交錯する中、AI・テック銘柄のバリュエーション懸念が響き、全体的に乱高下し軟調推移となりました。
日本株主要指数の動き
日経平均株価 終値: 48,282.39(11月21日)週間騰落率: 約-4.06%(週初50,323.91→週末48,282.39)
TOPIX 終値: 3,347.53(11月21日)週間騰落率: 約-0.86%
(週初3,376.49→週末3,347.53)
日本市場でも米国株安や国内GDPの弱さ、地政学リスクなどが嫌気され急落。特に日経平均は50,000円台割れとなり、投資家心理に不安が広がりました。
市場の背景
米国は主要テック株の調整や年末利下げ観測の後退が重石となりました。
日本は経済指標の悪化や海外株安を受け、ハイテク・主力株が連鎖的に売られました。
この期間は世界的にリスクオフの動きが強まり株価は広範囲で反落しました。
日本株でも、トヨタや三菱商事は値上がりしていおり、Buy the Bestという考えは有効だと思われます。
【今週の見通し】
今週(11月22日週)の市場動向は、米国・日本ともに引き続き高い不安定性と短期反発が注目されます。特にFRBの利下げ観測や雇用統計などの経済イベントが、主要な注目材料となっています。
米国市場の見通し・注目イベント
先週末は、FRBの12月利下げ期待が再び高まり、市場は大きく反発しましたが、テクノロジー株(特にAI・半導体関連)のバリュエーションへの警戒感が強いままです。
今週の注目点
・FRB関係者の発言やFOMC議事要旨
・11月主要経済指標(耐久財受注、新規失業保険申請件数など)の発表
・企業決算の続報とAI・半導体分野の動向(Nvidia など)
投資家は年内利下げの有無、インフレ減速の持続性を注視しています。
日本市場の見通し・注目イベント
日経平均 は先週50,000円台割れとなり、ボラティリティが高まっています。米国市場の動向に引きずられる展開が続く見込みです。
今週の注目点
・米国経済指標、円相場の動向
・国内11月消費者物価(CPI)や企業決算
・政治リスクや地政学的要因(中国関連含む)
日銀の政策修正や出口議論も引き続き投資家心理に影響しやすい見通しです。
主要経済イベント(今週)
日付 イベント
11/25-26 米国耐久財受注・新築住宅販売
11/27 米国GDP改定値
11/28 米国新規失業保険申請件数、個人消費支出
11/29 日本消費者物価(東京都区部)、失業率
特に米国のインフレ関係指標と雇用関連データが市場の金利観測に直結しやすく、ボラティリティ継続に注意が必要です。
総じて、市場は“短期的反発と中期的な警戒感の綱引き”が続く構図となっており、イベント主導型の値動きに警戒感が強い一週間と見込まれます。
【金利と為替】
2025年11月下旬、日本では金利高と円安が急速に進行しています。一方、米国では利下げ観測が一時高まったものの、金利政策の先行きは不透明な状況です。以下に金利と為替の動きを詳しく説明します。
日本の金利高と円安の背景
日本の長期金利(10年国債利回り)は2025年11月に1.8%台まで上昇し、2008年6月以来、約17年半ぶりの高水準となりました。この上昇は、高市政権による大規模な経済対策や財政悪化懸念、日銀の利上げ期待が背景にあります。
政府の積極財政政策(総合経済対策の規模拡大)が市場の財政悪化懸念を強め、国債の売りが加速しました。また、日銀の利上げ期待が高まり、金利上昇圧力が強まっています。
金利上昇は円安を加速させる要因となり、1ドル=156円台まで円安が進行しました。これは2025年1月以来の水準です。円安は対ユーロでも進行し、1ユーロ=180円台後半で推移しています。
米国の金利動向
米国では10月にFRB(米連邦準備制度理事会)が政策金利を0.25ポイント引き下げ、3.75~4.00%にしました。12月の追加利下げ観測が高まっていますが、FRB議長や関係者の発言に温度差があり、利下げの有無は不透明です。
12月のFOMC(連邦公開市場委員会)で追加利下げが実施される確率は約60%とされていますが、インフレ懸念や雇用市場の動向によって利下げ観測が後退する可能性もあります。
米国長期金利(10年国債利回り)は4.09%前後で推移しています。FRBの利下げ観測が高まると金利は低下し、逆に利下げ観測が後退すると金利は上昇しています。
金利差と為替の関係
日米の金利差が縮小する見通しはありますが、日銀の利上げが限定的で、米国の利下げペースも不透明なため、金利差がすぐに縮小するとは考えにくい状況です。
金利差が縮小しない限り、円安ドル高の基調は続く可能性が高いです。高市政権下で円安圧力がかかり続け、年内に160円を試す展開も十分ありうると予想されています。
ただし、為替介入の可能性も高まっており、162円を超えると当局の介入が予想されています。
今後の見通し
日本の金利高と円安は、政府の財政政策や日銀の金融政策運営に大きく影響されます。高市政権の積極財政政策が継続する限り、金利上昇と円安圧力は続く見通しです。
米国ではFRBの利下げ観測が高まっていますが、インフレ懸念や雇用市場の動向によって利下げ観測が後退する可能性もあります。金利政策の先行きは不透明な状況です。
【PE市場、プライベートクレジット市場】
PE市場(プライベートエクイティ)では引き続き流動性制約と分配の鈍化、セカンダリーマーケット活況といった傾向が鮮明です。プライベートクレジット市場(未上場企業向け直接貸付資金)については、その拡大ペースやリスク構造が「ゴキブリのような危険」、つまり表面化しにくい潜在リスクが集積するとの懸念も議論されています。
プライベートエクイティ(PE)市場
PE市場は2025年も取引数自体は回復傾向ですが、古いファンド資産の分配遅れ(「流動性クランチ」)が続き、配当/資産回収を重視する投資家ニーズが顕在化しています。
セカンダリー取引やオルタナティブ戦略への資金流入が続く一方、運用側は「キャッシュリターン重視」や「専門領域へのシフト」といったプレッシャーの下でディール選別が一段と厳格化しています。
プライベートクレジット市場の動向とリスク
世界のプライベートクレジット市場は2024年の2.1兆ドルから2030年には4.5兆ドルへの拡大予測があり、その資金流入と需要増を背景に貸出競争・スプレッド圧縮が加速しています。
一方で「ゴキブリ・リスク」――すなわち可視化しにくい債務条件の緩みや、リスク移転の連鎖が発生しています。代表例が「bad PIKs(支払繰延型利息の質的悪化)」など、表面上は無事に見えても債務者の返済能力悪化の兆候が増えています。
危険視される理由は
・情報開示・規制が銀行など公的部門より緩い
・「ハイイールド・ローン」的な高金利案件の増加
・強気過ぎるレバレッジ(借入倍率)
・マーケット規模拡大に伴い全体の質が低下しやすい
といった構造要因に加え、市場ショック時に一斉にリスクが顕在化しやすい点が挙げられます。
暗部リスクの評価
近時のプライベートクレジット市場では、延滞やローン条件の緩和(PIK増加など)を示すデータが蓄積されつつありますが、依然としてクーポン水準の高さ(8〜12%)、流動性供給策の多様化もあり「今すぐクラッシュ」には直結していません。
しかし「リスクに見合うプレミアムがあるうちは良いものの、市場ストレスや大型倒産時には一気に可視化するゴキブリ・リスクとなりうる」ため、規制当局や大手資産家も慎重姿勢を示しています。
総じて、プライベートクレジットの魅力と表裏一体で「見えにくい脆弱性」を警戒する声が増えているのが現状です。運用選別・情報精査の徹底と、マクロショック時のストレスシナリオ分析が一段と重要です。
2025年11月22日 土曜日