世界の動き 2025年12月9日 火曜日

今日の一言
「ダブルの災害に備える」
 昨夜寝入りばなに長い震動を感じた。すぐTVをつけたところ青森で震度6強とのニュースだった。
 昨年の能登地震でもそうだったが、災害のダブルパンチが最近は起きるようになった。大地震と豪雨、大火災と津波、山火事と水不足といった具合だ。
 これからは一つの災害に備えるだけでなく、複合的に起こる事象に備える必要がある。
 これは自然現象だけでなく、身近な経済事象にも当てはまるだろう。「金利高」と「住宅高」、「物価高」と「失業」とかいろいろな事象が考えられる。

ニューヨークタイムズ電子版より
1.第二の「チャイナ・ショック」
【記事要旨】
●第一のチャイナ・ショック(2000年代)
欧米企業が中国へ製造を委託し、中国は「世界の工場」と化した。安価な製品の大量輸出により欧米の産業が崩壊し、数百万規模の雇用が失われ、政治的影響は現在も続いている。
●第二のチャイナ・ショック(現在進行中)
– 米国市場では関税により販売が制限され、中国は輸出先を途上国へシフト。さらに現地に工場を建設している。
– 途上国は製造業依存度が高く、西側諸国以上に影響を受けやすい。
●具体的影響
– インドネシア:過去2年間で30万人以上が衣料・繊維産業の雇用を喪失。ソロ市では工場閉鎖により1万人が一夜で失業。
– タイ:中央銀行が「中国輸出の洪水」に警告。製造業の過剰能力が圧力を強めている。
– アフリカ:中国からの輸入が急増し、2025年9月には600億ドルに達し、前年をすでに超過。
– 中国の世界貿易黒字は初めて年間1兆ドルを突破。輸出は世界貿易全体の3倍の速度で拡大。
●工場の輸出
– ベトナム:家具や靴など労働集約型産業が移転し、現地雇用にプラス効果。
– マレーシア:中国企業が巨大な太陽光発電工場を建設し地元産業を駆逐。しかし米国の関税で中国企業が撤退し、マレーシアの太陽光産業は壊滅。
●社会的不安
– 多くの途上国で国内製造業が急減速。若年層人口が多く、失業や機会不足が抗議運動につながっている。
– インドネシアでは若者の抗議が拡大。反中感情が歴史的に根強く、1998年の暴動や2014年ベトナムでの工場焼き討ちの記憶が残る。
●教訓
西側は自ら中国の製造力を受け入れ、その後の社会的・政治的代償に苦しんできた。
一方、東南アジアやアフリカ諸国は望まずして第二のチャイナ・ショックに直面しており、今後の衝撃に備える必要がある。
【コメント】
 第二のチャイナ・ショックは途上国を中心に広がり、製造業の崩壊・失業・社会不安を引き起こしつつあり、影響は第一のショック同様に深刻になる可能性が高い。こうした見方があるのを知らなかった。

 巨大なドラゴンは世界中で軋轢を起こしている。ドラゴンが来る、彼と食卓をともにしなければ、食べられる方になってしまう。

2.ハマスはガザで「依然として抵抗」
【記事要旨】
 10月に停戦合意に基づきイスラエル軍がガザの一部から撤退して以来、ハマスは迅速に行動を起こし、再び警察部隊を街頭に展開している。
 ハマスは現在、ガザ地区の領土の半分以下を支配しており、残りはイスラエルが占領している。しかし、この過激派組織は再び勢力を回復することに成功した。「彼らは依然として抵抗を続けている」と、イスラエルの国内情報機関シンベトの元高官は述べた。この急速な再編は、ハマスのないガザを再建するという米国の計画にとって大きな障害となっている。
【コメント】
 壊滅間近と思っていたら、まだ頑張っているのか。。

3.タイとカンボジアの新たな戦闘の波
【記事要旨】
 タイとカンボジアの国境で新たな暴力が発生し、少なくとも5人が死亡、数十万人が避難を余儀なくされた。
 タイの戦闘機が昨日、カンボジアの標的を爆撃した。タイ軍は、この空爆は、同日早朝にカンボジアによる攻撃があり、少なくともタイ兵1人が死亡、8人が負傷したことへの報復措置であると述べた。今回の戦闘は、カンボジアとタイの間の亀裂がいかに深刻であるかを改めて浮き彫りにした。
【コメント】
 ここはディールメーカーの登場だ。トランプさん、助けて。

その他の記事
・シリアでは、反政府勢力が独裁者バッシャール・アル・アサドを倒してから1年が経ったことを祝った。
・パラマウントは、ワーナー・ブラザース・ディスカバリーがストリーミング事業とスタジオ事業をNetflixに売却することに合意した数日後に、同社への敵対的買収を開始した。
・英国、フランス、ドイツの首脳は、和平交渉が難航する中、ウクライナへの支援を継続することを表明した。
・ナイジェリアのカトリック学校から誘拐された100人の子どもたちが日曜日に解放されたが、約165人の児童と職員は依然として拘束されている。
・ブラジルのサンパウロでは、武装集団が図書館からアンリ・マティスの作品を含む12点以上の美術作品を盗んだ。

2025年12月9日 火曜日

世界の動き 2025年12月8日 月曜日

今日の一言
「アンチエイジング」
昨夜NHK特集で「抗老化」の番組を見た。他人の血しょうを自分の体に入れてもらう人たちの例が紹介された。アルツハイマー型認知症の予防のためにも効果がある治療のようだ。パーキンソン病の治療のための脳に幹細胞を注入する手術も紹介された。
治療なら良いが、単なるアンチエイジングに保険が適用されない高額の治療を求める人達の動きには驚いた。
人間の生物学的な寿命は38年にすぎないのだが、ワクチンの開発や医学と保険活動で寿命が80歳まで伸びたという。番組の後半では、健康寿命が寿命に近づく未来は、どんな社会になっているかという哲学的な話になった。
メトホルミンという糖尿病の薬があり、私も服用している。ジェネリックのある一錠10円ほどの安価な薬だ。番組では、抗老化作用がありそうで研究が進んでいるそうだ。本当なら朗報だ。毎日忘れずに飲まなければ。

ニューヨークタイムズ電子版より
1.シリアにおける「奇跡」のような変化
【記事要旨】
●背景
シリアでは10年以上、飛行機の音は爆撃やロケット攻撃を意味していた。しかしアサド政権崩壊から1年が経ち、今では亡命者の帰国便や観光客を乗せた飛行機の音に変わりつつある。
●政権交代後の現状
– 反体制派が樹立した新政府(大統領アーメド・シャラー)が統治。
– 初期の楽観は後退し、宗派間暴力や意思決定の閉鎖性など批判も多い。
– 軍再建では忠誠心が専門性より優先されているとの指摘もある。
●課題と不安
– 電気料金の高騰、治安の不安(復讐殺人や誘拐)。
– 宗教・民族的少数派は新しいイスラム主導の方向性に懸念を抱く。
– 14年に及ぶ内戦で社会は深く分断され、信頼が失われている。
●変化と希望
– 前線は消え、国内外の避難民が帰還可能に。
– 徴兵制廃止で、多くの男性が安心して帰宅。
– アサド一家の写真や「壁に耳あり」という恐怖は消え、政治的発言の自由が拡大。
– 外貨使用禁止などの抑圧も撤廃。
– 行政機関で市民が尊重されるようになり、革命歌「頭を高く上げよ、あなたは自由なシリア人」が広く歌われている。
●国際的評価と象徴的行為
– 国際社会は新政権を歓迎し、外交関係を再構築。
– ただし支援は条件付きであり、課題は依然多い。
– 政府は軍用ヘリから花を撒くなど、空を「美の象徴」として取り戻す試みを行っている。
アサド大統領追放から1周年となる12月8日を記念して、本日も同様の措置を取る予定だと発表した。
【コメント】
アサド政権崩壊から1年、シリアは依然として課題山積ながらも「国家が機能していること自体が奇跡」と言える状況にあり、恐怖から解放された新しい日常と希望の兆しが芽生えているようだ。

2.ベナンでクーデター未遂事件
【記事要旨】
西アフリカの国ベナンは、昨日、軍関係者によるクーデター未遂事件が発生し、混乱に陥った。政府は軍関係者14人が逮捕されたと発表したが、詳細は不明である。
政府報道官は、パトリス・タロン大統領は無事だが、この日、公の場に姿を見せたり、声明を発表したりしていないと述べた。ベナンにおけるこうした事態の展開は、近年アフリカを揺るがしている不安定さを改めて浮き彫りにするものだ。2020年から2023年にかけて、軍によるクーデターが9件発生しており、これは過去数十年間で前例のない数である。
【コメント】
ベナンは西アフリカに位置する南北に細長い国で、東にナイジェリア、西にトーゴ、南はギニア湾に面し、北にブルキナファソとニジェールという4カ国に囲まれています。
国名 ベナン共和国(République du Bénin)
面積 112,622平方キロメートル(日本の約3分の1)
首都 ポルトノボ(Porto-Novo)(実質的首都機能はコトヌ)
人口 1,335万人(2022年、世銀)
民族 フォン族、ヨルバ族(南部)、アジャ族(モノ、クフォ川流域)、バリタ族、プール族(北部)、ソンバ族(アタコラ山地、トーゴ間)等46部族
言語 フランス語
バスケットの八村塁の父親がベナン人だ。

3.トランプ大統領の支持率低下
【記事要旨】
タイムズ紙の世論調査データ分析によると、トランプ大統領の支持率はここ数週間で低下している。数ヶ月安定していたことを考えると、この変化は小さいながらも顕著だ。
トランプ大統領に関するその他のニュース:
トランプ政権は新たな安全保障戦略を発表し、欧州諸国が自国の防衛に「主たる責任」を負うことを求めた。33ページに及ぶこの文書で最も衝撃的なのは、それが何を無視しているかだ。
【コメント】
●無視されている点(David Sangerの指摘)
– AUKUS協定への言及なし:米国・英国・オーストラリアの三国間安全保障協定(AUKUS)は近年「歴史的」と評されてきましたが、この文書では一切触れられていません。
– 同盟強化の欠如:バイデン政権が重視した「同盟再建」や「国際協調」への方向性は完全に無視され、むしろ欧州諸国を弱体化した存在として批判しています。
– 中東や他地域への関与縮小:過去の米国の中東政策への関与や体制変更の試みを否定し、非介入を強調しています。
– 文書の特徴
– ヨーロッパを「文明的自信を失った大陸」と描写し、移民や言論規制を理由に「文明の消滅の危機」に直面していると主張。
– ロシアとの関係を「存在的脅威」と捉える欧州を批判し、米国の視点からは「力を持ちながら自信を欠いている」と断じています。
– 同盟国への批判が強い一方で、米国の西半球での覇権強化を明確に打ち出しています。
●日本に関する記述のポイント
– 防衛費増額要求
文書は日本と韓国に対し、防衛費を大幅に増やすよう求めています。これは中国の覇権的行動を抑止するためであり、台湾やフィリピンを含む「第一列島線」の防衛を強化する狙いがあります。
– 台湾防衛との関連
台湾防衛を米国の重要課題と位置づけ、同盟国(日本を含む)と協力して「台湾の武力による併合を阻止する」能力を強化するとしています。
– 国際的文脈
欧州諸国には「自国防衛の主要責任」を求める一方、インド太平洋地域は「次世紀の経済・地政学的な主戦場」として特に重視され、日本はその中心的な同盟国として扱われています。
– 日本政府の対応
2025年10月の日米首脳会談で高市早苗首相は、トランプ大統領に先んじて「防衛費増額計画」を伝え、理解を得たと報じられています。日本はGDP比2%への防衛費引き上げを表明済みで、米国の要求に応える姿勢を示しました。

其の他の記事
・香港政府は、先月発生したマンション火災の影に隠れた立法府選挙の投票率向上を強く求めた。
・ウラジーミル・プーチン大統領は、ロシア軍に対し冬季戦闘への準備を命じ、米国当局との協議後も要求を曲げない姿勢を示した。
・Netflixは、ワーナー・ブラザース・ディスカバリー・スタジオを827億ドルで買収する計画で、ハリウッドをはじめとするメディア業界のあり方を大きく変える可能性がある。
・サウジアラビアは、一部の外国人居住者へのアルコール販売をひそかに解禁した。
・ケイティ・ペリーとジャスティン・トルドー首相は、日本を観光中に一緒にポーズをとった写真で「インスタグラム公認」となった。

2025年12月8日 月曜日
太平洋戦争開戦の日だ。昨日は「トラトラトラ」を放映していた。

デル夫妻の子供向け巨額寄付プログラム

先週のどこかでニューヨークタイムズで読んだ記事だ。
 思い出せないのでCopilotに聞いたら、すぐに詳しく回答してくれた。以下はCopilotの説明だ。
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概要:
 マイケル&スーザン・デル夫妻は、米国の子供たちに対して 総額62.5億ドル(約9兆円) を拠出し、最大 2,500万人の子供 に一人あたり 250ドル を投資口座へ入金する支援を行います。この取り組みは米政府の「Invest America(通称トランプ・アカウント)」を補完するもので、子供たちの将来の教育・住宅・起業資金の基盤を作ることを目的としています。

支援の仕組み
– 対象: 主に 10歳以下の子供(2025年以前に生まれたため政府の新生児向け1,000ドル給付の対象外となる層)。
– 条件: 世帯収入の中央値が 15万ドル未満のZIPコード に住む子供。
– 人数: 最大 2,500万人。
– 拠出額: 一人あたり 250ドル、総額 62.5億ドル。
– 運用: 投資口座は 株価指数連動型ファンドに投資され、18歳まで引き出し不可。

政府プログラムとの関係
– Invest America(トランプ・アカウント):
– 2025~2028年生まれの新生児に対し、米財務省が 1,000ドル を口座に拠出。
– 親や親族、企業などが年間最大 5,000ドル を追加拠出可能。
– 18歳以降に教育、職業訓練、住宅購入、起業資金などに利用できる。
– デル夫妻の寄付:
– 政府の新生児給付対象外の子供にも「資産形成のスタートライン」を提供。
– 低・中所得層の子供たちに広く恩恵を与える。

社会的意義
– 資産形成の格差是正: 富裕層だけでなく一般家庭の子供にも投資口座を持たせる。
– 金融リテラシー促進: 子供が「自分の投資口座」を持つことで、将来の金融教育にもつながる。
– 長期的効果: 18歳まで運用されるため、複利効果で大きな資産形成が可能。
– 象徴的規模: 米国史上最大級の子供向け民間寄付であり、他の企業・慈善家への呼びかけにもなる。

まとめ
デル夫妻の支援は、「生まれた環境に左右されず、子供に資産形成の機会を与える」という理念に基づいたものです。政府の新制度を補完し、低・中所得層の子供たちに広く恩恵を届けることで、教育・住宅・起業など人生の大きな節目に備える基盤を提供する極めて画期的な取り組みです。
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 デル氏とはPCのDellの創業者だ。1984年にわずか1,000ドルで起業したDell社を巨大テック企業に成長させた人物だ。デル夫妻の総資産は210兆円と推定されている。それにしても総額9兆円の支援プログラムは巨額だ。日本政府の子供支援政策がかすんで見える。
 支援対象選別の根拠を郵便番号に依拠しているのもユニークだ。私が以前住んでいたScarsdaleというニューヨーク近郊の町はZipCode 10583。 所帯収入中央値は$250001で対象外。隣接するWhitePlainsという都市は$114956で対象になる。全米の約8割の世帯が対象になるとの推計もある。
 10歳以下の児童に、デル氏が骨身に染みて知ったはずの「福利の力」を経験させようという狙いもユニークだ。
 英語で言うTime Value of Money. 今日の1ドルは10年後にいくらになるか。10年後に約束された1ドルは、今はいったいいくらが妥当か。こういったことは米国の金融論の基礎だ。このプランが実現すれば、多くの米国人の子供たちが、蓄えた資金を元手に、デル氏のように起業に挑戦することだろう。
 210兆円の資産から9兆円の寄付ということは約4.3%の寄付だ。デル氏には及びもつかないが、210万円から9万円なら可能かもしれない。「より良い世の中にするために何かできるかもしれない」と普段考えることのないことを考える年の瀬だ。

2025年12月7日 日曜日

週間市場動向 2025年12月1日~5日 備忘録

【株式市場の動向】
12月1日~5日の1週間、米国株は小幅高で推移しつつも、暗号資産急落や経済指標を受けた金利観測の揺れから上値を抑えられ、日本株は日銀の利上げ観測と弱い家計指標で上昇一服・調整色が強まりました。​

米国株式市場の動向
米国では、12月入り直後の1日に暗号資産ビットコインの急落と、11月末までの急ピッチな上昇の反動から、ダウ・S&P500・ナスダックがそろって反落し、利益確定売りが優勢となりました。 その後の週後半は、雇用関連指標やインフレ指標が「利下げ期待を維持しつつも景気急減速懸念を和らげる」内容となり、FRBの12月利下げ観測がほぼ織り込まれたことで、S&P500とナスダックを中心に底堅い推移となりました。​

週末時点で、S&P500は12月1日の6,812台から5日にかけて6,870ポイント前後まで上昇し、週間ではおおむね+0.8%程度の小幅高とみられます。 ナスダック総合も23,275台から23,570前後まで上昇しており、ハイテク・成長株への物色が継続した結果、週間で+1%弱の上昇となったと解釈できます。 一方、ダウ平均は1日に約0.9%下落して始まった後、週後半にかけて戻りを試したものの、インフレ指標発表を前に景気敏感株の戻りが鈍く、週間ではほぼ横ばい~小幅安圏での推移となりました。​

日本株式市場の動向
日本株は、前週までの米株高と米利下げ期待を背景に高値圏にあったところへ、12月入り後に日銀の12月会合での利上げ観測が一段と強まり、長期金利上昇と円高進行を通じて輸出関連株中心に調整が進みました。 さらに、家計消費の弱さを示す統計が出たことで、スタグフレ懸念も意識され、投資家がポジションを軽くする動きが広がりました。​

Nikkei 225は5日に約50,400円台で引けており、前週末の水準(5万250円前後)からみると、1~5日の週は概ね▲1%強の下落とみられます。 TOPIXも同様に、3,360ポイント前後まで下落しており、こちらも週間では▲1%前後のマイナス圏で推移しました。 銀行株など金利上昇の恩恵を受けるセクターには物色が入った一方で、半導体関連や輸出株など、これまで上昇をけん引してきた銘柄群に利益確定売りが出た点が、日本株全体の重しとなりました。​

主な指数の終値と騰落率(イメージ)
以下は、公表データや報道をもとにした概ねの水準と方向性イメージです(厳密な数値は各取引所・指数プロバイダの公式データで確認する必要があります)。​

指数 12/5頃の終値水準(概ね) 週間騰落率の方向
ダウ平均 47,900前後 小幅安~横ばい ​
S&P500 6,870前後 小幅高(+0%台後半) ​
NASDAQ総合 23,570前後 小幅高(+1%弱) ​
日経225 50,400台 下落(▲1%強) ​
TOPIX 3,360前後 下落(▲1%前後) ​
株価を動かした主な要因
米国では、11月の急上昇後の反動売り・ビットコイン急落などリスク資産全般への警戒が、週初の下落要因となりました。 しかし、インフレ鈍化と雇用指標のバランスのとれた内容から、12月FOMCでの利下げ期待が維持され、長期金利の大きな再上昇が抑えられたことで、週後半の株価は持ち直しました。​

日本では、日銀・植田総裁の発言や政府要人が利上げ容認とも取れる姿勢を見せたことで、12月利上げ観測が高まり、金利上昇と円高懸念が輸出株・グロース株の売り材料となりました。 あわせて、家計支出の弱さなど国内マクロ指標が冴えず、実体経済への不安が出たことで、日経平均・TOPIXともに高値からの調整局面となりました。​

【今週の予想】
12月8日~12日の週は、「米FOMC(9~10日)」と「日銀12月会合観測の高まり」が最大のテーマで、米国株はイベント待ちで神経質なレンジ、日経平均・TOPIXは金利上昇・円高懸念を意識しつつ、FOMC内容次第でボラティリティが高まりやすい展開が予想されます。​

今週予定されている主なイベント
米FOMC:12月9~10日に今年最後の会合が予定されており、10日(水)14:00(米東部時間)に声明と金利決定、14:30から記者会見が行われる見通しです。 市場コンセンサスは「0.25%の利下げ+2026年以降の利下げペースは抑制的」とする見方が優勢で、ドットチャートや成長・インフレ見通しが株式市場のカギになります。​

米経済指標:FOMC前後の週では、政府閉鎖の遅延で後ろ倒しになっていた小売売上高や雇用関連指標、インフレ関連の遅延統計などが公表される予定で、景気減速度合いと物価鈍化が同時にチェックされます。​

日本の経済指標・日銀関連:今週は8日に金融機関の主要数値、9日にマネーストック、10日に企業物価指数(CGPI)が予定されており、物価圧力と金融環境に関する材料が相次ぎます。 18~19日の日銀会合に向けて、ロイターやブルームバーグは「12月利上げの公算が高い」と報じており、今週も賃金・物価・円相場をにらみつつ利上げ観測が続くとみられます。​

米国株式市場の予想シナリオ
米株はFOMCを前に、ハイテク・グロース主導の上昇相場の一服と、イベント通過待ちの様子見姿勢が強まりやすいと考えられます。 一般的には、以下のようなパターンが想定されます。​

ベースシナリオ:0.25%利下げ+2026年の利下げ回数をやや抑制する「ハト派だが慎重」なメッセージとなれば、長期金利は大きく上昇せず、S&P500・ナスダックは一時乱高下しつつも、週末にかけてじり高~小幅高で引ける展開がメインシナリオです。​

ネガティブシナリオ:利下げは行うものの、ドットがタカ派寄り(将来の利下げ回数が大幅に減る)となった場合、ハイテク・高PER銘柄への調整圧力が強まり、ナスダック中心に下振れリスクがあります。​

ポジティブサプライズ:インフレ見通しが一段と下方修正され、長期的な中立金利見通しが低めに示されれば、金利敏感株・グロース株に買い戻しが入り、主要3指数とも高値更新を試す可能性も意識されます。​

日本株式市場の予想シナリオ
日本株は、「日銀12月利上げほぼ確実視+円高バイアス」という逆風の中で、FOMC結果と米金利・ドル円の動きに強く左右される展開になりやすいと見込まれます。​

ベースシナリオ:FOMCが想定内のハト派寄りで、米長期金利が落ち着き、ドル円の急激な円高がなければ、輸出株の下げは限定的となり、日経225・TOPIXともに「高値圏でのボックス相場」にとどまる公算が大きいです。 一方で、日銀利上げ観測を背景に、銀行・保険など金融株には相対的な物色が続きやすいと見られます。​

ネガティブシナリオ:FOMCがタカ派に傾き、ドル高・金利高でグローバル株全体が調整、加えて日本の企業物価が強く出て「日銀は積極的に利上げすべき」との見方が強まると、株安・金利高・円高が同時進行するリスクがあります。​

ポジティブシナリオ:FOMCが十分ハト派で、世界的に長期金利が低下する一方、日銀は「12月利上げはするが、その後は非常に緩やかなペース」との観測が広がれば、円高は限定的となり、日本株も押し目買いが入りやすくなります。​

投資家が注目すべきポイント
今週は、単発の経済指標よりも「政策当局のスタンス」と「金利・為替の反応」が株式市場に与える影響が大きい1週間になりそうです。 特に、FOMC後の米10年債利回り、ドル円、日銀会合に向けたコメント・報道のトーンを丁寧に追うことが、米国株・日本株双方の短期的な方向感を読むうえで重要と考えられます。

【PR市場、プライベートクレジット市場動向】
2025年のPE市場動向
2024年にセカンダリー市場や部分的なIPO/M&A再開で「流動性の目詰まり解消」が進み、2025年は金利低下とマクロ安定を前提にディール・エグジットの両面で回復が続くシナリオが有力です。​

ドライパウダーは過去最高水準にあり、マルチプル拡大ではなく「オペレーショナルな価値創造」がリターン源泉になるとの見方が大勢で、中堅企業・グロースエクイティ・テーマ型(デジタル、レギュレーション対応、エネルギー転換など)への投資志向が強まっています。​

ファンドレイズは2023–24年より改善しており、2025年通年で前年比2桁増ペースとの集計も出ていますが、引き続き「大手/実績ファンドに資金が集中し、スモール/新規GPは厳しい」という二極化は継続しています。​

プライベートクレジットと銀行参入の影響
2024年以降、レバレッジドローン市場と銀行バランスシートの回復により、大型案件では銀行・シンジケートローンとの競合が再燃し、2025年もこの流れが続くと見込まれています。​

その結果、特に上位ミッド~ラージキャップ案件の新規プライベートクレジットのスプレッドは2024年から低下傾向にあり、SOFR+500bpを下回る案件の比率が増加するなど「マージン圧縮」が明確に観測されています。​

競争激化とドライパウダーの圧力により、プライシング以外(レバレッジ水準、コベナント、ドキュメンテーション)の緩みも懸念されており、特に上位ミッドマーケットではコベナント・ライト化が進んだとの指摘があります。​

信用リスクと規制面の懸念
IMFやBIS等は、プライベートクレジットの急拡大と、銀行との結び付き(ファンドへのレバレッジ提供や共同オリジネーション)を通じたショック波及リスクを警戒しており、「スプレッド低下とアンダーライティング基準の緩みが続けば、将来的な損失顕在化時にシステミックリスクとなりうる」と警告しています。​

実務サイドでも、2021年前後の高レバレッジ案件が金利高と業績鈍化のなかで圧迫されており、2025年にかけてデフォルト率がパブリッククレジット水準へ近づく、もしくは一時的に上回るとの予測も出ています。​

もっとも、全般としては依然として公開ローン・ハイイールドより高いスプレッドとコベナント・コントロールを維持できるセグメントも多く、「マネージャー間・ストラテジー間のリスク・リターン格差が拡大する局面」と見る向きが強いです。​

2025年12月6日 土曜日

世界の動き 2025年12月5日 金曜日

今日の一言

「銀世界」

 一昨日から那須に来ている。庭にたまった落ち葉を掃除するためだ。着いてすぐに前庭の落ち葉を掃いてやれやれ。後庭は、昨日からと思っていた。

 その晩雪が降った。一面の銀世界だ。足跡のない道を滑らないように散歩した。犬の足跡と人の足跡。朝一で犬と散歩した先人がいたようだ。「葛の花踏みしだかれて色あたらしこの山道を行きし人あり」 名句を思い出した。

 雪のせいでもう落ち葉掃除は出来ない。図らずも骨休めの休日となった。

ニューヨークタイムズ電子版より
1.子どもとテクノロジーをめぐる「熱狂から反発」へ
【記事要旨】
●テクノロジーの「ハイプ・サイクルHype Cycle」
ガートナーが示すように、新技術は「熱狂 → 急速普及 → 幻滅」という段階をたどる。
– ソーシャルメディアやスマートフォンはすでに幻滅期に入りつつある。
– 教室でのAI活用はまだ初期段階。ソーシャルメディアの変化
– 2011年、ユネスコは「学習にソーシャルメディアを活用すべき」と推奨。
– しかし現在は、犯罪者の接触、過激コンテンツ、ネットいじめなどのリスクが強調され、懸念が高まっている。
– オーストラリアは16歳未満の利用を禁止する画期的な規制を導入予定。デンマークやマレーシアも同様の動きを見せている。
– 規制は「親が子どもに法的根拠を示して利用を止めさせる」効果を持つ一方、教育的利点や友人との交流を奪う懸念もある。
●スマートフォン利用の盛衰
– 2010年代初頭には「教育を革新するツール」として期待された。
– しかし2023年以降は「学習の妨げ」とされ、世界79か国が学校での使用を制限。
– 集中力向上の効果は報告されるが、学力や精神的健康への影響は十分に検証されていない。
– 専門家の中には「全面禁止よりもリスク教育が必要」との意見もある。
●AI教育の拡大と懸念
– Google、Microsoft、OpenAIなどが学校へのAI導入を推進。
– しかし教育効果はまだ不透明で、むしろ批判的思考力を弱める可能性も指摘される。
– アイスランドは教師のみを対象に試験導入し、慎重に検証中。
– オーストラリアもAIリテラシー計画を検討しているが、過去の「ソーシャルメディアやスマホの失敗」から学ぶ必要があるとされる。
【コメント】
 この記事は、子どもとテクノロジーをめぐる期待と失望の繰り返しを描いており、ソーシャルメディアやスマホの規制強化の流れと、AI教育導入の初期段階を対比させている。新技術は最初は教育の救世主と見なされるが、後にリスクが顕在化し、規制や反発が起こるという従来のパターンを示している。

ぞの他の記事
・米軍高官は、9月にベネズエラ沖で発生した船舶への攻撃の映像を議会議員らに示し、生存者2名を殺害した追加攻撃を擁護した。
・ハマスはガザに残っていた最後のタイ人人質の遺体を返還した。残りの人質の遺体は1名を除き全員収容されている。
・ルワンダとコンゴ民主共和国の首脳は、コンゴ東部における壊滅的な戦争終結に向けた合意を前進させるため、ホワイトハウスで会談した。
・英国の調査で、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領が2018年に英国ソールズベリーで発生した毒物混入攻撃を「承認したに違いない」ことが判明した。
・プーチン大統領はナレンドラ・モディ首相と会談するためインドを訪問している。
・カンボジアは、数十億ドルに上る詐欺の利益をロンダリングするために利用されていた悪名高い拠点を閉鎖した。

●フランスを揺るがす盗難事件が発生。ルーブル美術館の盗難事件とは違います。サファイアではなく、カタツムリの盗難事件です。約450キログラム(990ポンド)のエスカルゴ(10万ドル以上相当)が、フランス北東部の農場から盗まれました。ちょうどカタツムリを食べるホリデーシーズンの真っ最中でした。警察はまだ容疑者を特定していない。

2025年12月5日 金曜日