世界の動き 2026年1月7日 水曜日

今日の一言
「大型MBO」
 「サロンパス」で知られる久光製薬はマネジメント・バイアウト(MBO)で株式を非公開化すると発表した。創業家出身の中冨一栄社長の資産管理会社が株式公開買い付け(TOB)を行い、全株を買い取る。買い付け価格は1株6082円で、5日の終値に対し約35%のプレミアムとなる。買い付け期間は7日から2月19日まで。MBOや再編に伴う上場廃止は、2025年に過去最多を更新した。市場再編や投資家からの資本効率向上を求める圧力が強まる中、非公開化を選ぶ企業が増えている。同じ製薬業界では、大正製薬ホールディングスが24年にMBOで上場廃止している。(Bloombergより)
 サロンパスほど有名なブランドを持つ企業で株式市場から資金調達の必要がない同族企業は、MBOによる非公開化が、自然な動きになる。こうした動きの候補企業はたくさんあるので注目したい。

ニューヨークタイムズ・ニュースレターより
1.2026年のウクライナ、中東、中国:3地域の行方
【記事要旨】
■ ウクライナ:戦況は膠着、社会は疲弊
– 戦争は2月には5年目に入り、戦闘は激しいが前線はほぼ停滞。
– ロシア軍は少しずつ前進しているが、犠牲も大きい。
– ウクライナ軍は疲弊し、脱走や徴兵逃れが増加。前線に隙間が生じ、ロシアが突破する可能性も。
– 国民の多くが停電や犠牲に疲れ、譲歩してでも戦争終結を望む傾向が強まる。
– これによりゼレンスキー大統領は交渉の政治的余地を得つつある。
– トランプ政権はウクライナ支援を縮小しつつ、経済取引を餌にロシアに停戦を促すが、プーチンはイデオロギー的理由で応じるか不透明。
– 不確定要素(ワイルドカード):ウクライナのドローン攻撃がロシアの石油輸出を脅かし、世界の石油市場が不安定化する可能性。

■ シリア:アサド後の国家再建は岐路に
– 反体制派がアサドを倒して1年、国の方向性が問われている。
– 悲観的にみると、都市は破壊され、復興資金は乏しく、宗派対立も残る。
– 楽観的にみると、新政権のシャラー大統領(元ジハード戦闘員)は制裁解除に成功し、外交関係も改善。
– 内戦終結直後の高揚感は薄れ、今後の国家像が問われている。
– シリアは中東の要衝であり、安定すれば地域全体に良い影響を与える可能性。
– ワイルドカード:イスラエル。2025年に複数地域を空爆し、周辺国に軍事的影響力を拡大。軍事的成果はあるが、国際的評価は悪化し、持続的な和平の道筋は見えない。

■ 中国:2025年は「勝利」したが、2026年は不透明
– 2025年、中国はトランプ政権の関税に耐え、史上初の1兆ドル貿易黒字を達成。
– AI分野でもDeepseekなどが台頭し、米国の半導体規制を部分的に克服。
– トランプ大統領が他の重要課題(台湾や技術覇権)で譲歩する姿勢を見せたことも追い風。
– しかし、レアアース輸出停止の脅しは効果が薄れ、各国が脱中国依存を進めている。
– 中国製品の流入に警戒する国も増え、失業や賃金停滞など国内経済への悪影響が懸念される。
– ワイルドカード:中国の「ソフトパワー」。
– Labubu などの玩具ブーム、上海や重慶の都市映像がSNSで人気。
– 米国の若者の対中感情も改善。
– これが続けば、各国の対中政策にも影響を与える可能性。
【コメント】
 中国のソフトパワーの台頭というのはさらなる脅威だ。現在の米国の大学が獲得している世界の頭脳を集める動きを、今後は中国が代替することになるかもしれない。日本から新たな「遣唐使」が必要になるか、うーん。

2.トランプ氏の脅しが欧州と南北アメリカ大陸を揺るがす
【記事要旨】
 ベネズエラにおける最近の米国の軍事作戦、そしてコロンビアとメキシコへの介入とグリーンランドの制圧を脅かしたことを受け、欧州をはじめとする各国の指導者たちは、トランプ氏とその「力こそ正義」という権力のビジョンに反発した。デンマーク、フランス、ドイツ、英国などの首脳は、反抗的な共同声明の中で、「グリーンランドはそこに住む人々のものだ」と述べた。
 米州機構(OSA)の緊急会合では、ブラジル、メキシコ、コロンビアなどの国々がベネズエラにおける米国の軍事行動を非難した。ある抗議者がOSAの米国代表の発言を遮り、「ベネズエラに手を出すな」と叫び、米国の攻撃を「帝国主義的な石油収奪だ」と非難した。
【コメント】
 グリーンランドはカナダのやや右上で西半球にある。トランプのドンロー主義からは当然自分のものだ。

その他の記事
・欧州各国首脳はウクライナ情勢をめぐる協議のためパリに集結し、戦後安全保障へのコミットメントに焦点を合わせた。
・シリアとイスラエルは、国境紛争の緊張緩和について、米国の仲介の下、協議を再開した。
・トランプ支持者が連邦議会議事堂を襲撃してから5年が経ったが、大統領は依然として2020年の選挙結果に疑念を抱かせている。
・先週、スイスで発生した火災で死傷者を出したバーは、6年間も検査が行われていなかったことを当局が認めた。
・ハンガリー出身の映画監督で、数々の映画作品でアートハウス映画界のヒーローとなったベラ・タール氏が70歳で亡くなった。

2026年1月7日 水曜日
今朝は足が攣り、歩行困難です。

世界の動き 2026年1月6日 火曜日

今日の一言
「シェブロン」
 シェブロン株は5.5%急騰した。石油メージャーがベネズエラに国有化されたのに、なぜシェブロンだけが国有化を免れたのか?

1. シェブロンは Chávez・Maduro 政権と「対立しない関係」を維持した
  2007年、チャベス政権は外国石油企業の大規模国有化を進めたが、シェブロンは政府と交渉し、国営石油会社 PDVSA との合弁事業に同意した。
– ExxonMobil や ConocoPhillips は国有化に反発して撤退
– シェブロンは「政府が多数株を持つ合弁」に切り替えて残留
つまり、対立せず、妥協して残った唯一の米企業だった。

2. ベネズエラ政府にとってシェブロンは「必要な存在」だった
ベネズエラの石油産業は慢性的な資金不足と技術不足に苦しんでいた。
 シェブロンは:
– 技術力 - 投資資金 - 国際市場へのアクセス
を提供できる数少ないパートナーだった。
 政府にとっては、
「敵対して追い出すより、残しておいた方が利益になる」
という現実的判断が働いた。

3. 米国政府との関係を維持するための“安全弁”だった
 チャベス・マドゥロ政権は反米姿勢を取っていたが、
完全に米国との関係を断つことはできなかった。
 シェブロンを残すことで:
– 米国との最低限の経済的パイプを維持
– 制裁を少しでも緩和してもらう余地を確保
– 国際的孤立を避ける
という外交的な保険になっていた。

4. 米国の制裁下でも、シェブロンは特別ライセンスを得ていた
 トランプ政権・バイデン政権の制裁下でも、シェブロンは米財務省から特別ライセンス(OFAC)を継続的に取得していた。
理由は:
– ベネズエラの石油供給を完全に止めると国際市場が混乱する
– シェブロンの撤退は中国・ロシア企業の独占を招く
– 将来の政権交代後の米国企業の復帰の足場を残すため
つまり、米国政府自身もシェブロンの残留を望んでいた。

 厳しい国際情勢を切り抜けてきたのがシェブロンだった。

ニューヨークタイムズ・ニュースレターより
1.米国によるマドゥロ拘束が世界に与えた衝撃
【記事要旨】
 米軍がベネズエラのマドゥロ大統領を突然拘束し、ニューヨークで裁判にかけるため連行したことで、ベネズエラ国内だけでなく世界全体が新たな現実に直面している。
1. 米国の「力による介入」が示したメッセージ
– トランプ大統領は、直接占領を避けつつ、従順な政権を樹立し、石油資源へのアクセスを確保する「仮想的占領」を進めている。
– ベネズエラでは混乱は広がらず、副大統領ロドリゲスが暫定大統領に就任し、一定の安定を保っている。
2. ベネズエラ国内の反応
– 国民は衝撃を受けつつも、「マドゥロよりは誰でもまし」という慎重な楽観もある。
– 経済成長を実現したロドリゲスは、ビジネス界からも支持を得ている。
– 正統な選挙勝者を擁する反対派は、米国によって事実上排除された。
3. 世界への波紋
– 米国は西半球を自国の勢力圏とみなし、コロンビアやキューバにも強硬姿勢を示している。
– ラテンアメリカでは、左派は「米国の帝国主義」、右派は「独裁者からの解放」と受け止めが分かれた。
– いずれにせよ、米国が再び地域の中心的存在となったことは共通認識となっている。
4. 中国・ロシアへの示唆
– トランプ政権は「西半球での米国の優位回復」を掲げている。
– 大国が小国に介入し資源を掌握するという前例は、中国の台湾、ロシアのウクライナでの行動を後押しする可能性がある。
5. 今後の不確実性
– ベネズエラ国内には反米感情が根強く、軍や治安機関を握る勢力との調整が必要。
– 台湾やウクライナと単純比較はできないが、第二次世界大戦後の国際秩序が大きく揺らいだことは確かだ。
【コメント】
 日本は中国に対抗し「法の支配」を強調しているが、頼りとする米国が法の支配に考慮しない国になった。トランプにとっては国際法は無視してい良い存在で、西半球内の秩序を決めるのは自分だという考えがあるのだろう。アジアへの関心は、習主席との良好な人間関係の構築以外は、とても薄れるだろう。

その他の記事
・1週間以上にわたる抗議活動の後、イラン政府は国民全員に月額約7ドル相当の給付金を支給する計画を発表した。
・ベルリンで放火事件が発生し、大規模な停電が発生した。極左グループが犯行声明を出した。
・ウクライナは、カナダの元副首相クリスティア・フリーランド氏を経済顧問に任命した。
・フランス大統領夫人へのネットいじめで10人が有罪判決を受けた。
・イスラエルは、反ユダヤ主義とボイコットに関する前市長の行政指令を撤回したニューヨークのゾーラン・マムダニ市長を批判した。

2026年1月6日 火曜日

世界の動き 2026年1月5日 月曜日

今日の一言
「年賀状激減」
 郵便局の統計では年賀状が前年比3割減だというが、当方は3分の一に減った。
 喪中はがきをいただいた先へ賀状を出さないまま継続が途絶えた。当方が1昨年末に転居したのが伝わっていない。年賀状をやり取りしている年齢層が後期高齢者に入り年賀状じまいをしている。いろいろな原因がありそうだ。
 いずれにしても静かな3が日が終わり、今日から本格的な仕事始めだ。健康に留意して1年頑張りましょう。

ニューヨークタイムズ・ニュースレターより
1.トランプ氏の砲艦外交
【記事要旨】
 トランプ政権によるベネズエラ強制介入の全体像
 トランプ政権は数カ月前からベネズエラへの行動を示唆しており、麻薬テロ支援国家と非難し、小型船舶への攻撃や石油タンカーの拿捕を行ってきた。
 そしてついに、米特殊部隊が夜間作戦でマドゥロ大統領夫妻を拘束し、ニューヨークへ移送するという大胆な作戦を実行した。
 米国はカリブ海に軍を残し、ベネズエラの政策に影響力を行使し続ける姿勢を示している。トランプ氏は米企業がベネズエラの豊富な石油資源にアクセスする意図も公言した。
 作戦は4カ月かけて準備された。CIAの潜入、ドローン監視、マドゥロの行動把握、米国内でのマドゥロ氏の居住施設の模型を使った訓練などが行われた。サイバー攻撃でカラカスの電力を落とした後、米軍は空爆と特殊部隊投入でマドゥロを短時間で拘束した。
 今後の統治について、米国は「占領ではない」としつつ、マドゥロの副大統領ロドリゲスを暫定指導者として容認し、米国の方針に従うことを条件とした。これは米国が“後見人”のように政策を指導する体制だと報じられている。
 米国の介入理由としては麻薬対策や民主主義の回復が挙げられてきたが、トランプ氏はベネズエラが国有化した際に奪われた石油利権の回復が主要目的であることを明言した。
 国際的には、ブラジル・メキシコ・中国・ロシアなどが違法な介入として非難し、国連事務総長も危険な前例だと警告。一方、欧州は慎重ながらもマドゥロ排除を歓迎する声もある。
 現地では政府支持者の抗議が報じられる一方、多くの国民は変化を望んでいるとされる。
【コメント】
 中露が言うような国際法違反かどうかはともかく、米国の国内法違反であるのは間違いないだろう。戦争を始めるには議会の承認が必要だ。トランプ氏はこれは戦争ではない。逮捕状の出ている犯罪者を逮捕するための警察力の行使に軍が支援しただけだというロジックだが、とても受け入れられる説明ではない。
 いずれにしても、軍事強国の専横がまかり通る世の中になるのは間違いない。日本はどう存在感を示しつつ生存していくのか、難しい世界になっている。
 身近な点では、今日の株式市場がどう反応するか注目だ。地政学的リスクの高まりで全般にはネガティブ。防衛関連株、石油関連株にはポジティブではないか。

2.スイスの大晦日に発生した火災で、新たな犠牲者が確認
【記事要旨】
 スイスアルプスにあるバーで元旦に発生した火災で少なくとも40人が死亡した事件で、経営者2人が過失致死の疑いで刑事捜査を受けている。
 当局は、クラン=モンタナのバーで発生した火災は、ボトルに仕掛けられた小型花火が火花を噴き上げ、バーの地下室の天井の一部を覆っていた発泡断熱材に引火したことが原因とみている。町民が悲しみに暮れる中、昨日、新たな犠牲者が確認された。
【コメント】
 スイスの高級リゾートでの大晦日の惨劇には驚いた。

その他の記事
・イラン当局は、反政府デモが続く中、指導者たちは米国とイスラエルからの脅威に晒されながらも生き残りを図っていると述べた。
・サウジアラビアの支援を受けたイエメンの政府系部隊は、アラブ首長国連邦の支援を受けた武装分離主義者から、石油資源の豊富な地域を奪還した。
・ウクライナのゼレンスキー大統領は、汚職スキャンダルと和平案交渉のさなか、内閣改造を行っている。

2026年1月5日 月曜日
TBSラジオの「森本毅郎スタンバイ」平日朝6:30-8:30を愛聴している。肺炎で入院している森本氏の快癒をお祈りしている。

予測市場

 NYタイムズのDealBookという証券関係のセクションを読んでいて、聞いたことのない言葉に出くわした。Prediction Markets「予測市場」だ。
 この言葉はすでに定着しているようでWikipediaで検索すると日本語の説明が出てくる。その説明が理解できなかったので自分で調べてみた。今日はこの予測市場について解説したい。
 まず、NYタイムズの記事を紹介したい。NYTimes, DealBook, January 3, 2026より
・・・・・・・・・・
予測市場は勢いを維持できるだろうか?
 カルシKalshiとポリマーケットPolymarketは2024年、大統領選挙の結果を正確に予測したことで初めて注目を集め、今や巨大ビジネスへと成長した。カルシは最近、評価額110億ドルで10億ドルを調達した。これは、50億ドルの資金調達からわずか2か月後のことだ。一方、ポリマーケットは150億ドルの評価額で資金調達を進めていると報じられている。
これは、予測市場がもはや単なる選挙結果への賭け以上のものとして認識されているからでもある。カルシが数十億ドル規模の取引量を誇るようになったのは、スポーツベッティングの大手企業として大きな成功を収め、ドラフトキングスやファンデュエルといったオンラインスポーツブックメーカーに予測市場への参入を促したためだ。さらに、インターコンチネンタル取引所のようなウォール街の大手企業でさえ、ポリマーケットに投資している。
問題は、予測市場がどこまで拡大できるかだ。カルシの共同創業者兼CEOであるタレク・マンスール氏は、最終的にはあらゆるものに賭けられるようにしたいと述べている。しかし、規制当局、特に予測市場の収益の一部を得るためにこれらの企業を訴えてきた州当局は、この件について何か言うかもしれない。
・・・・・・・・・・

 この記事のポイントは今まで事象の賭け事にすぎなかった予測市場が、金融先物市場のようにリスクヘッジの手段に使えるかもしれないということだ。
 現状は、“賭け市場”の性格がまだまだが強いが、将来的には 先物市場に近い役割を果たす可能性がある、というのがこの記事の示唆だ。

予測市場と先物市場はの違い・共通点
共通点
• どちらも「未来の出来事に対する価格」を売買する。
• 価格は市場参加者の期待を反映する。
• リスクを移転する仕組みを持つ。
違い
    予測市場        先物市場
対象 選挙、天気、スポーツなど 金利、商品、株価など
   なんでも         経済指標
目的 主に投機         ヘッジ(リスク管理)、投機
規制  ギャンブル規制の対象   金融商品として規制対象

予測市場はヘッジに使えるのか?
  予測市場がヘッジになる具体例を示す。
① インフレリスクのヘッジ(KalshiのCPI市場)
株式や債券はインフレに弱い。
しかし予測市場では「CPIが上がる」契約を買うことで、
インフレ上昇時に利益が出る構造を作れる。
→ 債券のインフレリスクを部分的に相殺できる。

② 政策リスクのヘッジ
企業や投資家は政策変更に大きく影響される。
例:
– 「特定の税制改正が可決されるか」
– 「関税が導入されるか」
これらのイベントに対してポジションを取ることで、
政策ショックによる株価下落を補填できる。

③ 気候・天候リスクのヘッジ
農業・エネルギー・観光などは天候に左右される。
例:
– 「今年の降水量が平年より少ない」
– 「気温が平年より高い」
これらはコモディティ先物よりも細かくリスクをヘッジできる。

④ 地政学リスクのヘッジ
株式市場は地政学イベントに弱い。
予測市場では:
– 「制裁が発動されるか」
– 「選挙結果がどうなるか」
– 「紛争が拡大するか」
など、株式市場では直接ヘッジできないリスクを取引できる。

こう見てくると、何んとなく予測市場はヘッジに使えそうだという印象を持つ。以下では、Kalshi(カルシ)で実際にどうやってベットするのか を、できるだけ具体的に見てみよう。

Kalshi は「Yes/No の先物市場」のような仕組みなので、やり方を理解するととてもシンプルだ。以下、Kalshi.comを参照されたい。
Kalshiでベットする流れ(実際の手順イメージ)
以下は一般的な流れで、実際の画面や規制は変わる可能性がある。

① 口座を作る
– メールアドレスを登録
– 本人確認(KYC)を行う
– 米国在住者向けのサービスなので、国籍・居住地によって制限あり
筆者のように日本在住の場合、直接利用は現状難しいが、仕組みを理解すること自体は投資の視野を広げる意味で価値がある。

② 市場(Market)を選ぶ
Kalshi には多様な市場がある。
例:
– 「来月のCPIは3.0%以上か?」
– 「FOMCは次回利上げするか?」
– 「今年の降水量は平年より多いか?」
– 「特定の法案は可決されるか?」
それぞれが Yes/No の二択になっている。

③ Yes か No を選ぶ
市場を開くと、次のような価格が表示されます。
例:
“CPIが3.0%以上になる” → Yes = 0.42ドル、No = 0.58ドル
これは:
– Yes が当たれば 1ドルもらえる
– 今の価格は 0.42ドル
– つまり市場は「42%の確率」と見ている
という意味だ。

④ 購入数量(Contracts)を決める
Kalshiでは「1コントラクト = 最大1ドルのペイアウト」。
例:
Yes を 0.42ドルで 100コントラクト買う
→ コストは 42ドル
→ 当たれば 100ドル
→ 外れれば 0ドル
利益 = 100 – 42 = 58ドル
損失 = 42ドル
非常に明確で、オプションや先物よりも分かりやすい構造だ。

⑤ 満期(イベント発生日)まで保有する or 途中で売却する
Kalshiは「満期前に売買できる」のが特徴だ。
– 市場価格が上がれば途中で売って利益確定
– 下がれば損切りも可能
これは先物市場と同じで、流動性がある限り途中でポジションを閉じられる。

具体例:「来月のCPIが3.0%以上か?」
– 市場を見ると Yes = 0.40、No = 0.60
– 「インフレはやや上がりそう」と感じた投資家は
Yes を 0.40 で 50コントラクト購入
– コストは 20ドル
– 結果が Yes なら 50ドル受け取り
→ 利益30ドル
– 結果が No なら 0ドル
→ 損失20ドル
これは インフレ上昇リスクのヘッジとして機能する。
– 債券が下落する(インフレ上昇)
– しかし Kalshi の Yes ポジションが利益を出す
→ ポートフォリオ全体の変動が緩和される という構造だ。

Kalshiの特徴(他の賭け市場との違い)
– 金融商品としてCFTCに登録されている(米国)
– Yes/No の二択で分かりやすい
– 経済指標・政策・天候など、株式市場ではヘッジできないリスクを扱える
– 満期前に売買できる
– 1コントラクト最大1ドルなのでリスクが限定的(現状はレバレッジを効かせた取引は出来ないようだ)
ということで、「世界の出来事を資産クラスとして扱う」タイプの投資家には、非常に相性が良い仕組みだ。

今後の「予測市場」の発達と日本への波及について注目したい。

2026年1月4日 日曜日

2025年の株式市場概観 備忘録

【米国株式市場】
 2025年の米国株式市場は、年央にかけてのボラティリティや関税ショックを挟みつつも、年末ベースでは主要指数がそろって二桁の上昇となり、AI関連と大型テック主導の強気相場が3年連続で続いた年だった。

主要指数の年間騰落率
 2024年末から2025年末までの代表的な3指数の変化は以下のとおり。全体として強い年だったが、NASDAQ優位・S&P中位・ダウ相対劣後という「グロース優位」が続いた構図になった。

2024末 vs 2025末
指数 2024年末水準 2025年末水準 年間騰落率(概算)
S&P 500 2024年末時点から2025年末までで約+16% ​
NASDAQ総合 2024年末から2025年末 23,241.99(終値)
​ 約+20%(19,310→23,242)
​ダウ平均 2025年末時点で年間+13%の上昇
​ ​
 年間パフォーマンスとして、S&P 500は3年連続の二桁上昇(2023年+24%、2024年+23%、2025年+16%)となり、3年間累計で約80%近い上昇を記録した。
​ NASDAQ総合は生成AIブームと大型ハイテク株の伸長を背景に、S&Pを上回る約20%の上昇で年を終えた。
​ ダウ平均はディフェンシブ・バリュー色が強い構成ゆえに、ハイテク比率の高いNASDAQやS&Pに比べてやや見劣りするものの、それでも二桁上昇を確保した。

政治・関税と市場
 2025年はトランプ大統領の再就任と通商政策の再強化がテーマとなり、関税発表時には一時的なリスクオフが起きたが、通年では米株の上昇トレンドを崩すほどの逆風にはならなかった。
​ 年央の大規模関税発表時には、S&P500が一時的にベアマーケット入りに近づくほど下落する局面があり、市場は「景気減速・インフレ再燃・サプライチェーン混乱」を懸念した。
​ しかし、その後は堅調な企業決算や利下げ期待が下支えとなり、指数は持ち直して年末にはいずれも二桁の上昇率を達成したため、「関税ショックは押し目」にとどまった形となった。

生成AIとマグニフィセント7
 2025年も生成AI関連投資は市場の中心テーマで、マグニフィセント7を含む大型テック銘柄に時価総額とリターンが集中する構造が継続した。
​ S&P 500やNASDAQではAI半導体、クラウド、プラットフォーマーなどが指数寄与度の大半を占め、指数全体のリターンを「少数銘柄が牽引する市場」という構図が維持された。
​ 一方で2025年後半には、AI関連のバリュエーション過熱に対する警戒感も高まり、過去の指標と比較して米株市場全体が歴史的な割高水準にあるとの指摘も増えたが、それでもテック中心の強気相場は年末まで維持された。

戦争・地政学リスクと市場
 ウクライナやガザでの戦闘の長期化と一時的な激化は、原油価格や防衛関連株に影響したものの、米主要株価指数のトレンドを反転させるまでには至らず、「ニュースフローでのボラティリティ要因」として機能した。
​ 年間を通じて停戦協議や和平への模索も断続的に報じられたが、決定的なブレークスルーには至らない状態が続き、市場は「慢性的リスク」として織り込む形となった。
​ エネルギー供給への不安や防衛予算拡大期待は、エネルギー・防衛関連セクターの相対パフォーマンスに寄与したが、指数全体ではAI・テック主導のインパクトの方が大きく、地政学要因は二次的なドライバーにとどまった。

中国の台頭とグローバル分散
 中国経済・市場の動きや中国テックの台頭は引き続き意識されたものの、2025年のリターンという観点では、むしろ米国以外の株の方が高いパフォーマンスを上げたとの分析もあり、米投資家の間で「米国一極集中」からの分散が議論された年でもあった。
​ MSCI ACWI除く米国指数は、2025年にS&P500の約16%を大きく上回る33.1%という高いリターンを記録したとされ、米国株の割高感と比較して「非米国市場の相対的な割安・高リターン」に注目が集まった。
​ 一方で、米国市場の時価総額規模と流動性、生成AIをはじめとする技術革新の中心地としての地位は揺らいでおらず、マグニフィセント7を中心とした米大型グローバル企業が世界の株式市場を主導する構造は引き続き維持された。

このように、2025年の米国株式市場は、トランプ政権の政策変更や関税、地政学リスクによるショックはありつつも、生成AIと大型テックを中心に大きく上昇した一年であり、主要3指数はいずれも二桁の年間上昇率を達成した。S&P 500やNASDAQのリターンの大部分を少数の巨大テック企業が牽引したという点で、「集中リスクの高い強気相場」という性格がより鮮明になったと言える。

【日本株式市場】
 2025年の日本株市場は、政治主導のイベントと財政・金利・為替要因が絡み合いながらも、結果としては日経平均・TOPIXともに2~3割高と大幅な上昇で年を終えた年だった。

年間騰落率(日経平均・TOPIX)
 2024年末から2025年末にかけて、日経平均とTOPIXはいずれも過去最高圏での大幅高となった。

指数  2025年終値(年末近辺) 年間騰落率のイメージ
日経平均株価​ 約50,300ポイント​ 約+26%前後の上昇
​TOPIX 3,409ポイント​ 約+22%の上昇

 日経平均は半導体・インフラ・建設関連などの値がさ株が牽引し、3年連続の上昇、かつ2025年も2ケタ台後半の強いリターンとなった。
​ TOPIXも市場全体として底堅く、バリュー株や内需株も含めた広範な上昇で、年末終値としては過去最高圏に到達した。

政局:石破政権低迷から高市政権へ
 2025年の日本株は、石破政権の支持率低迷と参院選での与党敗北、高市政権の登場という政局転換が大きなモメンタム要因になった。
​ 石破政権末期には、内閣支持率の低迷や政策の不透明感が意識され、参院選に向けて一時的に日本株のリスクプレミアムが拡大する局面もあり、政治ヘッドラインで短期的な調整が入りやすい環境となった。
 参議院選挙での自民党敗北後、新たに高市政権が発足すると、「積極財政・成長志向・防衛強化」を掲げる政策スタンスが評価され、いわゆる「高市トレード(株高・円安・長期金利上昇)」への期待から株式市場は上昇基調を強めた。

積極財政・防衛支出と金利・為替
 高市政権はインフラ投資や防衛費増額などを含む積極財政を打ち出し、米国からの防衛支出増額要請とも相まって、日本株が意識される構図になった。
 拡張的な財政運営や防衛費増額路線は、内需関連や建設、防衛関連株には追い風となり、日経平均・TOPIXともに政権交代後に再度高値追いの展開を見せた。
​ 一方で、市場は中長期の財政赤字拡大を懸念し、国債金利(特に長期・超長期金利)は上昇圧力がかかりやすくなり、「財政懸念=円安・金利上昇」の組み合わせが意識された。

円安継続と日本株
 拡張財政と日米金利差、そして政治的な不透明感も加わり、為替市場では2025年を通じて円安基調が続き、輸出企業の採算改善期待・海外利益の円換算押し上げを通じて株価を支えた。
​ とりわけ、グローバルに事業展開する製造業や自動車、半導体関連は円安と世界株高の相乗効果を受け、指数寄与度の高い銘柄を中心に日経平均のパフォーマンスを押し上げた。

中国との関係悪化と地政学リスク
 台湾をめぐる高市首相の発言などを背景に、中国との関係悪化懸念が高まった場面では、日本株は一時的にリスクオフの売りにさらされる局面もあったが、通年ではAI・半導体・インフラ・防衛といったテーマが上昇を主導した。
​ 対中関係悪化懸念は、中国向け依存度の高い企業や旅行・インバウンド関連などにとってはマイナス材料として意識された一方、サプライチェーンの「脱中国」や防衛・安全保障関連への投資拡大という文脈では、特定セクターにはプラス材料ともなった。
 ウクライナや台湾をめぐる緊張感は、世界的な防衛関連株物色や、日本における防衛産業の評価見直しにつながり、政治リスクがむしろ一部銘柄のリレーティング要因となった面もある。

【2026年の米国株式市場の動き】
 2026年の米国株式市場は、「AI関連投資の第2幕」と「金融・シクリカル・ヘルスケアなどへの物色拡大」が並行して進む年になるとの見方が多く、全体としては緩やかな株高継続がベースシナリオとされている。

2026年の全体テーマ
 大手証券会社は、依然として株式を他資産より優位と見つつも、AI相場の一極集中から「セクター分散・バリュエーション意識」へと投資家の関心が移ると指摘している。
​ FRBの利下げ局面入りとインフレ鈍化、AIによる生産性押し上げを前提に、2026年もプラスの株式リターンを想定しつつ、バリュエーションの高さや景気減速リスクを主要な不安要因として挙げている。

注目セクター
 複数の調査機関・運用会社の見立てを総合すると、2026年は以下のセクターに注目が集まっている。

テクノロジー/コミュニケーション・サービス
 AI・半導体・クラウド・データセンターなどのEPS成長率が引き続き高く、AIインフラ関連企業の利益成長は2026年も市場平均を上回るとの予測が多い。
​ ゴールドマン・サックスなどは、AI企業の設備投資が2026年に5,000億ドル超規模に達する可能性を指摘しており、半導体・ハイパースケーラー・データセンター運営・電力会社に恩恵が及ぶとみている。

金融(特に銀行・資本市場)
 2025年にバリュエーションが圧縮された一方でEPSは増加しており、利ザヤ正常化やAI活用による効率化、規制緩和、イールドカーブのスティープ化などを背景に「出遅れセクターのリバウンド候補」として挙げられている。
​ 金融は「AIの採用側(adopter)」としても位置づけられ、リスク管理・運用・リテール業務へのAI組み込みが収益ドライバーになるとの見方もある。

ヘルスケア
 2020年以降、S&P500に大きく劣後してきたが、政策リスク(薬価規制など)の不透明感がやや後退し、AI活用による研究開発効率化や医療DXを背景に「逆張りの成長セクター」として注目されている。
​ ディフェンシブ性と成長性の両面を持つため、ボラティリティが高い局面のポートフォリオ安定要因としても位置づけられている。

消費裁量・インダストリアル/防衛・インフラ
 利下げと実質所得改善により、2025年に冴えなかった消費関連のリバウンド、旅行・レジャー・Eコマース・自動車などの回復が期待されている。
​ 防衛・産業・インフラ関連は、地政学リスクの高まりと、AIデータセンター向け電力需要・老朽インフラ更新・脱炭素投資などを背景に、長期的な設備投資サイクルの恩恵を受けるとされている。

テーマ別の注目銘柄イメージ
 個別銘柄名はレポートごとに異なるが、2026年の米国株の「注目タイプ」として、アナリストが共通して挙げているカテゴリーは次のようなものになる。

AIインフラ中核
 高性能GPU・半導体(例:AI向けチップメーカー)、ハイパースケールクラウド事業者、データセンターREIT・運営会社、電力・ガスユーティリティなど、AI設備投資の「土台」を提供する企業群。

ソフトウェア・プラットフォーム/マグニフィセント7周辺
 生成AIを自社製品に組み込んでマネタイズを進める大型テックやSaaS企業、広告・SNS・動画配信などのインタラクティブメディア企業。バリュエーションは高いが、依然としてEPS成長率の高さが評価されている。

大手銀行・資本市場関連
 金利正常化とAI活用による効率化、M&A・株式発行など資本市場ビジネスの回復を背景に、利益回復とバリュエーション修正が期待されるメガバンク・ブローカー・資産運用会社。

防衛・インフラ・ユーティリティ
 国防予算拡大や地政学緊張、AI・データセンターに伴う電力需要増大を背景に、軍需企業、送配電・パイプライン・空港・有料道路などのインフラ企業、電力・ガス会社が「安定成長+インカム源」として挙げられている。

投資家が意識すべきリスク
 AI関連・大型テックのバリュエーションは依然として高く、AI関連CAPEXのピークアウトタイミング次第では、2026年に調整局面が生じるリスクも指摘されている。
 景気減速や選挙・財政問題など政策要因によるボラティリティも懸念されており、セクター分散とキャッシュフローの確かな企業への選別投資が重要とされている。
​ 以上を踏まえると、2026年の米国市場では、AIインフラと大型テックを軸にしつつ、金融・ヘルスケア・消費裁量・防衛/インフラといったセクターに分散し、成長性とバリュエーションのバランスを取る戦略が有力と考えられる。

【2026年の日本株市場の動き】
 2026年の日本株市場は、2023~2025年の上昇を受けつつも、「高市政権の投資主導型政策」「AI・半導体の第2フェーズ」「インフラ・防衛・ガバナンス改革」といったテーマを軸に、引き続き上値を試す展開がメインシナリオとみられている。

全体の注目ポイント
 大手運用会社や証券は、TOPIXと日経平均ともに2026年も上昇余地ありと見ており、目安としてTOPIX 3,700台前後、日経平均5万中盤水準をターゲットとする見方も出ている。
​ 2025年までのAI・半導体主導の「一部銘柄集中」から、賃金上昇・内需回復・ガバナンス改革を背景とした「より広い銘柄・セクターへの物色拡大(全員野球相場)」を想定する声が多い。

​政策・マクロ面の焦点
 高市政権の「危機管理投資+成長投資」を掲げた積極財政(防衛・AI・インフラ等)は、建設、インフラ関連、エネルギー、造船などへの大型需要を通じて企業収益押し上げ要因になると期待されている。
​ 一方で、長期的な財政負担や国債金利上昇、円安の加速リスクは引き続き懸念材料であり、2026年も「株高・円安・金利じり高」の組み合わせが続くかどうかが重要なチェックポイントとされる。

注目セクター
 複数のアウトルックを総合すると、2026年の日本株で特に注目されるセクターは次の通り。

AI・半導体・電子部品
 2025年に相場を牽引したが、依然として政府の成長戦略の中心(AI・半導体・量子など17分野)に位置付けられており、データセンター向け、車載向け、高付加価値材料などを含めて、2026年も設備投資サイクルが続くと見込まれている。
 ただし、AI投資過熱感からの調整リスクも指摘されており、「EPS成長が裏付けられる銘柄の選別」が重要とのスタンスが一般的になっている。

防衛・造船・インフラ・建設
 防衛費の対GDP2%達成に加え、さらに高い水準が国際的な議論となる中、防衛関連(航空・宇宙・ミサイル・サイバー)や造船、港湾・交通インフラ、エネルギーインフラ企業は政策の直接恩恵セクターとして挙げられている。
​ 高市政権の大型インフラ投資・国内設備投資支援は、ゼネコン、建設機械、インフラ運営企業に長期の受注・キャッシュフロー拡大をもたらすとの期待が強い。

エネルギー・電力・再エネ関連
 AI・データセンターによる電力需要増加、エネルギー安全保障、脱炭素投資を背景に、電力・ガス、再エネ・送配電・蓄電関連が「政策×構造テーマ」として注目されている。
​ エネルギーインフラ強化や原発再稼働、再エネ拡大方針が、長期的な投資ストーリーとして材料視されている。

内需・金融・ガバナンス改善銘柄
 賃金上昇と雇用環境の改善により、2026年は個人消費が底堅く推移するとの見通しが多く、外食、小売、サービス、不動産などの内需セクターへの評価が高まっている。
​ コーポレートガバナンス改革・東証の資本効率改善要請・アクティビストの活動活発化を背景に、「PBR1倍割れのバリュー株」「持ち合い解消・自己株買い・M&A余地のある企業」なども引き続き投資テーマになりやすい。

注目銘柄タイプのイメージ
 具体名はレポートによって異なるためここではタイプにとどめるが、2026年の日本株で「注目株」として挙げられやすいのは次のようなカテゴリーになる。
​ 高市政権の重点分野(防衛・AI・半導体・量子・エネルギー・インフラ)に直接関わる大手・中堅メーカーやエンジニアリング企業
 データセンター向け半導体材料・特殊化学品・電子部品を供給するサプライチェーン企業
 PBR1倍割れだが、ガバナンス改革・アクティビスト対応・自己株買い・事業ポートフォリオ再編などでROE改善余地が大きい老舗企業
 造船・海運・物流など、「安全保障+グローバルサプライチェーン再構築」の文脈で中長期需要が見込まれる企業

投資時の留意点
 リスク要因としては、AI関連投資の失速、円急落と国債金利急騰、関税や地政学ショック、高市政権の支持率低下による政策運営の不安定化などが挙げられており、テーマに乗りつつもセクター分散・バリュエーション管理が重要とされる。

2026年の日本株は、「高市政権の投資主導×賃金・内需改善×ガバナンス改革」という構図のもと、AI・防衛・インフラといったハイライトテーマに加え、内需・バリュー・ガバナンス改善銘柄まで裾野が広がる『広義の強気相場』を想定する見方がコンセンサスになりつつある。

【PE市場、プライベートクレジット市場の動き】
 2025年のプライベートエクイティ(PE)とプライベートクレジット市場は、「活動の回復とボリューム拡大」と「信用・バリュエーション・流動性リスクの高まり」が同居する一年だった。

2025年のPE市場の動き
 金利低下と融資環境の正常化で、レバレッジドローン市場が再稼働し、PEバイアウトの新規デールボリュームは2024年比で増加したが、依然としてコロナ前のピーク水準には届かない「回復途上」という評価が多い。
​ エグジット面では、IPOやトレードセールが徐々に戻り、2024年から大きく伸びたものの、ファンドに残るポートフォリオ企業の「在庫」はまだ厚く、完全な正常化には時間がかかるとの指摘がなされている。
​ セカンダリー市場は、LPの流動性ニーズを背景に過去最大規模の取引となり、2024年から引き続き2025年も1000億ドル超のボリュームとされ、「セカンダリーがPEエコシステムの中核的な流動性手段になった」と評価されている。
​ ディール構造では、レバレッジの高い大型LBOよりも、アドオン(追加買収)やミッドマーケットディールが中心で、2025年上期のバイアウト件数のうち約7~8割をアドオンが占めるなど、「既存プラットフォームの拡張でスケールを作る」傾向が鮮明になっている。

2025年のプライベートクレジット市場の動き
 プライベートクレジットは2025年も強い成長を続け、年央時点でのファンドレイズは既に1,240億ドルに達し、2024年通年の約2,150億ドルを上回るペースとされるなど、オルタナティブとしての人気が一段と高まった。
 銀行規制強化とシンジケートローン市場の制約を背景に、レバレッジドLBOやミドルマーケット向けのシニアローン、ユニトランシェ、メザニンなどで、プライベートクレジットが銀行融資の代替・補完としての役割を拡大している。
​ 一方で、長引く高金利の影響から、借り手のインタレスト・カバレッジ・レシオ(ICR)が低下し、PIK(ペイメント・イン・カインド)条項の利用増加など、「利払いを現金で賄えない企業が増えている」兆候が出ており、債務条件のリストラクチャリング(liability management)も増加していると報告されている。
​ それでも2025年時点でのデフォルト率自体はまだ低水準にあるとされ、足元では「表面上は堅調だが、内部には脆弱性が蓄積している」局面といえる。

共通のリスク要因
 PE・プライベートクレジットの双方に共通して指摘されている主なリスクは次の通り。

高金利・マクロ減速による借り手の脆弱性
 高止まりする金利」によって、既存レバレッジドディールのインタレスト・カバレッジが悪化し、特に中小・ミドルマーケットの借り手で、1倍以下のICRに落ち込む割合が2割程度に達しているとの分析もあり、リファイナンスリスク・デフォルトリスクの顕在化が懸念されている。

バリュエーションの高さとリターン低下リスク
 金利低下期待と資金流入で、再びエントリーマルチプルが切り上がっており、2023年に一度調整した後、2025年にはマルチプルが上昇に転じたと指摘されている。これは将来のリターン低下や、出口環境悪化時の評価損リスクにつながる。

流動性・レデンプションリスク(特にプライベートクレジット)
 プライベートクレジットはファンドレベルでのレバレッジが高く、かつ償還頻度が低いクローズドエンド/エバーグリーン型が多いため、景気後退局面で投資家からの資金返還要求と保有資産の流動性不足が同時に起きれば、ファンドが「ファイヤーセール」を強いられる危険があると警告されている。

規制・監督強化リスク
 プライベートクレジット急拡大を受けて、SECや各国当局は開示・利益相反・MNPI管理などに関する監督を強化しており、2025年は私募市場全体に対する規制強化の議論が進んでおり、運用戦略・コスト構造・プロダクト設計への影響が懸念される。

システミックリスク・集中リスク
 プライベートクレジットの運用残高は2020年の約1兆ドルから2024年に1.5兆ドル、2029年には2.6兆ドルに達するとの推計もあり、その規模拡大に比して規制や透明性が追いついていないことから、金融当局や市場参加者の間で「次のシステミックリスク候補」として警戒されている。

エグジット渋滞とセカンダリー依存
 IPO・M&A市場の回復は進んでいるものの、コロナ以降に積み上がった「出口待ち」案件はなお多く、ファンド期間延長やGP主導セカンダリーなどに頼らざるを得ないケースが増加している。これはLP側にとっては分配の遅れ・Jカーブの長期化となり、アロケーション調整やセカンダリーファンドへの売却を通じて市場構造を変えつつある。

総じて2025年のPE・プライベートクレジット市場は、ディールフロー・ファンドレイズ・セカンダリーともに量的には回復・拡大が進む一方、金利・クレジット・流動性・規制・バリュエーションといった複数の質的なリスクが積み上がっている「成長と脆弱性が同居する局面」と整理できる。こうした環境下では、レバレッジ水準、コベナンツ、借り手のキャッシュフロー耐性、スポンサーのエグジット能力などをより精緻に見極めることが重要だと指摘されている。

2026年1月3日 土曜日
散歩の帰りに駅の改札口近くにあるドトールに寄りました。結構お客さんが多くて驚きました。