週間市場動向 2025年10月20日から24日 備忘録

先週(2025年10月20日~24日)の米国と日本の株式市場の動きをまとめました。最後にPEとPrivateCredit市場についてもまとめています。

米国市場(主要インデックス終値と週間騰落率):
S&P 500:10月24日終値 6,772.07、週間騰落率 約+1.3%の上昇
NASDAQ:10月24日終値 約22,942 前週20日比でほぼ横ばい
ダウ工業株30種平均(Dow Jones):10月24日終値 約46,700台で推移、週間では小幅上昇

日本市場(主要インデックス終値と週間騰落率):
日経225:10月24日終値 49,095.27、週間騰落率 約+2.0%の上昇
TOPIX(詳細はデータ取得できず)

市場動向:
 米国市場は企業決算好調で戻りを見せ、特にテクノロジーセクターの一部銘柄が引き続き好調だったものの、一部地域銀行の信用不安が警戒された。
 日本市場は自民党新政権樹立の期待感などもあり、堅調に推移。

 米国の10月FOMC政策決定前のインフレ指標発表を控え、投資家心理はやや慎重だったものの全体としては上昇基調。
 日米ともに先週は概ね上昇トレンドで推移し、特に日本市場の強さが目立つ週だった。

今週(10月27日週)の米国および日本株市場
 今週は、イベント集中週となり、相場の変動が一段と活発になる見通しだ。主な論点は、米国の大型ハイテク決算、FRBの金融政策会合、トランプ・習近平会談の行方だ。​

米国市場の注目点
重要イベント:10月28〜29日のFRB会合と、耐久財受注や新築住宅販売など重要経済指標の発表が焦点となる。政府閉鎖による統計遅延もあり、FRBの判断には不透明感が残ります。​

注目セクター:
テクノロジー(AI・半導体):アルファベット、アマゾン、アップル、メタ、マイクロソフトの決算発表が予定。決算次第で指数全体を左右する可能性。​

ヘルスケア:薬品・バイオ系の新薬承認発表が近く、年末にかけて資金流入が期待されます。​

エネルギー・資源関連:中東情勢と原油価格動向が要因でボラティリティが高まる見込み。

注目株:アップル(AAPL)、マイクロソフト(MSFT)、テスラ(TSLA)、ジョンソン&ジョンソン(JNJ)、バイオジェン(BIIB)が焦点。​​

日本市場の注目点
 政策・経済要因:27日に発表予定の日本銀行政策決定会合では、金利据え置きが予想されつつも、「株式市場の過熱」リスクが議論される可能性が指摘されている。​

注目セクター:
AI・半導体関連:高市新政権のAI産業支援策期待で引き続き上昇基調。アドバンテスト、ディスコ、キーエンス、ソフトバンクグループなどが買われやすい。​
防衛産業・エネルギー:地政学リスクを背景に関連需要が高まる可能性。
金融セクター:日銀の金利政策据え置き観測で一服感。ただし円相場次第で再評価余地も。

相場全体の動き予想
米国株:決算次第でS&P500は引き続き6,800前後の高値圏でのもみ合いを想定。シナリオとしては「テック決算好調→上昇継続」または「ガイダンス下方修正→短期調整」の二極化。​

日本株:Nikkei225は49,000~50,000円台で推移見込み。外国人投資家による買いが続けば史上高値更新の可能性も。

総じて、短期的なボラティリティ上昇に注意しつつも、中長期ではAI・医療・半導体のテーマに買い意欲が集中する週になる見通しだ。

​2025年10月時点でのプライベート・エクイティ(PE)市場およびプライベート・クレジット市場は、いずれも利下げ環境の兆しを背景に活発化しており、特にテクノロジー・エネルギー分野を中心に再成長局面に入っています.​

プライベート・エクイティ(PE)市場の動向
 2025年第3四半期の世界PE投資額は約1.5兆ドルに達し、過去4年間で最高水準となりました。特に米国では「テイク・プライベート」案件(上場企業の非公開化)が急増し、四半期ベースで2022年以来の高水準だ。​
 セクター別では、テクノロジーと金融が全取引件数の50%以上を占め、エネルギー分野は前年同期比で150%の価値増加となりました。一方、メディア・通信と消費財では活動減速が見られます。​

資金流入と出口環境
 FRBの9月利下げ(25bp)および年末までの追加利下げ観測により、資金コストの低下がM&A・IPO市場の再活性化を促進。PEファンドは投資・エグジット双方での活動を再加速させる見通しだ。​

注目トレンド
 セカンダリー取引市場(既存ファンド持分の売買)が急拡大中。ブラックストーン等は2025年に2,200億ドル規模へ成長すると予測。
 テーマ型投資(AI・インフラ・再エネ)が活発化し、長期資本志向の投資家がリスク選好度を回復。​
 PE取引全体の75%超が「アドオン投資(既存企業への追加買収)」で、規模の経済を活かす戦略が主流となっています。​

プライベート・クレジット市場の動向
 プライベート・クレジット市場は2025年上半期の資金調達額が1,240億ドルと過去最高を記録。年内にも2024年の総額を上回る見通しです。​
 特にダイレクトレンディング(中堅企業向け直接融資)とオポチュニスティック・クレジット(高利回り特化型)が投資家からの資金流入を牽引している。

市場構造の変化
「エバーグリーン・ファンド」や「BDC(Business Development Company)」など、機関投資家と富裕層マネーを取り込む長期型ビークルが主流化。運用資産は5,000億ドル超に拡大。​
 金融緩和を背景に、銀行代替の資金供給者としての存在感が上昇しており、保険会社・年金基金資金の流入も顕著。​

リスク要因と信用状況
 借り手企業の利払い負担は高止まりしており、平均インタレストカバレッジ比率(ICR)は2021年の3.2倍から現行1.5倍へ低下。47%の借り手がICR1.5倍未満に位置。​
 表面的なデフォルト率は低水準ながらも、多くが「Payment-in-Kind(利払い繰延)」を通して実質的に返済を延ばしている。将来的には債務再編・リスク移転の増加が懸念されます。​

総括:
マクロ環境と見通し
 利下げ基調とAIインフラ投資需要の高まりを背景に、PE・プライベートクレジットともに「再成長フェーズ」に入っている。
 PEはM&A・IPO出口再開で分配金回復。
 プライベートクレジットは金利収入維持と資本多様化が支え。

注目分野
テクノロジー(特に生成AI関連企業、半導体・データセンター投資)
再生可能エネルギー・インフラファイナンス
医療・医薬セクターの買収・メザニンファイナンス

2025年末に向け、PEとプライベートクレジットはいずれも流動性回復と選別的なリスクテイクを特徴とする新局面にあると評価されている。​信用状況の全般的な劣化は懸念材料。

2025年10月25日 土曜日

世界の動き 2025年10月24日 金曜日

今日の一言
「量子コンピュータ」
 トランプ政権は量子コンピューティングへの投資を検討しているようだ。ウォール・ストリート・ジャーナル紙が、以下の企業が連邦政府からの資金提供と引き換えにトランプ政権に株式を譲渡する交渉を行っていると報じたことを受け、IonQ、Rigetti Computing、D-Wave Quantumの株価はプレマーケット取引で急騰した。近年、いくつかの画期的な成果を上げている量子コンピューティングは、政権が国益を理由に直接投資する最新の分野となる可能性がある。
 この分野に集中的に投資するETFに、Defiance Quantum ETF(QTUM)がある。動きに注目したい。

ニューヨークタイムズ電子版より
1.破壊の鉄球
【記事要旨】
 ホワイトハウス東棟の解体とトランプ大統領の改築計画
概要についての記事だ。
 トランプ大統領はホワイトハウス東棟を取り壊し、約8,300㎡の舞踏室を新設する計画を進行中。かつて「既存建物に影響を与えない」としていたが、実際には全面解体が始まっている。
 ・世論の反応
– 支持者は「公約通りワシントンを揺るがす改革」と評価。
– 歴史保護団体や建築家は「違法で破壊的」と懸念し、工事の一時停止を要請。
– 解体の様子は世界中に拡散され、トランプ政権の象徴的行動として議論を呼んでいる。
 ・トランプ氏の建築へのこだわりはホワイトハウスに、これまで以下の改造を行ってきた。
– ローズガーデンの芝生をパティオに変更。
– 執務室に金の装飾、閣僚室にシャンデリアを設置。
– マール・ア・ラーゴ風の豪華な改装を施してきた。
 ・費用と資金源
– 当初は私費による建設と説明。
– 最近では、政府との和解金(2.3億ドル)を建設費に充てる可能性を示唆。
– 寄付者向けのプライベートディナーも開催され、政治的思惑が絡む可能性も出ている。
 ・象徴的意味合い
– トランプ氏の行動は「建設と破壊」の両面を象徴。
– 政治的慣習や制度的ガードレールを破る姿勢が、建築にも反映されている。
【コメント】
 歴史的建造物であれ、自分に所有権がない建物であれ、勝手放題するのは土建屋さんの面目躍如だ。

2.イトハウス東棟を取り壊し、約8,300㎡の舞踏室を新設する計画を進行中。かつて「既存建物に影響を与えない」としていたが、実際には全面解体が始まっている。
 ・世論の反応
– 支持者は「公約通りワシントンを揺るがす改革」と評価。
– 歴史保護団体や建築家は「違法で破壊的」と懸念し、工事の一時停止を要請。
– 解体の様子は世界中に拡散され、トランプ政権の象徴的行動として議論を呼んでいる。
 ・トランプ氏の建築へのこだわりはホワイトハウスに、これまで以下の改造を行ってきた。
– ローズガーデンの芝生をパティオに変更。
– 執務室に金の装飾、閣僚室にシャンデリアを設置。
– マール・ア・ラーゴ風の豪華な改装を施してきた。
 ・費用と資金源
– 当初は私費による建設と説明。
– 最近では、政府との和解金(2.3億ドル)を建設費に充てる可能性を示唆。
– 寄付者向けのプライベートディナーも開催され、政治的思惑が絡む可能性も出ている。
 ・象徴的意味合い
– トランプ氏の行動は「建設と破壊」の両面を象徴。
– 政治的慣習や制度的ガードレールを破る姿勢が、建築にも反映されている。
【コメント】
 歴史的建造物であれ、自分に所有権がない建物であれ、勝手放題するのは土建屋さんの面目躍如だ。

2.米国とEU、ロシアへの圧力を強化
【記事要旨】
 EUは昨日、ロシアの天然ガス企業と仮想通貨企業に対し新たな制裁を発動した。この措置は、ウクライナ情勢の停戦合意の進展の遅れに苛立ちを募らせたトランプ大統領が、ロシアに対し新たな制裁を発動したわずか数時間後に発動された。トランプ大統領にとって、これは2期目に入って初めての措置だ。この措置は、インドにロシア産原油の購入停止を迫る可能性がある。
【コメント】
 サハリン2から天然ガスを輸入している日本に何を言い出すか注目したい。

3.米国、ヨルダン川西岸併合に冷水を浴びせる
【記事要旨】
 J・D・ヴァンス副大統領は昨日、イスラエル議会におけるヨルダン川西岸併合の採決を「非常に愚かな政治的策略」と評した。
 「ヨルダン川西岸はイスラエルに併合されることはない」と、ヴァンス副大統領はイスラエル訪問を終える際に述べた。
【コメント】
 ヴァンスは正論を言ったが、トランプはどう考えているのだろうか。

其の他の記事
・NBAの著名なヘッドコーチと現役・元選手たちが、スポーツ賭博と八百長ポーカーに絡んだ事件で逮捕されました。
・チャールズ国王とレオ1世教皇はシスティーナ礼拝堂で共に祈りを捧げました。英国君主と教皇がこのように共に祈るのは、何世紀にもわたって初めてのことです。
・トランプ大統領は、仮想通貨企業バイナンスの創業者で億万長者の趙長鵬氏を恩赦しました。バイナンスは、トランプ一族の仮想通貨スタートアップと提携しています。

+++野球好きなら誰もが観ているもの+++
今年のワールドシリーズは、紛れもなく国際的な色合い(あるいは色彩)を帯びている。

トロント・ブルージェイズは本日、無敵の強豪ロサンゼルス・ドジャースとの対戦で、劣勢に立たされる。

カナダ唯一のメジャーリーグ球団であるブルージェイズにとって、アメリカ屈指の名門チームとの一戦は、まさに一大イベントだ。トランプ大統領の関税導入や脅し文句でカナダ国民が激怒する中、米加関係は緊迫の時期を迎えている。

一方、ドジャースの二刀流の天才、大谷翔平は、野球の視聴率向上に貢献しているようだ。ポストシーズンの視聴者数は急増しており、日本とカナダでの視聴者数が増加している。

2025年10月24日 金曜日

世界の動き 2025年10月23日 木曜日

今日の一言
「ガソリンの暫定税率廃止」
 高市首相はガソリンの暫定税率の廃止を物価対策の第一歩と考えているようだ。
 G7諸国のガソリン価格を見てみよう。 (2025年10月時点の推定)為替レートや税制、補助金政策によって変動するが、以下のようになる。
•日本:170〜180円前後
•アメリカ:1リットルあたり約1.0〜1.2ドル(約150〜180円)
•カナダ:1.6〜1.8カナダドル(約175〜200円)
•イギリス:1.5〜1.7ポンド(約280〜320円)
•フランス、ドイツ、イタリア:1.7〜2.0ユーロ(約270〜320円)
 つまり日本のガソリン価格は米国を除くと最も安い水準だ。
 暫定税率はあくまで暫定であり廃止すべきだと思うが、ガソリンが生活に不可欠な地方に限定して実施し、都心では商用車に限定するとか、何らかの工夫が必要だ。
 本当に生活に苦しんでいる人がメリットを受ける資金の使い方を考えるべきだ。

ニューヨークタイムズ電子版より
1.AIブームの代償と格差
【記事要旨】
 グローバルなAI格差の拡大
– 米中がAIインフラで圧倒的優位に立ち、他国は取り残される懸念が強まっている。
– 国連はこの格差を「AIにとって最も差し迫った世界的脅威の一つ」と警告している。
 データセンターの影響と代償
– メキシコではAI関連のデータセンター建設後、停電や水不足が深刻化。医療や教育現場にも影響している。
– アイルランドやチリでも、電力・水資源への負荷が問題視されている。
– 専門家は、脆弱なインフラ地域でのデータセンター建設は連鎖的な社会的影響を引き起こすと指摘している。
 AI主権と国家戦略
– 各国はAI主権を確保するため、補助金や税制優遇でデータセンター誘致を進めるが、代償も大きい。
– アルゼンチンでは人材流出が進み、ケニアではインフラ不足により夜間のみ海外サーバーに接続している。
– 自前のAIインフラ構築は高コストかつ資源集約型で、すべての国にとって現実的ではない。
 対抗策と希望
– アフリカのCassava社やチリの政策など、地域主導のAIインフラ構築とリソース共有の動きも出ている。
– 成功すれば、将来の経済・地政学的格差を是正する可能性がある。
【コメント】
 AIの未来に参加するには、莫大な投資が必要だ。構築するか、取り残されるか──それが各国の選択肢となっている。AIの恩恵と負荷をどう分配するかが、今後の世界の構図を左右する。 

2.ロシアのドローンがウクライナの幼稚園を攻撃
【記事要旨】
 ロシアは昨日、ウクライナへの大規模な攻撃を開始し、ハリコフの幼稚園や発電所などを攻撃した。この攻撃で6人が死亡した。これは、トランプ大統領がロシアのプーチン大統領との会談を延期した翌日の出来事だった。攻撃前に避難していた幼稚園の園児に負傷者はいなかった。
 ドイツでは、重要インフラ施設周辺で不審なドローンが目撃されている。首相は、その背後にロシアがいると考えている。
【コメント】
 プーチンは何を狙っているのだろうか。トランプを手玉に取るのは良いが、ウクライナへの空襲をなぜ続けるのか理解できない。

3.ヴァンス副大統領、イスラエルでネタニヤフ首相と会談
【記事要旨】
 J・D・ヴァンス副大統領は昨日、米国当局者による最近のイスラエル訪問は、ガザ地区における脆弱な停戦を監視するためであり、「幼児を監視するため」ではないと述べた。
 エルサレムでネタニヤフ首相と会談した後、ヴァンス副大統領は停戦合意の次のステップは「容易ではないだろう」と警告した。ルビオ国務長官は本日イスラエルに到着する予定だ。
 関連:国際司法裁判所はイスラエルに対し、ガザ地区とヨルダン川西岸地区における国連の救援活動に協力するよう命じた。
【コメント】
 トランプの動きがあまりにボラタイルだから、ヴァンスもルビオも三下にしか見えない。

其の他の記事
・ルーブル美術館のローレンス・デ・カール館長は、フランス上院で、日曜日の宝石盗難事件を受けて辞任を申し出たと述べた。盗まれた品物には保険がかけられていなかった。
・米軍はコロンビア沖で麻薬を積んでいる疑いのある船舶を攻撃し、最近の作戦範囲を初めて太平洋に拡大した。
・トランプ大統領は、2億ドルの舞踏室を建設するため、ホワイトハウスの東棟を取り壊している。
・タイの財務副大臣は、自身と妻がカンボジアのサイバー犯罪拠点に関与していたとの疑惑を受け辞任した。

2025年10月23日 木曜日

世界の動き 2025年10月22日 水曜日

今日の一言
 「split-screen view(分割画面のような景色)」
 経済状況が人々によって大きく異なる様子を表す比喩的な表現だ。例えば、富裕層は引き続き消費を楽しんでいる一方で、低所得層は支出を抑えているというような“二極化”を示している。
 今後の企業の決算発表では、消費者の購買行動の変化が売上にどう影響しているかが語られる可能性がある。トランプ関税の影響を最も受けるのは、低所得層だ。No Kingsという反トランプデモが全米で巻き起こったのは、低所得層の不満の表れでもある。
 高市政権の誕生で、日本ではどのようにsplit screen viewが現出するだろう。

ニューヨークタイムズ電子版より
1.習近平の後継者
【記事要旨】
 中国において「後継者問題」は非常にデリケートな話題だ。毛沢東は死ぬまで権力を握り続けたが、その後継者である鄧小平は国家主席の任期を2期に制限し、江沢民は高官の定年制(当初70歳、のちに68歳)を導入した。しかし、習近平はこれらの制度を撤廃した。
 現在72歳の習近平は、健康が許す限り2035年以降までの長期的な国家ビジョンを掲げており、政権を維持する意志を示している。しかし、後継者については一切言及しておらず、党内でもその話題はタブーとされている。若手幹部の登用も見られず、後継者育成の兆しはない。
 習近平が後継者を指名しない理由の一つは、政治的な力の分散を避けるためとされえる。彼自身が「歴史的使命を帯びた指導者」として中国と共産党の存続を担う存在だと信じている節がある。
 これは胡錦濤や江沢民の時代に見られた、集団指導体制や秩序ある権力移譲の流れを断ち切るものだ。習近平は毛沢東や鄧小平のような中央集権的なリーダーシップに回帰しており、それが後継問題をより複雑にしている。
 今のところ習近平の権力は揺るがないが、今後5〜10年のうちに高齢化が進む中で、体制の安定性に対する懸念や後継者を巡る派閥争いが表面化する可能性がある。
 習近平はソ連の崩壊を「誤った後継者(ゴルバチョフ)の選出」によるものと見ており、同じ過ちを避けようとしている。ただし、中国の指導層には1970年代生まれの若手も登場しており、世代交代の意識はあるものの、それは習近平本人には当てはまらない。
【コメント】
 誰が後継者かの予想もつかない状況ということだろうか。一部報道で習近平の失脚説がでたが、彼を引きずり下ろす勢力は出そうもない。

2.日本初の女性首相
【記事要旨】
 昨日、日本の国会議員は強硬保守派の高市早苗氏を日本初の女性首相に選出した。
 64歳の高市氏は、安易なレッテル貼りを拒絶する人物だ。彼女は日本の米国依存を懸念していると述べた一方で、トランプ大統領との緊密な連携を望んでいる。彼女は中国に対して強硬な政策を掲げ、第二次世界大戦中の日本の残虐行為を軽視し、移民と観光業を厳しく規制することを約束した。多くの日本人女性は、高市氏が強い女性リーダーのイメージを定着させる一助となることを期待しているが、彼女はフェミニストとして知られているわけではない。
 Timesの東京支局長は、高市氏の権力掌握が日本の右傾化を反映しているという。
【コメント】
 「シカを蹴る外国人旅行者」という高市発言も取り上げられていた。トランプの「犬や猫を食べる不法滞在移民」と同列に、外国では取り上げられているようだ。フーン。

其の他の記事
・ホワイトハウスは、トランプ大統領とプーチン大統領が近いうちに会談することはないと発表した。
・イスラエルを訪問したJ・D・ヴァンス副大統領は、ガザ地区での停戦合意が維持されるだろうと楽観的な見方を示した。
・米国とオーストラリアは、世界のレアアース供給における中国の支配を緩和したいと考えている。

・米国政府閉鎖は3週間目に入り、終わりの兆しは見えない。これは、米国史上最長の資金不足の一つとなる可能性がある。

2025年10月22日 水曜日

世界の動き 2025年10月21日 火曜日

今日の一言
「高市政権発足」
 日経平均は1603.35上昇し49185.50と最高値を更新。政権の誕生を好感しているようだ。
 維新の会との連立成立の会見では、両党とも「国家観」「日本を前に進める」という言葉が目立った。日本を前進させる考えは当たりまえとだ。国家観については、首相選出で協力を求めている参政党や日本保守党とも似ているようだ。
 日本を考えの基軸とする(対米従属でない)保守の確立を期待し、高市氏の登場をはやし立てる勢力がある。一方、冷静に見れば、高市氏の政策は、政府に従属的な金融政策、拡張的な財政政策、成長戦略の組み合わせでアベノミックス2.0にすぎない印象だ。
 現在の市場の熱狂をどう見ればよいのだろうか。以前、トラス政権の登場時と日本の現状の類似性を指摘した。経済を推進する政治の確立は期待できそうもない。株価の剥落が、政権を揺るがす状況だ。

ニューヨークタイムズ電子版より
1.ルーブル美術館での窃盗
【記事要旨】
 事件概要
 日曜午前、ルーブル美術館に4人組の窃盗犯が侵入し、わずか8分で「計り知れない価値」の宝飾品9点を盗み逃走。犯行は電動はしごとディスクカッターを使い、警備員を脅して展示ケースを破壊するという大胆な手口だった。
 盗まれた品と狙い
 盗まれたのはティアラ、ネックレス、イヤリングなどの宝飾品で、美術品ではなく、個別に売却可能なダイヤモンドや金などが標的。識別が容易な有名宝石は避けられた。
 犯行の性質
 これは「美術品窃盗」ではなく、換金目的の「商品窃盗」。犯人は売却困難な品は放棄し、換金しやすい宝石類に絞っていた。
 美術館の過去の強盗例
– 1911年:ルーブルで「モナ・リザ」盗難(後に回収)
– 1994年:オスロでムンクの「叫び」盗難(1分未満)
– 2000年:オックスフォードでセザンヌ作品盗難(未発見)
– 2017年:ベルリンで巨大金貨盗難
【コメント】
 詳しく知れば知るほど「ルパン3世」の犯行だ。犯人はどのように換金するのかに興味がある。

2.ガザ計画推進に向けた米国の取り組み
【記事要旨】
 トランプ大統領の義理の息子の一人、ジャレッド・クシュナー氏と大統領の中東担当特使スティーブ・ウィトコフ氏は昨日、ガザ和平計画の強化を図るためイスラエルに到着した。J・D・ヴァンス副大統領は本日イスラエルに到着する予定だ。
 イスラエルとハマス間の停戦が緊張の兆しを見せている中で、こうした要人訪問が行われた。停戦の将来を危うくする未解決の問題がいくつか残っている。
 イスラエルとハマスの合意で重要な役割を果たしているのは、政府関係者ではないクシュナー氏だ。
 米国の安全保障請負業者によって運営され、イスラエルの支援を受けているため厳しく批判されている援助団体であるガザ人道財団は、停戦のため援助活動を一時停止した。
【コメント】
 クシュナーは第一次トランプ政権でアドバイザーを務め、アブラハム合意を成立させた中心人物だ。中東の政権と富裕層に強い人脈を持つ。彼が運営するマイアミ投資会社は資金のほとんどを中東から集めている。

其の他の記事
・トランプ大統領は、オーストラリアのアンソニー・アルバネーゼ首相と希土類鉱物の供給確保に関する合意に署名した。
・Amazonのクラウドサービスに世界的な障害が発生し、WhatsAppやSnapchatを含む数百のウェブサイトとアプリがオフラインになった。
・オーストラリア当局は、南シナ海上空を哨戒していた中国の戦闘機が、オーストラリア空軍機の危険なほど接近して照明弾を発射したと発表した。

香港国際空港でエミレーツ航空の貨物機が滑走路から滑り落ち、哨戒車両に衝突し、地上要員2名が死亡した。

2025年10月21日 火曜日