今日の一言
「銘柄選択の難しさ」
ウォルト・ディズニーが2.5%上昇した。OpenAIに10億ドルを投資するとともに、ミッキーマウスなどの代表的キャラクターをOpenAIの動画生成ツール「Sora」にライセンス提供することで合意したことが材料だ。契約期間は3年。ディズニー、マーベル、ピクサー、スター・ウォーズのアニメやキャラクターのライブラリーを使い、Sora上で動画を生成できるようになる。同時に、ディズニーはOpenAIの主要顧客にもなり、同社のツールを使って新たな製品や体験を構築し、社内向けには「ChatGPT」を導入する。
一方、オラクルが10%急落した。前日の引け後に公表した決算で、人工知能(AI)データセンターや関連設備への投資が膨らむ一方、それがクラウド部門の売上高に結び付くまでに時間を要していることが示されたためだ。データセンター投資の指標とされる設備投資は120億ドルに増加。アナリスト予想平均は82億5000万ドルだった。一方、クラウド部門とインフラ部門の売上高はいずれもアナリスト予想をわずかに下回った。
大型株も乱高下する現状は、銘柄選択が本当に難しくなっていることを示す事例だ。
ニューヨークタイムズ電子版より
1.盗まれた遺物が返還されるとき
【記事要旨】
●背景
ベニン・ブロンズは1897年に英国軍がベニン王国(現在のナイジェリア)から略奪した美術品で、植民地支配の象徴的な略奪例とされる。ナイジェリアは1930年代から返還を求めてきたが、近年ようやくオランダ、ドイツ、スウェーデン、ケンブリッジ大学などが返還を進めている。
●返還をめぐる複雑さ
当初、西洋の博物館はベニン市に近代的な博物館を建設し展示する計画だった。しかしナイジェリア政府は、ブロンズは本来の所有者である現オバ(王)に返すべきだと決定。オバは国際的な博物館計画に反対し、自ら「王立博物館」を建設して収蔵すべきだと主張した。
●西洋側の懸念
公的博物館が私的な王室に美術品を渡すことへの不安があり、保存環境や管理体制が十分でないと感じる声もある。現在はオバがナイジェリア政府と5年間の協定を結び、政府が代わりに管理することで返還が再開されている。
●植民地主義の影
西洋が返還条件や保存基準を押し付けること自体が「植民地主義の延長」と批判されている。返還後の扱いをめぐる議論は、返還の正当性を揺るがす要因ともなっている。
●今後の影響
この混乱が他の博物館に「返還はリスクが高い」と思わせる可能性がある一方、オランダやスウェーデンのように「所有国がどう扱うかはその国の自由」として返還を進める動きも続いている。
【コメント】
要するに、ベニン・ブロンズ返還は「植民地時代の略奪の象徴」であり、返還後の扱いをめぐる西洋とナイジェリアの対立が、文化財返還の今後に大きな影響を与えているということだ。
ベニン王国は、12世紀から1897年までナイジェリア南部の海岸地帯に存在した王国。首都は現在のベニンシティ。イギリス外交官虐殺事件を契機にイギリスの侵攻を受け、1897年に滅亡した。
現在のベナン共和国はこの国の名にちなんで命名されたが、地理的にも歴史的にもつながりは全く無い。
オバについて詳しく説明する。
– 人物
オバ・エウアレ2世(Oba Ewuare II)は、ナイジェリア・エド州ベニン王国の伝統的支配者であり、エド族の文化と歴史の守護者です。彼は2016年に先代のオバ・エレディアウワの死後に即位した。
– 役割
オバは単なる政治的指導者ではなく、精神的・文化的リーダーとしても位置づけられている。王位は神聖なものとされ、エド族の人々にとって統合の象徴だ。伝統儀式や祭礼を主宰し、文化遺産の保護に大きな役割を果たしている。
– 近年の活動
エウアレ2世は、ベニン・ブロンズ返還問題に積極的に関与し、国際社会に対して文化財返還を強く訴えてきた。彼の治世では、ベニン王国の文化復興や人々の福祉向上に力を入れている。
– 歴史的背景
ベニン王国の王位は「エウェカ王朝」と呼ばれる系譜に属し、11世紀から続く非常に古い王統で、現在もその伝統は途切れることなく継承されている。
2.ブルガリアの政情不安
【記事要旨】
ブルガリアの首相は、多数の若者を含む抗議者による数週間にわたる街頭デモの後、昨日辞任した。
ブルガリアでは、1月1日のユーロ導入を前に、5年間で6度目の首相となったロゼン・ジェリャズコフ氏の政権に対する反対が高まっていた。しかし、批判はより広範な問題にまで広がり、多くの抗議者がロシアとの連携を支持する政治家によって汚職が蔓延していると考えている。
【コメント】
この辺のニュースはほとんどないので、頻繁な政変を知り驚いた。ブルガリアがEUに入れるのにウクライナはダメというのは難しいだろうと思われる。
その他の記事
・米国による石油タンカー拿捕は、ベネズエラ経済の活路を揺るがした。
・ノーベル平和賞受賞者のマリア・コリーナ・マチャド氏は、1年以上潜伏生活を送っていたベネズエラから脱出できたのは米国の支援によるものだと述べた。
・パキスタンの軍事裁判所は、元情報機関長官のファイズ・ハミード中将に対し、汚職、政治介入、権力乱用の罪で懲役14年の判決を下した。
・メキシコは、米国の圧力を受け、中国製品への最大50%の関税を承認した。
・ゼレンスキー大統領は、米国が支援する改訂版和平案は依然としてウクライナのドンバス東部からの撤退を求めていると述べ、この譲歩は拒否した。
2025年12月12日 金曜日