最恵国待遇

 最恵国待遇とは、世界貿易機関(WTO)の基本原則の一つで、いずれかの国に与える最も有利な待遇を、他のすべての加盟国に対しても同様に適用しなければならないというルールである。

 言い換えれば、ある国との間で有利な条件で条約を締結した場合、その条件を他の加盟国にも適用しなければならないということである。

 現在、トランプ大統領の「相互関税政策」に対応し、日本は赤沢経済再生担当相、加藤財務相等が米国詣でを行っている。もし他国に先駆けて、日本が他国よりも有利な関税条件を米国と結んだとして、他国も同様な条件に帰着する可能性は無いのだろうか。

 米国はWTOへの資金拠出を停止し、脱退の意向があると言われているので、日本が抜け駆けに成功する可能性があるということなのだろうか。

 WTO体制を堅持している日本は、米国との間で関税の取り決めを優遇すると(例えばコメの関税を米国に対して下げる等)他国にも同条件を提供しないといけないのではなかろうか。

 これまでのシンプルだった常識が、横紙を破る大国の登場で、連立方程式を解くように複雑になる。関税交渉の進展に、米国と日本との交渉の帰結に加えて、他国への影響に注意を払いたい。

2025年4月27日 日曜日