大変だ!中国の大都市に一人当たりGDPで東京が抜かれる!? McKinsey Quarterlyの2011年の最もよく読まれた記事より
McKinsey Quarterlyのおすすめ
戦略系のコンサルタントとして名高いマッキンゼーのニュースレターにMcKinsey Quarterlyがある。誰でも登録しさえすれば、マッキンゼーのコンサルタントを中心とする豪華な執筆陣の論文が読める。未登録の人は是非次のHPへ行って登録することを強くお勧めする。https://www.mckinseyquarterly.com/
さて、そのMcKinsey Quarterlyが2011年末に、昨年一番多く読まれた論文のトップ10を発表している。詳しくは以下でわかるので、どんな論文が読まれたのか確認されるとよいと思う。http://www.mckinseyquarterly.com/newsletters/topten/2011_Q4.html
私が、もっとも興味をひかれたのは、年間第4位にランクされた次の調査レポートである。
Global cities of the future: An interactive map
Explore the cities and emerging urban clusters that will drive dramatic growth and demographic changes over the next generation.
これは世界の2000都市について、マッキンゼーが独自に調査し、2007年と比べて2025年までに其々の都市がどのような変化をするかについてまとめたものである。読者がいろいろと使って都市やトレンドを比較することができるすぐれものである。
私は気になったので、東京と中国の大都市を比較してみた。左が2007年の実績値。右が2025年の予想値である。
東京 |
上海 |
北京 |
天津 |
深セン |
||||||
人口 百万人
|
35.6 |
36.4 |
17.5 |
27.4 |
15.2 |
26.3 |
8.8 |
13.0 |
8.9 |
13.9 |
GDP 10億ドル |
1460 |
1697 |
152 |
1243 |
121 |
1107 |
62 |
549 |
89 |
551 |
一人当GDP 千ドル |
40 |
47 |
18 |
62 |
17 |
58 |
15 |
58 |
21 |
54 |
驚くべき結果が示されている。東京は2007年から2025年の間に殆ど成長がない。一方、中国の大都市は成長を続け、何と、上海、北京、天津、深センは一人当たりGDPが東京を追い越すという結果になっている。
この結果にはいくつかの前提がある。経済成長と為替レートをどのように見込むかで結果は大きく変化する。また、中国の大都市への人口流入は、政府の政策や、地方の農村人口の都市への流出圧力次第という考え方もあるだろう。
統計の数字については一人当たりGDPの数字が、GDPの合計を人口で割った数字と一致しないという疑問もある。(このレポート全体に当てはまる現象。計算が合うのは、米国と日本ぐらい)
とはいっても、現在、アジアの都市ではとびぬけた生活水準を維持し、他の大都市から見れば仰ぎ見る存在の東京が、2025年には、一人当たりGDPで中国の主要都市に抜かれるというショッキングな状況が現出しそうなのだ。
何をすべきなのか
「GDPは生活の質を表す指標としてはいかがなものか、ブータンのGross National Happinessに見習え」というロジックをかざす人々も、一人当たりのGDPはそこに暮らす人々の生活の豊かさと質の高さに密接に関係する指標だ、と言うことに異を唱えはしないであろう。
石原都知事は東京の競争力を維持することにより日本の競争力を高めることを明言しているが、行政としては、以下のような手段を早急に実現すべきであろう。
・東京の環状道路整備による社会インフラの整備
・競争力のある産業・業界クラスターの集積による国際競争力の維持
・大学と強調した海外からの優秀な留学生の獲得
・海外からの優秀な職能を持つ人々の受け入れ
・東京に立地する大企業(国内企業・海外企業を問わず)への優遇税制
我々個人としては何をなすべきであろうか。正解は一つ!
我々の仕事の付加価値を高めて行く。我々がいかなる産業に従事しているにしても、自分が担うバリューチェーンで、誰にも負けない高みを目指して努力してゆくことであろう。これが自分自身の価値を、自分が属する企業・産業の価値を、そして我々が属する都市の・国家の価値を高める唯一の方法だ。