『未来の年表』再読

  『未来の年表』河合雅司著 講談社現代新書を再読した。人口動態は日本の将来を確定的に示す指標だ。数十年掛けなければトレンドを変えることは出来ない。時あたかも、昨日の読売新聞が日本の人口についての総務省の発表を報じており、日本の現状がよくわかるので、長くなるが以下引用する。

 「総務省は15日、2021年10月1日時点の日本の総人口推計(外国人含む)を発表した。前年比64万4000人(0・51%)減の1億2550万2000人となり、減少幅は過去最大となった。減少は11年連続で、東京都の人口は1995年以来、26年ぶりにマイナスに転じた。

 年齢別では、65歳以上の高齢者人口は、3621万4000人で、全体の28・9%を占め、過去最大となった。一方で、15歳未満は1478万4000人で、11・8%と過去最低を更新し、少子高齢化が加速している実態が明らかになった。

 働き手の中心となる生産年齢(15~64歳)人口は、7450万4000人で、人口に占める割合は59・4%となり、過去最低となった。ピーク時の1992年の69・8%と比べると10・4ポイント低いことになる。

 出生児数は83万1000人と前年より4万人減った。死亡者数は6万8000人増の144万人だった。出生児数が死亡者数を下回る「自然減」は15年連続で、過去最大の60万9000人となった。

 さらに、新型コロナの影響で海外との出入国が制限されたため、出国者数が入国者数を上回る「社会減」は3万5000人で、9年ぶりにマイナスとなった。総務省の担当者は「外国人の入国が減り、社会増が自然減をカバーできなくなり、人口減少幅が拡大した」と説明している。

 都道府県別では、沖縄を除く46都道府県で人口減となった。特に東北地方での減り幅が顕著だった。前年比の人口減少率が最も大きかったのは秋田県の1・52%。青森県1・35%、山形県1・23%と続いた。」

 戦慄すべき数字が並んでいる。1年間で644千人も人口が減った。これは全国の都市で見ると第21位の船橋市と同じ数字だ。県庁所在地で挙げてみると、宇都宮517千人、金沢461千人、長崎403千人を優に上回る。一年でこれらの都市が消滅するほどの人口が失われているのだ。

 人口分布も怖い。人生80年とすると、
   0-15歳未満が11.8%、
   15-64歳が 59.4%
   65ー80歳が 28.9%
 私が小学校で習ったときは、日本の人口はきれいなベルカーブを描いており、「日本の将来はとても明るい。欧州の先進国は老齢人口が多くいびつでダイナミズムが無い。」と説明されていたものだ。

 現在の日本の人口構成どうか?お先真っ暗だ。『未来の年表』によれば、2024年には「国民の3人に一人が65歳以上になる。」
 本書では2025年に東京都の人口が減ると予想されているが、現実は、コロナ禍の影響があったにせよ、2021年に東京都の人口減が起きたのだ。
 更に本書では2033年に「3戸に一戸が空き家になる。」とされ、空き家問題は解決不能になる。

 こうした確定的な暗い未来に対して、本書は10の処方箋を挙げている。幾つかを列挙すると、
 ・「高齢者」を削減
 ・ 24時間社会からの脱却
 ・ 非居住エリアを明確化
 ・ 中高年の地方移住推進
 ・ 第3子以降に1000万円給付
というアイデアが並んでいる。

 政府の決断でどれも実行可能な政策と思われるので、具体化を目指すべきだ。

(2022.4.16 Saturday)