子供向けの図書をよく読む。小学4年生と1年生の孫にはどんな本が良いかと探しているのだ。
表記の本を最近読んだ。誰もがよく知っている名作童話20編をあつめそれぞれについて普通の解釈とは少し違う解釈を主人公のブルースという豚(多分)の探偵が助手のシナモン(リス)と一緒にしてみせるお話だ。
例えば「3匹の子豚」ではこんな具合だ。
お話は、3匹の兄弟の子豚が家を建てた。長男は面倒がり屋で簡単にできる藁の家を建てた。次男はちょっと頑張って木の枝を集めて家を作った。三男はコツコツとレンガを積み上げて家を作った。おなかをすかせた狼が子豚たちを食べようと狙ってきた。長男の藁の家は簡単に吹き飛ばされた。長男は次男の木の枝の家に逃げた。狼は次男の木の枝の家も簡単に壊した。二人は三男の家に逃げた。狼はレンガの家を壊そうとしたが壊せず、煙突から家の中に入ろうとした。煙突の下の暖炉では火が燃えていて狼は大やけどして逃げて行った。という内容だ。
普通の解釈は、「しっかりした努力や準備は無駄にならない。悪者は結局報いを受ける」というようなものだろう。
この本は違っていて、子豚たちの正義と狼の正義を比べている。「正義の反対は悪ではなく、もう一つの正義だ」という。腹をすかした狼には狼なりの考え方があったのだろう。そうした考えも尊重するべきだというのだ。
トランプ時代にはやったalternative factsやpost truthを彷彿とさせる考えが述べられている。
このお話では3匹の子豚が全部助かるが、オリジナルの話は最初の2匹は狼に食べられてしまう。その場合でもalternative factsと著者は考えるのだろうか。
他の19編に関する教訓も興味深い。孫と話をするにはお勧め出来る本だ。
(2022.3.5 Saturday)