今年は米中間選挙の年。
そして10年に一度の下院議員選出のための区割り変更の年だ。
(ゲリマンダーの横行)
米国で、特定政党に有利な選挙区割り「ゲリマンダー」が横行している。2021年は10年に1度の区割り変更の年にあたる。さらに、連邦議会で民主党と共和党の議席数が伯仲する状況も加わり、両党は今年11月の中間選挙を見据え、自分たちに有利な区割りづくりに熱心だ。各地で市民団体が監視をしているが、問題視されながらも長年続く慣習は、終わらない。
名前は、19世紀初頭のマサチューセッツ州知事ゲリーが線引きをした選挙区が、トカゲのような怪物サラマンダーに似ていたことに由来する。ゲリー+マンダーでゲリマンダーというわけだ。
上院は各州2名の議席で固定しているが、下院の議席は州の人口に基づいて配分される。下院と州議会の選挙区割りは、10年に1度実施される国勢調査をもとに、各州が見直す。2021年の調査による区割り作業が大詰めを迎えている。
メリーランド州を例にとると、区割り案を作成した州議会は、民主党が多数派を占める。区割りを担当した議会の諮問委員会は声明で、「よりわかりやすく改善された区割りだ」と強調する。
しかし、プリンストン大学の研究者が運営する「プリンストン・ゲリマンダリング・プロジェクト」は、メリーランド州の新たな区割りを「著しく民主党に有利だ」として最低ランクの「F」に評価した。
(手法)
図を使えるとわかりやすいのだが言葉で説明を試みる。州全体で見ると共和党の支持者が40%で民主党の支持者が60%だとする。普通に選挙区を決めれば得票率は40対60で、どの選挙区でも民主党候補が勝ちそうだ。
ところが、ゲリマンダーにより、選挙区割によって、共和党支持者が40、民主党支持者が30という選挙区を作りだすと(つまり、ある選挙区では民主党候補が大勝し、ある選挙区では共和党候補が辛勝する)、州全体としては共和党の勝利が民主党の勝利を上回る、という状況が現出するのだ。
(議員の対応はいろいろ)
共和党が有利と思われる中間選挙を控え議員の対応もいろいろだ。まだ自分の選挙区がどこになるか最終的に決まっていないのだが、特に、民主党の中道穏健派(民主党左派からの突き上げ)、トランプの弾劾に賛成した共和党議員(親トランプの対応が注目されている。
(面白い表現)
記事をいくつか読むうちに、draw the short straw という表現が目に留まりました。 「短いストローを引く」
日本語で言えば「貧乏くじを引く」というのが適訳かな。
(2022.1.15 Saturday)