仕事の難しさと時間距離

一般に事業を展開する難しさは時間距離に比例すると言われる。
東京本社の会社が横浜に支店を作るのと(時間1時間)新潟に支店を作るのでは(時間3時間)、新潟のほうが3倍難しいという考えだ。
本社の経営者がどれだけ頻繁に行こうと考えても、最後の瞬間になって行かない理由を見つけるのはとても簡単だ。本社の意向が届かずモニターも効きにくい。

これが海外だと、難しさは、時間距離の2乗に比例すると言われる。東京本社が香港で支店を作るとすると(時間距離5時間)25倍の仕事の難しさになる。

一般論ではこうだが、乗り越えなくてはならない壁だとも言える。

我が国の中小企業でも、日本にとどまらず、海外に現地法人や工場を作り、海外を主戦場にしている活きの良い会社も増えてきている。このような会社では、経営者の強い意志と、運営を支えていける従業員層が、支えになっている。

昨今のリモート勤務の環境整備の進展も、時間距離の壁を乗り越える力強い味方だ。かなりのレベルのコミュニケーションが国内でリモートで出来るようになった。国内で出来さえすれば、国内と海外との違いは時差ぐらいだ。

拡大の望めない日本市場に見切りをつけ海外市場に展開したい企業は、まず、国内でのリモート環境を使いこなす従業員層の育成が第一歩になると思われる。

その際には、何回かにわたって説明した文化人類学的な異文化コミュニケーションの考えが役立つはずだ。

(2020.7.17)