日本の末路

「末路」とはGoo辞書によれば
 1 道の終わり。
 2 一生の最後。晩年。ばつろ。「人生の―」
 3 盛りを過ぎて衰え果てた状態。なれのはて。ばつろ。「英雄が哀れな―をたどる」
 となっている。

 野口悠紀雄さんの「「生成系AI」でも世界から遅れている日本の末路」という東洋経済OnLineの記事のタイトルを見て、発展後退国たる我が国のまさに末路ともいうべき状況を改めて認識させられた。

 同氏の議論の要旨は以下だ。
 アメリカにおいては、ビジネスにおける大規模言語モデルの利用は、すでに現実になっており、サービス提供者側の動きも活発になっている。
 ・米データブリックスがモザイクMLというスタートアップ企業を約13億ドル(約1860億円)で買収する。モザイクMLは比較的小さな企業が利用できる大規模 言語モデルの開発を行っている。
 ・メタ(Facebookを運営)はオープンソース大規模言語モデル「Llama 2」の提供を開始し、研究と商用向けに無償で提供する。開発者は独自の生成系AIをMicrosoft AzureやWindows上で開発し、アプリケーションに組み込めるようになる。
 これに対して、日本企業の関心のなさが憂慮される。大規模言語モデルの開発面において日本が後れを取っていることは仕方がないが、それをさまざまな実務に活用することは十分に可能なはずだ。それにもかかわらず、関心もないし 利用への体制作りも進んでいない。
 デジタル化の遅れが日本経済停滞の原因であると、しばしば指摘される。いま、大規模言語モデルの活用において遅れを取れば、日本の後れは決定的なものになってしまうだろう。

 新聞報道ではNECや日立が生成AIの開発を独自に進めているようだが先進の米国企業に対抗可能なレベルなのだろうか。半導体での経験では、大企業に一部門での取り組みは上手く行かない。上手く行かなかったところへ経済産業省が出てきて、部門を切り出して生き残りを図るが、これも失敗の連続だった。
 AIのスタートアップ企業を調べると、小粒だが10社程度が我が国の株式市場で挙がってくる。彼らの力量はどのくらいなのだろうか。

 若い人たちの起業家精神に期待したい。このままでは日本の「末路」は確実だ。

2023年8月6日 日曜日